表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

6話弟子入り。

俺は今,物凄く困惑している。

その原因は目の前の少女 一宮帝である。

鑑定センターでバッタリ遭遇した時,いきなり俺に手下になれとか言って追いかけ回してきたのだ。

見た目は白髪碧眼で黒いシャツに黒の短パンとタイツを履いた格好をしていて、かなり整った容姿をしている。

男子高出身の俺としてはこんな美少女に話しかけてもらえるだけでも大変喜ばしい事ではあるが、残念なことに俺には美少女の手下になりたいと言う癖も無ければ願望も無い。


なので勿論俺は直ぐに逃げた。

だが、奴はスキルを使ったのか直ぐに追い付いてきやがった。

しかし、不幸中の幸いか何とコイツはランクB の攻略者らしく、話を聞けば協力してくれると持ちかけてきた。


だから仕方なくダンジョンに連れてきたら…。


何を思ったのか今度は弟子にしてくれだと?


「嫌だよ…弟子なんて。他を当たんな。」

「他は嫌だ!あんたが良い!」

「チッ!ガキが!お前が俺の弟子なんて100年早いんだよ!さっさと帰ってママのおっぱいでも吸ってろ。」

「ママのおっぱいなんか吸うくらいなら、あんたのおっぱいを吸う!」

「失せろ!変態野郎!」


取り敢えずこいつダンジョンに置いていくか…。


…いや、そう言う訳にも行かないか。

ダンジョンボスを倒してもダンジョンに人が残り続ける限りダンジョンは消滅しない。

この前黒龍を倒した時もドラゴンフライを食べ切ってダンジョンを出るまで、ダンジョンが消える兆候は見られなかった。


多分ボスを倒して脱出までしないと消滅しない仕様なんだろう。

それだと困る。

折角クリアしたのにこいつを置いて来たせいでダンジョンが消滅しなかったら狐霧さんが困るからな。


「はあ…。取り敢えず速くここを出るぞ。話はそれからだ。」

「うん!」


俺は帝を連れて瞬間移動でダンジョンの外に出る。

すると俺が黒龍を倒した時と同じ様に怪しい煙を出してダンジョンが消滅した。


「これでAランクダンジョンクリアか…。なんか実感わかないな~…。」

「お前のお陰でこのダンジョンをクリア出来た…礼は言う。だが、俺はお前の師匠にも手下にもならないぞ。」

「そこを何とか!」


帝は地面に頭を着けて全力で土下座してくる。

そんなに俺の弟子になりたいのか…?

こいつの目的はなんだ?


「あら?ダンジョンが無くなってますぅ。クリアしてくれたんですねぇ!」


すると家の中からさっきのダンジョンが建っていたこの庭の持ち主である狐霧さんが現れた。


「この人誰?人間?狐耳生えてるけど…。」

「ここの家主の犬飼狐霧さん。さっきのAランクダンジョンはこの人の庭に建っていた物だ。邪魔だし危険だからクリアして除去してあげてたんだよ。」

「それでBランク攻略者を探してたんだ…。」


まあ、実際に帝には助けられた。

何か企んでいたようだが、役に立ったのは事実だ。

しかし、弟子にはしない!

今日のところは丁重に帰って貰って、そのまま永遠にグッパイだ。


「もう用は済んだしお前はもう帰れ。」

「ちょっと!少しは僕の話を聞いてくれても良いでしょ!協力してあげたんだから!」


…面倒くせえ。

話を聞くもなにもまた弟子にしてくれだの、手下になってくれだの言ってくるだけだろ…。


「理守さん、折角この子が協力してくれたんでしょう?なら何かお礼をしなくちゃぁ。そのまま帰すなんて酷いですよぉ。」


折角協力してくれた人間を何のお礼もせず帰らせるのは確かに礼を欠いた行為であることは分かってる。

こう見えても3年前までは立派な社会人だったわけだしな。

だが、今回は相手が相手だ。

元々俺を嗅ぎまわっていたようだし、怪しくて信用ならん。


「酷くて結構。帝、早く帰れ。」

「まあまあ。あなた、お名前は?」

「一宮帝です。」

「一宮!?一宮ってあの?」


そんなに有名な名前なのか?

