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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第八章 覚醒者育成学院・大会準備編

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第63話 満喫

 合同体育から2日後の休日。


 俺はベッドの上でゆっくりと伸びをしながら、ぼんやりと天井を見つめていた。


 合同体育も一段落して、少し肩の力が抜けている。


 代表決めは来週に迫っていたが、今日はのんびり過ごそうかと考えていたところ、コンコンという控えめなノックが聞こえた。


 俺はすぐに起き上がり、部屋の扉を開ける。


「おはよう、マヨ。どうした?」

 

「実はね、今日は休日だし、久しぶりにみんなで出かけないかって思って。まぁ、とりあえず部屋に来て」


 俺はマヨの誘いを受け、マヨたちの部屋に入った。


 部屋では、ミリアとカタルシアが既に朝の支度を済ませ、それぞれくつろいでいる。


 そして、俺がソファに腰掛けると、みんなで集まり、今日の予定について話し始めた。


「今日は、フォルティス王国の技術都市『ルティルス』に行ってみようと思って」


「ルティルス……ああ、学院のウェスト校があるって言う」


「そう。ルティルスは発展したフォルティスの中でも特に技術力がすごくて、観光にも人気なのよ」


 マヨがそう話すと、


「ルティルスは近未来的な都市と聞きました。魔導工学の最先端が集っているとか……とっても興味があります!」


 と、魔導技術などに興味があるカタルシアが食いつく。


「なんだか、面白そうな街だね!」


 ミリアも興奮気味だ。


「ええ。親善大会も近いけど、息抜きは大事よね」


「そうだな!」


 その言葉に、俺も自然と笑みがこぼれた。


 最近は合同体育で気が張っていたから、ちょうどいい息抜きかもしれない。


「それじゃあ、さっそく出発しましょう!」


「「おぉー!」」


 こうして、俺たちの楽しい休日が幕を開けるのだった。




「魔導列車に乗るために、まずは王都イロアスの中央駅に行かないと行けないわね」


 学院寮を出た俺たちは、王都の中心部にあるというイロアス中央駅へ向かう。


 歩きながら、マヨが地図を広げて説明してくれる。


「列車!? この国、列車が走ってるのか!?」


 俺は"魔導列車"という言葉に興奮した。


 言葉の響きからして、ワクワクが止まらない。


「まどうれっしゃ……初めて乗るね! どんな感じなんだろう」


 ミリアが尻尾を軽く振って歩いている。


「私も聞いたことがありませんね。どんな乗り物なんでしょうか」


 カタルシアも珍しく目を輝かせていた。


 俺は軽くうなずきながら、


(技術都市か……めっちゃ面白そうだな!)


