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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第六章 覚醒者育成学院・潜入編

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第49話 入学準備

 後期選抜試験から2日後の朝。


 俺たちが宿の部屋で朝食を済ませ、今日の予定を話し合っていると、窓の外から羽音が聞こえてきた。


 カーテンの隙間から顔を出したのは、淡い青灰色の羽を持つ伝書鳩のような鳥だった。


 足に小さな筒を4つくくりつけ、器用に窓の縁に止まる。


「お……なんだこの鳥?」


 俺が窓を開けると、鳥は怯える様子もなく筒を差し出すように足を伸ばした。


 マヨが素早く筒を受け取り、中から折りたたまれた紙を取り出す。


「合否通知よ」


「……もう来たのか」


 マヨの一言に、部屋の空気が一瞬で張りつめた。


 それぞれの名前が書かれた紙を広げ、確認する。


「よしっ! 超級クラス合格だわ!」


「私もです!」


「やったー! 合格だー!」


 みんな狙い通り超級クラスに合格したようだ。安堵の表情を浮かべている。


 しかし、そんな中俺は、自分の紙に書かれた文字を見て震えていた。


「テンコさん? どうかしたんですか?」


 カタルシアがそれに気づき、疑問を投げかけてくる。


 それに対し、俺はそっと口を開いた。


「俺……天星級……」

 

 部屋が一瞬、静まり返った。


「……は? 今なんて……」


 マヨの表情が一変する。


「て……テンセイキュウデス……」


 俺は視線を伏せながら、弱々しく答えた。


「はぁもう、何やってるのよ! そもそもあんたの聖書でしょ? もし封印されてたら、あんたがいなきゃどうしようもないじゃない!」


 間違って天星級になってしまった俺に、マヨは怒る。


 俺は正座させられ、その前にマヨが仁王立ちしてキレていた。


「て、テンにぃが、マヨねぇに怒られてる」


「マヨさん、相当ご立腹ですね」


 マヨの背後で、ミリアとカタルシアはヒソヒソ耳打ちをしている。


「い、いやぁ、ワタクシとしてもなぜこのような結果になってしまったのか、些か疑問が残るところで――」


「テンコ!!」


「すみません」


 マヨは一通りキレると、ハァっとため息をつき、


「まぁ、あんたは記憶ないし、この世界のことを全然知らないから、普通に勉強でもしてなさい。聖書のことは後でなんとかするから」


 と、言った。


「本当にごめんなさい」


「そのことはもういいわよ」


 やがて、マヨは紙をテーブルに置き、気を取り直して話を続けた。


「まぁ、反省は後でたっぷりしてもらうとして……まずは入学手続きよ。制服の採寸、寮の割り当て、教科書の購入……天星級と超級でスケジュールが少し違うから、今日中に確認しておきましょう」


 俺はまだ正座したまま小さくうなずいた。


「了解……とりあえず、今日の予定をしっかりこなすよ」




 その後、俺たちは学院へ向かう準備を始めた。


 午前中はまず制服の採寸だった。


 学院指定の仕立屋は王都の中心部にあり、戦闘学部用の実用的な戦闘服から、奉職学部専用の少し格式の高いデザインまで揃っていた。


 俺は制服を着て鏡の前に立つ。若草色ベースに金糸の刺繍や様々な色が織り込まれた、とてもかっこいいデザインだ。

 

 胸元には、天星級を象徴する五芒星を模したエンブレムが輝いている。赤、青、黄……星のように様々な色に輝き、天星級の威厳を全面に押し出している。


「へぇ……意外と似合うな」


 俺は一人そう呟く。


 ミリアも制服を着て、くるくる回りながら大喜び。


「わー! これかわいい! 金色のお星様!」


 超級のエンブレムは金色だ。


 マヨは自分の制服を軽く整えながら、冷静に言った。


「天星級は目立つわよ。授業中も注目されやすいから、余計なことをしないようにね」


 カタルシアは静かに自分の制服の袖を触りながら、


「生地に天賦力てんぷりょく耐性と軽量化の魔法印が織り込まれていますね。実用的です」


 と、感心した様子だった。


 それから、みんなの採寸が終わり、制服の状態で並んで見る。


「みんな超似合ってるな! なんか並んで見ると、エリートな学院生に見える! マヨは皇女だから言わずもがな、聖職者のカタルシアも、普段は騒がしいミリアも気品があるな!」


