表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第六章 覚醒者育成学院・潜入編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/55

第47話 成長

 後期選抜試験前日。俺たちは王都にある小規模の訓練場を予約して、試験前の調整を行うことにした。


 ちなみに王都にはたくさんの訓練場があり、兵士や冒険者の訓練や一般能力者の遊び場にも使える、いわば元世界の公共体育館みたいなものだ。


「後期とはいえ名門の入試前だから、ほとんど満員だったけど、割と良いところ取れたんじゃない?」


 予約した訓練場の扉の前で、マヨはそう呟いた。


 街外れにある小規模な訓練場とはいえ、4人で訓練を行うには申し分ない大きさだ。


「そうですね。思ったよりも大きいです」


「さっ、早く中に入って特訓だー!!」


 ミリアはそう言うと、訓練場の扉を開けた。


 すると、天井の高い白い無機質な空間が姿を表した。


「おぉ~、いいじゃん!」


 俺はどこか近未来的な雰囲気の訓練場を見て、興奮気味に足を踏み入れた。


 すると、足の裏に微かな違和感が走った。


「ん?」


 俺は屈み込むと、床に触れた。


「なんだこの床……硬いけど、柔らかいような……変な感じ」


 訓練場の床は硬さはあるが、衝撃が吸収されるような素材でできている。


 元世界で言うプラスチックに近いイメージだ。


 俺が疑問に思っていると、マヨが解説を始めた。


「この床は、衝撃吸収の魔法印が刻印されている魔石でできているのよ。だから転んだりしても怪我をしにくいし、魔石だから耐久性もある優れもので、訓練場の床はだいたいこれでできているわ」


「はえぇ〜、その魔法印ってやつめっちゃ便利だな」


「私もそう思います。魔法印自体は古代からある技術ですが、その活用方法がユニークで面白いです!」


「うわぁ~、なんか変な感じ!」


 発展しているフォルティスならではの独特な技術に、カタルシアもミリアも興味津々だ。


 さて、そんなこんなで初めての施設に惹かれていると、マヨが軽く手を叩いてみんなの注意を引いた。


「さっ、今日は試験に合格するための調整がメインよ。試験では主に、魔力量、魔力出力、技術、攻撃力、耐久力を見られるわ。昨日の下見会で見たように、レベルが高くても技術や耐久力、攻撃力は経験が必要になってくるから、そこを重点的に確認しましょう」


 マヨはそう言うと、続けて訓練内容を提示する。


「まずは個人耐久の確認から始めましょう。テンコの飽和攻撃から1分間耐え切る。どう?」


「いいですね! テンコさんは力の抑制の練習になりますし、逆に私たちは回避や防御の練習になります」


「あたしも賛成!」


 みんなはその意見に賛成し、まずは耐久力テストをすることにした。


 俺は訓練場の端に立ち、他の3人は反対側に立つ。


「よしっ、じゃあ行くぞ」


 やがて、俺は合図と同時に、技を発動した。


「最大出力!」〔雷電剣・流星〕


 俺が軽く手を掲げると、天井近くの空間に稲妻が集まり始めた。


 次の瞬間、無数の雷剣が雨のように降り注ぐ。


 一撃一撃は威力控えめだが、数が多いため逃げ場が限られる飽和攻撃だ。


「うわっ! すごい数!」


 ミリアが最初に反応し、獣のような俊敏さで左右に跳びながら回避を始める。


 マヨは水の膜を薄く展開して雷を弾きつつ、滑らかな足捌きで逃げ、カタルシアは冷静に位置を予測しながら、最小限の動きで雷の雨をかわしていく。


 しかし、雷の雨は容赦なく降り続き、3人とも徐々に息が上がってきた。


「くっ……数が多いわね……!」


 マヨが歯を食いしばる。


 ミリアは「わわわっ、痛っ!」と小さな悲鳴を上げながらも、なんとか30秒を越えた。


 カタルシアは分析しながら回避を続けていたが、45秒あたりで雷剣が肩を軽く掠める。


 そして、1分が経過した瞬間、俺は攻撃を止めた。


「ふぅ……どうだった?」


 俺は軽く息を吐くと、みんなの元に歩み寄った。


 マヨが息を整えながら口を開く。


「ルミナスの特訓の時より、雷剣の密度とタイミングが洗練されてる……逃げにくくなったわ」

 

