↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第八章 覚醒者育成学院・夏季休業編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
62/78

第62話 ビーチスポーツ

「ルールは簡単よ。フラッグまで先に向かった方が勝ち。能力は身体強化まで許可。能力は禁止。いいわね?」


「了解です」


 真夏の湖で唐突に始まった、3回生首席vs1回生後期三席によるビーチフラッグ対決。


 アンナが俺と向き合い、軽く距離を取った。金色の長い髪が陽光に輝き、余裕たっぷりの笑みが浮かんでいる。


「じゃあ、始めましょうか」


 俺とアンナはその場に伏せる。


「よーい……スタート!」


 マヨが合図役になって、声を上げた。


 瞬間、俺とアンナは同時に地面を蹴った。


 砂が舞い上がり、風を切る音が響く。


(速い……!)


 アンナの加速は予想以上だった。学院最強の名に恥じない、洗練された身体能力。神力操作と出力が桁違いだ。


 俺は身体を強化しながら必死に追うが、わずかに出遅れる。


 フラッグまでの距離は約100メートル。


 アンナが中間地点を越えた頃、俺はさらに力を込めた。


 雷のオーラが足元を駆け巡り、一気に加速する。砂を蹴り上げながら、アンナの横に並んだ。


 アンナの目がわずかに細まる。


「いい反応ね」


 だが、アンナはさらに速度を上げた。まるで風を纏っているかのような軽やかな動き。俺は必死に食らいつくが、結局、フラッグに手が届いたのはアンナが先だった。


「ふふっ、私の勝ちね」


 アンナが棒を掴み、軽く振り回して笑う。


「さすがです。雷属性でスピード負けするなんて、俺もまだまだですね」


「いやいや、新入生の三席がここまで食らいついてこれるなんて、十分面白いわよ」


 アンナは満足そうに俺を見て、棒を元の場所に戻した。


「テンにぃ、惜しかったー!」


 そこに、ミリアが尻尾を振りながら駆け寄ってくる。


「合図からフラッグまで1秒足らずで……テンコさんはやっぱり凄いですね」


 カタルシアもそばに来て、そう微笑んだ。


 そんな中、


「次は俺とサーフィンで勝負しましょう」


 と、ネレウスがアンナに対決を申し込む。


「あら、いいわよ」


 こうして、今度はサーフィン対決が始まった。


 海のスキルを持っているネレウスは流石の上手さで、波を乗りこなす。


 対して、アンナも美しい波乗りだ。


「なんか、夏って感じだな」


「そうね。記憶がなくても、感覚でわかるのね」


「あ、あぁ、そんな気がする」


(そっか。俺ってこの世界での初めての夏なのか)


