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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第六章 覚醒者育成学院・潜入編

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第45話 フォルティス王国

 岩山を越えてから数時間後、俺たちはようやくフォルティス王国の国境を通過した。


 チェックポイントは軍事大国らしい厳重さだったが、マヨの特権プレートを見せると、衛兵たちは意外と素直に通してくれた。


 ただ、視線は少し鋭かった。よそ者に対する警戒が強い国なのだろう。


「沢山の人がいますね」


 カタルシアが呟く。国境には他の国からきた商人や冒険者も大勢いた。


 流石は大陸中心にある大国だ。


 間もなくして、俺たちは分厚い国境壁を通り抜ける。その瞬間、景色がガラッと変わった。


 大陸中央の交易大国だけあって、街道は広く整備され、荷馬車や商人の一行が絶え間なく行き交っている。


 遠くに見える街のシルエットは、夕日に照らされて輪郭が淡く輝いていた。


「へぇ……活気があるな」


 俺は馬車から外を眺めながら、思わず声を漏らした。


 マヨが隣で地図を広げながら答える。


「ここはフォルティスの経済都市の一つ、『フロレーレ』よ。各国からの商人や、冒険者が集まるから、いつもこんな感じ」


 ミリアが荷台の上で身を乗り出し、目を輝かせている。


「わー! 人がいっぱい!」


 カタルシアも静かに窓の外を見つめながら、


「本当に発展していますね。遠くに見える街並みも、ミルキーウェイの帝都に匹敵するほどです」


 と、落ち着いた声で言った。


「今日は遅くなりそうだから、少し早いけどこの辺で宿を取ろうか」


 しばらくして街に着くと、マヨがそう言って馬車を止めた。


 フロレーレの街は、スピリトゥスの白と薄青の優しい街並みとは違い、灰色と金色を基調とした力強い建築物が立ち並んでいる。


 こうして俺たちは宿を取り、フォルティスでの最初の夜を過ごした。




 翌日。俺たちは王都へと再び進み始めた。


 半日かけて馬車は街道を進み、王都の外壁が見えてきたあたりで速度を落とす。


 外壁は高く分厚く、交易都市というより要塞のような印象だ。


 やがて門をくぐると、さらに賑やかな喧騒けんそうが俺たちを迎えた。


 大通りには露店がずらりと並び、香辛料や珍しい布、武器、防具などが山積みになっている。


 獣人や人間、稀に精霊族らしき者も混じり、多様な人種が行き交う様子はスピリトゥスとは全く違う活気だ。


「……なるほど、勇者の国って感じがするな。みんな目的意識が強そうだ」


 マヨが少し真剣な顔でうなずく。


「ええ。特に若い子たちが目立つでしょ? 多くは覚醒者育成学院を目指して来ているわ。サウス校は王都にあって、学院関連の店や宿もこの王都にたくさんあるの」


「ではまずは宿を取って、学院の情報を詳しく調べましょう。後期入学の試験が近いなら、準備する時間も限られていますし」


「そうしましょうか」


 カタルシアの提案にマヨが賛成すると、ミリアが元気よく手を挙げた。


「宿決まったら、ご飯食べに行こー! お腹すいた!」


「またそれか……」


 俺は苦笑する。その隣で、マヨが地図を指差しながら言った。


「王都の中心部に、冒険者や留学生向けの宿が多いエリアがあるわ。そこで一旦落ち着きましょう。そこで改めて、覚醒者育成学院のことについて話すわよ」


 馬車は王都の賑やかな大通りを進み、宿を探すために中心部へと向う。


 宿に着き、部屋で落ち着くと俺たちはテーブルを囲んで座った。


 そして、部屋で改めて今後の計画を立て始めた。


 マヨがテーブルの上にレインからもらったマップを広げ、指で特定の場所を指した。


「ここよ。印が反応しているのは、おそらく覚醒者育成学院・サウス校の地下にあると言われている『聖魔の大書庫』。天神聖書はおそらくそこに保管されているわ」


「詳しいんだな」


「これでも一応皇女だからね。学校に行ってはないけど、行こうとはしてたから色々と知っているのよ」


 俺は「ふーん」と相槌を取ると、マップを覗き込みながら尋ねる。


「で、その書庫に入るにはどうすればいいんだ?」


 マヨは少し難しい顔をして、ゆっくりと説明を始めた。


「それが一番の鬼門なんだけど、入る唯一の方法は超級クラスのカリキュラムにある、『天恵書物の読解及び使用』を履修することよ」


「超級クラス……? あぁ、上から2番目のクラスだっけか」


「ええ。学院のクラスは低級、中級、高級、超級、天星級の5段階に分かれているんだけど、『天恵書物の読解及び使用』という科目は、超級クラスにしか設定されていないの」


 カタルシアが静かに眉を寄せる。


「つまり……書庫に入るためには、超級クラスに合格する必要があるということですね」


「その通り」


「超級……名前からして凄そうだけど、どのくらいの実力で入れるんだ?」


 俺は腕を組んで、再び質問をする。


「あくまで目安だけど、レベル30以上で超級。40以上で天星級とされているわ」


「あれ? そんなもんなのか?」


