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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第七章 覚醒者育成学院・青春編

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第59話 天星級三席の実力

 ネレウスに絡まれてから2日後。日曜日。今日は決闘の日だ。


 昼。俺たちは、休みで静まり返った学院に、こっそりと侵入する。


 普段は多くの生徒や教員が行き交う正門は固く閉ざされており、俺たちはマヨが事前に調べておいた裏手の通用門から忍び込んだ。


「う〜ん。なんと言うか、こういうのも青春だね」


 俺は、そんな軽口を叩きながら石畳を歩く。


 日曜日の学院は想像以上に静かで、風が木々の葉を揺らす音だけがやけに大きく聞こえた。


「そうね。先生に見つかって叱られるのも、また一興かしら」


 マヨが小声で言った。


「ま、まぁ、なるべく見つからないようにしましょう」


 カタルシアが苦笑しながら続ける。


 ミリアは俺の後ろをスキップするように歩きながら、楽しげに言った。


「テンにぃ、今日は本気でやっちゃうの?」


「本気って……怪我させない程度にな」


 そんな会話をしながらしばらく歩いていると、第二闘技場が見えてきた。


 第二闘技場は、街のように広い学院の敷地のやや奥に位置している。普段は各種実技試験や部活動に使われる大きな施設だが、今日は完全に無人だった。


 観客席にも人影はなく、ただ広い砂場が静かに陽光を浴びている。


 闘技場の入り口に着くと、アリーナにはすでにネレウスが一人で立っていた。


 銀髪を後ろでまとめ、白いローブを纏った姿。表情は真剣そのもので、先日の高圧的な態度とは少し違う、気迫のようなものが感じられた。


 ネレウスは俺たちを見つけると、ゆっくりと歩み寄ってきた。


「……来たか、テンコ」


 声は低く、抑揚を抑えている。


「逃げなかった度胸は褒めてやろう。いくらお前が天星級三席とて、未熟な技術を力で埋めているようなヤツに、俺は負けんぞ」


(そっか、ネレウスさんは入学式の時、俺とアンナさんの模擬戦を見ていたのか。つまり、ヤツには俺に勝てる算段があるということ……)


 強気のネレウスを前に、俺は気を引き締めた。


「それでは早速、始めるぞ」


 ネレウスは、再びアリーナ中央へと歩き出す。


 そうして、誰も見ていない闘技場で、決闘が静かに幕を開けるのだった。




 決闘の準備が整うと、俺とネレウスは互いに向き合う。


 カタルシアが人にバレないように結界を張り、3人は観客席で観戦している。


「貴様、俺のスキルを知っているか?」


 戦いの前に、ネレウスが質問した。


「はい、マヨから聞いていますけど、どうしてですか?」


「いや、一方的に能力を知っているだけじゃ、フェアじゃないと思ってな。知っているのならいい。始めるぞ!」


 やがて、マヨの「始め!」の合図が響く。


 その瞬間、ネレウスが技を発動した。


「――海神の加護」〔溟海の貪食者(メガロドン)


 ネレウスの両側に展開された天聖陣から、神力しんりょくを纏った巨大なサメ型の魔物が2体出現する。


 『海神の加護』。自然属性と水属性の派生系が混合した、神聖魔法。かなり珍しく、強力なスキルだ。


 出現すると同時に、2体の魔物は物凄い速さで俺に襲いかかってきた。


(速い……)


 俺は雷剣を生成すると、


「はっ!」〔雷電一閃〕


 と、2体同時に横薙ぎに魔物を切り裂いた。


「まだだ」〔溟海の軍勢(ペラゴスパレード)


 ネレウスは続けて大量の海洋生物を召喚する。数十体近い小型の海魔物——剣魚のような尖った魔物や、触手を持つクラゲ、大きなクジラのような海獣が一斉に召喚された。

 

 その速度と迫力は確かに本物だった。普通の学生なら一瞬で吞み込まれるだろう。


 だが——


「この程度なら……効かない!」〔雷光〕


 俺は雷のオーラを一気に解放し、大量の海洋生物を消し飛ばした。


 そして、なんとか攻撃を耐え抜いた大きなクジラ型の海獣に、雷の掌底を叩き込む。


 ――バシュッ!