 俺たちは、水面に浮かびながら、2人のサーフィンを眺めていた。


 穏やかな空気が、俺たちを包む。


 一方――


「なかなかやりますね。ですが、海は俺のフィールドですよ!」


 ネレウスたちは熱いバトルを繰り広げる。


「俺のとっておき――」


「ちょっとネレウス! 淡水に海水を混ぜないで!」


 熱くなりすぎて、スキルを使おうとしてしたネレウスを、マヨが止める。


「はっ、そうだ。ここは湖だ」


「全く、ネレウスって意外と抜けてるところあるわよね。そんなことしてたら、"テラス湖の主"が出てくるかもしれないじゃない」


 マヨの言葉で冷静になるネレウス。


 それを見たアンナは、少し呆れたような表情を浮かべた。




 サーフィン対決……というより、ただのサーフィンが終わると、今度はみんなでビーチバレーをすることになった。


 チームは俺とミリア、カタルシア。アンナとネレウス、マヨ。


 ミリアの力強いスパイクが飛び、アンナが冷静にレシーブを返す。ネレウスはマヨを意識して過剰に守りに回り、逆に空振りすることがあった。


 カタルシアのトスは安定していて、俺は速めのスパイクやブロックで対応する。


 そして、数セットを終える頃には、みんな汗をかいて息を整えながら笑っていた。


「なかなかいい運動ね」


 アンナがタオルで顔を拭いながら、満足そうに呟く。


「ええ。久々に思い切り動けました」


 カタルシアも、静かに同意した。


  ビーチバレーを終えて、みんなで砂浜に腰を下ろして休憩する。


 だが、その時だった。


 ――ザワザワザワ……


 ふと湖面が不自然に揺れ始めた。


「……ん?」


 俺が眉を寄せた瞬間、アンナがすでに立ち上がっていた。


「あれは、もしかして……」


 アンナの声は静かだったが、はっきりと緊張を含んでいた。


 次の瞬間、湖の中央付近で水面が大きく盛り上がり、巨大な影が浮かび上がる。


「な、何よアレ!?」


 マヨが驚いて指さす。


 現れたのは、体長は優に20メートルを超える、半透明の青い鱗をまとった水棲の怪物だった。


 周囲には小さな影がいくつも泳ぎ回り、観光客の悲鳴が砂浜に広がる。


「アレはこの湖にいるとされていた大型の魔物――デュランだ!」


 アンナはそう言うと、冷静に剣を抜き前へ出る。


「なんで今そんなヤツが……何か理由があるのか?」


 ネレウスもそう言い、神剣を生成した。


(なんか、急に雑な戦闘イベントみたいなの始まったな……)


 俺は内心でそう呟きつつ、すぐに体勢を整える。


「レベルは50相当。デュランは近接攻撃に高い耐性を持ってるから、近接組は周りの小さいのを。遠距離組はデュランを攻撃するんだ!」


「わかりました!」


「了解です!」


 そして、アンナの指示で、みんなは一斉に動き出した。


 ミリアが魔力の爪を輝かせて小さな魔物に飛びかかり、カタルシアが結界を張って観光客の退避を援護する。


 マヨは水魔法でデュランを牽制しつつ剣で小さい魔物を倒し、アンナは持ち前の速度で、魔物をまとめて斬り伏せた。


「テンコ、合わせろ」


「了解です!」


 ネレウスの声に、俺はうなずいて雷のオーラを全身に纏う。


 巨大な湖の主が口を開け、高圧の水流を放ってくる。


 その攻撃を、ネレウスの水流で相殺した。


「今だ!」〔ライトニングアロー〕


 同時に、俺は雷の弓矢を生成し、放った。


 ――バチィ!!


 稲妻の矢が、魔物の首筋を捉える。


 しかし、魔物は少し怯んだ程度で、あまりダメージになっていない。


(硬い!)


「グルアァァァァ!!」〔四大眷属召喚〕


 さらに、小さな魔物よりも二周りほど大きい魔物を召喚してきた。人形で5m程の大きさだ。


「問題ないわ」


 アンナが素早く体をひねり、剣を振り抜く。


 黄金の斬撃が眷属の一体を両断するが、残りの三体はすぐに俺たちに向かって突進してきた。


 俺は雷のオーラを足元に集中させ、瞬時に位置を変える。


(ここは湖……出力を上げすぎたらマヨたちまで感電する。迂闊に出力は上げられないな)


