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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第六章 覚醒者育成学院・潜入編

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第50話 潜入

 時は流れ、後期入学式当日。俺たちは昨日越してきた寮の女子組の部屋に集まり、最終確認を行っていた。


「今日は入学式だけだから持っていくものは特にないけど、テンコだけ並ぶ場所が違うから気をつけてね」


「了解」


 みんなは既に制服を身に纏い、準備万端だ。


「今日からついに学校だー!」


「入学式まであっという間でしたね。大きな目的が聖書とはいえ、大陸最大級の名門校で学べるのは幸せです!」


「そうね。ぶっちゃけ聖書なしでも通う価値のある学校だもの。私たちも強くなって、さらにテンコの復活へ駒を進められるなんて、一石二鳥よ」


 そんな会話をしながら、俺たちは入学式が始まるのを心待ちにしていた。




 それから約2時間後。ついに待ちに待った入学式開会の時刻になった。


 入学式は学院内の第一闘技場で行われ、アリーナには新入生がザッと300人ほど並んでいる。


(天星級合格者は15人か……一番端っこは目立つなぁ)


 その中で、天星級は一番右端に並んでおり、俺は目立たない程度に辺りを見渡した。


 アリーナの客席には在校生がズラリと並んでおり、東西南北にそれぞれ設けられたVIP席のようなところには、学院のお偉いさんや来賓の人が見ている。


 超エリート校なだけあって、放たれる雰囲気が重く、各所からの視線が痛い。


 チラッと左の方を見ると、3人も緊張しているようだ。特にミリアはガッチガチだ。


 やがて、司会者が前に立ち、開会宣言を始めた。


「ただいまより、第137回、フォルティス王国立覚醒者育成学院・サウス校の後期入学式を開会致します」


(第137回……流石、歴史ある学舎だな)


 俺は一人うなずく。


 それから校長の話や生徒代表の言葉、来賓の挨拶など、変に現実的な式が進行した。立った状態でそれを聞いていた俺は、早く終わって欲しいと願っていた。




「――以上をもって祝辞とさせていただきます」


(ふう、やっと終わったか)


 式が始まって約30分後。来賓の祝辞が終わり、ようやく解放されるかと思いきや、司会者がこう口にする。


「続きまして、我が校の伝統である、戦闘学部による在校生vs新入生の模擬戦を開催します!!」


(そう簡単に終わりませんよね~)


 それを聞いて、俺は苦笑いした。


 会場からは、待ってましたと言わんばかりの歓声が上がる。


(まぁ、模擬戦はおそらく既に決まっている代表だけだろうし、実質休憩か)


 俺がそんなことを考えていると、司会者が代表を紹介し始めた。


「在校生代表は、2回生首席『ウォール・マティスト』、3回生首席『アンナ・ソーディア』、4回生首席『ガルド・デ・ロール』」


(なるほど3人か。ということは、こちらも成績上位3名が呼ばれると言うことか……)


 司会者は続いて新入生代表を紹介する。


「新入生代表は、天星級首席『グリント・スフィー』、天星級次席『フラム・ウラシス』――」


(そういえば、俺の成績ってどのくらいなんだ?)


 俺がそんなことを考えていると、最後に三席の名前が呼ばれた。


「天星級三席『テンコ=ミルキーウェイ』――」


「……は?」


 俺は思わず声を漏らす。


(え、は? 三席……え!?)


 俺は動揺しながらふと隣を見ると、驚愕というか半ば呆れているような表情のマヨと目があった。


 俺はすぐに目をそらす。


 やがて説明が終わり、俺たちは一度退場した。




 退場して客席に座ると、すぐにマヨが俺の隣にぴったりと寄り添ってきた。


「三席ってどういうことよ! 私たち、てっきり下の方だと思ってたのに!」


 マヨの声は小さいが、明らかに動揺している。


「俺だって、そんな上だなんて思ってなかったんだよ……試験の時、適当に魔力抑えてたつもりだったのに。採点基準がよくわからん」


 俺は肩をすくめながら苦笑した。


 そんな中、アナウンスが鳴り響き、在校生代表と新入生代表の模擬戦が順番に始まっていく。


 1回戦は在校生2回生首席ウォールvs 新入生天星級首席グリント。


 盾を装備したタンクの男と、光り輝く槍をもった槍士の男。盾vs矛という対象的な戦いに、会場は大盛り上がり。


 続いて、2回戦は4回生首席ガルド vs 新入生天星級次席フラム。


 こちらは大剣をもった戦士の男と、蒼炎魔法を使う魔導士の女だった。力で押し切るガルドに繊細な技で対応するフラムの攻防に、会場のみんなは息を呑んだ。


 やがて俺の出番が近づき、控室へと移動する。


 俺は控室の席に座ると、ハァっとため息をついた。


「アンナ・ソーディアって、下見会の時戦っていた剣士の女だよな? アレと戦うのかぁ」


 俺はそう呟きながら、控室の壁に設置された大きな石板に映し出された映像を見る。この映像も、空間魔法や光魔法などの複雑な術式が組み込まれた、フォルティス王国ならではの最先端技術らしい。


