表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第四章 大国の陰謀編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/55

第32話 聖戦

 グランたちが到着する少し前。テルース神王国の陣地にて。


 天幕が幾重にも連なる白亜の陣地は、淡い光に包まれていた。


 その中央、ひときわ大きな天幕の内側で、数名の将と神官が円卓を囲んでいた。


「隠密兵より、アンドロメダ軍がもう時期到着するとのことです」


「いよいよだな」


 低く呟いたのは、金の刺繍を施した法衣を纏う大神官だ。


「マロン王国はよくやってくれた。今まで不可侵領域の『ジャム山脈』のせいで、進軍を諦めていたが、王国内に自作のチェックポイントの制作とカモフラージュに協力してくれるとは」


「そうだ。これで忌まわしき魔王を打ち倒せる」


 円卓の上には、帝国全土の地図が広げられている。赤い印が、いくつも打たれていた。


「魔王国アンドロメダは、帝国最大の軍事力を誇る。あそこを落とせば、帝国は瓦解する」


 別の将が、指で地図をなぞる。


「だが、若いとはいえ、魔王グランは侮れぬ」


 その時、


「だからこそ、神王自らが出るのだ」


 と、静かな声が天幕に響いた。全員が立ち上がり、深く頭を垂れる。


 天幕の奥から現れたのは、純白の王族衣装を纏った神王セレステ。


 背には淡く光る翼が揺らめいている。


「我らは正義の名の下に進軍する。帝国の腐敗を断ち切るために」


 その言葉に、神官たちは恍惚とした表情でうなずく。


「アンドロメダを落とせば、帝国は混乱するだろう」


「帝国の盟主が倒れれば、残りは烏合の衆。神王国に刃向かう者はいなくなりましょう」


 静かな笑みが広がる。


 だが、一人の若い将が口を開いた。


「……もし、魔王が想定以上の力を見せた場合は?」


 一瞬、空気が張り詰める。大神官が目を細めた。


「その時は――"あれ"を使用する」


 円卓の隅に置かれた巨大な黒い箱へ、視線が集まる。


 白い布で覆われているが、その隙間から、淡く不穏な光が漏れていた。


 若い将の喉が鳴る。


「あれは、神王国でも禁忌とされているはずでは……」


 セレステは静かに振り向く。


「勝利のためなら、手段は選ばぬ。それが王だ」


 その瞳には、揺るぎのない冷たい光が宿っていた。


「案ずるな。使うのは"もしもの時"だ。魔王を討ち、帝国を落とせば、我らの時代が始まる」


 天幕の外で、軍鼓が低く鳴る。聖戦の刻は近い。


 白き陣営は、静かに、しかし確実に牙を研いでいた――。



◇◇◇◇◇◇



 グランとセレステは互いに向き合う。


 魔力と神力しんりょくがぶつかり合い、空間が歪む。


 互いに対峙すると同時に、神王軍の祈祷と共に、両者を中心に直径500mの結界が張られた。


「それじゃあ、始めようか!!」


 セレステの声と共に、両者が同時に踏み込んだ。


 轟音と、空間が圧縮されるような衝撃が、結界内を駆け巡る。


 グランとセレステは互いに武器を交えたまま、しばしの間膠着した。


 だが次の瞬間、セレステの足元の大地が陥没する。


 ズゥゥンと、とてつもない重力がセレステを襲う。


 しかし、


「ふっ、甘いわ!」〔天光の加護〕


 と、セレステの頭上に純白の光輪が展開され、グランの重力攻撃を打ち消した。


 地面は砕ける。だが彼の膝は折れない。


「重力か。実に君らしい」


 次の瞬間、白槍が閃く。


 ――ズドォォン!!


 一切の迷いも曲線もない、神の裁きのような突きがグラン目掛けて飛んできた。


 グランは横へ跳び、黒翼を羽ばたかせる。


 だが衝撃波だけで、後方の地面が数十メートル抉り飛ばされた。


(速い――!)


 目にも止まらぬその一撃は、俺を震え上がらせる。


 もしもの時は止めるつもりだったのに、そんな考えはとっくに吹き飛んでしまっていた。


「見事な突きだな。だが――」


 グランは空中で体勢を立て直し、両手を広げた。


〔重力操作〕


 セレステの身体が一瞬、宙へ浮く。そして、地面に叩きつけられた。


 そして再び、空へと舞い上がる。


 だがセレステは微笑を崩さない。


「祈りは、理を超える」〔天使の梯子〕


 セレステがそう言うと、光翼が大きく広がり、天から光柱が降りた。


 セレステの放つ光は、グランの攻撃を"浄化"する。


「なぜ、父上を殺した!!」


 グランはすかさずセレステに飛びかかると、強烈な斬撃を繰り出した。


 魔剣が闇に染まる。重力を帯びた斬撃が、セレステを引き寄せ空間ごと裂く。


 それに対し、セレステは即座に槍を回転させ、光の結界を展開した。


「私が神核兵器を使ったのは、私たちの恐ろしさを示すため、お前たちが二度と刃向かって来ないようわからせるためだ。故に、奴が死んだのは事故だ。私の本意ではない」


「だが、殺したのは事実だ! なのに貴様は、謝罪の一言もなかった」


 グランのオーラが僅かに増大する。


 セレステは淡々と続けた。


「敵国に謝るバカがどこにいる。むしろ敵国のトップが死んだんだからラッキーじゃないか」


 その言葉に、グランはギリィッと歯を食いしばる。


「セレステ、貴様ァ!!」


 グランは重力操作でセレステを斜め下へ飛ばすと、


「重力魔法。闇魔法。混合」〔漆黒の貪食者(ブラックデバウラー)