 雷が爆ぜ、海獣は粒子となって消えた。


 ネレウスが目を細める。


「……やるな。だが、まだ序の口だ!」


 ネレウスはさらに神力を高め、両手を大きく広げた。


 同時に闘技場の地面に海水が広がり、足場を悪くしてくる。


(なるほど……召喚とフィールド制御の複合か。でも――)


 俺は雷剣を地面に突き立て、思い切り放電させた。


 しかし、対策されているようで、全く電気が流れない。


「やっぱり、そんなにバカじゃないか……」


「当たり前だろう。さぁ、行くぞ!!」


 ネレウスがそう言い手をかざすと、一瞬、海水に神力が走った。


 次の瞬間。


 ――バシュ! バシュ! バシュ!


 四方八方から、鋭い海水の攻撃が襲いかかった。流石というべきか、規模が段違いだ。


「うわッ!?」


 俺は高く跳躍し、攻撃を避ける。しかし、槍のような攻撃は鞭のように軌道を変え、追撃してきた。


「こうなったら……」〔天裁きの雨(サンダーレイン)


 俺は無数の雷で攻撃を迎撃しつつ、


「防護結界」


 と、全身を覆う結界を展開した。


「ほう。スキルと魔導を両立させるとは、なかなかやるじゃないか」


 ネレウスはそれを見て、素直に感心している様子。


 観客席のマヨたちも、


「スキルを使用しながら結界術を扱うなんて……それも詠唱を簡略化して」


「スキルを持たない私でも、結界術と魔法の両立は難しいのに、すごいですね」


「よくわかんないけど、テンにぃすごーい!」


 と、俺の成長に驚いているようだ。


 俺は呼吸を整えると、ゆっくりと口を開く。


「確かに、入学式の時は知識も技術も未熟だった。でも、俺は日々成長しているんです! 大切な仲間を護れるように。その力を、あなたに見せてあげます!」


 俺はそう言うと、勢いよく踏み込み、一気に加速した。


 地面の海水が割れる。


「くらえ!」〔雷電一閃〕


 そして、俺はネレウスに一撃を叩き込んだ。


 だが、ネレウスの前に召喚された巨大な亀に防がれた。


「なッ!?」


「どうした。読みが外れたか? 俺は加護使いだが、近接もできるぞ!」


 ネレウスが叫ぶと、今度は海水がネレウスの周りに集まり一つの剣になった。


「〔溟海神剣・ヴォイドマリス〕。選ばれし者のみが扱える、最上級のアイテムだ」


 ネレウスはそう言うと、剣を構えた。


(剣を中心に海水が渦巻いている。それに、あの圧倒的なオーラ……これは危険だ)


 しばしの静寂。そして、再び激しい戦闘が始まった。


 ネレウスが神剣を振るう度に、辺りの海水が呼応するように襲いかかる。それに織り交ざる海洋生物の奇襲。


「なんの!」〔雷電剣・流星〕


 だが、俺も負けじと攻撃をする。


「くっ……?」


 ネレウスが歯を食いしばる。


 両者譲らぬ激しい攻防。


「ならば、これならどうだ!!」


 そんな中、ネレウスはさらに大きく手を掲げ、最大級の召喚を試みた。


「来い! 〔溟海の支配者(リヴァイアサン)〕!」


 地面が大きく揺れ、巨大な水の渦が巻き上がる。


 その中心から現れたのは、全長20m近い巨大な海龍型の神獣だった。


 口から高圧の水砲を放ちながら、猛烈な勢いで俺に向かって突進してくる。


 観客席からミリアの声が飛んだ。


「わぁっ、でっかい! テンにぃ、大丈夫!?」


 俺は深く息を吸い、軽く構えた。


「……さすがにこれは、本気でいかないとな」


 雷のオーラを全身に纏い、速度を一気に上げる。リヴァイアサンの水砲を横っ飛びで回避し、そのまま巨体の側面に跳び乗った。


 雷を集中させた手を天に掲げ、


「——くらえ!」〔天裁雷ゼウス


 と、雷を落とした。


 ――ドゴォォン!!


