続・水中神殿2
イボガエル戦士の後ろに、何と王冠を頭に乗せてる殿様カエルまでいた。コイツも巨大で、俺より背が高くてふっくらとカエル体型でいらっしゃる。
武器は王笏なので、ひょっとして魔法を使って来るのかも? そんな事より、列を揃えて突進して来る槍持ちカエルが厄介だ。
《ブン回し》で対抗しつつ、こちらも浅くない傷をあちこちに負ってしまう。相手がある程度の戦術を使って来ると、本当にしんどいな。
しかも足止めを喰らった所に、魔法使いカエルの攻撃呪文が飛んで来る始末。コイツ等は3匹と数は少ないが、呪文の命中率は凄く高くて避けるのはまず無理!
そんな感じで、槍持ちの前衛カエルを倒すのに手間取っていると。とうとう、ハンマー持ちの巨大イボガエルが戦闘エリアに参入して来た。
近付かれた感想は、素直にカエル気持ち悪い……と言うね。ってか、数を減らさないと不味いな、見た目を気にしている場合では無いぞ。
《スパーク》と《バグB》を定期的に使って、魔法戦士の闘い方を本格的に演じてみる。弱った敵を仕留めるのに、魔法で追撃&足止めは凄く効率が良いな。
周囲を囲まれて派手に動けないので、仕方なくの措置だったんだけど。敵も連携は不十分な様子で、巨大イボガエルが2回りも小さい前衛カエルのせいで前に出て来れない有り様。
仕方なさそうに、後衛魔法カエルと一緒に後ろでゲコゲコしている。殿様カエルも、その点は一緒で未だ戦闘には参加していない……。
って思ってたら、さっきから前衛カエルの回復をしているのはコイツか!?
数がなかなか減らないなと思ってたけど、回復魔法持ちは厄介だな。半ダース近くいる槍持ちだけでも大変なのに、何気に殺意の高い編成じゃないか。
それならこっちも、本気で殲滅戦へと移行してやる。まずは《フラッシュ》で敵を纏めて目潰しして、その隙に右側へと抜けて行く。
そして、防御も侭ならない後衛の魔法カエルに《撃ち上げ花火》をぶち込んで行く。これでやっと3匹目の撃沈となって、こちらの意気も上がって来た。
おっと、ファーが水晶玉を放り込んで、与太ってた前衛が更に2匹お亡くなりに。そのファーの飛ぶ姿を、挙動不審な巨大ガマガエルの1匹がロックオン。
水晶玉の攻撃は、敵対心をそんなに高めないと思ってたけど。全く煽らない訳では無いみたい、そして《丸呑み》と言う呑み込み技が発動してしまった……またかよ、ファーさん!
俺は慌てて救出作業、呑み込みカエルの大きな腹に棍棒を叩き込む。
しかしその攻撃は棒の先がポヨ~ンと弾き返され、まさかの打撃耐性持ちですかっ!? 更に隣の巨大ガマガエルの舌が伸びて来て、俺の持つ武器を奪い取ろうとして来る。
なるほど、本当はこうやって武器を奪う技なのかもね。なのに相棒が、丁度美味しそうなサイズだったりするから……いやいや、今は分析より救出が先だ。
棍棒が駄目なら、身体を張ってのタックル攻撃でどうだ!? 全身で全力で飛び込んだ結果、その衝撃で何とか相棒は吐き出されてくれた。
弾き飛ばされて転がった俺に、巨大イボガエルの《ペチャンコ蛙》と言うプレス技が飛んで来た。戦闘エリアは半分水の中なので、そんなに効果は無かったけど肝は思い切り冷えた。
それにしても身を削る技だな……相手も体勢を崩してくれて、お陰でこちらも装備変更の時間を取れた。棍棒が効かないなら、海賊の短槍にチェンジしてやる。
ついでに《Dタッチ》での体力回復、効きはまずまずでこいつ等の魔法耐性は低い模様。ただしすかさず殿様カエルから回復と、魔法カエルから攻撃魔法が飛んで来る。
さっさとMP切れを起こして欲しい、こっちの体力が先に尽きちゃうよ。それでも目の前の巨大イボガエル、暗闇状態までは回復してないらしい。
追い掛けて来る槍持ちカエルを《スパーク》で怯ませて、殿様ガエルをターゲティング。近付いての連続突き……よしっ、ちゃんと効いている。
相手は王笏でガードしようと試みて、すぐそれを諦めて弱体魔法を飛ばして来た。お陰で嫌なスリップダメージ付与と、ついでに防御力がダウンしたとの報告がログに示された。
甘んじてそれを受けた甲斐はあった、回復役を先に潰す作戦を見事に遂行完了。後ろから巨大ガマガエルと前衛カエルに数発殴られたけど、波は確実に変わる筈。
ここで回復を挟みたいけど、いつもの相棒の用意は何処に?
いた、壁の各所に窓のような切り抜きがあって、そこに避難してポーション瓶を用意してくれている。大急ぎで近付こうとするも、何しろ水中で動きに制限が。
《水中呼吸》の魔法も、さっき効果切れしてしまって転ぶのは不味い。下手したら先程のプレス技で、溺死させられ……って、近付くといかにもテンションの低いファーの姿が。
どうやらイボカエルに丸呑みの餌食にされて、いたく心が傷ついている様子。慰めてあげたいが、こっちも今はそれどころでは無い。
向こうは水中適応の能力があるから、全く引き離せていないのだ。目潰ししてやった奴らも、軒並み回復してこちらを目指している。
残りは巨大イボガエル×2を含めて7匹、回復役がいない分楽にはなったけど。次は厄介な、魔法使いカエル×2匹がターゲットだな。
ここまで散々、やりたい放題して来たツケを払わせてやる。その前に、ヤル気の無いファーと協力して、固まって来ている連中に連続で水晶玉の投入!
