1ー2
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練習試合終了のホイッスルが鳴る。最後の最後に相手の攻撃をかわして、俺の足元にサッカーボールは残された。
点数は二対一。俺たちのチームの勝ちだ。俺は友達ともみくちゃになりなら勝利を喜んだあと、お母さんのところへと戻った。喉が渇いていたのでスポーツ飲料を勢いよく飲んでいると、慌てないのと優しく窘められる。ぷはっと息をついても興奮は止まらない。
「ねえねえ、お母さん! 見てた!」
「見てたよ~! 今日一番かっこよかったんじゃない?」
青いタオルでわしゃわしゃと汗を拭かれながら、俺は嬉しそうなお母さんの声を誇らしげに聞く。
試合終了が近づいてきた頃、ゴールを決められたら同点となる局面で相手チームが積極的に攻めてきた。ここで守備が崩されたらゴールされてしまう。先に進ませないよう、相手の立ち位置などを見てボールを奪うこと集中した。もう時間もわずかというところで上手く相手のパスを遮ることができて、俺は最後までボールを守り抜くことができたのだ。
本当は一点取りたかった。だけど、勝ちに貢献できたのは素直に嬉しかったし、誇らしかった。
「動画撮っておいたから、お父さんにも見せてあげよう」
「え! 動画撮ってたの? 見せて見せて!」
「はいはい、あとでね。ほら、コーチが呼んでるよ」
気づけば、コーチの前にみんなが集まっていた。今日の試合のまとめをするのだろう。俺は慌ててお母さんに飲み物を渡すと、みんなの輪に入っていった。青いユニフォームに黒の半ズボンという、普段の練習とは違う格好が余計に気持ちを昂らせていた。
サッカー日本代表のユニフォームにも使われている色。空よりも濃い青が、俺は好きだった。
「お父さん! ねえ聞いて聞いて――!」
家に帰るなり、俺はお父さんのところへと走る。ちゃんと靴を揃えて脱ぎなさい、というお母さんの声が遠くから聞こえた。手洗いうがいはしなさい、とお父さんに洗面所へ強制連行されてから、お母さんが撮ってくれた動画を一緒に見た。
「おー。よく撮れてるじゃん」
「よかった。青弥、チームで今日一番の活躍だったんだよ?」
「そっか! 頑張ったな」
お父さんにわしゃわしゃと頭を撫でられた。このころは褒めてもらえるのが嬉しくて、どんどん練習に熱が入ったのを覚えている。なんの変哲もない、穏やかな家だった。
三人で笑えなくなってしまったのは。
平穏で満ち足りていた家が変わってしまったのは、いつだったんだろう。
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