10.ポイント・ボード・アクセス権の価値
「うん、ありがとう、そうなんだけど」
マサノリは、後ろ頭を掻くようにして困っている。
「もうわかると思うんだけど」
「はい、金貨があまりないんですよね」
「なんだよね。930ポイントでアクセス権、転移場所指定で50ポイント、残り20ポイントだろ?
金貨だけで来るのは不安だったから、食料の袋もひとつ交換したし」
「うん、うん。私もそう思って、食料の袋を3個交換しました」
「そうだよね、大声でポイントが金貨になったことを教えてくれた人、いたよね、バルカン・コスの」
「わたしもそれを聞いて、じゃあ0.1ポイントが銀貨かもしれないって」
「俺もそう思って、ポイントの残りが少ないから1個だけね。
それで転移してきたときの所持金が金貨19枚に、銀貨9枚だったわけ」
「ああー、それで。もしかしてそれで門の前で様子見てました?」
「うん、まあ。
で、入街税が銀貨1枚、広場で銀貨3枚、ホテルの宿泊費が2人分で金貨2枚、さっきのボーイ?の男の子に銀貨1枚で、所持金は金貨17枚に銀貨4枚なんだ」
「あー、すいません、えーっと、宿泊代の金貨1枚と、広場のお茶代銀貨1枚に、あと情報料がえっと、広場のおにいさんに2枚、ボーイさんにチップ1枚もありましたね。
まず宿泊代の半分、金貨1枚でしょ、多少余裕があるので、お茶代とチップと情報料の銀貨4枚は負担させてください。ありがとうございました」
「うん、助かるけど、えっと、ありがとう。だけど一応稼ぐ当てはあるんだよ」
「聞いてもいい内容ですか?」
「うん、一緒に行動してもらえるとありがたいんだけど」
マサノリは、思い切ってこういう選択をした理由を話し始めた。
もらったポイントと、リストにある武具やレベルの高い魔法を手に入れるポイントの差が大きすぎる。とすれば、人によって与えられているポイントが違うという可能性が第一に来るだろう。しかし、自分のポイントが1,000、大きい物は100万ポイントを越えるとなれば、裏があると思うしかない。
しかも、金貨をポイントに換えることができると説明があった。
なるほど。ミノリはかなり驚いた。あの緊張感漂う空間で、よくそこまで。ふーん、すごいね、野中さん。
マサノリは、ミノリが理解したようなので話を続ける。
「でね、これから外に出て物価を確認したいんだけど。ひとりじゃ偏るかもしれないだろう? 一緒に行ってくれないかな」
「もちろん協力させてもらいますけど、何故でしょう?」
「あ、説明不足だったか。えーっとね、リストには、回復ポーションとか、解毒ポーション、盾や剣、他にもいろいろ道具やアイテムがあったよね。それがリスト内の値段より高く売れるようならさ」
「ああー、なるほどー、野中さん、賢いですねえ」
「い、いや、そういう訳でも。
他の転送された人が、取り損ねたのがあったら、手数料をもらって手に入れてあげれば、win-winかな、って。すごく短絡的だよね。
考えてみたら、みんなぎりぎりの構成にしてて、金貨にあまり余裕ないだろうから、他のやり方がないかなーって。街門前でいろいろ考えていたら、出遅れたみたいで。
そこに赤ずきんさんが来たわけ。知ってる人に合えて、本当にほっとしたよ」
「ああー、もしかして、私が取り忘れたものがあったら買ってくれようって?」
「う、うん、まあ一瞬それも考えたけど、クッキーとコーヒーを交換している仲で、手数料はちょっと言い出しにくいなあ」
「いや、それはいいですけど。
やっぱり、みんなそれぞれの考えるぎりぎりまでポイント交換したと思いますよ?
いいアイディアだと思うけど、すぐは無理じゃないかな?」
「だよねー、だからこの街にポーションを買ってくれる冒険者ギルドや、武器や防具を買ってくれる店があればな、って」
「そうだよね、こういう状況だと、多分迷宮とかもあるから。うん、確認しに行こう?」
「ありがとう、助かるよ。ポイントと金貨の交換率が1対1だから、メモしてきて計算してみたいんだよね」
「私、ペンとメモ用紙持ってますよ」
「うん、俺も」
うまく意見が一致して、ふたりは運が良かった。
ミノリは自分が金貨を200枚以上持っていることは、ちょっと親しくなっただけの人に話すつもりはなかった。ぎりぎりまでポイント交換した、そういうことにしておくのがいいと思ったのだった。