 俺が見たのは2回戦が終わり、フラムが善戦したものの、ガルドの剣圧に押されて敗北したところだった。


 会場から大きな拍手が沸き起こる。


 司会者の声が響いた。


「続きまして、3回戦! 在校生3回生首席アンナ・ソーディアvs新入生天星級三席・テンコ=ミルキーウェイ! 両者、入場してください!」


 俺はゆっくりと立ち上がり、俺は闘技場の中央へと歩き出した。


 向かい側から、アンナが悠然と現れる。


 長い金髪を後ろでまとめ、腰の剣が彼女の動きに合わせてわずかに光を反射していた。


 鋭い眼光。口元には余裕の笑みが浮かんでいる。


 俺とアンナは闘技場の中央で向き合い、軽く一礼した。


「新入生の三席か……面白い相手が出てきたわね」


 アンナの声は凛として、しかしどこか楽しげだった。


(この人、オーラが凄まじいと思ったら聖人族なのか。スキルは剣神……絶対にやばい)


 俺は内心で苦笑をする。


(さて……ビビってうっかり神力しんりょくが漏れないように、注意しないと)


 しばし沈黙の後、司会者が高らかに宣言する。


「それでは、3回戦、開始!」


 司会者の宣言と同時に、アンナの姿が疾風のように動いた。


 細身の剣が鞘から抜かれる音すらほとんど聞こえない。アンナは一瞬で間合いを詰め、鋭い刺突を放ってきた。容赦のない速さだ。


(速い……! でも、まだ本気じゃないな)


 俺は後ろに軽くステップを踏み、わずかに体を傾けて剣をかわした。風切り音が耳元を掠める。


「ほう、よく避けたわね。新入生とは思えない反応速度」


 言葉の終わりと同時に、アンナは連続攻撃に移った。横薙ぎ、返しの突き、上段からの振り下ろし。どれも洗練された剣筋で、無駄が一切ない。


 聖人族特有の圧倒的神力量と優れた身体能力、剣神のスキルが融合した動きは、まさに芸術の域だった。


 俺は雷魔法で身体能力を向上させる。


(クソ強ぇ……全力出しても勝てねぇぞこれ)


「雷魔法か。面白いな」


 アンナの剣が俺の肩をかすめ、制服の袖がわずかに裂けた。観客席からどよめきが上がる。


「新入生がよく凌いでるぞ!」


「三席ってだけあるな!」


 そんな声が聞こえてくる中、アンナはさらに加速した。余裕を持って俺の動きを観察しながら、徐々に圧力を上げているのがわかった。


 聖剣を魔力操作の拙い剣で受けきれるわけもなく、俺は相手の剣を紙一重でかわしながら後退を続けた。時折、軽い魔力弾を飛ばして牽制するが、アンナはそれを剣で軽々と弾き返す。


「雷属性なだけあって、身体能力はすごいわね。でも、攻撃が甘い!」


 アンナが笑みを深め、次の瞬間、彼女の剣が残像を残すほどの速さで連撃を浴びせてきた。俺は力を集中させた左腕でガードしようとしたが、衝撃が強すぎて体勢を崩される。


 その隙を逃さず、アンナは回転を加えた跳躍斬りを放つ。剣圧が俺の胸を直撃し、吹き飛ばされた。


 地面に背中を打ちつけ、砂埃が舞う。


(……痛ったくはないが。さすが3回生首席。本気じゃなくてもこの威力か)


 俺はすぐに起き上がろうとしたが、アンナの剣先が喉元に突きつけられていた。


「素晴らしい防御力ね。いまのを受けて無傷だなんて。でも、そこまでよ。新入生」


 アンナの声は涼やかで、息一つ乱れていない。観客席から大きな拍手と歓声が沸き起こった。


 司会者が声を上げる。


「勝者、在校生3回生首席・アンナ・ソーディア!」


 アンナは剣を収め、俺に手を差し伸べてきた。


「なかなか楽しめたわ。名前はテンコだったかしら? また機会があれば、もっと本気でやりましょうか」


 俺は苦笑しながらその手を取って立ち上がった。


「はは……光栄です。でも、次はもう少し頑張りますよ」


 アリーナを後にする際、客席のマヨたちと目が合った。マヨは心配と呆れが混じった表情で、軽く手を振っている。


 ミリアは満面の笑みで両手を振り、カタルシアは面白そうに笑っていた。


「ふう……悪くなかったな」

 

 俺はそう呟きながら、俺は控室へと戻る道を歩き始めた。背中には、アンナの視線がまだ少しだけ刺さっているような気がした。


 


 その日の夜。俺は女子組の部屋に行き、色々と話あっていた。


「とりあえず、今日はお疲れ様」


 マヨがみんなに労いの言葉をかける。


「テンコさん、すごかったですね! かっこよかったですよ!」


「ははっ、そうか? でも、相手はもっとすごかったな。力を制御した状態で、俺の〔雷駆らいく〕とほぼ互角のスピードだった。得意な速度で差をつけれないと、厳しいな」


 俺は今日の振り返りをして、少し視線を落とした。


 それを見て、マヨが、


「まだまだこれからよ! 潜入作戦は始まったばっかりなんだから!」


 と、珍しく励ましの言葉を投げかけてきた。


「明日からが本番だから、気楽に行こう!」


 それに続き、ミリアも元気づけてきた。


 そんなみんなの笑顔を見て、


「そうだな。頑張ろう!」


 と、俺は元気を取り戻したのだった。


 明日から本格的な学園生活が始まる。


 天神聖書回収のための潜入作戦。俺好みの新鮮な刺激。


 だがそれ以上に、みんなと学校に通うという、失ったと思った青春を取り戻せるかもという希望が、何よりも楽しみで仕方がなかった。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


ブックマークがいただけると、大変励みになります。



〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。


アンナ:学院3回生首席の聖人族。剣神という以下にも強そうなスキルを持っている。容姿端麗。

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