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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第八章 覚醒者育成学院・大会準備編

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第62話 生徒の思い

 休み時間中の休憩を終え、第一闘技場に再び緊張した空気が満ちた。


 2コマ目開始のチャイムが鳴ると、体育教師が中央に立ち、大きな声で告げる。


「休憩終了だ。次は2vs2の模擬戦を行う。1回生と2回生を混合ペアで組む。連携がままならない状況で、いかに相手やパートナーに合わせて戦えるか――その適応力と対応力を見る。親善大会の選抜に直結する重要なコマだ。油断するな」


 その言葉に、場内がざわめいた。俺の隣でライオスが拳を握りしめ、興奮気味に呟く。


「ついに本格的な連携勝負か……」


 それから、俺たちは観客席に移動し、まずは他のペアの模擬戦を眺めることになった。


 最初のペアは、1回生の後期四席と2回生の七席による組み合わせだった。


 息が合わないのは明らかで、1回生が攻撃を仕掛けても2回生がタイミングをずらしてしまい、噛み合わない場面が目立つ。


 それでも何とか立て直し、なんとか一本取ったところで勝負が決まった。


「連携が鍵だってのはわかるけど……難しいな」


 アルトが腕を組んで言うと、カイスがうなずいた。


「2回生は経験で勝ってる感じだ。でも、親善大会本番でああいうミスは許されないよな」


 ライオスは真剣な目で試合を見つめながら、


「オレも出る時は全力でいく。代表になれたら、サウス校を背負うことになるんだ。そして、将来、国を背負って立つ男になるための第一歩になる!」


 と、言葉を口にした。


 その言葉に、アルトやカイスからも自然と声が漏れた。


「僕は平民だから、この大会で目立てば将来が変わるかも……」


「俺は、家族が期待してるんだよね……」


 その声には、ただの学生らしい軽さではなく、本気の想いが込められていた。


(……みんな、ただ強くなりたいだけじゃないんだな)


 俺は内心でそう思った。ゲームの中で与えられた役割を、ただ漠然とこなす俺とは違い、みんなは自分でこの道を選び、それぞれの未来を懸けている。


 その思いの強さが、闘技場の空気を熱くしているのを感じた。




 その後、しばらく観戦を続けていると、教師が次のペアを発表し始めた。


「次、1回生テンコ=ミルキーウェイと、2回生ネレウス=アステリア!」


 名前を呼ばれた瞬間、俺は思わず固まった。


(……は? ネレウスさんと組むだと?)


 会場が一瞬、どよめく。


 俺はライオスたちに応援されながら、観客席を後にした。


(俺とネレウスさんの話は、先生たちも知ってるはず……模擬戦は、連携を重視した授業。つまり、これは先生たちからの試練のようなものか)


 俺はそんなことを考えながらアリーナへと向かう。


 そして、アリーナに着くと、先に来ていたネレウスと目が合った。


「……」


 ネレウスは無言でこちらを見ている。銀髪を後ろでまとめ、鋭い眼光は相変わらず威圧的だ。


「よろしくお願いします、ネレウスさん」


 俺が軽く頭を下げると、ネレウスは小さく鼻を鳴らした。


「……邪魔はするなよ、テンコ」


 短く、それだけを返して視線を正面に向ける。明らかに気乗りしない態度だった。


(ハハ、連携としての組み合わせは最悪だな……)


 俺も内心でため息をつく。


 やがて、対戦相手もアリーナに入ってくる。相手は男子2人組だった。


 1人は入学式でも見た、筋肉質で大柄の2回生首席――ウォール。


 もう1人は、細身で手には剣をを持った、1回生後期五席――ソーン。どちらも校内上位クラスの実力者だ。


「テンコ、貴様のことを認めた訳では無いが、ここは一時休戦ということで互いに協力するぞ。俺はミルキーウェイの公爵家長男として、大会で力を示さなければならないのだ。こんな所で無様な負け姿を晒す訳にはいかない」


 戦いが始まる直前、ネレウスは俺にそう話しかけてきた。


(ネレウスさん……あなたにも、自分の思いがあるのか……)


 俺は少し意外に思う。もっと変で、どうしようもない人かと思っていた。


 けれど、先日の一件といい、ネレウスにも譲れない思いがあるのだろうと、そう感じた。


「わかりました。作戦はどうしますか?」


 俺は静かに言葉を返す。


 ネレウスは少し表情を緩めると、再び真剣な表情に戻り、作戦を話し始めた。


「この戦いの肝になるのは、ウォールを如何に攻略するかだ。ウォールは『聖盾せいじゅん』というスキルを使う、学院屈指のタンク。防御力はもちろん、攻撃の反射、盾から放たれる聖なる波動や盾本体の直接攻撃もできる。だからこそ――」


 ネレウスは小さな声で、俺に耳打ちをする。


「――という訳だ」


「……わかりました。全力でいきます!」


 俺は気合いを入れると、戦闘態勢に入った。


 そして――


「2vs2模擬戦、開始!」


 教師の声と同時に、戦いが始まった。


 先手を取ったのは相手のソーンだった。


 ソーンのスキルは『音魔法』。そして、アイテムである『邪音魔剣・マレソヌス』を扱う厄介な相手。


「魔域展開!」〔邪音冥界サウンドインフェリス


 ソーンは駆け出すと同時に魔域を展開した。その瞬間、耳をつんざくような不快な高周波が闘技場に響き渡る。


 頭の中に直接響くような、吐き気を催す音だ。視界がわずかに揺れ、身体の動きに遅れが生じる。


「くっ……」


(デバフか……結界術の一種。厄介な)


