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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第八章 覚醒者育成学院・夏季休業編

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第61話 真夏の湖

 テラス湖に着いた俺たちは、まず更衣室で水着に着替えた。


「ど、どうでしょうか……」


 俺が外で待っていると、最初にカタルシアが出てきた。


 薄紫色のワンピースの水着に身を包み、清純なカタルシアの雰囲気にとてもよく似合っている。


「おぉ、イイじゃん! 似合ってるよ!」


「ありがとうございます!」


 俺が褒めると、カタルシアは満面の笑みで喜んだ。


 やがて、ミリアとマヨも出てくる。


 ミリアは、淡いピンク色のシンプルなデザインの子供用水着を着て、マヨは水色のトップスとミニスカートのついた、少しおしゃれな水着を着ていた。


「テンにぃ見て見て! かわいいでしょ!」


 ミリアがくるっと回ってみせる。


「あぁ、かわいいぞ!」


「えへへへッ」


 俺が褒めると、ミリアは嬉しそうな表情を浮かべた。


 俺もその表情を見て微笑むと、ふと後ろのマヨに視線を向けた。


 長い黒髪。白い肌。凛々しく清楚な見た目。


(マヨって、改めて見ると相当綺麗だよな。黙っていれば、完璧で上品な皇女様って感じだ)


 そんなことを考えていると、


「何よ」


 と、マヨがその視線に気づく。


「いや、別に」


 俺はすぐに顔をそらすと、


「よし、みんな揃ったな。じゃあ、遊ぼう!」


 と、気持ちを切り替えて、みんなに呼びかけた。


 それに、ミリアが一番に反応する。


「うん! 泳ぐー!」


 そうして、俺たちは砂浜へ向かった。


 湖に入ると、まずは浅瀬で水遊びから始める。


 ミリアはすぐに水しぶきを上げて大はしゃぎし、カタルシアは慎重に足を浸す。


 マヨは、水魔法使いということで初めての海、もとい湖でも抵抗なく浸かって気持ちよさそうにしていた。


(やっぱり夏休みっていいなぁ。こういう時間が、ゲームや過去についての悩みを忘れさせてくれる。しかし、水着とか浮き輪って俺のスキルで創れたのか。すっかり忘れてた……まっ、いっか。ショッピング楽しかったし)


