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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第六章 覚醒者育成学院・潜入編

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第48話 選抜試験

 後期選抜試験当日。朝早くから覚醒者育成学院・サウス校の筆記試験会場は、数百人の受験生で溢れていた。


 戦闘学部棟の大きな講堂が主な会場となり、緊張した空気が張りつめている。

 

 マヨが軽く周囲を見回しながら言った。


「いよいよ本番ね。戦闘学部は筆記はそこまで重要じゃないから、気楽に生きましょう」


「そうだな……こうみえて、勉強には自信があるんだ。マヨとカタルシアの教え通りやれば問題ないだろ」


 俺は軽く肩を回しながら答えた。


 ミリアはすでに目を輝かせて、


「あたしもがんばるー!」


 と、元気いっぱいに拳を握っている。


 カタルシアはそれを聞いて、静かにうなずいていた。




 やがて、それぞれ受験番号順に席に着席し、試験官の合図と共に筆記試験が始まった。


 試験は予想通り、魔法理論、加護理論、天神学、フォルティス王国の歴史、簡単な戦術問題などが出題されている。


(魔力理論はなんとなくわかるけど、天神信仰の細かい教義は……マヨに教えてもらった内容で何とかカバーするか)


 俺は、元世界の常識がまだ抜けきっていない部分で何度か詰まりつつも、これまでの冒険で得た知識と勘を頼りに解答を埋めていった。


(歴史……70年前にフォルティス王国と戦争した国は、おそらくウェステリス王国。スピリトゥス霊王国の隣国で、グラディウス団長がスピリトゥスとも戦争してたって言ってたな……いいぞ! 思ったより解けている!)


 そんな調子で解き進め、筆記試験は約2時間で終了した。


 試験官が答案を回収し終えると、講堂内に軽い安堵のため息が広がる。


 前に座っていたカタルシアが小さく息を吐きながら、


「まずまずできたと思います」


 と、静かに言った。


 マヨも軽く微笑み、


「筆記はこれで大丈夫そうね。問題はこれからよ」


 と、俺たちに視線を向けた。


「筆記は意外と何とかなったけど……実技が本番だな」


 こうして、筆記試験を終えた俺たちは、短い休憩を挟んで、いよいよ本命の実技試験へと移動することになった。


「私たちは第三会場ね」


 筆記試験会場から出ると、マヨは受験要項の用紙を広げながら口を開いた。


 どうやら実技試験会場は3つあるらしく、そのうち2つは学院内にあるが、第三会場だけは学院の外の王都内にあるようだ。


「おぉ、馬車がいっぱいあるなぁ」


 俺たちが正門前に行くと、いつの間にか20台ほどの送迎馬車が用意されており、俺たちはそれに乗って第三会場へと向かった。




 馬車に揺られることおよそ15分。俺たちは王都の中心付近にある、広大な実技試験会場に到着した。


 そには学院の敷地外に設けられた、巨大な円形闘技場がそびえ立っている。


 闘技場の外に設けられた待機用テントの中には、早めに着いた受験生が待機しており、緊張と期待が入り混じった空気が漂っていた。


 俺たちは滑り込み申請だった故に受験番号が遅く、ここから更に時間が空く。俺たちがテント内の椅子に腰掛けると、マヨが受験要項をもう一度確認しながら言った。


「順番まで時間があるから、試験の最終確認でもしておきましょうか。実技は2つ。


 第一試験は『ダミー殲滅試験』——出現するダミーを制限時間内にどれだけ倒せるか。


 第二試験は『技披露試験』——巨大な耐久性の高いダミーに向かって、自分の持ち技を自由に披露する。


 役職や戦闘スタイルによって評価基準が変わったりするんだけど、両方合わせて総合評価が出るわ」


「単純なので良かったな」


(異世界モノによくある、受験者同士の一騎打ちとか運に左右される頭悪い試験じゃなくて本当に良かったよ……)


 俺は試験内容を再確認すると、心の中で改めて胸を撫で下ろす。


 それから更に数時間経ち、やっと俺たちの順番が回ってきた。


 パーティの中で番号が1番若いのはカタルシアなので、まずカタルシアが呼ばれ、俺が次の受験者として入口前の椅子に座る。


 それから3分ほどでカタルシアの試験が終わると、入れ違いで俺は闘技場内へと足を踏み入れた。


 入口からアリーナに繋がる道の途中でカタルシアとすれ違う時、カタルシアは笑顔で小さくガッツポーズをしてくる。


 それを見て俺は、


「じゃあ行ってくる」


 と短く述べ、アリーナへと向かった。


「これより、テンコ=ミルキーウェイの第一試験を開始する」


 試験官の合図と共に、まず始まったのはダミー殲滅試験。


 アリーナの地面いっぱいに小さな紫色の魔法陣が展開され、特殊な素材で作られた小型〜中型のダミー魔物が次々と出現する。


 制限時間は1分。倒した数と質で得点が加算される。


「よし……抑えめに」


 俺は雷剣を軽く構え、ダミーに向かって突進した。


 雷の斬撃を最小限に抑え、物理的な動きを主体にダミーを薙ぎ払っていく。


 ダミーは魔法陣から動かないので、継戦能力も重要になってくるようだ。


(よしっ、今のところ順調だ)


 しかし、30秒を超えたところで、ダミーが攻撃をし始めた。


「うぉ!?」


(思ったより攻撃の威力が高い!)


 俺は攻撃を避けつつ、殲滅速度を上げた。


(こうなったら範囲攻撃で……)〔雷電剣・流星〕


 俺は雷剣を四方八方に飛ばし、ダミーを確実に仕留めていく。


(確かに攻撃は厄介だが……カタルシアの〔ロックバレット〕に比べたら余裕だ!)


