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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第十章 未知との遭遇編

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第76話 大秘境の古城

 再び冒険を始めた俺たちは、北へと馬車を走らせた。


「こう見てみると、四大陸に1つずつ印がついているんだな。こうなると、表示されていない残りの2つを探すのは相当苦しいぞ」


 俺が呟くと、隣に座るマヨが地図を見ながら口を開く。


「確かに……地図を見た感じ、魔神王がいる国に1つずつあるみたいね」


「そういえば、魔神王って各大陸に1柱ずついるのか。なら、四大陸全部に聖書があるのもおかしくないな」


「まぁ、魔神王は大陸の守護者みたいなところあるしね。べスティア大陸はビーズテリア帝国にあるみたいだし、他の魔神王に会えば聖書や過去の手がかりも手に入るんじゃない?」


 そんな会話をしながら、俺たちは馬車の荷台でくつろぐ。


 街を抜け、草原を優雅に駆け抜ける。


 俺たちは街道を北へ、そして徐々に北西へと進路を変えながら、小国が点在する地域を目指した。


 道中は比較的穏やかで、時折現れる魔物も俺たちの戦力なら苦にならない。


 そうして進むことおよそ5日。日が沈む頃、ようやく小さな町に到着した。


 石造りの家が並ぶ、質素だが落ち着いた雰囲気の集落だ。中央通りに宿屋の看板が見える。


「ここが小国群の入り口あたりね。今日はここで休みましょう」


 マヨの提案に俺たちはうなずき、宿屋に荷物を下ろした。


 宿屋は2階建てで、暖炉のある共有スペースが温かく灯っている。


 そこでは、地元の客や旅人が数人、静かに酒を酌み交わしていた。


 俺たちが夕食を済ませ暖炉の近くで休んでいると、隣の席にいた白髪の老人がふとこちらに視線を向けて、


「そこの若いの、旅の者かい?」


 と、話しかけてきた。


「はい、そうです」


「どこを目指してるんじゃ?」


「北のにあるベスティア大陸を目指しています」


 俺が答えると、老人はゆっくりとパイプをくわえ、煙を吐く。


「北の方へ向かうのか。なら、少し気をつけた方がいい。さらに先の秘境には、昔から奇妙な話が残っておる」


「奇妙な話……?」


 マヨが興味を示して身を乗り出す。


 老人は暖炉の炎を見つめながら、静かに語り始めた。


「北に広がる中立地帯……あそこには、広大な湖とその中の島に古い城が残っておってな。そこは『東の帝国の守護神』がかつて祀られていた場所だといわれている。誰も詳細を知らぬ秘境……興味半分で行く冒険者はいたが、無事帰ってきたものはおらぬそうじゃ」


「東の帝国……」


 俺は思わず呟いた。隣でカタルシアが小さく息を呑む。


「東の帝国、といえば……」


「ミルキーウェイ皇国のこと、よね」


 マヨが俺と視線を交わす。


 老人はこちらの反応を気にせず、続けた。


「守護神が祀られていた旧城。どこにあるかは知らんが、ドラゴンが住み着いておるらしい。見かけたら即逃げるんじゃぞ」


「……貴重な話、ありがとうございます」


 俺は礼を述べ、老人に軽く頭を下げる。


 それから部屋に戻った後、4人で改めて話をした。


「東の帝国の守護神……もしかして、魔神王に関係があるんじゃないかしら」


 マヨが腕を組んで言う。


「可能性は高いですね。それに、ドラゴンもいるとなると竜天神との関係に説得力があります」


 マヨの言葉に、カタルシアも同意する。


「テンにぃの昔の城かもしれないね!」


 ミリアはワクワクした様子で尻尾を振る。


 俺は天井を見上げ、小さく息を吐いた。


(かつての魔神王城……か。もし本当なら、かなり大きな手がかりになる)


