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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第九章 覚醒者育成学院・天神聖書編

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第70話 再挑戦

 放課後。俺たちは王都の訓練場に来ていた。


 入学試験前に最後の特訓を行った場所で、懐かしい雰囲気だ。

 

「よし、まずは軽く身体をほぐしましょう」


 マヨがそう言って、準備運動を始める。

 

 そうして、10分ほど身体を温めたところで、俺は一歩前に出た。


「マヨ。特訓を始める前に一つ渡したいものがあるんだけど、いいかな?」


「ん? どうしたの」


 マヨが首を傾げて近づいてくる。


「これなんだけどさ――」


 俺は〔インベントリ〕から、淡く青い光を放つ一本の剣を取り出した。


「……これ、何?」


「昨日の夜、スキルで創った〔魔剣・アクエリアス〕だ」


 そう言って、俺は剣をマヨに差し出す。


「水属性の攻撃ができる特殊効果がある。それに、水魔法使いが使うと、魔法の出力がかなり跳ね上がるらしい。お前が使うのにぴったりなアイテムだろ」


 俺が笑みを浮かべると、マヨは一瞬目を丸くした後、慎重に剣を受け取った。


 そして、ゆっくりと鞘から剣を抜く。


 細身で優雅な形状。刀身には水の流れを思わせる紋様が浮かび、柄の部分には小さな青い宝石が埋め込まれている。


「……すごい。持つだけで魔力がみなぎるわ」


 マヨは剣を軽く振り、感触を確かめる。


「でも、魔力の籠ったものは創るの大変だって言ってなかった?」


「あぁ。だから、今後しばらくはちょっとした回復薬くらいしか作れないけどな。でも、そんな事はいいんだ。今回の勝利の鍵はマヨだ。それに、今までの感謝を兼ねてって感じかな」


 俺がそう言うと、マヨは剣を見つめたまま小さく笑った。


「……ありがとう、テンコ。大事に使わせてもらうわ」


 その声には、いつもより少しだけ熱がこもっていた。


「どういたしまして。よしっ、それじゃあさっそく試し打ちしてみるか! 形式は俺との一騎討ちで」


 俺はそう言うと距離を取る。


「えぇ、そうしましょうか。ミリアとカタルシアちゃんは審判をやってちょうだい」


 マヨもそう言って、魔剣を構えた。


 マヨが魔力を流すと、刀身が一際強く青く輝く。


「それじゃあ行きますよ。よーい、始め!」


 やがて、カタルシアの合図と共に勝負が始まると、マヨが先に動いた。


 一歩踏み込んだ瞬間、マヨの姿が加速する。


「水魔法――」〔ウォータースラッシュ〕


(速い……!)


 以前とは比べ物にならないほどの規模の、水の刃が襲いかかる。


「雷魔法――」〔瞬雷〕


 だが、俺は雷の斬撃で攻撃を相殺した。


 ――ズシャァァッ!


 水が一気に蒸発し、水蒸気が上がる。


「出力が、明らかに違うな」


 俺は思わずそう呟く。


 まるでネレウスを相手にしているかの如く、"水の圧"を感じる。


「まだまだ!」〔激浪乱斬《げきろうらんざん》〕


 マヨはそう言うと一気に間合いを詰め、うねるような水の斬撃の乱れ打ちを放った。


「くっ……いい攻撃だ! 雷魔法」〔EMP(イーエムピー)〕


 俺は結界で攻撃を防ぎつつ、反撃する。


「うわッ!?」


 俺の攻撃で水の斬撃は分解され、マヨの動きが一瞬鈍った。


 しかし――


「水魔法――」〔ウォータースピア〕


 すぐに水の槍が、一直線に飛んできた。


 俺はそれを直前で躱す。


「やっぱEMPじゃ、アイテムの特殊効果までは消せないか。それにしても、良い対応力だな」


「えぇ、私も成長を感じているわ。だからこそ、あなたに一撃入れてみせるわ!」


 マヨがそう言うと、攻撃の密度が一段と上がった。


〔雷電剣・流星〕


〔ウォータースピア・レイン〕


 稲妻と水が空中でぶつかり合う。激しい技の打ち合い。


「すごい……テンコとここまで渡り合えるなんて、本当に私じゃないみたいだわ」


 マヨは、自分の技の威力に思わずそう漏らした。


「魔剣とのシナジーがすごいな」


 俺もそっと呟く。


「マヨねぇ頑張れ!!」


「どっちも頑張ってください!」


 横からは、ミリアとカタルシアの声援が響く。


 そうして、互いに譲らない攻防がしばし続いた。


 そして――


「そろそろ、魔力が尽きてきたわね……決めに行くしかないわ!」


 マヨは、今度は魔剣を大きく振り上げた。


 刀身から大量の水が溢れ出し、魔剣の周りを渦巻いていく。


(雰囲気が変わった……大技が来るな)


 それを見て、俺は身構える。


「剣術、水魔法、混合。最大出力――」〔水簾《すいれん》格子斬り〕


 やがて、マヨは魔剣を思い切り振り下ろした。


 その瞬間、訓練場を覆うほどの攻撃が放たれる。


 格子状の水の斬撃。逃げ場がない。


(この攻撃……〔溟海の荒津波(タイダルウェーブ)〕並の圧を感じるな。生半可な防御じゃ防ぎきれない……だったら――)


 俺は本気で雷を解放する。


(力でゴリ押す!)