 俺はギアを上げながらアリーナを駆け巡り、ついに1分が経過した。

 

(……超級のボーダーは200体前後って言ってたけど、大丈夫だったかな?)

 

 そんなことを考えつつ、次の試験に備える。


 第一試験が終わると、すぐに技披露試験に移った。


 今度は、巨大なダミーがアリーナ中央に出現する。


 こちらも制限時間は1分。今回は倒した数より技の制度や戦闘能力を見られる。


 試験官が「始め」と告げると、俺は深呼吸をしてから動き始めた。


〔ライトニングソード〕


 俺はバリバリッと雷剣を生成すると、力を抑えつつ技の披露を始めた。


〔瞬雷〕〔雷電一閃〕〔雷光〕

 

 次々に技を披露し、〔雷光〕を放った辺りでダミーが弾け、新しいダミーが生成された。


 その瞬間、俺の手に微かな手応えが残る。


〔雷電剣・流星〕


 無数の雷剣がダミーを貫く。


(あまり意識してなかったけど……異能の力を意のままに振るうのって、楽しい!)


 俺は今一度思い出す。手の中にある、かつての自分が望んだ刺激。自分が歩んできた退屈しない非日常。それを持って何かを追い求め、成長することの楽しさ。


(もっとだ……もっと自由に!)


 残り時間は10秒。しかし、ここに来て俺の悪い癖が出てしまった。試験の目的など、今はどうでも良くなっていた。


 俺は天に手をかざす。すると、上空に黒い雲が集まり始めた。


(ローズたちに少しだけ見せた、"あの技"を披露する)


 魔法はイメージ。感情が昂った俺には、再現は容易だった。


「雷は……天から落ちるものだよな! くらえ!」〔天裁雷(ゼウス)


 やがて、俺が手を振り下ろすと、天から轟音と共に稲妻が降ってきた。


 ――ドカァァン!


 ダミーを一瞬で打ち砕く。


 まさしく天の裁きの言わんばかりの一撃に、試験官も目を丸くしている。


 さらに追い打ちをかけるように、俺は足に力を溜め、一気に解き放った。


あん滅紫電めっしでん


 あの時ほどの速さではないにしろ、試験官の目にも止まらぬ速さで駆け抜け、ダミーの体を一瞬で貫いた。


 ――ボッ!!


 欠けたダミーの断面からバチバチと電気を散らしながら、ダミーは消えていく。


 それと同時に、試験が終了した。


「……あっ、超級……」


 試験が終わると俺は我に返り、軽く息を吐きながらアリーナを後にする。


 入口に向かう途中で、「派手にやってたみたいだけど、大丈夫?」と問われるも、苦笑いで誤魔化した。




「あー、終わったー!」


 夕方。試験も無事終わり、宿に戻ると、ミリアがベッドにダイブした。


「こらこらミリア、今から食事に行くのよ。準備して」


「ご飯!!」


 しかし、食事という言葉を聞いて飛び起き、急いで準備を始める。


 そして準備が整うと、俺たちは王都の賑やかな飲食店街へ向かった。


 入った店は、フォルティス名物のグリル料理が人気の庶民的な店だった。


 木のテーブルに座ると、香ばしい肉の匂いが漂ってくる。


 今日は試験お疲れ様会ということで、少し豪華な夕食だ。俺たちは果実ジュースやハーブティー、グリル肉の盛り合わせを注文する。


 ミリアが最初に串焼きを頰張りながら、目を輝かせて言った。


「試験、楽しかった! あたし、ダミーいっぱい倒せたよ!」


 マヨがフォークを動かしながら小さく微笑んだ。


「私もまずまずだったと思うわ。テンコはどうだった? 実技、ちょっと派手だったみたいだけど……」


 俺は肉を一口食べて、軽く肩をすくめた。


「まあ……少し出しすぎたかもだけど、許容範囲だぜ」


 カタルシアが静かにハーブティーを飲みながらうなずいた。


「私も筆記は安定していました。実技もバフの強化率や回復速度など、攻撃、防御面だけでなく、サポート面も見られましたが、良い手応えだったと思います」


 楽しそうに今日の振り返りをするみんなを見て、マヨが口元を緩める。


「本当に、今日はみんなよく頑張ったわ。ルミナスの頃より、確実に成長してるのがわかった。あとは結果を待つだけね」


 俺はグラスを軽く持ち上げて、みんなを見回した。


「そうだな。力を抑えながら戦うのも、意外と難しかったけど……みんなと一緒に試験を受けられて良かったよ。超級クラスに入れたら、聖書に一歩近づける。結果がどうなるかわからないけど、今日は素直に頑張ったって思える一日だったよ」


 俺はそう告げると、グラスを口に運んだ。


「そういえば、カタルシアに聞きたかったんだけど、魔法理論における詠唱は『世界と接続するための合言葉』でいいんだよね」


「そうです! ちなみに祈祷は『世界』ではなく『神』または『天神』なので要注意でしたね」


「よかった~。不安だったんだよ。後は歴史の問題で――」


 そんな風に、その後も店内の賑やかな喧騒けんそうの中、俺たちは今日の試験を振り返りながら、ゆっくりと食事を楽しんだ。


 合格発表は数日後。結果がどう出るかはまだわからない。でも、この4人でここまで来られたこと自体が、すでに大きな一歩だった。


 俺はみんなの楽しそうな顔を見ながら、1人感傷に浸っていた。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。

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