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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第八章 覚醒者育成学院・大会準備編

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第61話 合同体育

 親善大会の発表の翌日。朝のホームルームが始まると、担任のネス先生がいつになく厳しい表情で教壇に立った。


「本日より、天星級1回生と2回生合同で特別体育を実施する。これは親善大会の代表選抜に直結する重要な授業だ。各自、自分の得意分野を把握し、目指す競技を明確にせよ」


 その言葉に、教室が一気にざわつく。


 ネス先生は、黒板に「合同体育」と大きく書きながら、続けた。


「場所は第一闘技場。模擬戦、実戦形式のミニゲーム……すべて親善大会の選抜に関わってくる。真剣に取り組むように」


 そして最後に、力のこもった声で締めくくった。


「今後2週間は本格的な選抜試験が続く。己の限界を超えろ」


 ホームルームが終わると、教室は一気に活気づいた。


 ライオスがすぐに俺の机に寄ってきて、興奮気味に言った。


「テンコ! 今日からガチでやるぞ! お前と一緒に代表狙えるかもな!」


 アルトとカイスも笑いながら同意する。


「今年はかなり熱くなりそうだ」


「他学年と競うのは初めてだね」


 俺は心の中で、


(2回生……なんか引っかかるなぁ)


 と、思いながらも静かに微笑んだ。


「そうだな。全力でいこう」


 こうして、天星級1回生と2回生による合同体育が始まった。




 ホームルームが終わると、俺たちはすぐに第一闘技場へと移動した。


 広い訓練場には、すでに天星級2回生の面々が集まっていた。


 1回生と2回生が合同で行う特別体育――親善大会の代表選抜に直結する、実践重視の授業だ。


 2回生たちは1回生より一回り体格が良く、全体的に落ち着いた雰囲気がある。


 その中に、銀髪を後ろでまとめている見覚えのある人物の姿があった。


(げっ……! そういえば、ネレウスさんって2回生だったか。面倒なことにならなきゃいいけど……)


 そんな風に考えながら見ていると、一瞬目が合った。


 俺はすぐに視線を逸らしたが、ネレウスはわずかに目を細めるとこちらに歩いて来た。


「テンコ。また会ったな」


 ネレウスは俺の前まで来ると、低く静かな声で話しかけてくる。


「あぁ……はい。お久しぶりですね……」


 俺は若干苦笑いしながら応答する。


 周りの生徒たちは、それを見て、


「おい、あいつ誰だ?」


「知らないのか? 天星級の後期三席で、一騎打ちでネレウスに勝ったってやつだよ」


「知ってる! 入学式でアンナさんと戦ってた子よね」


 と、ヒソヒソと話し始めた。


 ライオスたちも、


「ネレウス公爵令息じゃないか! テンコ、知り合いなのか!?」


「ライオス、ウワサを知らないのか? テンコは最近、ネレウス様に勝ったらしいぞ」


「マジか!? ネレウス様って、天星級五席だぞ!」


 と、デカイ耳打ちを始めた。


(ネレウスって五席だったのか……2回生からは1回生時の成績で、前期と後期混合の序列になるから、実質俺と同等以上の立場か。通りで強いわけだ)


 俺たちはしばしの間無言で見つめあった後、


「フッ、戦いはまだ終わってないからな」


 と、ネレウスが言い残し、その場を去っていった。


 やがて、体育教師が中央に立ち、短く説明を始める。


「今日は、1対1の軽い模擬戦を数回行った後、3対3のチーム戦に移行する。お互いの動きを見て、己の強みと課題を把握するように。代表選抜に直結する授業だと思って、全力で臨むんだ」


 先生の言葉が終わると同時に、場内に緊張感が広がった。


 ライオスが俺の肩を叩いて笑う。


「お前、ネレウス様に勝ったんだってな! 殲滅力なら2回生1位とまで言われていて、『海神』の異名で知られるあの! これなら、各種代表の中で最も栄誉ある『一騎討ち』に出場できるかもな!」