狐霧さんが物凄く青ざめている。


「とっ兎に角家に上がって下さいぃ。色々話してほしい事が出来ましたぁ。」

「はーい、お邪魔しまーす。」

「はあ、なんなんだ…。一体…。」


こうして仕方なく帝を狐霧さんの家に招き入れることになった。


_

__

___


そして俺は昨日ぶりに狐霧さんの家に入る。

但し、帝と言う招かれざる客を連れて…。


「帝…ちゃん…でしたよねぇ?どうして理守さんと一緒にあのダンジョンにぃ?あなたはその…あの一宮の…。」

「うん、僕は一宮ギルドの会長の娘だよ。」

「一宮ギルド?」


ギルドってなんだ?

ゲームとかで良くあるクエストを冒険者に斡旋する機関的なやつか?

…あっでも、ニュースでなんか名前だけは見たかも…。

興味無くて飛ばしたけど。


「そう言えば、理守さんはギルドの事を知りませんでしたよねぇ?」

「ああ、初耳だ。」

「え?理守さんそんなことも知らないの?常識だよ!」


…うるせえなコイツ…。

悪かったな常識無くて、こちとら三年間世間から隔離された生活してたんだよ。


「理守さんはこの世界にダンジョンと言うものが現れてから三年間、自分の家の玄関に出現したダンジョンに篭っていたんですよぉ。」

「え?」

「ちょいちょい!狐霧さん俺の秘密バラすなよ!」


本人の前で何他人に秘密ばらしてんの?この大家は。

一応ダンジョン規制法が制定された今、俺のしてたこと普通にグレーゾーンだから、バレたら結構にヤバいからな!


「別に良いじゃないですかぁ。秘密にしててもどうせ彼女にはバレますよぉ。大手ギルドの情報網の前では簡単にねぇ。」

「大手ギルド?」


さっきから一宮ギルドだの大手ギルドだの。

よく分からん用語使いやがって…。

こっちは三年ぶりに者場に出た原始人ですけど!

世間の事をちゃんと教えなさいよ!


「ギルドって言うのはですねぇ。世界中の名の知れた実業家がダンジョンを利用して事業を拡大するために組織したダンジョン専門企業ですよぉ。ギルドには沢山の攻略者がいましてぇ皆パーティを組んでダンジョンを攻略しているんですぅ。」


以前、Bランク以上の攻略者を探した時に全く見つからなかったのはそう言うことだったのか…。


皆同じギルドに所属している者同士でパーティを組んでいたんだな。

加えて、ランクDやCの攻略者は同じギルドのハイランカーに寄生する事で低ランクダンジョンなんかに挑まずに効率よくランクを上げている訳だ。


漸く合点がいった。


「そして、この一宮帝ちゃんは大手ギルドである一宮ギルドの会長の娘さんですぅ。」


…と言うことはかなりのお偉いさんの娘さん。

つまりお嬢様か。


「だから、なんだよ。お嬢様だからって人を付け回したり、手下にしようとして良い理由にはならねえんだよ…。」

「そ、それは悪かったよ…。どうしてもパパより先にあんたを仲間にして悔しがる姿を見たかったんだよ…。」

「パパ?」


この口ぶりからして、コイツのお父さん…つまり一宮ギルドのトップが俺を狙っていると…そう言うことになりませんか…!


「理守さん、あなた何したんですかぁ?一宮のトップに狙われるなんてそうそう無い事ですよぉ。」

「知らないよ!心当たり0!」


え?俺知らない内に喧嘩売ってたとかないよね?

