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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第五章 宗教国家と天神信仰編

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第41話 霊王の実力

 スピリトゥス滞在5日目。今日も外はお祭りモードだ。


 宿は3泊しか取っていなかったので、昨日は霊王城の客間に泊めてもらっていた。


「おはよ~」


 マヨが起きてくる。


「おはよ。早起きだね」


「昨日の余韻が抜けきらなくて」


「意外と楽しんでるようで良かったよ。皇女様だから、みんなでお祭りみたいなこと、してこなかったのかな?」


「……図星ね。あと、"意外と"は余計よ」


 そんな会話をしながら、マヨは朝の身支度をする。


「あんただって、初めてでしょ?」


「そりゃあねぇ」


(元世界でも、一緒に祭り行くような友達いなかったし……)


 そんな風にマヨと雑談をしていると、やがて2人も起きてきた。


 それから朝食をたべ、準備が整うとルナたちの元へと向かった。




 ルナたちと合流し、アニマの呼び出しで自室までいく。


「今日はアインの闘技場で、天下一武道会がひらかれるんだよ」


 自室に入ると、アニマは開口一番そう言ってきた。


「天下一武道会……?」


 俺が聞き返すと、アニマは勢いよく起き上がった。


「そう、天霊祭の目玉イベントの一つ!」


「国内にとどまらず、国外からも多数参加するビッグイベントですよ」


 アニマの言葉に、ルナも続く。


「王道かつ一番盛り上がる催しですね!」


「面白そう」


 その話を聞いて、カタルシアとマヨは興味津々だ。


 ミリアも目を輝かせている。


「武道会かぁ~」


 俺も異世界の王道的イベントに興奮を抑えきれないでいる。


 そんな風に、みんながワクワクしていると、


「そういえば、より大会を盛り上げるために、特別試合を計画してるんだよね」


 と、アニマがおもむろに口を開いた。


「特別試合……ですか?」


 マヨが聞き返すと、アニマはコクリとうなずく。


 そして、


「出場者は、僕と……君だ」

 

 と言い、俺を指さした。

 

「お、俺ぇ!?」

 

 俺はあまりに唐突な申し出に、変な声を漏らした。


「そう! 君はなかなか強そうだからね」


「ふふっ、面白そうじゃない。テンコ、出てあげたら? せっかくの祭りなんだし」

 

 マヨも珍しく乗り気で、口元が少し緩んでいる。


「ちょっと!?」


(え、コイツらグルか?)


「確かに……貴重な機会ですね」


 カタルシアまで静かにうなずいている。


「カタルシアまで!?」


「テンにぃの戦い、また見たーい!」


 俺はみんなの顔を見回して、ため息をついた。


「……わかったよ。やるならやる。でも、手加減してくれよ?」


「やったー! じゃあ、昼から闘技場で待ってるね! 楽しみだよ〜!」


 アニマはガッツポーズをして、側近に「準備しといて!」と手を振る。


 側近は「陛下……本当に……」と呟きながらも、諦めたようにうなずいていた。


 俺たちはそのまま、アニマの自室を後にした。




 外に出ると、みんなで闘技場へ向かう。


 午前中は、まずは通常の天下一武道会を観戦することになった。


 アインの闘技場は、街の外れに建つ巨大な円形競技場だ。白い石造りの壁に霊石が埋め込まれていて、陽光を受けると淡く輝いている。


 すでに客席は満員で、霊人族や精霊族の観客が青白い光の旗を振って盛り上がっていた。


 俺たちは特別観覧席に通され、ルナとセレナが隣に座る。


「さぁ最初の対決は、霊王国の経済都市『アストラ』からやってきた霊能使い――フォストvsフォルティス王国の冒険者、剣士の――ラントだ!!」


 実況の声が響くと同時に、会場から歓声が巻き起こった。


 最初の試合は、白装束に身を包んだ精霊族の女性対、鎧にマントを羽織り大剣を腰に刺した、ゲームや異世界漫画に出てくる典型的な勇者みたいな男性だ。


 ――ゴォン!


 やがてゴングのような合図と共に、戦いが始まる。


 女性が両手を広げると、闘技場全体に濃い霧が広がり、視界が一気に悪くなった。


「これは『霧隠れ』という霊能ですね。相手の位置を狂わせて、感覚を奪います」


 セレナが静かに説明する。


 ラントは「こんなもの、大したことねぇ!」と、剣を振るい霧を晴らそうとするが、霧は晴れることなくラントにまとわりついた。


 次の瞬間、霧の中からフォストの姿が現れ、掌底をラントの胸に叩き込む。


 ――ドン!


