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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第七章 覚醒者育成学院・青春編

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第53話 戦闘訓練

 昼休みが終わると、天星級クラスの生徒たちは第一闘技場へと移動した。午後の3コマ目は戦闘訓練だ。


 広いアリーナに集合すると、戦闘実技を担当する厳つい体格の男性教師が声を張り上げた。隣には担任の教師もいる。


「よし、全員揃ったな。今日は基礎から実践までしっかりやるぞ。まずは準備運動だ。アリーナを10周走れ。天賦力てんぷりょくは一切使うな。純粋に身体を動かせ」


 ライオスが隣で拳を握りしめ、目を輝かせた。


「よし来た! テンコ、一緒に走ろうぜ! 俺についてこれるかよ!」


「あぁ、頑張るよ」


 俺は軽く笑って返し、アルトも一緒に列に加わった。


 やがてみんなは、アリーナの外周を走り始める。アリーナの一周は400mほどだ。


 最初はゆったりとしたペースだったが、回を重ねるごとに生徒たちの息が上がっていった。


 10周目に入る頃には、みんな汗をかきながらも、どこか楽しげな雰囲気が漂っていた。


「はあ、はあ……まだまだ余裕だぜ、テンコ!」


 ライオスは息を切らしながらも笑顔で俺を振り返る。俺も軽く息を弾ませるフリをしながらうなずいた。


「意外と長いな……」


 10周を終えると、教師がすぐに次の指示を出した。


「次は柔軟と基礎訓練だ。2人1組になれ」


  俺はライオスとペアになる。


 アリーナの端に移動し、まずは柔軟体操から始める。互いに肩や脚のストレッチを手伝い合いながら、軽く体をほぐしていく。ライオスは力任せに俺の背中を押してきて、俺は「ちょっと強すぎるって」と苦笑した。


 柔軟の後は、天賦力制御と出力調整に移った。これは元世界でいう準備体操のようなもので、戦闘訓練前に体を慣らし、怪我に繋がらないようにするものらしい。


 俺たちは2人で向かい合い、一方は掌を前に出して魔力を軽く流し、もう一方は、一定の天賦力が流れると光る特殊な魔水晶をもって立つ。


 出力の強さを自在にコントロールする、簡単な訓練だ。


 ライオスは炎属性の淡い赤い光を掌に灯し、強弱を繰り返しながらニヤリと笑った。それから水晶を5秒間連続で点灯させると、


「どうだテンコ! 俺の炎、なかなかいい感じだろ? お前も出してみろよ」


 と、手を差し出してきた。


 俺はライオスに水晶を渡すと、掌に淡い魔力を集中させ、ゆっくりと出力の上げ下げを繰り返した。ライオスが興味深そうに目を細める。


「へえ、安定してるな。半魔人ってだけあって、魔力の扱いは上手いみたいだ」


 近くではアルトが風の渦を小さな規模で作りながら同じ練習をしていた。


 周りでは、教師が時折生徒の間を回り、「もっと細かく制御しろ」「無駄な出力は減らせ」とアドバイスを飛ばしていく。


 基礎訓練を繰り返すうちに、アリーナ全体が熱気に包まれていった。




 しばらくして、教師が大きな声で号令をかけた。


「よし、そこまで! 次は実践に移る。アリーナを三つに区分する! 近接系は左、中距離は中央、特殊・支援系は右だ。各自、区分されたエリアに移動しろ!」


 生徒たちがざわつきながら動き出す。俺とライオス、アルトは近接系の左エリアに移動した。


 教師が再び声を張り上げる。


「まずは天賦力操作のみの体術手合わせだ。スキルは禁止。時間は各ペアに付き5分。相手は今のペアのまま行くぞ!」


 教師の合図と共に、各区分1ペアずつ出ていき、実践訓練がスタートした。


 オープンフィンガーグローブのようなものをつけ、激しく打ち合う。


 やがて俺たちの番が来ると、俺とライオスは向かい合い、軽く構えた。


「よしテンコ! さっきの基礎で温まっただろ? 遠慮なく来いよ!」


 ライオスが豪快に笑いながら先に仕掛けてきた。力強い踏み込みから、魔力を纏った右ストレートが飛んでくる。


 俺は身体を軽く捻ってかわし、即座に左のブローをライオスの脇腹に返す。


 だが打撃はガードされ、ライオスが「ほう!」と嬉しそうな声を上げた。


(元世界での総合格闘技経験が、こんなところでも活きるのか……)


 俺はニヤリと笑いながら、攻めを続ける。


 ライオスはパワー重視の突進と重い拳を連発し、俺は反応の良さを活かして回避とカウンターを中心に戦った。


 魔力を足に集中させての素早い動きと、掌や肘を使ったコンパクトな打撃が自然に決まる。


 ライオスも負けじと前回し蹴りをヒットさせるも、全く手応えがないのか苦笑いを浮かべた。


「アンナさんとの模擬戦の時から思ってはいたが……お前硬すぎだろ! 山を蹴ったほうが、もう少し手応えあるんじゃないか?」 


「悪いね。耐久力だけが俺の取り柄なんだ」


「半魔人だからか? 全くずるだろ」


 その後も、俺は少しペースを上げて応じた。汗が飛び、息が荒くなる中、ライオスが笑顔で叫ぶ。


「すげぇなテンコ! 動きがキレてるぞ! 流石は雷魔法の使い手だ!」


「ハハッ! お前もな!」


 激しい攻防。周りのクラスメイトたちも、俺たちの戦いに釘付けのようだ。


 そして――


「終了! 次のペア、準備!」


 教師の声が響き、5分間の手合わせが終わった。


「お前、全く汗かいてねえじゃねぇか! 人間じゃねぇな!」


「ハハッ、俺は人間じゃねぇよ。魔人の代謝が人間と違うだけで、疲れてはいるぞ」


(まぁ、本当は全く疲れてないんだけどね)


