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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第六章 覚醒者育成学院・潜入編

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第46話 異世界学校

 後期入学試験の2日前。


「今日は学院の下見会に参加するわよ」


 朝。マヨが開口一番そう告げたことによって、俺たちは学院の下見会とやらに参加することになった。


「で、言われるがままについてきたけど、下見会って何するんだ?」


 学院に向かう途中、俺はマヨに尋ねる。


「下見会は受験生や入学を検討している人が、学院についてより深く理解するための催しよ。基本的に自由参加で、試験2日前のこの時期は、受験生の最後の調整が目的だったりするわ」


「へぇ〜、なるほどな」


(元世界で言うところのオープンスクールみたいなもんか。確かに、これで知りたい情報も確実なものにできるな)


 俺は心の中でひとり納得する。


「ちなみに入学届は今日までだから、下見会ついでに出しましょうか」


「本当にギリギリだったなぁ」


 そんな会話をしながら、俺たちは学院に向けて歩いて行った。




 しばらく経った頃。俺たちは覚醒者育成学院・サウス校の正門前に立っていた。


「「おぉ~!」」


 広大な敷地にそびえる白と灰色の校舎群、遠くから聞こえてくる訓練の音、そして行き交う受験生や在校生の姿。


 正門をくぐっただけで、まるで別の世界に来たような感覚に包まれる。


「すげぇ……本当にでかいな」


 俺は思わず声を漏らした。もはや一つの学院というより、宮殿というべき外観と規模だ。


 マヨが隣で、正門で渡された学院の案内パンフレットを広げながら言った。


「サウス校は王都にあるということもあって、フォルティス四学院の中でも特に戦闘学部が大きいわ。私たちが狙っているのは戦闘学部だから、今日の下見はちょうどいい機会ね」


 ミリアはすでに目をキラキラさせて、周囲をきょろきょろ見回している。


「わー! 学校ってこんなに大きいんだ! みんな制服着てる! かっこいい!」


 ミリアの視線の先には、若草色をベースにし、黒や金色で刺繍された貴族衣装のような制服を纏った在校生がいた。俺の厨二病心をくすぐるようなデザインだ。


 登校時刻らしく、入口付近に大勢歩いている。


 カタルシアも静かに周囲を観察しながら、


「施設がとても充実していますね。奥に見える訓練場も本格的です」


 と、感心した様子で呟いた。


 やがて、俺たちは他の受験生たちと共に、案内係の先導でキャンパス内を歩き始めた。


 マヨの説明通り、下見会は自由参加で、今日は学院の雰囲気や授業の様子を実際に見られる貴重な機会だという。


 戦闘学部の模擬訓練を見学したり、簡単な魔力制御の体験授業に参加したりと、内容は盛りだくさんだった。


 歩きながら、俺は周囲の受験生たちを自然と目で追った。


 真剣な顔でパンフレットを読み込んでいる少年、仲間と笑い合いながら歩いている獣人のグループ、静かに校舎を眺めている少女。


 みんなそれぞれに目的を持ってここに来ているのが、なんとなく伝わってくる。


「ここに来るってことは、みんな強くなりたいと思ってるんだろうな」


 俺がぽつりと呟くと、マヨが小さくうなずいた。


「ええ。ここは『勇者の国』の学院よ。ただの勉強じゃなくて、実際に戦う力を身につけるための場所だから」


「私も学校に通った身ではないので詳しくはわかりませんが、在校生、それに受験生のみなさんからは、とても熱いものを感じます」


 そんな話をしながら、俺たちは校舎に入っていった。


 


 その後、俺たちは昼頃まで下見会を満喫していた。


 宮殿の中のように整った校舎に感動しながら、授業参観をしたり、ちょっとした体験授業にも参加した。


「ふぅ、この学校広いなぁ」


「王国随一の学校だからね」


 そんな会話をしている隣で、ミリアが俺の腕を引っ張りながら楽しげに言う。


「テンにぃ! あっちの訓練場、すっごい音してるよ! 見てみよー!」


「わかったわかった、急かすなよ」


 俺は笑いながらミリアに引っ張られ、息をつく暇もなく、今度は学院の奥にある広い訓練場へと足を進めた。


 「おぉ……思ったよりもデカいな」


 俺たちは訓練場の前まで来ると、そのデカさに驚愕する。


 訓練場は闘技場のような形状で、入口の奥に見えるアリーナでは生徒たちが訓練に励んでいた。


 ガキンという澄んだ剣の音や、フォ~ンという独特な魔法陣の展開音、ガガガッというような戦闘の重い振動などが混ざり合い、迫力のある武道会会場のような雰囲気を演出していた。


「すごい迫力ですね」


「うわぁ~、楽しそう!」


 俺たちは入口からアリーナに向かう途中にある階段から客席に上がると、観戦を始めた。


 周りには受験生と思われる人がまちまちに座っており、時折「おぉ~」というような感嘆の声を上げている。


 すると、俺たちが来たタイミングで、教官のような人が生徒たちに指示を出し、何やらアリーナを整備し始めた。


「おっ、何か始まるのか?」


「多分、これね」


 マヨがパンフレットに書かれた文字を指差す。そこには『戦闘学部天星級クラス3回生による公開模擬戦』と書かれていた。


「おぉ! 模擬戦かぁ。これはいい勉強になりそうだな」


 俺はそう言いながら、再び視線をアリーナに向けた。


 やがて、


「さぁ、ご来場のみなさんお待たせしました。これより『戦闘学部天星級クラス3回生による公開模擬戦』を始めたいと思います!」


 と言う、教官の声が響いた。音波増幅の魔法印が刻印されている魔具――元世界でいうマイクのような物を片手に、来場者にアナウンスしている。


 客席には段々と人が増えてきて、歓声も次第に大きくなってきた。


 それから間もなくして、第一戦目が始まる。 最初に登場したのはウォーハンマーを担いだ屈強な体格の男と、長剣を腰に刺した金髪ロングの女だ。


 第一戦が始まると、アリーナの空気が一気に変わった。


「始め!」


 教官の合図と同時に、2人が動く。


 まず最初に仕掛けたのは男の方だった。


 大地を踏みしめ、ウォーハンマーを力強く振り下ろす。


 ――ドゴォ!!