「雷魔――」


 俺はそう考えて、技を発動しようとした――その時だった。


 ――パシャーン!!


 俺の目前で、突如攻撃が離散した。


「なッ!?」


 水飛沫《みずしぶき》と水蒸気が迫ってくる。


 俺は咄嗟に腕で顔を覆った。不意の出来事に、一瞬思考が止まる。


 マヨは、その隙を逃さなかった。


「水魔法――」〔水簾一閃〕


 マヨは一気に加速し、その横薙ぎの魔剣が俺の銅を捉えた。


「ぐほッ!!」


 マヨはそのまま魔剣を振り抜き、俺は後方に飛ばされ、そのまま床に大の字に倒れた。


「そこまで!」


 そこで、カタルシアの声が響く。


「大技で注意をそらした後に本命の攻撃……ネレウスみたいだな」


 俺が倒れたまま口を開くと、


「えぇ、そうよ。あなたの敗因は私を舐めていたことね。ネレウスは失敗してたみたいだけど、相手が私だからと油断していたわね」


 と、マヨが歩み寄ってきた。


「……ぐうの音も出ません」


 そんな会話をしていると、


「マヨねぇがテンにぃに勝った!! すごかったよ!!」


 と、ミリアも尻尾を振りながら駆け寄ってきた。


「いい戦いでしたね。私も負けてられません」


 カタルシアもミリアの後を追ってくる。


 マヨは剣を下ろし、少し照れたように微笑んだ。


「……そうね。でも、この魔剣の力も大きいわ。テンコのおかげよ」


 マヨの言葉に、俺は肩をすくめて笑う。


 そして――


「よしっ! 気合が入ったところで、2人も参加して最後の特訓するか!!」


「そうね」


「はい!」


「やろーー!」


 ミリアとカタルシアも加わり、本格的な最終調整が始まった。


 連携や攻撃、防御、作戦など、万全の対策をする。


 カタルシアは地属性魔法の中でも火に強い大地魔法を使い、ミリアは遠距離攻撃を練習する。


 俺は〔EMP〕を実戦レベルまで練り上げ、マヨは魔剣と魔法のコンビネーションをひたすら極めた。


 こうして、訓練場での最終調整は、満足のいく形で終わったのだった。




 訓練が終わったのは、夕暮れが近づいた頃だった。


 寮に戻ると、明日の準備と確認を始める。


「荷物は全部、俺の〔インベントリ〕に入ってるからな。一応今は、ちょくちょく創って溜めておいたマナポーションと回復薬が数本ずつ、予備の剣3本と杖1本、カタルシアが前着てたローブが入ってるけど、他に必要なものある?」


 俺はソファに座り、〔インベントリ〕の中身が表示されたウィンドウを眺めながら尋ねる。


「かなり複雑そうなダンジョンだったし、飲食物も持っておいたほうが良さそうね」


 マヨは俺の隣に座って、そう答えた。


「確かにそうですね。後は、私の予備のメガネもお願いします」


 カタルシアもマヨに続く。


「わかった。今の懸念は、ダンジョンのギミックだけだな。他にはないか?」


「それくらいあれば十分ね。後はしっかり休息を取って、万全の状態で挑むのみよ。ボスは、前回時点で5パーセント程度しか削れてなかったけど、今ならいける気がするわ」


「そうですね。今日の連携もスムーズでしたし、明日は自信を持って臨めそうです」


 マヨの言葉に、カタルシアも静かにうなずく。


「明日は絶対勝とうね!」


「あぁ。今度こそあのボスを倒して、アイテムもゲットしてやる!」


 ミリアの言葉に、俺は拳を軽く握った。


 そうして、俺たちは明日が来るのを、楽しみに待つのだった。




 翌朝。まだ陽が完全に昇りきっていない薄い光の中、俺たちは再び山岳地帯へと向かっていた。


 街道を離れ、切り立った岩壁が見えてくる。


 やがて、中腹に口を開ける黒く煤けた石造りの入口にたどり着いた。


 焔葬の遺跡の入口。以前、圧倒的な力の差を突きつけられた場所だ。


「……着いたな」


 俺は入口を見上げながら、小さく息を吐いた。


 マヨが隣で静かに魔剣の柄に手を添える。


「それじゃあ、行きましょうか」


「頑張りましょうね」


「うん! 頑張るよ!」


 カタルシアとミリアは笑顔でうなずいた。


 こうして、焔葬の遺跡攻略の再挑戦が始まるのだった。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。

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