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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第四章 大国の陰謀編

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第28話 背後に潜む影

 アンドロメダ魔王国に来てから2日目の朝。


「おぉ、起きたか」


 俺たちは、魔王城の客間で一晩を過ごしていた。


 先代魔王の書斎を出た後、特にやることもなく、みんなは一日中客間の中にいて、俺はグランと会話を実らせていた。


「ふあぁ、その口調久々に聞いた気がするわ」


 マヨは眠そうな顔で、そう話しかけてくる。


「まぁ、仕方ないだろ。一応国のトップにとって、俺は威厳ある魔神王だからな。でも――」


 俺は少し穏やかな表情をする。


「最初は、なんかノリで口調を変えてたけど、今になって思う。かつての俺も、あんな感じだったって。思い出せないけど、なんだか身に染みついているような、そんな感じ」


「……そうね」


 俺はそう言って微笑むと、マヨも少し嬉しそうな表情を浮かべた。


 そんな話をしていると、


「おはよ〜」


「おはようございます」


 と、2人も起きてきた。


「よしっ、みんな起きたな。今日の予定は、朝みんなが起きてから伝えるって、昨日の夜グランが言ってたから、みんなの身支度が済んだら行くぞ」


 それからみんなは準備を済ませ、グランの部屋へ向かった。




「失礼します」


 部屋に着くと、俺たちは扉を開け、中に入る。


 するとそこには、席を立って外を眺める、グランの姿があった。


「少し早かったですね」


 グランは振り返ると、穏やかな表情を作り、俺たちの前まで歩いてきた。


 そして、今日の話し始める。


「今日は、本当は色々やりたいことがあったのですが、隠密部隊の定期連絡が少々遅れているみたいで……それで今日は、少し肩の力を抜いてもらおうと思いましてね」


「肩の力を抜く、ですか?」


 カタルシアが首を傾げる。


「ええ。隠密部隊からの報告が届くまで、まだ時間があります。こちらとしても慌ただしく動くより、一度状況を整理したいと思いまして」


 そう言って、グランは窓の外――魔王城の高台から見える街並みに視線を向けた。


「ですので、本日は『魔王都アルマク』を案内しましょう。正式な会談ばかりでは、気も滅入りますから」


 その言葉に、ミリアがぱっと顔を輝かせる。


「ほんと!?  魔王の街ってどんなところなの?」


「ふふ、見てのお楽しみです」


 グランは楽しげにそう答える。


 マヨは腕を組みながらも、どこか興味を隠しきれていない様子だった。


「観光なんて場合じゃない気もするけど……まぁ、情報待ちなら仕方ないわね」


「決まりだな」


 俺はそう言ってうなずいた。


 こうして、俺たちは魔王都アルマクへと向かうことになった。




 城の正門を抜けると、そこには想像とは少し違う光景が広がっていた。


「……意外と、普通だな」


 俺は思わずそう呟く。


 石造りの建物が整然と並び、広い通りには多くの魔人族たちが行き交っている。


 魔人族は頭に角が2本生え、背中には黒い翼が生えている。だが、雰囲気は普通の人間となんら変わりはない。


 グランにも翼はあるらしいが、特に力を持った者は、形態変化みたいな感じで翼をしまえるらしい。


「たくさんの人がいますね」


 市場では露店が並び、香ばしい匂いや甘い香りが混ざり合って漂っていた。


「魔王国と聞くと、もっと物々しい印象を持たれがちですが、ここも帝国の国の一つですから」


 大きなローブを深く被って変装したグランは、苦笑しながら言う。


「ここには魔人族が多いですが、別の街に行くと鬼人族もいますよ」


「へぇ……」


 ミリアは見たことのない独特な光景に興奮して、猫耳をピコピコさせながら、きょろきょろと辺りを見回す。


 通りを進むにつれ、アルマクの活気がよりはっきりと感じられた。


 鍛冶屋の前では、真紅に熱せられた金属が打ち鳴らされ、魔力を帯びた火花が散る。


 書店のような店では、魔導書や古文書が山積みにされ、店主が客と専門的な話をしている。


「魔法文化が根付いてるのがよく分かるわね」


 マヨが周囲を見渡しながら言う。


「ええ。魔人族などの悪魔種は、漏れなく魔力を有していますからね。固有魔法や属性魔法などのスキルを持つ者も多くいます。それに、アンドロメダは軍事だけでなく、魔術研究でも栄えてきました。父上も、武力一辺倒では国は保てないと、よく言っていました」


