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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第九章 覚醒者育成学院・天神聖書編

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第75話 火の書

 炎の残滓を手に入れた俺たちは、そのまま書庫へと向かった。


 地下の薄暗い通路を抜け、書庫の入口前に立つ。


「……改めて見ると、やっぱり厳重だな」


 俺が呟くと、マヨが隣で小さく息を吐いた。


「先生たちの許可を取っていないわ。このまま入って大丈夫なのかしら」


「そうですね。前回はたまたま先生がいらしたから入れましたが……」


 カタルシアも不安げに言う。


「それなら心配いらないわよ」


 そんな中、アンナが口を開いた。


「特待生である私が同行するから、問題ないわ」


 アンナはそう言いながら、懐から小さな魔石を取り出した。


 前回、先生が使っていたものに似ている。


「……本当にいいんですか?」


「えぇ。私自身も興味があるしね。天神聖書が本当にここにあるのか、この目で確かめたいわ」


 俺の質問に、アンナは淡々と答えながら魔石を扉に当てた。


 淡い光が走り、重厚な両開きの扉がゆっくりと開く。


「行きましょう」


 アンナに促され、俺たちは書庫の中へと入った。


 広大な書架が並ぶ空間。俺たちは真っ直ぐに最奥部へと進む。


 やがて、禁書庫の扉にたどり着く。


 表面に複雑に絡み合った封印の紋様。周囲の空気がひんやりと冷え切っている。


「……ここね」


 アンナが静かに呟く。


 俺は一歩前に出て、扉の前に立った。


 手を伸ばし、そっと触れる。


 その瞬間——


 ――キィン!


 封印の紋様が一斉に淡く輝き、次々と解かれていく。


 そして、重厚な扉が音を立てて内側へと開いていった。


「開いたわね」


 マヨが息を呑む。


 俺は扉の向こうを見据え、小さく息を吐いた。


「よし、行こう」


 そう言って、俺たちは禁書庫の中へと足を踏み入れる。


 扉の向こうに広がっていたのは、広々とした円形の空間だった。


 天井は高く、余計な装飾はほとんどない。


 中央には簡素な祭壇が1つだけあり、その上に開かれた状態の本が、淡い光を放ちながら静かに浮かんでいた。


 まさに、アース神殿と同様の景色。


「……これが」


 カタルシアが思わず声を漏らす。


 前回アース神殿に行った時は、カタルシアはまだ仲間ではなかったため、初めて見る封印状態の天神聖書に興奮気味だ。


「これが、本物の封印された天神聖書……」


 アンナも珍しく息を呑んで、本を見つめる。


「伝説でしか聞いたことがなかったものが、こんなに近くに……」

 

 その表情は、感動と興奮が入り混じったものだった。


 そんな中、俺は一歩前に出る。


 マヨとミリアが少し離れて見守る中、俺は祭壇に近づきゆっくりと手を伸ばし

た。


 指先が本に触れた瞬間、淡い光が強くなり本が自然と俺の手の中に収まる。


「よし……手に入れた」


 だが、俺が小さく呟いた直後だった。


 ――ゴゴゴッ!!


