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「リリーフ」  作者: わたぬきたぬき


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19/49

第18話「繋いだ先」

八回表終了。

 


 


スコアボードには、


 


 


5―4。


 


 


城南高校リード。



板橋は毎回の11安打を浴びながら、なんとかマウンドに立ち続けた。




「何やってるんだお前ら!」



 


城南監督の怒声が飛ぶ。


 


「相手は野手上がりだぞ!?」


 


「なんで打ち崩せない!!」


 


ベンチが静まり返る。


 


スコアは接戦。


 


本来なら、とっくに引き離しているはずだった。


 


「変化球も大して曲がってない!」


 


「球も速くない!」


 


監督が苛立ったようにスコアブックを叩く。


 


「なのに詰まる!」


 


「打球が上がらん!」


 


誰も返事ができない。


 


実際、打席に立った選手たちも混乱していた。


 


タイミングが合わない。


 


芯を外される。


 


気づけば、

要所で凡打になっている。


 


「くそ……!」


 


城南の四番、志村が、悔しそうに吐き捨てた。


 


その頃。


 


反対側のベンチでは。


 


肩で息をしながら、

板橋がスポーツドリンクを飲んでいた。



挿絵(By みてみん)



ユニフォームは土だらけ。


 


 


帽子のつばから汗が落ちる。


 


 


 


「……っはぁ……」


 


 


 


肩で息をする。


 


 


 


八回、五失点。


 


 


 


完璧には程遠い。


 


 


 


でも――


 


 


 


試合は、壊れていなかった。


 


 


 


 


「ナイスピッチ!」


 


 


 


「よく投げてる!」


 


 


 


チームメイトが声を飛ばす。


 


 


 


板橋は、苦笑した。


 


 


 


「五点取られてるぞ」


 


 


 


「でも試合になってる」


 


 


 


久保がミットを軽くぶつける。


 


 


 


「十分だ」


 


 


 


板橋は返事をしない。


 


 


 


ただ。


 


 


 


少しだけ、救われた顔をした。


 


 


 


 


ベンチの奥。


 


 


白石――いや、虹原は静かに試合を見ていた。


 


 


 


左肘は、まだ重い。


 


 


 


投げるのは危険だった。


 


 


 


でも。


 


 


 


(……なんとか繋いでる)


 


 


 


板橋の背中を見る。


 


 


 


普段はおちゃらけた男が。


 


 


 


足を震わせながら、必死に投げている。


 


 


 


 


(だったら――)


 


 


 


虹原は、ゆっくり立ち上がった。


 

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