 鈍い音と共に衝撃波が霧を払い、ラントが吹き飛ばされて壁に激突した。


 ラントは地面に倒れ込む。


「勝者、フォスト!」


 アナウンスが響き、観客がどよめく。


「すげぇ……あんなに霧を自在に操れるなんて」


 俺は思わず呟いた。


「フォストさんは霊導部隊の幹部で、毎回トップ4に入る実力者なんですよ」


 ルナが微笑む。


 その後の試合でも、相手の動きを封じる呪術や分身体を作り出すスキルなど、様々な能力が披露された。


 カタルシアは、


「霊力の応用が本当に多彩です。勉強になります」


 と、ノートに何かをメモし始めている。


「相手の能力を封じるなんて、チートだなぁ」


「呪縛ね。ちなみに覚えてないかもだけど、テンコがセレステに使った呪縛も呪術だからね」


「あぁ……アレか」


 みんなは、刺激ある試合に興奮気味の様子。


 そんな中、俺はみんなの楽しそうな顔を見ながら、ふと思う。


(祭りって、こういう時間も大事だよな……)


 試合は次々と続き、どれもスピリトゥスらしい幻想的で優雅な戦いばかりだった。




 そして昼になり、休憩を挟んで午後の部に突入する。


 俺が席に座っていると、メイドが「そろそろ試合が始まります」と声をかけてきた。


 俺は立ち上がり、軽く息を吐く。


「じゃあ……行ってくるか」


 みんなが俺の背中を見送る中、闘技場中央へと歩き出した。


 アナウンスが闘技場全体に響き渡った。


「さぁ! 準決勝の前に、ここで特別試合だ! 対戦カードは、我らがスピリトゥスの霊王――アニマ様 vs ミルキーウェイからの冒険者――テンコ!」


 揺れるような歓声が、会場中から一気に沸いた。


 俺はいつもの服に着替えると、入場口に立ち、闘技場中央へと向かった。


 向かいに立つアニマは、相変わらずの陽気な笑顔を浮かべている。


 白銀のローブが淡く光を放ち、霊力が身体の周りを優しく渦巻いている。


「よっ、テンコくん。楽しもうね〜!」


 アニマが手を軽く振る。


 その声はいつも通り軽いが、なぜか背筋に冷たいものが走った。


 アナウンスが響く。


「それでは、開始!」


 ――ゴォン!


 ゴングが鳴った瞬間、アニマの表情が変わった。


 笑顔が消え、瞳が鋭く細まる。


 陽気な「おじさん」はどこにもいなかった。


 そこに立っているのは、スピリトゥス霊王国を統べる王そのものだった。


「……いくよ」


 低い、静かな声。


 俺は息を吐き、雷剣を構える。


「行くぜ!」


 俺は一気に間合いを詰め、雷を纏った斬撃を放った。


 稲妻が弧を描き、アニマの胸を狙う。


 だが、アニマは動かない。ただ、右手を軽く前にかざしただけだ。


 ――シュゥゥ……


 雷の斬撃がアニマに到達した瞬間、青白い霊力の渦が現れた。


 まるで水面に石を投げ込んだように、攻撃の流れが緩やかに曲がり、そして勢いを失って霧散した。


「!?」


 俺の目が見開く。


 俺はすぐに距離を取るが、アニマは追わず、左手を軽く振った。


 次の瞬間、闘技場全体に淡い霧が広がった。


 空気の流れが、アニマの意志で操られている。


 俺の周囲の気流が渦を巻き、身体を押しつぶすような圧力が掛かる。


「くっ……!」


 俺は雷を纏って抵抗するが、アニマはさらに掌を向ける。


 霧の中から、無数の光の槍が生成され、俺に向かって飛んできた。


 俺は雷剣で槍を弾きながら回避する。 だが、槍は予測不能に角度を変え、次々と襲い掛かる。


「これならどうだ!」〔雷電剣・流星〕


 俺は距離を取りつつ、無数の雷剣をアニマの向けて飛ばす。


 しかし、俺の雷剣がアニマに触れると、またしても霧散してしまった。


〔瞬雷〕〔雷電一閃〕


 俺は次々に技を繰り出す。その度に、闘技場内の空気が、電気を帯びているようにビリビリと震える。


 それでもアニマはビクともしない。


「それじゃあ、こっちも反撃だ」


 アニマはそう言うと、霧のような霊力の剣を生成した。


 同時にドンッと力強く踏み込み、間合いを詰める。


「――速ッ」


 ――バチバチバチッ!