 巨大な海龍の体が内側から爆ぜるように崩れ、ネレウスが生成した海水ごと魔物は一瞬で霧散する。


 砂埃と水しぶきが舞う中、俺はゆっくりと地面に降り立った。


 だが、その瞬間、強大な気配を感じ、ハッとネレウスに視線を向けた。


 そこには、居合の構えをするネレウスの姿。


 ――既視感。


「まさか……今のはオトリ!」


 俺は声を上げる。だが、もう遅い。


 水色のオーラがネレウスを包み込む。


「海神の加護!」〔溟海の荒津波(タイダルウェーブ)


 次の瞬間、剣から大量の水の塊が放たれた。


 サミットロードと戦った時見た、マヨが使った技。


 だが規模が違う。マヨの十数倍はありそうだ。


 恐らく、これがオリジナル。


「くっ……俺は負けない!」


 俺は自身を鼓舞すると、全身に雷のオーラを纏わせた。


 そして――


「雷魔法! 最大出力!」〔雷撃砲ライトニングブラスター


 黄白色の稲妻が、空間を切り裂いた。


 一筋の光が、ネレウスの攻撃を穿つ。


 ――ドォォン!!


「ぐあァァァ!!」


 俺の攻撃を、ネレウスは防ぎきれずに、その場に倒れ込んだ。


 ネレウスは片膝をついたまま、荒い息を吐いていた。


 海神の加護による水のオーラはすでに消え、周囲に広がっていた海水も、ただの水溜まりとなって地面に残っている。


「……くっ……」


 ネレウスは歯を食いしばり、立ち上がろうとするが、足に力が入らずよろけた。


 俺はゆっくりと歩み寄り、静かに声をかけた。


「勝負ありですね」


 ネレウスは悔しげに俺を見上げ、唇を震わせた。


「……認めざるを得ないな。お前は……本当に強い。マヨちゃんを護れるだけの力がある……」


 ネレウスの声には、プライドを折られた悔しさと、わずかな安堵が混じっていた。


 俺は手を差し伸べた。


「マヨのことは、俺がちゃんと護ります」


 ネレウスは一瞬迷ったような顔をしたが、結局その手を取って立ち上がった。


 そこに、マヨたちもやってくる。


「お見事です、テンコさん! 天星級の2回生にかつなんて、流石ですね」


「テンにぃすごかったよ! ネレウスにぃも、強かった!!」


「ネレウス、これでわかったでしょ? テンコは強くて、大切な私の仲間なの」


 マヨの言葉に、ネレウスは少し沈黙したが、やがて口を開いた。


「……ふん。今日はお前の勝ちだ。だが、次は――」


 そこまで言った時だった。


「お前たち! そこで何をしている!!」


 闘技場の入り口から、厳しい声が響いた。


 振り返ると、そこには老魔導師と、数人の警備職員が立っていた。


「大きな音がしたから来てみれば、これは一体どういうことかね」


「あっ……」


 どうやら、俺の〔天裁雷ゼウス〕が結界の外から落ちたものだから、普通に外に轟音が響いていたらしい。


「「す、すみませんでした!!」」


 こうして、僕とネレウスの決闘は幕を閉じたのだった。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。


ネレウス:銀髪ロングの青年。17歳。ミルキーウェイの公爵家長男で、マヨの従兄弟。マヨにとても過保護で、ウザがられているが、優秀で思いやりのある性格をしている。

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