 ハンマーが地面に到達した瞬間、物凄い振動が客席まで伝わってきた。


 しかし、金髪の女性は軽やかに後退し、男の攻撃を紙一重でかわすと、剣を抜きながら即座に反撃に転じた。


 黄金に輝く光の刃が伸び、男の側面を狙う。


「速い……!」


 俺は思わず身を乗り出した。


 男はハンマーを引き戻し、防御に切り替える。双方の武器が激しく交錯する。


 2人の動きは互いに読み合い、攻撃と防御が目まぐるしく入れ替わる。


「流石にすごいわね」


 一瞬の隙も許さない、洗練された攻防だった。


 特に女性の動きが印象的だった。


 剣を振るうたびに足捌きが滑らかで、無駄な動きが一切ない。


「2人のレベルは30後半……俺たちとそこまで変わらないのに、技術、出力、戦闘IQ、経験が段違いだ」


「あれで私たちと変わらないんですか!? やはり、差を感じてしまいますね」


 こっそり解析を使った俺は、レベルが俺たちと変わらないことを確認する。それを聞いたカタルシアが、驚愕した表情で2人の戦闘を見つめた。


 剣士の女は、男のパワフルな攻撃を的確に受け流し、カウンターを入れる技術が光っている。


 やがて、数十秒の激しい攻防の後、女性の剣が男のハンマーの柄を正確に捉え、力を奪うような一撃を放った。


 男の体勢が崩れ、女は男の首元に剣を突き立てる。


 その瞬間、教官が「そこまで!」と宣言した。


 客席から大きな拍手が沸き起こる。


「すごい……あれが天星級か」


 俺は素直に感心した。


 洗練された動き。 力任せではなく、技術と判断力、経験が融合した戦い方だ。


 マヨが静かに頷く。


「天星級はただ強いだけじゃないわ。実戦経験を積んだ上で、さらに効率的な戦い方を追求しているのよ」


 ミリアも目を輝かせて、


「かっこいい! あたしもあんな風に戦いたい!」


 と興奮気味に言った。


 カタルシアは腕を組んで、


「動きに無駄がありませんね。一撃一撃に目的があり、相手の癖を瞬時に読み取っている……素晴らしい技術です」


 と、冷静に分析していた。


 続いて第二戦も観戦する。


 今度は細身の少年と、加護の杖を持った少女の組み合わだ。少女の背中には、淡く光る白い翼が生えている。


 どちらもミリアとカタルシアの間くらいの年齢に見える。


天人てんにん族……本当にいろんな種族がいるんだなぁ」


「力を求める者に、種族は関係ないからね」


 俺たちは、そんな会話をしながらアリーナを見下ろした。


 少年は風属性らしき魔法を巧みに使い、素早く移動したり、風の刃を放ったりしている。


 一方、少女は炎属性の加護らしく、黄金に輝く美しい炎を操りながら、的確なカウンターを狙っている。


「まだ小さいのに、すごい動きですね」

 

 2人の戦いは、第一戦とはまた違った美しさがあった。


 どちらも魔法系なので、その戦いは非常に華麗だ。

 

 戦いが終わり、教官が勝者を宣言すると、再び大きな拍手が巻き起こった。


 俺は客席の背もたれに寄りかかり、深く息を吐いた。


「……すげぇな」

 

「あたしも負けてられない!」


 ミリアは戦い終わった2人を見ながら、静かな闘争心を燃やしている。


 マヨが小さく微笑みながら、


「さすが、学院の頂点ね」


 と呟く。


 カタルシアも静かにうなずいた。


「こんな戦いを見てしまったら、超級の適正レベルに達しているとはいえ、全く油断できませんね」


 俺はアリーナをもう一度見つめ、拳を軽く握った。


 ここで、本格的に強くなれる。全盛期の力に少しでも近づける。


 そう思った俺の胸の奥には、静かな闘志が灯っていた。




「いや〜、模擬戦に夢中で、1番肝心なことを忘れるところだったよ」


 模擬戦を4戦目くらいまで観戦していた俺たちは、例の書庫のカリキュラムを調べるべく地図を見ながら校舎内を歩いていた。


「私もすっかり見入っちゃってたわ。あっ、あそこね」


 やがて、カリキュラムがあると言われる、超級クラス2回生の教室にたどり着いた。


 マヨは、入口付近に置いてある下見会用のパンフレットを一つ手に取り、中を確認する。


「……どうやら当たりみたいね」


 マヨの開いたページを覗くと、そこには『天恵書物の読解及び使用』の履修についての案内も書かれていた。


「よしっ、これで作戦をそのまま実行できるな」


「そうですね」


 俺たちは、カリキュラムがあったことに安堵すると同時に、今一度気を引き締め直す。


「それじゃあ、明日は特訓でもやるか!」


「おぉー!」


「まぁ、試験前日だからほどほどにね」


 こうして俺たちは、天神聖書を獲得するため、次のフェーズに向けて一歩ずつ進んで行くのだった。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。

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