 俺は浮き輪で水面に浮き、3人を眺めながらそんなことをぼんやり考える。


 すると、


「あれ? マヨちゃん!?」


 と、少し離れた砂浜の方から、聞き覚えのある声が飛んできた。


 振り返ると、桃色の長い髪の少女と、茶髪の活発そうな少女がこちらに向かって手を振っていた。


 マヨたちのクラスメイト――メイとアスカだ。


「メイにアスカさん……! 奇遇ね」


 マヨが軽く手を上げて応じる。俺たちも自然と近づいていく。


「わぁ、みんなで来てたんだ! マヨちゃんの水着、かわいい〜!」


 メイが目を輝かせて近づいてくる。相変わらず明るい子だ。


「ええ、ありがとう。あなたたちも湖に来てたの?」


「うん! 夏休みだし、息抜きにね。アスカちゃんも誘ったら、意外と乗り気でさ。昨日、マヨちゃんたちも誘おうとしたんだけどいなくて」


 どうやら、俺たちが買い物に行っている間に、寮を訪ねていたらしい。


 マヨたちに会えて、とても嬉しそうだ。


「それにしても、湖で会うとは思わなかったわ。皇女様一行は仲が良いんだね」


 アスカも微笑みながら口を開く。


「まあ、私たちは主と従者というより、仲の良い友達同士のパーティみたいなものだから。ね、テンコ」


 すると、アスカの言葉を受け、マヨが不意に話を振ってきた。


「え、あぁ、そうだな。年も近いし、互いに気の置けない関係だよ」


 急な振りに、俺は戸惑いつつそう答えると、マヨはどこか嬉しそうに微笑んだ。


 そんな中、メイがニコニコしながら女子組3人の水着姿をジロジロ見る。


「3人ともかわいいなぁ。特にカタルシアちゃんは清楚系でいい感じ〜。ミリアちゃんは元気いっぱいって感じだね!」


「えへへ、ありがと!」


 ミリアが照れくさそうに尻尾を振る。カタルシアは頰を赤らめながら「ありがとうございます……」と小さく頭を下げた。


 そんなやり取りが続き、短い時間だったけどクラスメイトらしい軽い雑談が続いた。


 そして、最後に、


「じゃあ、また学院でね〜! 夏休み、みんなで楽しもう!」


「パーティのみんなで、ごゆっくり~!」


 と言って、手を振りながらメイとアスカはその場を立ち去っていった。


「ええ、また」


「まったね~!」


 マヨとミリアは手を振り返す。


(学院のつながりも、だいぶ増えてきたな……)


 マヨが俺の方を見て、くすっと笑った。


「意外と早く知り合いに会ったわね。さて、続きを楽しみましょうか」


「そうだな! ミリア、次は浮き輪で競争するか!」


「やったー!」


 そうして、俺たちはみんなでの遊びを再開した。




 湖に来てから1時間ほど経った頃。


 俺たちが砂浜で遊んでいると、


「マヨちゃん!?」


 少し離れた場所から、再び聞き覚えのある声が響いた。


 振り返ると、銀髪を後ろでまとめ、白い軽装のシャツに短パン姿の青年が、こちらを指差して固まっている。


 ――ネレウスだ。


「ネレウス……? どうしてここに?」


 マヨが少し驚いた顔で尋ねる。


 ネレウスは一瞬、言葉を失った後、顔を真っ赤にして叫んだ。


「マ、マヨちゃん!? その格好は一体何だ!? 皇女の威厳が……! いや、目が毒だ! 毒すぎるぞ!!」


 ネレウスは両手で顔を覆いながら、指の隙間からチラチラとマヨの水着姿を盗み見ている。完全に取り乱しているようだ。


 確かに、普段一緒にいる俺ですら、不意に可愛いと思ってしまった新鮮なマヨの水着姿。


 それを、ネレウスが耐えられるはずもなかった。


「普通よ? 湖に来たんだから、水着くらい着るわ。当然でしょう」


 マヨは腕を組んで、至って冷静に返す。


 その一言でネレウスはさらに混乱した。


「普通じゃない!! お前は帝国の第一皇女だぞ!? そんな露出度の高い……いや、露出度自体は普通かもしれないが、俺の心が耐えられないんだ! 誰かに見られたらどうするんだ!」


「誰かって……今、テンコたちに見られてるけど?」


 マヨが淡々と指摘すると、ネレウスは俺の方をキッと睨みつけてきた。


「特にその男だ! テンコ、お前……マヨちゃんの水着姿を、しっかり目に焼き付けてただろう!? 許さん!」


「いや、焼き付けてませんよ」


 俺は肩をすくめて的確にツッコミを入れる。


 ネレウスはますます顔を赤くして、俺に向かって指を突きつけた。


「とぼけるな! こうなったら勝負だ、テンコ! どちらがマヨちゃんに相応しい男か、今日こそ決着をつけてやる!」


「いや、この前戦ったばっかり……」


 俺は困惑するが、ネレウスを止められるものはいないので、言われるがままに従うしかなかった。


(この人……やっぱりヤバい人ではあるな)