 と、スキルと魔導の混合技を発動する。


 グランの前に展開された漆黒の魔法陣から、巨大な竜の頭のような形をした闇が現れ、セレステに食らいついた。


「……小癪な」〔絶対なる聖域アブソリュートドメイン


 しかし、セレステも負けじと技を繰り出す。だが、その顔から笑みは消えていた。


 闇と光が激しくぶつかり合う。


 グランの竜状の闇が、セレステの聖光の結界に食らいつく。しかし、光は歪むことなく輝きを保ち、闇を弾き返す。


「――これが、神王の力か」


「父上! 頑張ってください!!」


 俺たちは息を呑む。目の前の戦いは、魔王と神王という異質な力が、ただぶつかり合うだけのものだった。


「私はその、支配と欲にまみれた貴様の思想が大嫌いだ!!」


「なら私だって、お前のような、頭お花畑のペラッペラな思想も嫌いだ!!」


 2人の攻防に、空気は振動し、轟音が耳をつんざく。


「何が平和だ!! 何が調和だ!! 創造と秩序を司る神の力を称え、破壊と混沌を司る魔の力を忌むのは至極当然の理だ。そんな力を以って和平を語るなど、神の意に反する!」


「貴様こそ、何が神だ!! その魔の力を生み出したのは、天神……貴様らの言う神そのものではないか!!」


 両者の武器がぶつかる。


 その度に、結界があるはずなのに、足が自然と後退してしまうほどの圧が襲う。


「魔神王――原初神がいるからこそ、世界に天賦力てんぷりょくが循環し、秩序を保っているのだ。魔力は、断じて破壊だけの力ではない!!」


 黒翼を羽ばたかせ、闇魔法を展開し、重力の軸を次々に変え、セレステの動きを制限する。


「くっ……!」


 漆黒の竜が、セレステを追い詰める。


 しかし、セレステは、光の槍を旋回させ、竜状の闇を切り裂いた。


「祈りは、力を凌駕する!」


 光の結界が、闇を押し戻す。眩い閃光が結界に広がり、空間は光と影の渦で染まった。


「埒が明かんな……だが、このまま押し切る!」


 グランは瞬間的に距離を詰める。闇魔法と重力を混ぜ、斜め上から斬撃を放つ。


 セレステは白槍で受け止めるが、その衝撃で結界の壁が砕け散った。


 破片が飛び散る。もはや、結界の修復が追いつかないほどの戦闘。


「……速い!」


 俺は思わず声を漏らす。人間の目では追えない速度で、2人の位置が入れ替わる。


 セレステが光翼を広げ、光の柱を落とす。


「――これで終わりではないわ!」


 しかし、グランは微動だにせず、黒翼を広げて衝撃を受け止める。


「天光の加護――光魔法と同じだな。だが、これだけでは俺は止まらん!」


 重力操作でセレステを空中に浮かせ、さらに複数の漆黒の竜を召喚する。


「小賢しい真似を……」


 戦いの勢いは留まることを知らない。


 衝撃波で周囲の大地が割れ、空気が裂ける。


 グランの目が微かに赤く光る。


「これならどうだ!」


 グランははるか上空まで飛び上がると、漆黒の竜を自らの腕に巻きつけ、重力と闇を極限まで増幅させる。


「――我が右腕に宿りし漆黒の竜神よ。その力を解き放ちたまえ――喰らえ!!」〔漆黒の流星(ブラックメテオ)


 そして、詠唱と共に力を一気に解放すると、轟音と共に、無数の闇の流星がセレステを襲った。


 だが、セレステは一歩も動かず、槍を天に掲げ、技を発動する。


黄金の天神光(ゴールデンルシファー)


 巨大な光が、闇竜を完全に包み込む。溢れる光が暗闇を押し返す。


 衝撃で、結界内部の空間が揺れる。砂や瓦礫が宙に舞い、地面は波打つ。俺はその光景を目の当たりにして、思わず後ずさる。


「……この戦い、どこまで加速するんだ……」


 グランは直ちにセレステに接近。黒翼で宙を滑空し、セレステに斬撃を連打する。


 闇の引力と斥力が纏わり、斬撃が放たれるたびに空間が裂け、轟音が響く。


 セレステは槍を回転させつつ、祈祷による補助バリアを展開。光の結界が斬撃を分散させる。


「……いい攻撃だ。さすがは魔王」


 淡々とした声だが、光の輝きは一瞬も衰えない。


 2人の戦いはもはや、戦術ではなく、力の象徴のぶつかり合いだった。


 どちらも譲らない。空間は歪み、結界内の気流は渦巻き、闇と光が交互に放たれる。


 俺は息を整え、無意識に拳を握る。


「……これが、神王と魔王の戦いか……」


 勝敗の概念を超えた聖戦は、まだ始まったばかりだった――。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


ブックマークがいただけると、大変励みになります。



〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。


グラン:アンドロメダ魔王国の魔王。真面目。誠実な性格。若い顔だが威厳がある。


セレステ:テルース神王国の神王。天神に対して歪んだ信仰心を持っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