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8話 新たな出会いは殺人現場で(嘘)

帝がAランクに昇級出来るかも知れないと言うわけで、俺達は以前攻略者登録をしたダンジョン省に瞬間移動でやって来た。


「俺、まだ攻略者登録したばかりだから分からねえんだけどさ、ランク昇級ってどやってやんの?」

「仕組み自体は簡単だよ。攻略者は自分のランクと同じランクとそのワンランク上のダンジョンに挑めるでしょう?ワンランク上のダンジョンに挑んでそれを証明出来るランクのアイテムや素材をこのダンジョン省の受付に献上する。それを10回くらい繰り返せば昇級出来るよ。」


フム、確かに簡単だな。

自分のランクよりも一つ上に挑戦出来ると言う仕組み上かなり単純な形式になっている。


しかし…。

俺の記憶が正しければ帝がAランクダンジョンに挑んだのは昨日が初めての筈だ。

それに昨日のダンジョンは即効でクリアしたからアイテムを手に入れる余裕なんてなかった。

どう考えても、今の帝が昇級に必要なアイテムを持っている筈がない。


「お前どうやって昇級するつもりだ?条件満たしてないだろ。」

「まあまあ見てなって。」


帝は自信満々に受付に行き、そしてステータスが記されたウインドウを開く。


…あれがステータス画面か…。

初めて見た。

て言うか俺にもあの画面見れるんだな。

俺にはステータスが無いから見えないかと思ってた。


「すみません、この前Aランクダンジョンに挑んでレベル上限を突破したんですけど。」

「確認しますね……。確認出来ました。おめでとうございます!一宮帝様、この度Aランクに昇級です。」


…あっさり昇級しちゃった…。

どういう事だ?

ステータスを見せたら昇級出来たと言うことはレベルの高さが関係してんのか?


「お待たせ!無事に昇級できたよ!」

「…ダンジョン省はレベルが高ければ簡単に昇級させてくれるのか?」


笑顔で戻ってきた帝に今浮かび上がった疑問をぶつけた。


「違うよ。レベルが高ければ確かに強さの指標になるけど、最近じゃレベルが低くても強いスキルを持ってるお陰で高ランクに挑める人も増えてるんだよ。例えば【無敵】って言うスキルを持っている攻略者とか。」


いかにも強そうだな。

確かに無敵ならレベルとか関係ないか…。

なら、何でさっき帝はステータスを見せただけで昇級出来たんだ?


「レベルが関係ないならさっきのはなんだ?」

「あれは例外だよ。」

「例外?」

「Aランク以上のダンジョンでボスを倒すとボーナスとしてレベルの上限が突破されるの。本来のレベルの最大値は99だけど僕は昨日理守さんのお陰でレベルの最大値が100になったんだよ。それがAランクダンジョン完全踏破の証明になって昇級出来たんだよ。」


Aランク以上のダンジョンボスを倒すとボーナスが貰える!?

俺は貰えなかったけど!

あのダンジョンボス倒したの俺なんだけど!

あとこの前EXランクも攻略したんだけど!

何で?


「俺は貰えなかったんだけど…。」

「あんたはステータス無いでしょ。」


あ…そうでした…。

そうだよね…。

ステータス無いならレベル上限突破のボーナスなんて貰えないよね…。

うん、知ってた…。

今の俺、知っててわざとキレ芸披露した部分あるもん…。


「それよりも、これでSランクに挑めるね!早速行こう!」

「…ああ、そうだな。」


そんなこんなで俺達は晴れてSランクダンジョンに挑めるようになったのだった。


_

__

___


そして、瞬間移動で早速やって参りましたSランクダンジョン。

今回は長野県某所にあるダンジョンにやって来た。


帝が色んなギルドの情報を抜き取った事で、俺達は今日本中…いや世界中の高ランクダンジョンの場所を把握している。


このダンジョンはアメリカの大手ギルド サウザーギルドが土地の権利書ごと買収…しようとしているダンジョンらしい。


何でもサウザーギルドは世界中の高ランクダンジョンを出現した土地ごと買い取って独占しているのだとか…。


その魔の手が日本にまで届くとは恐ろしい…。


だが、帝の情報によればまだ買収する前らしい。

なので今のうちに攻略しちゃいましょうって話になったのだ。


そして地名と座標が分かればもうこっちの物。

俺の瞬間移動で一瞬でひとっ飛びよ。


「相変わらず、便利だね…。瞬間移動は。」

「帝もゲットしたらどうだ?瞬間移動のスキル。ワンチャンあるかも。」

「そんな都合良くバンバン望むスキルをゲット出来るわけ無いじゃん…。」


呆れたように帝は目を伏せながらそう零す。


「そうなのか?」


俺は「こう言う魔法あれば良いな」て思ったら自分で一から魔法作れちゃうけど、ステータス持ちはそうは行かないのか?