 俺の懐に入ると、激しい連撃が襲いかかる。俺は防御に徹するのに精一杯だ。


(つ、強い……)


 俺はゴクリと息を呑む。


(ていうか、霊王ってもしかして!)


 そして、俺はあることに気がつき〔解析〕を使う。


〈対象のレベルが20以上高いため、ステータスを表示できません〉


(やっぱりか。陽気な見た目で油断していたが、霊王――つまり霊能を使う王。ただの君主号ではなく、魔王や神王と同じ強さを持つ役職ということか!)


 見た目に惑わされ、高位の役職であるという考えが完全に抜けていた事実に、俺は内心焦る。


 そんな俺を、観客席ではパーティのみんなやルナたちが、固唾をのんで見守っていた。


「テンにぃの攻撃が効いてない!」


「アニマ様の能力は一体……」


 レベルの差はあれど、多少なりとも健闘できると思っていたミリアとカタルシアは、目を丸くしている。


 そんな中、セレナが静かに口を開いた。


「アニマ様のスキル『霊巡回帰れいじゅんかいき』は、あらゆる"流れ"を操る能力です。相手の魔力やエネルギー、周囲のマナや空気まで支配し、相手の攻撃を無力化、反射することができます。また霊力や気流、相手の攻撃を巧みに操り、攻撃してきます」


「そんな……」


 カタルシアはアニマのチートスキルの詳細を聞き、唖然とする。


「これなら……」〔雷光〕


 アリーナでは激しい戦闘が続いている。


 俺の全力の雷撃に対しアニマが両手を広げると、霊力が最大限に膨張した。


 ――ゴォォォ……


 そして俺の攻撃は、アニマの正面で止まった。


 『霊巡回帰』が発動し、雷の流れを完全に受け止め、渦に変え、その勢いを倍にして、俺自身に跳ね返した。


「ガァッ!!」


 雷が俺を直撃。衝撃で身体が浮き上がり、地面に叩きつけられる。


「くっ、なんだこれは……」


(体から力が抜ける……耐久力云々の問題じゃない。魔力操作が上手くできない。HPは全く減っていないのに、力が入らない……!)


 俺は膝をつきながら立ち上がろうとする俺に、アニマはゆっくりと近づいてきた。


 その瞳は、静かで、深い。


「王ってのは、ただの飾りじゃない。巡りを守るために、強くなきゃいけないんだ。それは何も、魔王や神王といった"天醒てんせい君主"だけじゃない」


 アニマはそっと口を開く。


「パーティの王……すなわちリーダーは君だろ?」


「どうしてそれを……」


 俺はアニマの言葉に目を見開く。


 俺たちは表上は皇女様御一行のパーティだ。当然、リーダーはマヨと考えるのが普通。


 なのに、アニマは俺だと見抜いた。


「僕の直感だよ。君は、これからもっと強くなる」


 アニマの掌が、俺の胸に優しく触れた。


 その瞬間、温かな霊力が流れ込み、俺の動きを完全に封じる。


「……僕の勝ちだ」


 静かな宣言。ゴングが鳴り、試合終了を告げる。


 会場が一瞬静まり返り、そして爆発的な歓声が沸き起こった。


 アニマはすぐにいつもの笑顔に戻り、俺に手を差し出す。


「いやぁ、いい勝負だったよテンコくん!」


 俺は苦笑しながら、その手を取って立ち上がる。


「……完敗です。さすが霊王様ですね」


 アニマは俺の肩を軽く叩き、小声で囁いた。


「また巡りが繋がったら、本気でやろうね」


「……はい。楽しみにしてます」


 俺たちは笑い合いながら、闘技場を後にした。




 俺がみんなの元に戻ると、ミリアが飛び跳ねて駆け寄り、マヨとカタルシアが拍手で出迎えてくれた。


 ルナとセレナは穏やかに微笑んでいる。


「負けちゃったけど、楽しかったよ! みんなももっと楽しもう!」


 俺は元気よくそう言うと、ニコッとみんなに笑いかけた。


 天霊祭の活気は、まだまだ収まることを知らい。


 俺の胸では、アニマの霊力を受け、お守りの鈴が静かに輝いていた。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。


ルナ:天神大社を管理する霊人族の巫女。穏やかな性格。人間で言う16歳くらいの見た目。


セレナ:アインの大霊樹を管理する霊人族の女性。穏やかな性格。ルナの姉。人間で言う20歳くらいの見た目。


アニマ:スピリトゥス霊王国の霊王。陽気でお調子者。威厳が全くない。

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