ヤバ…。

今夜、夜逃げしようかな…。


「この前理守さん、EXランクのアイテムを鑑定センターに売ったでしょ?」

「ああ、それがどうした?」

「鑑定センターはね、攻略者から渡されたアイテムを買い取った後、センター側も利益を確保するために鑑定したアイテムを世界オークションに掛けるの。」


成る程、だから精算に時間が掛かったのか…。

結構売ったからな…。


「それでね、世界オークションに出された理守さんのアイテム達が色んなギルドに目をつけられているの。でも、真に目をつけられているのはアイテムの方じゃなくて…アイテムを売った理守さん本人だよ。」

「ウソン…。」

「皆理守さんをスカウトしようと理守さんの情報を探ってる。僕は一宮の情報網をハッキングしていち早く理守さんに会いに来たの。」


うへえ…。

これから大手からのスカウトがぞろぞろとやってくるのか…。

人気者は辛いな…。


「一宮ギルドは後どれくらいでくるんだ?」

「一宮と他のギルドが来るのは後1カ月くらいかな。」

「…意外と遅いな…。」

「僕が世界中のギルドのシステムにハッキングしてウイルスを撒き散らしたからね。システム復旧までまだ掛かると思う。」

「お前…。」


コイツ天才か!

やってる事はほぼ犯罪だけど、お陰で時間が出来た。

1ヶ月もあればもう少しお金を稼いで貯められるし、夜逃げの準備も出来る!


「よくやった!帝!今ならお前を弟子にしてやっても良い気がしてきた!」

「本当?」

「ああ!でも、条件がある!」


俺は懐からゲーム機を取り出して帝に渡す。


「このゲームをクリアしてみろ!」

「これって…。鬼畜ダンジョンファンタジー…。」


鬼畜ダンジョンファンタジー。

今世間を騒がすダンジョンを題材とした高難易度ゲーム。

作り込みの深さからかなりの人気を博したゲームらしいのだが、滅茶苦茶難しい。

死亡率が異様に高く世界一の死にゲーと称されギネスにも認定された今話題のゲームだ。


実は以前、Cランクダンジョンに挑んだ後ゲームを買いに行った時、気になって購入したは良いけど難易度激難過ぎてクリアを断念したんだよな…。


「このゲームをクリアしたら弟子にしてやる。」

「理守さん…あなたそんなんで弟子を決めていいんですかぁ?」


うるさい!元々弟子なんてとるつもり無かったのだ。

それでも検討してあげてるだけ、俺は大人だろ?


「大丈夫だよ!狐霧さん!僕このゲーム何度もクリアしたことあるから!」


そう言って帝はゲームを起動して早速プレイを開始する…と思いきや何か急に不規則にボタンを押し始めた。


「何してんの?」

「バグを起こしてるの。」

「バグ?」


バグだと…。

まさかコイツ…真面目にプレイするのではなく、バグ技で攻略する気か!


そうこう言ってる内に帝が操作してるゲーム画面にノイズが走り、変化が起きる。


本来このゲームは男主人公固定で性別が変更出来ない仕様になっているのだが、目の前のゲーム画面には何故か女になった主人公が映し出されており、ステータス画面も開けなくなっている。


「これがバグ…。」

「厳密には製作者が残した隠しコマンドだね。コマンドを入力すると主人公の性別が女になってメニュー画面が開けなくなる代わりに無敵状態になるの。何でも元々主人公を女にしようとしていた所を完成直前に没にした名残りなんだって。」


成る程、それは面白い。

そういう隠し要素はゲームのプレイバリューを深めるからな…。


「面白いでしょ?まあ、電源を消すと元に戻っちゃうんだけどね。」


そう言って帝はあっという間にゲームをクリアしてしまった。


「これで晴れて僕はあんたの弟子だね!よろしく師匠!」


バグ技を使ったとは言え、クリアはクリア。

ここは大人らしく潔く認めよう…。


「…ああ、よろしくな。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