「スキルってのはね。レベルアップしたり、ダンジョンでたまにドロップするスキル玉を使ったり、あと何かしら特定の条件を満たすことで手に入るの。でも、スキルを獲得するための条件なんて未だに解明されてないんだよ。だから、僕がどれだけ瞬間移動のスキルを求めてもそれを手に入れられるかは運次第なの!」


面倒な仕様だな。

俺なら手軽に欲しい魔法を作れるのに…。


「ねえ、師匠。スキル獲得の条件がわかる魔法無いの?」

「そんなのあるわけ無いだろ…。まあ、気長に幸運の到来を待つことだな。」


そう言い残して俺はSランクダンジョンの入り口へと進む。


しかし、その直後何かサッカーボールくらいの大きさの丸い物に躓いてしまう。


「いったいわね!」


「おわ!」


躓いた衝撃と俺が躓いた謎の物体から声が聞こえた事へのショックで俺は盛大に転んでしまう。


「ちょっと、理守さん!大丈夫!」

「なっ何だ?」


慌てて駆け寄って心配する帝を余所に俺は躓いた場所に視線を飛ばす。


そこにはサラサラとした艶のある紫色の糸が集まった毛糸玉の様な物が地面に転がっていた。


「何だ…これ?糸…玉?」


俺は恐る恐るその玉に触る。

すると…。


「ちょっと!気安く触らないで!乙女の柔肌は繊細なのよ!」


高飛車な女の子の怒鳴り声がその毛玉から発せられた。


「うわ!毛玉が喋ったぞ!」


話す毛玉なんて初めて見た。

もしやモンスターなのか?

でも、ここはまだダンジョンの外だ。

モンスターなんている筈ない。


「毛玉だなんて失礼ね!私はれっきとした人間よ!」

「人間?」


俺は毛玉をゆっくり持ち上げて、優しく絡まっている糸…いや、良く見ると髪の毛だ…!…兎に角それを解く。


すると、絡まっていた髪の毛の中から髪の毛と同じ紫色の瞳を持つ、つり目のかなり顔立ちが整った女の子の頭が出てきた…。


「うわおおお!生首!死体だ!帝!今すぐ110番!この近くで猟奇殺人が起きたぞ!」

「わわ分かった!えっとスマホスマホ…。ヤバい!スマホ狐霧さんの家に置いてきちゃった!」


何やってんだ!コイツ!

畜生…どうすれば…。

ここは埋葬するしかないのか…。


「落ち着きなさいよ!私は死んでないわ。それに誰にも殺されてなんかない。」

「喋った!」

「幽霊だ!」

「落ち着きなさいって!ずっと前から喋ってたでしょ!」


それから暫く俺と帝はさんざん騒ぎまくった末に漸く落ち着きを取り戻し、目の前の生首の少女の前で正座しながら話を聞く事になった。


「やっと落ち着いたわね…。兎に角まずは自己紹介よ。私は()()(くび)()(らん)よ。」

「俺は全堂理守。」

「僕は一宮帝。」


取り敢えず言われた通りに自己紹介したが、何だこの光景…。


生首の前で女二人が正座している。


「あの…さ、井戸首は何で生首になったんだ?」

「…3年前、ちょっと色々あって家出したのよ…。」


俺の質問に対し表情を暗くして、井戸首はそう話を切り出した。


突然なんか暗い話が出てきたな…。

何か事情があるのか?

あまり詮索しない方が…。


「ごめん…。言いたくないなら言わなくていい。」

「気遣い結構よ。それで、家出してここら辺を通りかかったら急に目の前にあの変な祠みたいな物が現れたの。そしたらいつの間にか私の体が無くなっていたのよ…。」


近くにダンジョンが現れて体に変化が起きる…。

俺と狐霧さんと同じだな。


ステータスの方はどうなんだ?


「お前ステータスあるか?」

「ステータス?もしかしてこの変なシステムウィンドウの事?」


そう言って井戸首は目の前にステータス画面を開く。


…何だお前も持ってる側か期待して損した。


そんなことよりもさっきの井戸首の発言に気になる事がある。


「お前、今三年前ここで体が無くなったって言ったよな?」

「ええ。」

「て言うことは三年間、何も飲まず食わずこのままだったのか?」

「…そうよ。体が無いから自分で動くことも出来ないのよ。でも、不幸中の幸いだったのが、体が無いお陰で何も食べなくても何も飲まなくても生きていけたの。それでもお腹は空くし喉も乾くけど…。」


死なないとは言え、3年間ここでずっと放置されていたのか。

しかも、ここはSランクダンジョンのすぐそばだ。

近づく奴は少ないし、人に気付いて貰えることなんて無かっただろう。


可哀想だな…。


「なあ、井戸首。良かったら家に来ないか?体を洗っ…つっても頭だけか。兎に角風呂に入れてやるし、飯も食わせてやる。」

「…本当に?」

「ああ!帝も一旦に家に帰ることになるが、良いか?」

「うん、良いけど…。戻るなら狐霧さんの家にしよう。」


スマホをとりに行くためだろうか?

狐霧さんなら別に反対はしないだろうが…。

三年間地面に放置されてた女の子の汚れが風呂場に着くことになるけど大丈夫か?


「実は、葡蘭ちゃんの話を聞いて確信したことがあるの。」

「確信?」

「その話は理守さんも狐霧さんにも関係のある話だから…。」


そう言われたら、一旦狐霧さん家に行くしかないな…。


取り敢えず俺達は井戸首を連れて狐霧さん家に瞬間移動するのだった。



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