「そうだな。面白くなりそうだ!」


 俺は素直にそう答えた。


 天星級三席として、もう力を誤魔化す必要はない。


 ここでは存分に動いて、自分の現在の力を確かめられるいい機会だと思っていた。




 準備が整うと、初めに1対1の模擬戦が始まった。


 闘技場がいつものように、結界でいくつかの区画にわけられ、その中で軽い手合わせを行うそうだ。


 先生がランダムにペアを発表していく。


 俺の最初の相手は、2回生の女子生徒だった。短い金髪で、明るい。


 〔斥力リペル〕というスキルを使うらしい。


「よろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくね!」


 やがて、審判約の生徒が合図をし、模擬戦が開始される。それと同時に、相手は強烈な斥力を放った。


「――ッ!?」


 俺は後方に飛ばされるも、なんとか踏ん張り、結界に激突するギリギリで静止した。


 相手は斥力を纏いながら、すかさず間合いを詰めてくる。


「やべッ!」


 俺は反射的に空中に逃げると、


〔雷光〕


 と、技を発動させた。


「きゃぁッ!」


 相手が怯んでいる内に俺は空中で身を捻り、後方へ着地すると、雷を帯びた掌底を突き出し、相手が膝をついた所で手合わせが終わった。


「いたたた~、負けちゃったよ。雷とか炎とか、エネルギー攻撃は私の斥力が働かないのが課題ね」


 負けた女子生徒は、そう言って微笑む。


 このように、1対1の模擬戦が数回行われた後、体育教師が大きな声を張り上げた。


「次は実戦形式のミニゲームに移行する! 種目は『タグ取りゲーム』だ!」


 教師の説明によると、ルールはシンプルだった。


 各生徒は腰に2つのタグを付け、相手チームのタグを先に全て奪い取った方が勝利。


 致命的な攻撃以外の能力使用は可能。タグを取るための動きが主となる、実践的かつ戦略性の高いゲームだ。


「チーム分けはこちらで決める。1回生と2回生の対抗戦で、バランスよく組むぞ」


 そうして、俺はフラムとフルクトゥスとチームを組むことになった。


 フラムは青髪の魔人族の少女で、1回生後期次席。蒼炎を操る魔導士として評判が高い。


 フルクトゥスは茶髪の男で、1回生前期三席。『波動キーマ』という"波"を操るスキルを持つ。


「よろしくね、テンコさん」


 3人で集まると、フラムが静かに微笑む。


「こちらこそ。全力でいこう」


 俺は笑顔で答え、フルクトゥスもうなずいた。


 対する相手チームは、2回生の次席、三席、六席という強者揃いだった。


 簡易結界が張られ、広い訓練場に5つのエリアが設定される。


 俺たち3人は中央エリアに移動した。


 そして、教師の合図と同時にゲームが始まる。


 2回生の六席が最初に仕掛けてきた。『双剣王そうけんおう』のスキルを持つ男――六席は、俊敏な動きで距離を詰め、俺の腰のタグを狙う。


 だが、俺は素早く後退しながら雷のオーラを軽く纏い、相手の動きを牽制した。


「フラムさん、援護を!」


「了解!」


 俺の合図と共にフラムが杖を掲げ、蒼い炎を放つ。


 青い炎が弧を描き、相手の進路を封じた。


 その隙に、フルクトゥスが拳に神力しんりょくを纏わせ、地面を思い切り殴った。


 ――ドゴォ!


 その振動波を操ると、地面を這うようにして相手の足元を襲い、バランスを崩させる。


「うおッ!?」


「今だ!」〔雷駆らいく


 俺はその瞬間、加速して相手の腰に手を伸ばし、1枚のタグを奪取した。


「1枚取った!」


「くそっ……やるな、1回生」


 2回生の六席は、舌打ちしながら一旦下がる。


 しかし、相手もすぐに反撃してきた。


 使役魔法を使う黒髪の女――2回生次席が強力な狼型の魔物を2体召喚し、六席と共に接近戦でプレッシャーをかけてくる。


 青髪の男である2回生三席は、スキルの『空気支配エアドミネート』を使い、真空波のようなものでサポートと攻撃を同時にこなす。


 3人の連携は非常に洗練されており、2回生の経験値を感じさせる動きだった。


「テンコさん、右から来ます!」


 フラムが警告を飛ばすと同時に、俺は雷を帯びたステップで横に跳び、相手の攻撃を回避。


「ナイス!」


 フルクトゥスが喜ぶが、相手の三席が素早い風の移動でフルクトゥスの背後に回り込み、タグを1枚奪い返した。


「くっ……!」


 ゲームは一進一退の激しい展開となった。


 俺は前線で相手の注意を引き、フラムの蒼炎で牽制、フルクトゥスの波動で足止めという連携を繰り返す。


 2回生チームも経験を活かした的確な動きで応戦してくる。


 中盤、俺は大きく息を吸い、雷のオーラを強く纏った。


「ここから本気でいくよ!」


 〔雷光〕を継続発動で放ちながら突進。フラムの蒼炎が俺の雷に絡みつき、青と黄色が混じった美しい光の軌跡を描く。


「くらえ!」〔神聖叫喚セイクリッドスクリーム


 フルクトゥスの低周波から超音波までが混ざった音波攻撃が、相手の三半規管にダメージを与え動きを鈍らせた隙に、俺は2回生六席の残り1枚のタグを奪取した。


「残り1人!」


 最終局面。2回生次席が最後の抵抗を見せたが、俺たちの連携が勝った。


 フラムの蒼炎で視界を奪い、フルクトゥスの波動で足を止め、俺が最後のタグを奪い取る。


「エリア5。タグ取りゲーム、終了! 勝者、1回生チーム!」


 教師の宣言に、俺たちは息を弾ませながらハイタッチをした。


「やったね、テンコさん!」


 フラムが笑顔で言う。


「いい連携だった」


 フルクトゥスも満足げにうなずいた。


 そんな中、2回生の次席が汗を拭きながら近づいてきて、俺に手を差し出す。


「……強かったな、1回生。さすが後期三席だ。ネレウスに勝っただけはあるな」


 俺はその手を取り、笑顔で答えた。


「みんなの連携が良かっただけですよ。それに、一騎討ちだと負けるかもしれません。2回生の皆さんも、さすがでした」


 合同体育はまだ続いていたが、このタグ取りゲームを通じて、俺は自分の現在の力と、チームとしての可能性をしっかり実感することができた。


 親善大会に向けて、確実に前進している手応えがあった。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


ライオス:テンコのクラスメイトで、前期選抜首席の実力者。暑苦しいが、見た目に反して魔法使い。


アルト:テンコのクラスメイトで、ライオスの友達。風魔法使いらしい。


カイス:テンコのクラスメイトで、ライオスの友達。スキルの模倣は加護。


フラム:テンコのクラスメイトで、後期選抜次席の魔導士。テンコとはあんまり話したことがない。お淑やかな雰囲気をしている。14歳。ライオスより強い。


フルクトゥス:テンコのクラスメイトで、前期選抜三席の男。テンコとの関わりはあまりない。面白い性格をしている。16歳。

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