 カタルシアもうなずきながら、


「攻撃の予測が以前より難しくなっています。テンコさんの魔力操作が上手くなっている証拠ですね」


 と、冷静に分析した。


「みんなも、1ヶ月前よりもかなり上達してるよ!」


 俺たちは少しだけ自身の成長を感じ、嬉しそうに微笑み合う。


 それから間もなくして、マヨが次の提案をした。


「次は逆よ。今度はデバフを食らった状態で、私たち3人の攻撃を1分間避けてみて」


「えぇ……デバフもかけられんの?」


 その提案に不満を露わにする。


「私たちは超級に受かるかどうかが心配だけど、あんたはどっちかと言うと、調子に乗って天星級に受かってしまうことが心配なの。だから、デバフをかけられた状態で魔力操作をより正確に行う訓練が必要なのよ。デバフがなかったら余裕で避けれちゃうでしょ?」


「調子に乗るって……でも確かに、魔力操作が疎かだと、出力を見誤ってしまうか。一理あるな」


 だが、マヨの説明に納得し、最終的にその提案に賛成した。


 カタルシアが淡い紫の光を放ち、俺にデバフをかけた。


「うおぉ……体が重い」


 そのデバフは動きを制限するもので、速度が約3割ほど落ちた気がする。


「あっ、ちなみに〔雷駆らいく〕は禁止ね」


 訓練開始直前、マヨは俺にそう指示する。


 ちなみに〔雷駆〕とは、雷魔法を応用した移動技で、戦闘中によく俺が使っている疾走能力だ。


「わかったよ」


 俺は渋々承諾すると、


「では、始めます」


 というカタルシアの合図と共に、3人が同時に動き出した。


 マヨの水の刃、ミリアの素早い爪の連撃、カタルシアの正確な岩の打撃が同時に襲いかかる。


「うぉ!? やっべぇ!」〔ライトニングシールド〕


 俺は正面の攻撃を雷盾でいなしつつ、デバフで身体が重い中、必死に回避を続けた。


 攻撃が何度も体を掠め、肩や腕に衝撃を受ける。


 しかし、ルミナスにいた頃に比べると、身体が勝手に最適な軌道を選んでいる感覚があった。


「くっ……まだいける!」


 残り10秒まで耐え抜き、やがてデバフが解除され、訓練が終了した。


「いやー何とか避けきれたか? いや結構食らってたか……でも、ルミナスより確実に耐えられるようになってる。デバフ食らっても、身体が反応してくれる感じがする」


 そう口にする俺に、マヨが汗を拭きながらうなずく。


「私たちもそうよ。ハンデありとは言え、テンコを捉えられるようになってるわ」


 ミリアが息を弾ませながら笑顔で言った。


「あたし、もっと頑張りたくなってきた!」


 カタルシアも静かに微笑みながら、

「個々の基礎力が上がっています。この調子なら、きっと試験でも対応できるはずです」


 と、分析を加えた。


 俺はみんなの顔を見回し、充実感が広がるのを感じた。




 その後も様々な基礎訓練を行い、そろそろ帰宅の時間になってきた。


「よし、じゃあ最後は実戦と行きますか! ルミナスでの特訓からどれだけ成長出来たか、確認しよう!」


 俺は休憩するみんなに、そう提案する。


「やったー! みんなで戦いだー!」


 ミリアが最初に食いつき、尻尾を振りながら立ち上がってきた。それに続いて、マヨとカタルシアも立ち上がる。


「いいですね! やりましょう!」


「そうね、最後の締めと行きましょうか」


「じゃあ、ルールはタッグマッチで、俺とミリア vs マヨとカタルシアで! 時間は3分! ハンデとして俺は近距離で戦わない!」


「「おー!」」


 こうして4人は訓練場の中央に移動し、2対2で向かい合った。