 必要レベルが思ったよりも低かったので、俺は疑問の声を漏らした。


「確か俺たちのレベルって、俺が44、マヨが31、ミリアが34、カタルシアが36だろ? 低くない?」


 俺の疑問に対し、マヨは説明を始める。


「いや、私たちが高いのよ。テンコに出会ったばかりの頃、私はレベル20前半くらいだったのに、テンコの加護を受けたことでレベルが急速に上がっているんだわ」


「え、何その俺の加護って」


「忘れているようだけど、テンコって神様なんだからね。そりゃあ加護の一つや二つあるわよ」


「なんだそのご都合設定は……」


 俺はあまりに唐突な情報に困惑する。


 マヨは至って真面目な顔でこちらを見ている。冗談ではなさそうだ。


 俺はハァっとため息をつくと、


「……まぁ、超級クラスに入れるポテンシャルがあるならなんでもいいや」


 と、半ば投げやりにそういった。


 その隣で、ミリアが首を傾げながら口を開く。


「ちょーきゅークラスって、簡単なの?」


「いや、かなり競争率が高いわ。特に後期入学はさらに狭き門よ」


「試験はいつなんだ?」


「試験は6月1日。あと3日後ね。合格すれば6月中旬に入学できるから、タイミング的にはちょうどいいわ」


 マヨは地図を畳みながら、みんなの顔を見回した。


「作戦はシンプルよ。私たちは後期入学試験を受けて、超級クラスに入る。そこで『天恵書物の読解及び使用』を履修し、聖魔の大書庫にアクセスする。


 それと、私たちは問題ないけど、テンコは試験で力を出しすぎないように調整してね」


 それを聞いて、俺はニヤリと笑った。


「了解。ちょうどいい塩梅で超級クラス狙いだな。異世界の学校生活も楽しめそうだし、一石二鳥ってやつかもな」


 カタルシアが静かにうなずく。


「試験の内容を事前にできるだけ調べておきましょう。筆記試験と実技試験があるはずなので、戦略を立てないといけません。筆記のことは私に任せてください。知識には自信があります」


「そうね、準備はしっかりしないと。フォルティスは軍事大国だから、試験もかなり本格的だと思うわ」


 俺は拳を軽く握り、窓の外の賑やかな王都を見ながら呟いた。


「よし、超級クラス合格を目指して、試験受けてやるぜ!」


 部屋の中に、静かな決意と少しの興奮が広がる。


「ということで、一旦作戦会議は終了ね。お昼も近いし、何か食べに行こうか」


「さんせー!!」


 こうして俺たちは、フォルティス王国での本格的な作戦をスタートさせたのだった。




 作戦会議を終えた後、俺たちは一旦宿を出て、王都『イロアス』の街を軽く回ることにした。


 大通りには香辛料や珍しい布、魔道具、武器などが所狭しと並び、商人たちの掛け声が飛び交っている。


 各国から来た冒険者や若者たちが、学院の制服らしきものを着て歩いている姿もあちこちで見かけた。


「わー! なんかいい匂いする!」


 ミリアが真っ先に屋台に吸い寄せられ、尻尾をブンブン振っている。


 彼女が指差したのは、鉄板で焼かれる香ばしい肉とスパイスの匂いが漂う屋台だった。


「フォルティス名物の『スパイスウルフ串』ね。ウルフの珍味にスパイスが効いていて、軍人や冒険者に人気があるわ」


 マヨが説明しながら、みんなで一本ずつ買ってかぶりつく。


 口の中に広がる強い香辛料と肉の旨味に、俺は思わず目を細めた。


「おっ、これうまいな! 結構辛いけどクセになる」


「熱っ! でもおいしー!」


 ミリアは口をパクパクさせながらも、すぐに2本目に手を伸ばしている。


 その後も、俺たちは街をぶらぶらと散策した。


 巨大な交易市場では、カタルシアが珍しい魔具や古い書物を熱心に見ていた。


 マヨは留学生向けの店で学院の制服の見本をこっそりチェックしていた。


 俺は武器屋の前で立ち止まり、並んでいる剣や槍を眺めながら思う。


(……ここに来る若者たちは、みんな兵士や冒険者を目指してるんだよな。俺たちは聖書を探しに来てるけど、表向きは同じ『覚醒者』として学院に入るわけか……色々いい経験ができそうだ)


 ふと横を見ると、ミリアが露店で光るアクセサリーを眺めている。


 マヨが少し離れたところで、学院関連の掲示板を真剣に読んでいた。


 カタルシアが俺の隣に並び、小声で言った。


「活気がありますね。でも、みんな目的意識が強い……試験も相当本気で臨んでくるでしょう」


「ああ。油断はできないな」


 俺は軽く拳を握りながら、街の喧騒を見つめた。




 夕方近くになり、陽が少し傾き始めた頃、俺たちは宿へと引き返すことにした。


 宿の部屋に戻ると、みんなで軽く今日の感想を共有する。


「観光楽しかった! また食べ歩きしたい!」


 ミリアが満足げに言うと、マヨが小さく微笑んだ。


「観光はこれくらいにしておきましょう。明日から本格的に試験の準備よ」


「「おー!」」


 マヨの言葉に、みんなは気合を入れる。


 試験は3日後。


 こうして、フォルティス王国での新たな物語が、静かに幕を開けたのだった。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。

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