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7話 弟子って面倒

誠に遺憾ながら帝が俺の弟子となり、その日は二人で狐霧さんの家に泊めて貰うことになった。


そして、迎えた翌日の早朝。


「理守さん理守さん!あっ師匠って読んだ方が良い?」

「朝っぱらからうるせえな。」


時刻は午前4時。

まだ日が昇るか昇らないかくらいの時間にぐっすり眠っていた俺は帝によって叩き起こされていた。


「僕に修行つけてよ!」

「今じゃなくて良いだろ!何時だと思ってんだよ!」


こんな朝早くに起こしやがって…。

何でコイツはこんなに元気なんだよ…。

鶏か!お前は!


「早く!今が良いの!僕早く強くなりたいの!」


わがまま言いやがって…。

そもそも修行って言ってもステータスの無い俺とステータスがあるお前では強くなるための方法とか勝手が違うだろう…。

どう修行を着けろと言うんだ…。

レベルが上がればお手軽に強くなれるんだから適当なダンジョンに行ってろよ。


「うーん…。取り敢えず適当なダンジョンにでも行ってろ。Aランクとか。」

「一人でAランクはきついよ。昨日挑んだのが初めてのAランクだったんだよ。一人で挑めるようになるにはやっぱもうちょっと強くなってからじゃないと!だからはい、修行!」


くそうるさい…。

この鬱陶しい鶏女を黙らせるには言われた通りに修行を着けるしかなさそうだ。

弟子にするって言ったのは俺だしな。

最低限責任もって師匠らしい事をしなくちゃな。


「…はあ、仕方ない。ちょっと待ってろ。」


俺はだるさ、眠気、疲れを完全に無くす魔法を自身にかける。

次の瞬間、緑色の光が俺を包み俺の体から疲労を完全抜き取る。


「おお!何今の?」

「疲労回復魔法だ。これがあれば何轍しようが元気でいられる。」

「凄い!一家に一台欲しい!」


お前は多分必要ないだろう…。

早朝からそんなに元気ならな。


「それより、ほら庭に出ろ。修行をつけてやる。」

「やった!」


俺は帝と一緒に庭に出る。

俺の家じゃなくて狐霧さんの家の庭だから、あまり派手にやらないようにしなくてはな。


「それでそれで!何するの?」

「組み手だ。俺がつけれる修行なんてそれくらいだからな。」


ステータスを持たない俺とステータスを持つ帝では強くなる方法が違う。

だが、戦い方のコツや戦術なんかはステータスの有無に関係なく磨くことができる。

その上、今後のダンジョン攻略においてかなり重要になる要素の一つでもあると思う。

今回は…と言うか今後も修行をつけるとしたら組み手メインで、戦い方を教える形になるだろう。


「組み手か!確かに修行っぽい!」

「スキルの使用は禁止な。庭が壊れるかもしれない。」

「えー!」

「その代わり俺も魔法は使わん。」


俺は帝の前で魔力を解いて構える。

それに倣って帝も独自の構えをとる。


…帝の奴何か妙に様になっているな…。


帝の構えを見て俺は素直にそんな感想を抱く。

しっかり腰の入った構えだ。

何か習い事でもしていたのか?


「いつでも来い。」

「じゃあ早速いくよ!」


帝は素早い動きで俺との距離を瞬時につめて腰の入った鋭い拳を放ってくる。

俺はその拳を余裕で避け、流れる動作で帝の腕を掴み、腕を軸に帝の体を投げ飛ばす。


「うわ!」

「動きのキレは良いが直線的で隙が大きい。あれではいつでも反撃してくださいっていってるようなものだ。」

「くっそ~!なら!」


帝は直ぐに立ち上がって再び俺に肉薄する。

そして俺との距離が目と鼻の先まで縮まった直後、帝はいつの間にかむしり取っていた庭の芝生と土を俺の目に向かって投げて目潰しを狙う。


…姑息だが、良い手だな。


俺は投げつけられた土を手で払いのける。

それによって、俺の視界が俺自身の手で遮られた。

その一瞬の隙をついて帝は柔軟な股関節を利用して姿勢を低くし、俺の足を払ってバランスを崩してきた。


バランスを崩して宙に浮く俺の体に対して帝は追撃と言わんばかりに後ろ蹴りを放ってくる。

俺は空中で体を回転させて帝の後ろ蹴りを防ぐと同時に、俺の回転に帝の足ごとその体を巻き込む。

そしてその勢いのまま、地面に帝を叩きつけて組伏せる。


「一本。」

「あ~負けた。」


取り敢えず今の組み手は俺が一本。

予想外に帝が動けたな。

動きのキレもかなり良かった。

戦い慣れている感じだ。


「帝、お前何か習い事やってたのか?」

「ふふん!僕こう見えて社長令嬢だからね!色々習わされていたんだよ。」


成る程、考えてみたら一宮ギルドの会長の娘だもんな。

護身術の一つや二つ習っていてもおかしくない。


「ふーん。中々良い技術持ってんじゃん。修行の必要あるか?」

「何言ってんの!僕なんてまだまだだよ!世の中には沢山強い攻略者はいるんだから。」

「目標を高く持つのは良いが、手っ取り早く強くなるならやっぱりレベル上げじゃないか?」

「うーん、それもそうなんだけど今の僕のレベルだとAランクモンスターも満足に倒せないんだよ。Bランクだと経験値が低いし…。」


ふーんそう言う苦悩があるのか。

意外とBランク攻略者からAランク攻略者になるには壁があったりするのかもな。


「俺が代わりに倒してパワーレベリングとかしたら効率良くレベルアップ出来るんじゃないか?」

「折角理守さんにパワーレベリングして貰うならSランクが良いよ。そっちの方が経験値美味しいだろうし。」


確かにそれもそうだが、今の俺達は最大でAランクまでしか挑めない。

高望みせずにAランクに甘んじてレベルアップするしかないだろ。


「千里の道も一歩からだ。地道に行くしかない。」

「えー!僕はもっと効率良く強くな入りたい!」

「だが、Sランクダンジョンに行けないなら仕方ないだろ?」

「それはそうなんだけど……あっ!」


帝は突然何か閃いた様な声をあげた。


「どうした?」

「もしかしたらAランクに昇級できるかも!」

「なに?」


帝のその言葉に俺は大いに興味を示す。

考えてみたらランク昇級の仕組みを知らなかったな。

ニュースにも載ってないし、いくら調べても昇級方法はわからなかったんだよな。


「本当に昇級出来るのか?」

「うん、多分。ちょっと一回ダンジョン省に行ってみるよ。」

「俺も行く。俺の瞬間移動なら一瞬だし、ランク昇級の仕組みも知りたいからな。」

「わかった!じゃあ早速しゅっぱーつ!」


こうして俺達はランク昇級の為にダンジョン省へ向かうのだった。

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