 俺がそう言うと、


「そうね。いつも冒険者として戦ったりしてるとは思えない品が出てるわ」


 と、マヨも同意する。


「なんだか新鮮ですね、制服なんて。この姿を見ると、学校が楽しみでワクワクしてきます!」


「すごい! エリートミリアだ!」


 学院の制服に袖を通し、みんな大興奮だ。


 そして、次は教科書の購入へ。


 学院の指定書店は広くて、戦闘学部関連の書籍が山積みになっていた。


 天星級用の教科書は分厚く、高度な魔力理論や上級戦術が並んでいる。


 俺はそれを手に取り、軽くため息をついた。


「……これ、全部読むのか。かなり本格的だなぁ」


 マヨが自分の超級クラスの教科書をまとめながら、


「天星級はカリキュラムが厳しいわよ。せっかく受かったんだから、途中で投げ出さないでね」


 と釘を刺す。


 午後には寮の割り当て確認へ。


 学院の寮はクラスごとに棟が分かれており、天星級は特別棟、超級は一般上級棟となっていた。


 だが、パーティや家族で入学する場合は、生徒の希望に沿って調整してくれるようだ。


 入学届けを出す際に希望を出したおかげで、俺たちの部屋は隣同士に調整された。


 ミリアが寮の見取り図を見て喜ぶ。


「わーい! みんなの部屋が近いよ!」


「俺が1人で、3人がその隣の部屋なのか」


 カタルシアが静かに微笑みながら、


「これで情報共有もしやすいですね」


 と、満足げだった。


 マヨは最後に全体のスケジュールをまとめ、俺たちに告げた。


「入学式は約2週間後よ。その前に教科書に目を通しておくこと。特にテンコは天星級のカリキュラム、しっかり把握しておいて。書庫のことは……私が超級で情報を集めながら、タイミングを見て動くわ」


 俺は大きくうなずいた。


「わかった。俺は天星級として目立たないようにしつつ、できる限りサポートするよ。みんな、よろしくな」


 こうして、入学準備は慌ただしくも無事に進み、俺たちは学院生活のスタートを目前に、静かな決意を胸に宿へと戻った。




 夕食を終え、宿の部屋に戻った頃には外はすっかり暗くなっていた。


 俺たちはテーブルの上に合格通知の紙を並べ、今日の出来事をゆっくり振り返っていた。


 ミリアがベッドに寝転がりながら、満足げに足をバタバタさせている。


「明日はカバンを買ったり、文房具を揃えたりするわよ」


 マヨは椅子に座って、明日の予定をメモ帳に書き込んでいる。


 カタルシアがハーブティーを一口飲んで、静かに微笑んだ。


「今日は楽しかったですね。みんなで合格できて、本当に良かったです」


 マヨが自分の通知用紙を指で軽く叩きながら、ため息混じりに言った。


「そうね。でも、超級クラスは取れたけど……テンコが天星級なのは正直想定外だったわ。これからどうやって書庫に近づくか、早めに戦略を考えないと」


 俺は窓辺に寄りかかり、外の街灯を見つめながら苦笑した。


「本当に申し訳ない……最後、つい調子に乗ってしまった。正直楽しかったんだ。技を思うままに披露するのって、久しぶりで……」


 マヨさ俺を軽く睨みながらも、すぐに表情を緩める。


「まあ、過ぎたことは仕方ないわ。天星級の授業は普通にためになるしね。私たち超級組が書庫関連の情報を集めつつ、テンコは天星級として目立たないように振る舞って、隙を見て動く……そういう形にしましょう」


 カタルシアはマヨの言葉にうなずき、ノートを広げながら冷静に提案した。


「入学後はまず、学院のルールと施設配置を把握しましょう。書庫の場所や警備体制についても、早い段階で探りを入れておくべきです」


 そんな中、ミリアがベッドから飛び起きて、元気よく手を挙げた。


「あたしもがんばる! 超級クラスでいっぱい勉強して、テンにぃの役に立つよ!」


 俺はみんなの顔を見て、静かに笑う。


「ありがとう。正直、天星級になってしまって面倒なことになったけど……みんなと一緒に学院に入れたのは素直に嬉しいよ」


 俺の言葉に、みんなは静かに同意を示す。


「みんな一緒に……それだけで幸せですね」


「まぁそうね。合格できたことは、素直に喜ぶべきだわ」


 部屋の中に、4人の静かな決意が満ちた。


 マヨが最後に小さく微笑んで言った。


「さっ、今日はもう休みましょう。みんな、お疲れ様」


 俺たちは軽くうなずき合い、それぞれのベッドやソファに体を預けた。


 窓の外では、王都の灯りが優しく揺れている。


 これから始まる学院生活は、予想外のスタートになったけれど、この4人で歩む道であることに変わりはない。


 俺は天井を見つめながら、心の中で静かに誓った。


(……学院に行く目的は、聖書だけじゃない……俺の力を取り戻すためにも、頑張らなくちゃ)


 そう思いながら、俺はゆっくりと目を閉じる。


 波乱に満ちた学園生活は、すぐそこまで迫ってきていた。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。

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