 抑え気味の雷で牽制しながら、眷属の攻撃をかわす。


 ネレウスが水の壁を作り、カタルシアがバフや大地魔法で援護するが、デュラン本体の威圧は変わらない。


「テンコ! 無理するな!」


 ネレウスの声が飛ぶ。


「大丈夫です……!」


 俺は歯を食いしばり、再び雷を纏って踏み込む。


 しかし、抑えられた出力では、デュランの厚い鱗に深く届かない。


 やや劣勢の空気が漂い始めた、その時だった。


「みんな、待たせたわね!」


「遅れてごめん!」


 砂浜の方から、二つの声が響いた。


 振り返ると、アスカとメイが走ってくる。今まで観光客の避難誘導をしてたらしく、それを終えて援護に来たらしい。


「アスカさん! メイ!」


 マヨが安堵の声を上げる。


「援護するわ!」


 アスカが手をかざすと、空間魔法でデュランの攻撃の軌道がそれる。


 そして、巨大な体が不自然に動きを止め、バランスを崩した。


「メイも頑張る!」〔神化《プログレス》〕


 メイが叫ぶと、体に淡い光が纏わる。


 時間が経つにつれて強くなる身体強化スキル。徐々に加速していく動きで、眷属の一体に飛びかかり、拳を叩き込んだ。


「助かる!」


 アンナが素早く反応し、隙を突いて斬りかかる。


 アスカの空間歪みがデュランを牽制し、メイの強化された攻撃が魔物を次々と薙ぎ払っていく。


 俺も雷の出力を慎重に調整しながら、援護に回った。


 戦闘の流れが、少しずつこちらに傾き始める。


 やがて、デュランの動きが明らかに鈍くなった。


「近接が通るようになったわ……今よ!」


 アンナが低く呟く。


 その刹那。アンナの剣が、白く輝いた。


〔白光閃《はくこうせん》〕


 ――シュインッ!!


 光の軌跡が走り、デュランの太い片腕が根本から切り落とされる。


「グアァァァァ!!!」


 青い血のようなものが湖面に飛び散る。


「テンコ!」


「了解!」


 俺は一気に間合いを詰め、雷を全身に集中させた。


 抑え気味だった出力を、一瞬だけ最大限に解放する。


「雷魔法」〔瞬雷〕


 ――バリバリッ!!


 稲妻がデュランの胴体を貫いた。


 巨大な体が激しく痙攣し、バランスを大きく崩す。


「ネレウスさん!」


「わかっている」


 波打ち際で力を溜めていたネレウスが両手を大きく広げた。


「これで終わりだ――海神の加護」〔溟海の魔神(オルキヌスオルカ)〕


 ネレウスが技を発動すると、背後で海水が渦巻き、巨大なシャチ型の神獣が現れる。


 ――ボォォォン!!!


 刹那。轟音と衝撃波が俺たちを襲った。


「うわっ!?」


 一瞬で、デュランの体が光の粒子となって霧散する。


 周囲の小さな魔物も、同時に消滅した。


 静寂が戻る。湖面は再び穏やかになった。


「ハハッ、やるなぁ。さすが『海神』だ!」


 アンナはネレウスの技に感心する。


「やりましたね」


 そうして、俺たちは、テラス湖の主を打ち倒すことに成功した。




 騒ぎが完全に収まり、観光客が少しずつ湖から離れていく頃、俺たちは再び砂浜に座った。


 西の空がオレンジ色に染まり始め、湖面が夕日に照らされて柔らかく輝いている。


「……綺麗だな」


 俺がぽつりと呟くと、ミリアが隣に寄りかかってきた。


「うん。テンにぃ、今日楽しかったね!」


「ええ。魔物が出るとは思いませんでしたが……みんなで乗り越えられてよかったです」


 カタルシアも静かに微笑む。マヨは少し離れた場所でネレウスと話し、アンナは遠くの湖面を眺めながら、どこか満足そうな表情を浮かべていた。


(湖で遊んで、魔物と戦って……異世界の夏休みは、刺激があっていいな)


 俺はそう思いながら、夕日に染まるテラス湖を静かに見つめる。


 真夏の一日は、こうして穏やかに幕を閉じるのだった。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


ブックマークがいただけると、大変励みになります。



〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。


アスカ:桃色髪の女の子。マヨと同じ超級クラスで、フォルティス王国公爵家の令嬢。使う魔法は空間魔法。年齢は17歳。


メイ:茶髪の活発な女の子。持っているスキルは加護。一応上位階級の家の娘。13歳。


ネレウス:銀髪ロングの青年。17歳。ミルキーウェイの公爵家長男で、マヨの従兄弟。マヨにとても過保護で、ウザがられているが、優秀で思いやりのある性格をしている。


アンナ:学院最強と謳われる、3回生首席の聖人族。剣神という以下にも強そうなスキルを持っている。容姿端麗。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。