 そんなやり取りをしながら、俺たちは観戦に戻った。




 それから全員の手合わせが終了し、休憩を挟んで、いよいよメインの実践が始まった。


 みんなは教師の指示に従い、観客席に移動する。


「ここからが今日のメインだ。今からスキルありの模擬戦を行う! 相手はランダム。区分はそのままで行くぞ!」


 教師がそう言って地面に手を置くと、魔法を発動した。


「自然魔法」〔大地創成テラジェネシス


 ――ゴゴゴゴゴ……


 大地が揺れ、アリーナを3等分する2枚の巨大な壁が現れる。


 みんなは「おぉ~!」と、アリーナを覗き込んでいる。


(あれは、カタルシアがルミナスで使った自然魔法! しかも、なんつう規模だ……!)


 やがて壁は、客席より少し低い高さで止まる。


「さぁ、呼ばれたペアから下に来て準備をしろ!」


 こうして、クラスメイト同士の模擬戦がスタートした。




 みんなが戦う中、俺は静かに順番を待った。そして、4組目でようやく順番が回ってきた。


 対戦相手は――まさかのライオスだった。


 教師が名簿を確認しながら声を上げた。


「4組目、テンコとライオスは近接系エリアへ!」


 ライオスが拳をぐっと握りしめ、豪快に笑った。


「よっしゃあ! またお前かよ、テンコ! 運がいいぜ! 今度はスキルありで本気でぶつかってこいよ!」


「またお前か……まあ、いいけど」


 俺たちはアリーナに降り、軽く距離を取って向き合った。


 教師が両手を上げてルールを再確認した。


「スキルありの一騎打ちだ。致命傷になるような攻撃は禁止。準備はいいな?」


「はい!」


「了解」


 教師が大きく手を振り下ろした。


「始め!」


 瞬間、ライオスが地面を蹴った。炎を纏った右のストレートが、一直線に飛んでくる。


「くらえっ!」


「なんの!」〔ライトニングシールド〕


 俺は即座にガードした。


「おぉ!? いってぇ!」


 ライオスの拳に電気が走る。


 ライオスは一瞬よろめいたが、すぐに笑顔になった。


「いいぞ! その調子だ!」〔紅蓮の拳(クリムゾンフィスト)


 ライオスは後ろに跳んで距離を取り、今度は両手を前に突き出した。


 掌から赤い炎の塊が飛び出し、俺に向かって連続で飛んでくる。


 俺は雷剣を生成し、


〔瞬雷〕


 と、横薙ぎの稲妻の斬撃を飛ばした。


 ――バリバリバリッ!!


 ライオスの攻撃は霧散する。


 俺は、隙を見て一気に間合いを詰めた。


「今度はこっちの番だ!」


 ライオスの懐に入り、魔法を集中させた肘打ちを腹部に叩き込む。


「ぐッ!?」


 魔力ガードを破る電撃に、ライオスは怯む。


 俺は続けて膝蹴りを狙うが、ライオスは素早くガードを固めて耐えた。


「速いな、お前!」


 ライオスが笑いながら反撃に転じる。炎を纏った前回し蹴りが俺の側頭部を狙う。


 俺は腕でブロックしつつ、反動を利用して後ろ回し蹴りを返す。


 2人の攻撃が激しく交錯し、アリーナに衝撃音と炎の残光が飛び交った。


 周りのクラスメイトたちから歓声とどよめきが上がる。


「すげぇ! 2人とも動きが違うぞ!」


「流石、前期首席と後期三席は違うなぁ」


「テンコくんのカウンター、キレてる!」


 ライオスは息を弾ませながらも目を輝かせていた。


「テンコ! お前、ほんとに面白い奴だな! もっと来いよ!」〔炎撃砲フレイムブラスター


 俺も自然と笑みがこぼれた。


「ハハッ、お前もな! 炎が熱いぞ!」〔雷撃砲ライトニングブラスター


 ライオスの炎と、俺の雷の砲撃が激しくぶつかり合う。


「まだまだァ!!」


 ライオスがさらに魔力を高め、両腕に炎を纏って突進してきた。俺はそれを紙一重でかわし、掌に魔力を集中させてカウンターの掌底を放つ。


 2人の攻防は激しく、しかしどこか楽しげだった。


 俺がスピードで翻弄し、ライオスはどっしり構え、火力で俺の攻撃を押し切る。


 両者譲らぬ戦い。


 そして――教師が時間を確認し、大きく声を張り上げた。


「終了!」


 俺とライオスは同時に動きを止め、顔を見合わせた。


 ライオスが汗だくの顔で笑う。


「ははっ……負けた気分じゃねぇけど、お前やっぱ強ぇな! またやりたいぜ!」


「俺も楽しかったよ。次はもっと本気出すかもな」


 教師が2人を見て軽く頷いた。


「いい動きだった。二人とも、出力のコントロールも悪くない。次はもっと精度を上げろ」


 俺たちはアリーナから上がり、観客席に戻った。アルトがすぐに声をかけてくる。


「2人ともすごかったよ! 特にテンコのカウンター、綺麗だった」


 ライオスが俺の肩をバンバン叩きながら言った。


「テンコ、次は絶対にリベンジさせてくれよ!」


「あぁ、受けて立つ!」


 俺はそう答えて、軽く笑う。


 学園生活2日目の戦闘訓練は、予想以上に熱く、賑やかだった。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


ライオス:テンコのクラスメイトで、前期選抜首席の実力者。暑苦しいが、見た目に反して魔法使い。

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