 グランはマヨの言葉を聞いて、アンドロメダの魅力を誇らしげに語った。


 それから、


「こちらが中央広場です」


 と、案内を続ける。


 視界が一気に開け、巨大な噴水を中心とした広場が現れる。噴水から立ち上る水は、淡く紫がかった魔力光を帯び、陽光を受けて幻想的に輝いていた。


「うわっ、綺麗ですねぇ」


 カタルシアが思わず息を漏らす。


「ルミナスのとは、また違った良さがあるな」


「これは街の魔力循環を可視化したものです。アルマクの心臓部、といったところですね」


「街そのものが、一つの魔法陣みたいなものだな」


 俺がそう言うと、グランは小さく目を見開き、すぐに微笑んだ。


「流石ですね、ほぼその通りです。このアルマクは魔域となっていまして、いざという時に備えています。ちなみに魔域とは聖域の魔力バージョンです」


 広場では、子どもたちが走り回り、露店の前では笑い声が上がっている。


 戦争の影など、ここからは想像もできないほど、穏やかな光景だった。


「……護りたいもの、ってこういうのよね」


 マヨがぽつりと呟く。俺は何も言わず、その言葉を噛み締めた。


 この街も、ここに生きる人々も、間違いなく"護るべきもの"だ。


「そうですね。これが父上が護ってきたもの。そして、私がこれから護っていくものです」


 グランはそう言いながら、少し覚悟を感じる表情をするが、すぐに笑みを浮かべ、


「さぁ、アルマクはまだまだ広いですよ」


 と言い、観光を続けた。




 その後も俺たちは、アンドロメダの魅力に触れて回った。


「う~ん、おいし~!」


 ミリアは、店にあった珍しいそうな食べ物に目をつけ、それを食べながら歩いている。アンドロメダで採れた海産物の揚げ物が挟まっている、ホットドッグのような食べ物だ。


 アンドロメダは大陸の一番東にあり、海に面しているので、漁業が盛んだった。


 もちろん、俺が買った。いや、買わされた。


(俺の金の取り分が、コイツの食費に吸われてる気がする……)


 そんなこんなしながら、俺たちは通りを抜け、石段の多い坂道を上っていくと、街の喧騒けんそうが少しずつ遠のいていった。


「ここは……?」


 カタルシアが周囲を見回す。


「アルマクでも、少し高い場所です」


 グランはそう答え、手すりのある展望台へと俺たちを導いた。


 そこは城とは別の高台で、街全体を見渡せる場所だった。


 石造りの柵の向こうには、夕暮れに染まり始めた魔王都アルマクが広がっている。


「……すごい」


 思わず、そんな言葉が漏れた。


 建物の影が長く伸び、屋根や塔の輪郭が夕日に照らされて朱色に染まっていく。


 噴水や街路に流れる魔力の光は、昼間よりも柔らかく、まるで街そのものが呼吸しているかのように揺らめいていた。


「黄昏時は、ここが一番綺麗に見えるんです」


 グランは、ローブのフードを取りながら静かに言う。


「父上もお忍びで、よくここに立っていました」


 その声には、懐かしさと、ほんの少しの寂しさが混じっていた。


「『国の上に立つ者は、常に全体を見なければならない。街の明かり一つ一つが、民の命であり、生活であり、未来だ』――と、そう言って」


「……良き父親だったのですね」


 マヨがそう言うと、グランは小さく笑った。


「ええ。厳しくもありましたが、誇れる父でした」


 ミリアは柵に身を乗り出し、夕焼けに染まる街を見つめている。


 マヨも腕を組み、黄昏の街を見下ろしながら口を開く。


 沈黙が落ちる。風が吹き抜け、マントや髪を揺らした。


 だが、その時だった。


「――失礼いたします」


 背後から、低く抑えた声が響いた。


 振り返ると、そこには黒装束に身を包んだ男が立っていた。


 気配が薄く、いつ現れたのか分からない。


「……来たか」


 グランの表情が、一瞬で引き締まる。


「隠密部隊、定期報告です」


 男は膝をつき、簡潔に告げた。


「先日お伝えした通り、軍はこちらに向かってきています。アンドロメダの国境を越えるまで、およそ5日ほどかと」


 隠密兵は一度言葉を切り、続けた。


「ですが――背後に、別の存在が確認されました」


「……続けろ」


 グランの声が低くなる。


「マロン王国への潜入調査で判明したことなのですが……背後で糸を引いているのは――」


 隠密兵は、はっきりと告げる。


「『テルース神王国』。我々の分析では、ほぼ間違いありません」


 その言葉を聞いた瞬間、グランの表情が一変した。


 目を見開き、固まっている。


 夕暮れの空が、ゆっくりと夜へと沈んでいく。さきほどまで穏やかだった街の灯りが、どこか遠く感じられた。


「……もう一度聞く。どこが糸を引いている」


 グランは静かに聞き返す。


「……テルース神王国で御座います。」


 重い沈黙が、展望台を包み込んだ。


 グランは街を見下ろしたまま、しばらく動かなかった。拳が、わずかに震えている。


「……そうか」


 低く、押し殺した声。


 守るべき街。父が命を懸けて築き、遺した国。その背後で、再び蠢く因縁の影。


「なぜ、気づかなかったんだ……」


「テルース神王国とは?」


 俺は恐る恐る質問する。


 グランはゆっくりと顔を上げ、夜空を睨みつけるように呟いた。


「マロンの更に北側の、不可侵領域を越えた先にある大国です。そして――


 亡き父の……仇」


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。


グラン:アンドロメダ魔王国の魔王。真面目。誠実な性格。若い顔だが威厳がある。

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