 俺は小さくため息をつく。


「ネレウス、また勝手に……」


 マヨも呆れた様子だ。


 そんな中、砂浜の中央に移動し、俺を挑発するように腕を組んだ。


「まずはこれでどうだ! どっちが大きい砂の城を作れるか勝負だ! 負けた方はマヨちゃんの水着姿を二度と見ないと誓え!」


「……はい?」


 俺はワケのわからない対決方法と条件に、思わず声が漏れる。


「聞こえなかったのか。砂の城だ。能力禁止のガチンコ勝負。制限時間は5分だ」


「え、えーっと……まぁ、いいや」


 俺は考えるのを止め、その場に膝をついた。


 そして、マヨの合図で、勝負が始まる。


「ふんっ! 見てろよ!」


 ネレウスは素速く砂を積み上げ、塔のような形にしていく。


 一方俺は、先に城壁から固め始めた。


 そして、5分後――


「完成だ!」


 ネレウスが自信満々に後ずさる。


 そこにできたのは、塔がいくつも並んだ立派な砂の城だった。意外と上手い。


 対する俺の城も、巨大な宮殿のようなもので、なかなかいい勝負だ。


「うーん……どっちも同じくらいだから引き分けってことで」


 完成した城を見て、そうマヨが判定を下す。


「な、なんだと!?」


 その判定を聞いて、ネレウスは悔しそうな表情をした。


「くっ……次だ! 次は水切り石で勝負だ!」


 しかし、ネレウスが諦めるはずもなく、次の勝負を挑んできた。


「水切りって、人いるし危ないですよ」


「なら、沖までレースだ!!」


「俺、海洋恐怖症なので、足のつかないところ行けません」


 そんなやり取りをしつつ、結局、綺麗な貝殻探しや綺麗な石探し、砂浜を這い回るカニ取り対決……と、次々と無茶苦茶な勝負を挑んできた。


 最後の方にはネレウスも完全にノリノリになり、


「このカニ、大きいだろう!」


 と、笑いながら能力で出したカニを自慢してくる始末だった。


 マヨは呆れながらも、どこか楽しそうに俺たちを見守っている。


 ミリアとカタルシアも笑顔で応援してくれていた。




 それからさらに時間が経ち、午後になり日差しが少し傾き始めた頃。


 俺たちが砂浜の人気スポットで休憩していると、


「ふぅん……なかなか面白い人たちを見つけたわね」


 と、横から涼やかな声が響いた。


 見ると、そこには金色の長い髪を後ろでまとめ、洗練された雰囲気の女性が立っていた。


 ――アンナ・ソーディア。学院最強と謳われる天星級3回生首席だ。


 かなりの名家出身らしいが、一切が謎に包まれたミステリアスな人というウワサもある。


 アンナは俺たちを見て、わずかに口元を緩めた。


「新入生の三席に、皇女様……随分と賑やかな夏休みみたいね」


 アンナの視線が俺に止まる。


「テンコ、だったかしら? 入学式の模擬戦以来ね。あの時は楽しめたわ」


「あ、ありがとうございます、アンナさん。アンナさんも、ここに来ていたんですね」


 俺は立ち上がると、軽く一礼して質問する。


「水泳はいい運動になるからね。ネレウスも、スキルのトレーニングの為に来てたんだろ?」


 アンナはそう答えながら、ネレウスに視線を向けた。


「まぁ、そうですね。少し、面白そうなのがいたので遊んでましたけど」


 ネレウスが答えると、


「フフッ、じゃあ私も――」


 と、アンナは再び視線を俺に向ける。


「テンコ。また、ちょっと勝負しない?」


 アンナはそう言いながら、砂浜に落ちていた棒を拾い上げ、軽く振ってみせた。


「ビーチフラッグスでどう? 負けた方は……まぁ、後で何か奢るくらいでいいわ」


 アンナの提案に、俺は苦笑しながら立ち上がった。


「勝てる気はしませんけど………受けます。せっかくだし、夏休みの思い出にちょうどいいですしね」


 真夏の湖での1日は、まだまだ始まったばかりだった。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。


アスカ:桃色髪の女の子。マヨと同じ超級クラスで、フォルティス王国公爵家の令嬢。使う魔法は空間魔法。年齢は17歳。


メイ:茶髪の活発な女の子。持っているスキルは加護。一応上位階級の家の娘。13歳。


ネレウス:銀髪ロングの青年。17歳。ミルキーウェイの公爵家長男で、マヨの従兄弟。マヨにとても過保護で、ウザがられているが、優秀で思いやりのある性格をしている。


アンナ:学院最強と謳われる、3回生首席の聖人族。剣神という以下にも強そうなスキルを持っている。容姿端麗。

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