これで万遍なく削れた……ついでに、手甲に隠してた投げナイフで目標の後衛カエルの1匹を潰す事に成功。長丁場の戦闘なのだ、MPもそろそろ節約しないと。
とか言いつつ、《Dタッチ》を元気な巨大ハンマー持ちに使ってみたり。コイツの一撃を喰らうと、魔法攻撃並みに痛いからなぁ。
それに対抗して贅沢に水晶玉投入の結果、ポーチ内の水と闇の水晶玉は綺麗に無くなってしまった。お陰で周囲のカエルのHPは、軒並み半減以下に。
その浪費のお陰で、そろそろフィニッシュも見えて来たかな。持ち替えた短槍での《二段突き》で、更に前衛カエルを1匹屠ってやる。
その反撃に、近付いて来た巨大ガマガエルの《毒息》で毒状態にされてしまった。せっかく殿様カエルの魔法スリップが切れたのに、また継続ダメージかよ。
腹が立ったので、そいつに全力の《落とし突き》を見舞わせてやった。今度は弾かれずに、ちゃんとダメージは通った様子で何より。
しかも結構な与太り具合、ひょっとして殴りには強いけど斬突には弱いのか? それならもっとご馳走してやろう、お返しのハンマーは何とか手甲で軌道を逸らしてやって。
華麗に避けたい所だけど、水張りのエリアはそれが出来ないから鬱陶しくて仕方が無い。体力150超えがモノを言ったな、防御力も何気に上がって来ているし。
残りのカエルの掃討は、それから何とか5分余りで全て完了の運びに。
やれやれ、機動力を奪われた上に大勢で囲まれるとか、酷く殺意の高い部屋だったな。しかしドロップは割と良好で、今までの外れ報酬が嘘みたいに種類も豊富。
まずは前衛カエルは、全員が銀のメダルと『蛙の歌笛』と言うアイテムをドロップ。銀のメダルは10枚で金のメダル1枚の価値があるっぽい。
そう言えば、コボルトやゴブリンもたまにだが落としてたっけ。そして蛙の歌笛は、戦闘中に使用する使い捨てのアイテムらしい。
これを吹くと、敵の足元に数秒間だけオタマジャクシが大量発生して嫌がらせしてくれる模様。見なかった事にしよう……いやでも、精神的なダメージは入るのか?
取り敢えず売ればお金になる筈、それより次は魔法カエルのドロップだ。水の水晶玉をそれぞれ、つまりは3個ゲット出来たのはナイス補充だな。
これは全部ファーに渡してしまおう、そんな相棒はようやくテンション持ち直しつつあった。俺はおやつと一緒に、ドロップ品とポーション瓶を手渡してやる。
それを受け取り、夢中になってチョコを頬張る妖精。これで何とか復活して欲しい、そしてお待ちかねの巨大ガマガエルと殿様カエルの討伐報酬である。
こちらに関しては、武器と防具が割とたくさん拾えた模様。
――蛙のハンマー 耐久10、攻+12、水耐性+20%up
――蛙のブーツ 耐久8、防+6、水耐性+30%up
――蛙の王笏 耐久11、攻+7、水魔法+30%up
どれも性能いいな、それなりにレアな敵だったのだろうか……王笏なんて特に良い、水魔法の威力が上がるらしいので、後衛の杖装備の冒険者は喜ぶだろう。
こちらは前衛の魔法戦士なので、使い道はあまり無いけどね。一応は両手棍のカテゴリーだから、俺のアバターが使う事は可能ではある。
ただしそれなら、攻撃力が2桁の蛙のハンマーを使うかなって話だ。こっちも良い武器だな、俺の所持してる手製の棍棒より遥かに威力は高い。
その代わり、大振りな武器なので間違っても片手で振り回すなんて芸当は無理。使い勝手は悪くなるけど、威力を取ってこっちにシフトするかで悩む所。
ブーツも、今のスタミナ消費を抑えてくれる旅人の靴との交換は悩ましい。取り敢えず、この水系のダンジョンでは重宝するかもなので履き替えておこうか。
そして、殿様カエルは他にも色々落としてくれていた。
水色の水飴はお菓子の分類らしい、これはファーのご機嫌取りに取っておくとして。何と、大物並みの魔石(小)とかも持っていたみたいでビックリ。
レア種並みの敵だったのかな、あの群れを率いてたのなら充分に納得出来る。そしたら、ついでにスキルPもくれれば良かったのにね。
それは勿論だが、報酬には入っていなくて残念な限り。その代わりに、ゴージャスな金の王冠がドロップしてくれていた。
これは頭装備とは違うらしく、防御力の記載は全く無い。
一応は被れるらしいけど、やっぱり収まりは悪いわな。似合うか? と妖精に訊ねると、ファーは俺の頭に飛び乗ってそれを自分で被ろうと奮闘し始めてしまった。
サイズが全然違うじゃん、無理だって……それでもようやく元気の戻って来た相棒に、こちらも自然と笑みが湧き出てしまう。
例えトラブルメーカーでも、大事な相方には違いないし。
――どうぞ今後も、長いお付き合いを宜しくってね!