 ソーンはその隙を逃さず、剣を振りながら魔法を重ねてくる。音の刃を纏った突進攻撃が俺に向かって飛んできた。


「させるか!」


 俺が雷のオーラ…を纏って迎え撃とうとした瞬間、ウォールが動いた。


「〔聖盾付与〕!」


 そう言いながら光の盾を掲げると、白い光がソーンを包み込み、薄い聖なるバリアが形成された。


 俺の雷撃がその盾に触れた瞬間、衝撃が跳ね返され、俺は後ろに大きく下がらされた。


「連携がいい……!」


 ネレウスが低く呟く。


 だが、ネレウスも負けじと反撃する。


〔溟海神剣・ヴォイドマリス〕


 ネレウスは剣を生成し力強く振るうと、海水の奔流が高く舞い上がり、魔域を破壊した。


「こちらも本気でいくぞ!」〔溟海の軍勢(ペラゴスパレード)


 ネレウスは続けて技を発動する。


 数で押す、ネレウスの得意技。


「なんて数だ……」〔フォルテ〕


「大丈夫だ。この程度、どうってことない」〔聖なる波動〕


 ソーンとウォールは強力な範囲攻撃で対応する。


 だが、その隙を突き、


「これなら……」〔雷電一閃〕


 と、俺はソーンに一撃を食らわせる。


 すると、連続攻撃を食らったソーンのバリアは、耐えきれずに破壊された。


「ほう、やるなぁ。だが――」〔吸収・反射〕


 それを見たウォールは小さく呟くと、盾から大量の海洋生物を解き放った。


「!? あれは、ネレウスさんの……!!」


「『吸収・反射』か。俺の攻撃の一部を吸収していたな。チッ、迂闊に攻撃できん」


 俺たちは、厄介な能力を前に苦戦を強いられる。


 ネレウスの言う通り、ウォールをなんとかしない限りは俺たちに勝ち目はない。


 しかも、ソーンも自分たちほどではないとは言え、相当の実力者。


(〔聖盾付与〕が厄介で、思うように近づけない……)


 その後も、俺は技を発動させ、ネレウスも水の鞭のような攻撃を放つが、ウォールの聖盾に阻まれ、思うようにダメージが通らない。


 盾は物理攻撃をほぼ無効化し、加えてソーンを守るバリアとしても機能している。


 アリーナを満たす海水ですら、ウォールの盾は防いだ。


 だが、その時、


「テンコ……先ほど話した作戦だ。今からいくぞ」


 と、ネレウスが小さく告げた。


「わかりました!」


 俺は即座に応じる。


 そして――


「くらえ!」〔溟海の荒津波(タイダルウェーブ)


 ネレウスがアリーナに広がる海水を集め、大技を発動した。


「今だ、テンコ!」


「了解!」


 俺は両手を突き出し、最大出力で雷魔法を放った。


「〔雷光・解〕!」


 青白い稲妻が海水の中に突き刺さる。


 その瞬間、不快な刺激臭と状態異常がウォールたちを襲った。


「ぐぁッ!? な、なんだこれは!?」


「ぐっ……!? この臭い……目が、喉が……!?」


 苦しむ2人。


「塩素ガスさ」


 そんな中、ネレウスは静かに口を開いた。


「海水をコイツの魔法で電気分解したのさ」


「塩素ガス……だと? そ、そんなことが……」


 ウォールの聖盾は物理攻撃や魔法の直撃は防ぐが、空気や気体は普通に通す。


 その特性を逆手に取った作戦だった。


 ウォールが初めて盾を押さえながら苦しみ、膝をつく。


 聖なるバリアに守られていたソーンも、音魔法の集中が乱れ、咳き込みながら後退した。


「これで終わりだ」


 やがて、ネレウスは海水を操って2人の足元を拘束。俺は雷を帯びた高速移動で間合いを詰め、ソーンに掌底を叩き込んだ。


 ネレウスも同時にウォールへ強力な水圧攻撃を叩きつける。


 2人が同時に崩れ落ち、教師の声が響いた。


「終了! 勝者、テンコ・ネレウスペア!」


 会場から拍手とどよめきが上がる。


 俺は、ふとネレウスを見た。


 ネレウスも汗を浮かべながら、こちらに視線を寄越した。


「……意外とやるな、テンコ」


「ネレウスさんこそ。作戦、完璧でした。こんな高度な技術を知っていたなんて」


「まぁ、この国は技術が発展しているからな。それに、この作戦は貴様がいたからこそ成り立ったものだ。貴様以外だったら、負けていたかもしれんな」


 ネレウスはそう言い残すと、さっさとアリーナを後にした。


(それは、認めてくれたってことで良いのかな)


 俺はそう思いながら客席へと歩き出す。


(公爵家の長男として……か)


 模擬戦開始前に、ネレウスがいった言葉が頭をよぎる。


 俺はこの模擬戦を見て、みんなが抱く大会への思いが伝わってきていた。


 みんなの背負う思い。それを受け、俺も強くなるため、全盛期の手がかりを得るため、そして何より、望む日常のために大会に出場しようと決心したのだった。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


ネレウス:銀髪ロングの青年。17歳。ミルキーウェイの公爵家長男で、マヨの従兄弟。マヨにとても過保護で、ウザがられているが、優秀で思いやりのある性格をしている。


ウォール:天星級2回生の首席。ネレウスとの関わりはあまりない。ガタイがいい。


ソーン:テンコのクラスメイトで後期五席。テンコとの関わりはほとんどない。

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