 と、胸を高鳴らせていた。


 やがて、中央駅に着くと、そこはすでに人で賑わっていた。


 そして——


「おぉ、これは……」


 俺は思わず足を止めた。


 目の前に現れたのは、流線型をした黒と赤がベースの車両だった。


 魔力で浮遊するような軌道の上に静かに停車しており、表面には淡い赤黒い光の紋様が流れている。


 カッコ良さと禍々しさを併せ持つ、まさに魔導列車の名に相応しい外見だ。


「わあっ……! これが魔導列車!? すっごくかっこいい!」


 ミリアが両目を丸くして飛び跳ねる。


 マヨも珍しく感嘆の声を上げた。


「すごい……魔導列車があるのは知っていたけれど、初めて実物を見たわ」


 カタルシアは真剣な顔で車両の側面を眺めながら、


「魔力の循環が非常に安定しています……無駄な漏れがほとんど感じられません。これは高度な制御技術です」


 と、感心した様子で呟く。


 それから俺たちは切符を購入し、魔導列車に乗り込んだ。


 列車が静かに、そして力強く動き出し、速度がどんどん上がっていく。


「うわぁ、はやーい!」


 ミリアが窓に張り付いて興奮している。


「目的地までは1時間くらいで着くから、少しゆっくりしましょうか」


 マヨの言葉に、ミリアとカタルシアも元気よくうなずいた。




 やがて、俺たちはルティルスに到着する。


 列車を降り、駅を出ると、そこには圧巻の光景が広がっていた。


「こ、これは……!」


 その光景に、俺たちは言葉を失う。


 そこには、王都イロアスとは明らかに違う街並みが広がっていた。


 背の高い建物がひしめき合い、近代的な街並みを演出している。


 道は石畳ではなく、滑らかな魔導素材で舗装され、ところどころで淡い光を放っていた。


「わあ……! ここ、すごい!」


 ミリアが尻尾を大きく振って興奮しながら飛び跳ねる。


「本当に……ルティルスはフォルティス王国の中でも特別だって聞いていたけど、想像以上です」


 カタルシアは、感動の眼差しで街並みを眺めている。


 マヨは少しだけ胸を張って、案内役らしく言った。


「ここは技術の最先端都市だからね。まずは街を軽く散策してから、目的の場所に行きましょう」


「目的の場所って?」


 俺が聞くと、マヨはにこりと笑った。


「ルティルスの歴史技術博物館よ。フォルティス王国の技術発展の歴史が詳しく展示されているらしいの。それに、フォルティスは歴史もかなり長いから、過去の手がかりがあるかもしれないしね」


「へえ、いいね。それなら俺も興味ある」


 こうして俺たちは、まずは軽く食べ歩きをしながら博物館へと向かった。


 道沿いには屋台がいくつも並んでいて、香ばしい匂いが漂ってくる。


 ミリアは目を輝かせてすぐに反応する。


「これ、なんだか甘い匂いがする! 食べてみたい!」


「もう、ミリアったら……はぁ、仕方ないわね。みんなで一つずつ買いましょう」


 マヨが苦笑しながら硬貨の入った巾着を出すと、俺とカタルシアも笑ってうなずいた。


 それから、でクリームを塗ったパンや、魔力で温められたフルーツタルトを分け合いながら、ルティルスの街を歩く。


 ミリアは頰を膨らませて幸せそうに頰張り、カタルシアは「素材のバランスが絶妙です……」と真剣に分析しながら食べていた。


 それからほどなくして、俺たちはルティルス歴史博物館に到着した。


 建物は白と銀を基調とした荘厳な外観で、ガラス張りの入口の上部には巨大な魔導オーブが浮かんで光を放っている。


 ものすごく近代的な雰囲気だ。


 中に入ると、広いホールに様々な展示物が並んでいた。


「すごい……これ、全部本物?」


 俺は思わず呟いた。


 最初に目に入ったのは、フォルティス王国初代国王が使用したとされる古い魔導兵器の復元模型だった。

 

 その隣には、数百年前の魔力回路の変遷を時系列で示した大型パネルが並んでいる。


 さらに進むと、魔導列車と同じ仕組みの小型模型が実際に動いていて、来館者たちが感心した声を上げていた。


「見て見て! 列車が走ってるよ!」


 ミリアがガラスケースに張り付いて指を差す。


 そんなミリアを横目に、俺はふと隣の展示コーナーに視線を向けた。


 そこは聖導技術のコーナーだった。


「ちょっと、あっち見てくるね」


 俺はそう伝えると、聖導技術のコーナーへ向かう。


「『エネルギー還元が非常に困難な上、自然界にほとんど存在しない神力しんりょくを用いた高等技術』……か」


 俺は説明文を読みながら、展示物を見た。


 そこには、特殊な回路をもちいた軍事用探知機や神術兵器が展示されていた。


 そしてその奥には、一際大きな見覚えのある展示品。


「神核兵器……!」


 テルース神王国が保有していた殲滅兵器。そのプロトタイプが展示されていた。


(まさか……神核兵器の技術は、フォルティスがもたらしたものだったのか)