「どうする? ついでに探してみるか?」


 老人の話しが気になった俺は、みんなに質問する。


「でも、話を聞く限りかなり危険そうよ。ドラゴン以外の脅威もありそうだわ」


「答えは一旦保留にして、途中で手がかりを見つけてから考えるのがいいと思います」


 俺の問いに、マヨとカタルシアは冷静に返す。


 俺はその意見に納得し、明日は通常通り中立地帯を目指すことにした。




 翌朝、俺たちは宿を出て北へ向かう。


 小国群を抜け、徐々に人の気配が薄れていく。街道は次第に細くなり、やがて踏み固められた道すら消えて、ただの獣道になっていった。


「ここから先が、中立地帯ね」


 それから4日ほど経ち、マヨが地図を確認しながら呟く。


「空気が変わってきましたね」


 カタルシアも周囲を警戒するように視線を巡らせる。


 ミリアは耳をピクピクさせながら、楽しそうに馬車に揺られる。


 森、山、草原。大自然に囲まれた秘境に、俺たちの心は浄化されていく。


 そうして1日ほど、中立地帯を進んだ頃だった。


 馬車の通れない獣道を進んでいると、突然、頭上で大きな風切り音がする。


「……ん?」


 俺が空を見上げた瞬間、巨大な影が木々を覆った。


「なッ……!?」


 俺は、その影の正体に驚愕する。


 陽光を反射する鋼のような深緑色のウロコ。20mを優に超える巨体。鋭い黄金の眼光。


 ――ドラゴンだ。


「ど、ドラゴン!?」


 マヨが剣に手をかける。


「全く気配を感じませんでした。気を付けてください!」


 カタルシアも即座に結界を展開し始めた。


 だが——


「ちょっと待ってくれ。このドラゴンに、敵意はない」


 俺は、そんな2人を制止する。


 ドラゴンは穏やかな雰囲気のまま、ゆっくりと俺たちの目の前の空き地に降り立った。


 翼を畳み、地面を大きく揺らしながら着地する。


 ウロコには、ところどころ金色の模様が走っていた。


 マヨたちは未だ戦闘態勢を取っているが、ドラゴンは全く攻撃する気配を見せない。


 ただ、金色の瞳で静かに俺たちを見下ろしている。


「……これは、どういうことなの? テンコ」


 マヨが呟くと、ドラゴンは低く喉を鳴らした。威嚇というより、何かを伝えるような響きだ。


 そして、ゆっくりと首を下げ、背中をこちらに差し出すように体を傾けた。


「どうやら……乗ってこい、って言ってるようだ。俺は竜天神で竜の起源――こいつは神である俺を迎えに来たってところだな」


「まさか……でも、よくよく考えればそうですね」


 俺はドラゴンの瞳を見つめた。どこか懐かしいような、それでいて圧倒的な威圧感がある。


「……乗ってみよう。何かあるはずだ」


 少し間をおいて俺がそう決断すると、マヨは一瞬迷った後、小さく息を吐いた。


「わかったわ。テンコがそういうなら」


「わくわくする〜!」


 ミリアはすでに尻尾を振って乗り気だった。


 俺たちは恐る恐るドラゴンの背に登る。


 ドラゴンは俺たちが全員乗ったのを確認すると、大きく翼を広げた。


 ――バサッ!!


 次の瞬間、俺たちは一気に空へと舞い上がった。


 森が急速に遠ざかり、眼下に広がる景色が一変する。


「すごい……! 空を飛んでる!」


 ミリアが興奮した声を上げる。


「どこに向かっているのでしょうか?」


「これまでの因果関係を考えると、恐らく――」


 俺がそこまで言うと、前方に広大な湖が見えた。水面は鏡のように静かに光を反射し、その中央に一つの島が浮かんでいる。


 そして島の上には、巨大な城の影がはっきりと見えた。


「……やっぱり、老人の言っていた旧城か」


 俺は息を呑んで見つめる。


 しばらく飛んで湖の上まで来ると、ドラゴンはゆっくりと旋回した後、島の岸辺に正確に着陸した。


 俺たちが降りると、ドラゴンは一度だけ俺を見つめ、低く鳴いて翼をはためかせ、再び空へと舞い上がり遠ざかっていく。


「……行ってしまった」


「運んでくれたってことかしら」


 マヨが周囲を見回す。


 島は予想以上に広かった。石畳の道がところどころ残り、崩れた石柱や壁の一部が草に覆われながらも残っている。


 明らかに、かつては人が住んでいた文明の痕跡だ。


(……ゲームの隠しマップみたいだな)


 俺は内心でそう呟き、胸が高鳴るのを感じていた。


「城は島の中央みたいね。行きましょう」


 それからマヨに促され、俺たちは石畳の道を辿って進んだ。


 やがて、巨大な城壁が目の前に立ちはだかる。


 そして、城の正面入口。黒く巨大な両開きの扉が、静かに閉ざされていた。


 俺は扉に近づき、表面を見た瞬間、足を止めた。


「……これ」


 扉の中央には、円状に配置された7つのシンボルが鮮明に刻まれていた。


 光、闇、空、雷、地、炎、水。


 七位星将の紋章だ。


「間違いない……ここは、かつての魔神王城だ」


 俺はそう確信し、扉を見上げた。


(でも、なんでこんなところにあるんだ? 別荘的な感じか?)


 大秘境に佇む過去の自分が治めていた古城。


 新たな過去の遺物に、期待と興奮で俺の胸は高鳴っていた。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。

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