 地響きのような低い音が、空間全体を揺るがす。床が微かに振動し、視界が白く濁り始めた。


「なっ、なんですかこれ!?」


「大丈夫だ。問題ない」


 慌てるカタルシアを、俺は落ち着かせる。


 やがて、激しい光が俺たちを包み込み、気づいた時には学院の正門前に立っていた。


「……戻ってきた、か」


 俺は手の中の本を見下ろす。


 淡い光はすでに収まり、普通の古びた書物のように見えた。だが、確かな重みと、微かな神力の気配が残っている。


「無事に手に入ったわね」


 マヨが隣で安堵の息を吐く。


「よかった、びっくりしました」


「前のダンジョンもおんなじだったね」


 カタルシアとミリアもそれぞれ体勢を整えながら、ほっとした表情を浮かべた。


「これが天神聖書……確かに、ただの本じゃないわね」


 アンナは少し離れた場所で、興味深そうに俺の手の中の本を眺めていた。


「よし……これで、また一つ進んだな」


 天神聖書を無事に手に入れた安堵が、胸の奥にゆっくりと広がっていく。


 こうして俺たちは、長い道のりを経て、また1冊手中に収めたのだった。




 翌日。目的を達成した俺たちは、学院の退学手続きを進めた。


 約3ヶ月という想像以上に短い期間だったが、マヨが皇女ということもあり、なんの不信感も持たれずスムーズに手続きを終える。


 そうして、俺たちの短い学院生活は正式に幕を閉じることになった。


 昼になり、俺たちが校門に向かっていると、玄関のところでライオスたちが待っていた。


「おいテンコ! 本当にやめちまうのかよ!」


 ライオスが大きな声で詰め寄ってくる。アルトとカイスも心配そうな顔だ。


「あぁ。ちょっとした用事があってな、また旅に出なくちゃならないんだ」


「そうか、皇女様一行だもんな……お前がいると刺激になって楽しかったぜ。次に会う時は、もっと強くなってるからな!」


 ライオスは悔しそうに笑いながら、強く肩を叩いてくる。


「俺も、テンコと模擬戦できたのはいい経験だったよ」


「またどこかで会えるといいな」


 アルトとカイスもそれぞれ短い言葉をかけてくれる。


「お前らもな。元気でやれよ」


 俺はそう返し、軽く手を振った。


 一方、マヨたちは、アスカやメイと話していた。


「本当に行っちゃうの? 寂しいな……」


 メイが少し潤んだ目でマヨに抱きつく。


「でも、また会えるわ。学院で得たものは、私たちにとって大きな財産よ」


 マヨが優しく微笑むと、アスカも静かにうなずいた。


「どうかお気をつけて」


「ありがとう。あなたたちも元気でね」


 カタルシアとミリアもそれぞれ短い別れの言葉を交わし、校舎の外へ出る。


 そして、校門までを歩いていると、今度は銀髪の青年が慌ただしく駆け寄ってきた。


「マヨちゃん! 本当に学院を去るのか!? そんな……! 俺が許さん!」


 ネレウスだ。


「ネレウス、うるさいわよ。私たちは自分の意思で動いているの」


「で、でも……! 危険な旅なんだろう!? 俺もついていく!」


「絶対に嫌よ。あなたは将来、自分の部隊を持つためにここにいるんでしょ? しっかりと勉強しなさい」


 マヨが冷たく突き放すと、ネレウスは肩を落として立ち尽くした。


「……わかった。でも、何かあったらすぐに連絡しろよ。俺はいつでも飛んでいくからな!」


「はいはい」


 マヨは呆れつつも、小さく手を振って応じた。


 やがて校門にたどり着くと、そこにアンナが立っていた。


「見送りに来たんですか?」


「えぇ。少しだけね」


 アンナは腕を組み、いつもの余裕ある笑みを浮かべている。


「とても短い間だったけど、君たちと色んな経験ができて楽しかったわ。私の国にも多分天神聖書があるから、近いうちにまた会えるでしょう。まぁ、それを抜きにしても、いずれ私たちは再会する予感がするわ」


「そうですね。今度会う時は、アンナさんに勝てるくらい強くなってますよ」


「フフッ、楽しみにしてるわね」


 アンナは軽く手を振り、踵を返した。


 俺たちは校門をくぐり、王都の街道へと足を向ける。


 後ろを振り返ると、学院の建物が穏やかな陽射しの中に静かに佇んでいた。




「次の聖書の場所だけど、もうここラニアケア大陸にはないから、海を渡らなきゃいけないわね」


 しばらく歩き、街外れまで来るとマヨは地図を広げてそう言った。


「う~ん……とりあえず、目指すは北北西かな?」


「そうですね。この先の小国を抜けて、中立地帯を進めば早く海に着きますね」


 俺とカタルシアも、地図を覗きながらルートを考える。


「じゃあ、それで行きましょうか。目指すはベスティア大陸よ」


 やがて、話がまとまると俺は〔インベントリ〕から荷車を出し、カタルシアが召喚獣を召喚する。


 そうして俺たちは馬車に乗る。


「よし、行こうか!」


 俺が言うと、マヨが隣で微笑む。


「えぇ。次の天神聖書を目指して」


「冒険の続きだね!」


「はい。新たな旅の始まりです!」


 ミリアとカタルシアも力強くうなずく。


 こうして俺たちは、学院での日々に別れを告げ、再び大冒険の日々へと一歩を踏み出したのだった。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。


ライオス:テンコのクラスメイトで、前期選抜首席の実力者。暑苦しいが、見た目に反して魔法使い。


アルト:テンコのクラスメイトで、ライオスの友達。風魔法使いらしい。


カイス:テンコのクラスメイトで、ライオスの友達。スキルの模倣は加護。


アスカ:桃色髪の女の子。マヨと同じ超級クラスで、フォルティス王国公爵家の令嬢。使う魔法は空間魔法。年齢は17歳。


メイ:茶髪の活発な女の子。持っているスキルは加護。一応上位階級の家の娘。13歳。


アンナ:学院最強と謳われる、3回生首席の聖人族。剣神という以下にも強そうなスキルを持っている。容姿端麗。

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