 そんなことを考えていると、マヨたちもやってきた。


「こ、これは……!?」


 そして、展示品を見るなり、カタルシアが驚愕の声を漏らす。


「『神核技術は初めて聖導を用いた技術であり、古代イロアス帝国の大賢者サージによって編み出された』……全部初めて聞く情報ね。まぁ、古代から軍事大国だったフォルティスなら、納得だわ」


 マヨは説明文を読みながら、静かにうなずいた。


 やがて、俺たちはそのさらに奥にあった、伝導混合技術――すなわち、魔導と聖導を混合させた技術の展示コーナーに進んだ。


 そこには、チェックポイントの原型となった古代機構が展示されていた。


「すごい……ここにも繋がってくるのか。フォルティスは、色んな技術の中心だったんだな。歴史って面白いなぁ」


「そうですね。こういうのを見ると、世界は繋がっているんだなって実感させられます」


 俺たちはそれら展示を見て、今までの思い出を静かに振り返るのだった。




 最後に、伝導混合技術のコーナーを抜け、一番奥にあるエリアに進んだ。


 看板には『現代非伝導技術』と書かれている。


「ここが一番の見どころみたいね」


 マヨが興味深そうに先導する。俺たちもその後に続いた。


 そこに広がっていた光景は、これまでの展示とは明らかに雰囲気が違っていた。


 ガラスケースの中に並ぶのは、精密に組み上げられた金属製の機構。


 電気回路が走るその形状は、まるで機械工学の教科書から飛び出してきたようなものばかりだった。


 その隣には――


「これ……電池?」


 俺はケースに近づき、説明文を読みながら呟いた。

 

 その奥には蒸気機関や発電機のようなものまである。


「こ、これは……!?」


 俺はハッと天井を見上げた。


 来る時、全く気にしていなかったが、よくよく見ると天井の証明は魔力灯ではなく電球だった。


 違和感。あれは間違いなく科学技術。


 魔法世界に似つかわしくない元世界の技術だ。


「魔力や神力に頼らない技術なんて、フォルティスの技術は凄いですね! 技術が2世紀は進んでいると言われるのも、間違いではないようです」


 カタルシアたちは、見たこともない最新技術に興味津々の様子。


 そんな中、俺は無言でそれらを見つめていた。


(……魔法がある世界なのに、なぜここまで科学寄りの機構が?)


 歯車、電池、回路、蒸気圧。


 どれもファンタジー世界に似つかわしくない要素ばかりだ。


(でも確かに、先日もネレウスさんが元素を知っていたり、電気分解を知っていたりしたな。でも、ここに来たばっかりの時、マヨがド○えもんを知っていたりしたし、ゲームマスターの遊び心ってやつか?)


 そんなことを考えていると、


「テンコ、どうしたの? 難しい顔してるわよ」


 と、マヨが隣に寄ってきて、小首を傾げる。


 その言葉に、俺は我に返った。


「ああ、いや……ただ、すごい技術だなって思って。フォルティス王国は本当に凄いんだな」


「でしょ? 私も初めて来たけど、想像以上だったわ」


 マヨは満足そうに微笑む。


 ミリアは相変わらずはしゃいでいて、カタルシアはメモを取りながら真剣に展示に見入っている。


 4人で過ごす休日の空気は、とても温かくて穏やかだった。


(……今日は満喫する日だ。深く考えすぎるのはよそう)


 俺は小さく息を吐き、気持ちを切り替える。


 やがて、一通り見終わると、3人の楽しそうな後ろ姿を追いながら、博物館の出口へと向かった。




 博物館を出る頃には、ルティルスの街は夕陽に染まり始めていた。


 魔導列車で王都へ戻る道中、ミリアが「また来たい!」と連呼し、カタルシアが今日見た技術について熱く語り、マヨが笑いながら相槌を打つ。


 俺は窓の外を流れていく景色を眺めながら、静かに思った。


(なんか、久しぶりに羽を伸ばせた気がする。異世界を満喫したって感じだな)


 こうして、久しぶりの休日は穏やかに幕を閉じた。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。

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