 俺とミリアが攻撃寄り、マヨとカタルシアが守備・カウンター寄りの布陣だ。


「始め!」


 俺の合図でタッグマッチがスタートした。


 最初に動いたのはミリアだった。


「いくよー!」


 紫の爪を輝かせて一直線にマヨへ突進する。


 それをカタルシアが防御魔法で防御し、マヨが即座にカウンターの水刃を放った。


 ミリアはそれをヒラリと回避すると、俺はそれを横から援護し、空に向かって軽く手を掲げた。


〔雷電剣・流星〕


 天井近くから雷剣の雨が降り注ぐ。


 カタルシアが素早く紫の結界を張り、雷剣の雨をある程度弾きながら、


「ミリアちゃんの攻撃が来ます……今です!」


 と、マヨにタイミングを合わせる。


 マヨとカタルシアの連携は見事で、ミリアの突進を上手く受け流しつつ、俺の雷剣の雨も最小限の動きでかわしていく。


 しかし、俺とミリアも負けていない。


 ミリアが何度も角度を変えて飛び込み、俺がその隙に〔雷光〕で中距離から圧力をかける。


 ルミナス特訓の頃より、互いの動きが読みやすくなり、息が合い始めていた。


「テンにぃ、右!」


「了解!」〔雷光〕


 ミリアの声に合わせて俺が雷を放つと、マヨがわずかに体勢を崩す。


 その瞬間、ミリアが素早く懐に入り込んだ。


 だが、カタルシアのツル植物がミリアの足を軽く絡め取り、動きを鈍らせる。


「くっ……!」


 見事な連携でミリアを追い詰めるも、


「大丈夫だ、ミリア」〔雷縛らいばく


 と、負けじと俺たちも抵抗する。


 細長い雷の縄が、マヨの剣にまとわりつく。しかし、手元を離れた雷の操作は難しく、いとも簡単に切られてしまった。


 でもその一瞬の隙に、ミリアは距離をとる。


 両者とも譲らない攻防。


 3分が経過する頃には、3人とも軽く息が上がっていた。


 俺が「そこまで!」と宣言すると、みんながその場に座り込んだ。


 しばらく無言で息を整えた後、マヨがぽつりと口を開いた。


「……ルミナスの時より、明らかに強くなってるわね」


 カタルシアがうなずきながら続ける。


「はい。マヨさんのカウンターも良くなっていますし、ミリアさんの突進も無駄な動きが減りました。私も皆さんの癖をより正確に把握できるようになりました」


 ミリアが汗を拭きながら、満面の笑顔で言った。


「前よりもっと、楽しく戦える!」


 俺はみんなの顔を見回し、静かに笑った。


「俺もそう思う。みんなと戦って、ルミナスの頃よりずっと強くなっているのを感じた。そして、俺自身も、魔力操作とかの技術が向上しているのを感じる……みんな、確実に成長してるな」


 訓練場の白い空間に、4人の静かな達成感が満ちた。


 マヨが立ち上がり、軽く拳を握る。


「明日が本番よ。この成長を、試験でちゃんと結果に変えましょう」


「「おー!」」


 マヨの言葉に、みんなは力強く拳を高くあげる。


 こうして俺たちは、互いに笑顔を交わしながら訓練場を後にした。


 試験前日の調整は、これで終了。


(成長……か。全盛期まではまだまだだけど、一歩ずつ確実に進んで行ってるな。けど、それだけじゃない。この世界に来て、心も成長したみたいだ)


 俺はそう思いながら、心の奥に灯った静かな闘志を胸に、みんなと一緒に宿へと戻っていった。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


ブックマークがいただけると、大変励みになります。



〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