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ミックスブラッドオンライン・リメイク  作者: 鳥井雫
始まりの森編

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逃走と追跡の果てに



 相手の余剰戦力の動向も気になる、ちなみに王様ゴブの破壊工作は順調なようだ。後ろの魔術師ゴブが邪魔で仕方が無いが、回復魔法を持ってなさそうなのが唯一の救いだろうか。

 魔法は射線が通っていないと、当てるのが途端に難しくなる。ただ相手はルーズなのか、そんな事お構いなしに攻撃魔法をブッ放して来ている。


 焦げた臭いがする戦場で、尚も(きょう)に乗った様子で呪文の詠唱を続けている。まるで呪文ジャンキーだな、まぁハイになっているのはゴブリン集団全員か。

 戦闘狂な軍団なのか、それともレア種ゴブ王の能力の為せる(わざ)なのか。怖いモノ知らずな動きは脅威だが、コスト的には全く優れていないのは見ての通り。


 『命とMP大事に』とは正反対の作戦、こちらも付け入る隙は大いにある。そんな訳で1匹目の護衛ゴブをようやく始末して、俺たちは更に倒木の奥へとお引越し。

 巨大キメラの破壊した森の道は、奥へ行く程に倒された木々の重なりが複雑になっている。こちらが移動を果たしたと同時に、もう1匹の戦士ゴブの束縛魔法の効果が切れた。


 少し遅れて、王様ゴブと魔術師ゴブのペアも、道を切り開いて侵入を果たして来た。そこに俺がいなくてキレてる王様だが、クレームは受け付けませんので()しからず。

 ちなみに、家来の2匹は大慌てでこちらを追うルートを模索している。


 今回の侵入経路は、しゃがんで入り込むのはまず無理だ。ネム程度の小柄な仔なら平気だが、人の体型だと重なって出来上がった防壁を乗り越えて来るしかない。

 むろん俺がそれを黙って見ている訳が無く、意地悪に邪魔するんだけどね? ファーも良さげな隙間を見付けて、ネムに攻撃指示を出している。


 相棒コンビも楽しんでいるようで何より、ただし魔法には気を付けてね? こちらも順調に、乗り越えようとして来た護衛ゴブを叩き落としてやる。

 更にそいつが運悪く、こちらに落下して来たモノだから笑いが止まらない。狭い倒木に追い込んでタコ殴りにしてやって、これで護衛ゴブ2匹目も無事に没。


 そうこうしている内に、MP切れしていた魔術師ゴブリンをネムが倒してしまった。薄っぺらな装備で、何故か倒木を登ろうとしていたらしい。

 そこを隙間から、見事に相棒コンビに狙い撃ちされたっぽい。



 完全に取り残されて荒ぶっている王様ゴブ、何故かハイパー化に及んでますけど。部下たちを倒されて怒り心頭な様子、倒木の向こうで勝手に暴れ回っている。

 それに付き合う(いわ)れも無いので、こちらは隙間から闇魔法で狙撃の練習など。《バグ(ボール)》や《(ダーク)タッチ》が良く効くが、このまま完封はちょっと無理かも。


 何しろMPが持ちそうにない、いつかは対面で接近戦を挑まないと。マナポがぶ飲み案もあるにはあるけど、レア種相手に()め殺しみたいな汚い手段は極力避けたい。

 取り敢えず敵のハイパー化が治まるのを待ちつつ、強化や回復に励んでいると。ファーが何やら、倒木の高場でごそごそやり始めていた。


 どうやら自身の観戦席を、倒木の葉っぱを編み上げて作り上げている様子。意味があるのかないのか、妖精のやる事は良く分からないな。

 それでも彼女の、はしゃいだ視線の意味は何となく理解出来た。ファーが指差す先には、王様ゴブの(かぶ)っている(きらび)びやかな王冠が窺える。


 竜族ほどでは無いけれど、ファーも光物が好きでたまらないらしい。特に王冠はお気に入りのアイテムで、俺にアレが欲しいとおねだり模様。

 いや、ドロップしたら考えても良いけど、ちょっとお嬢さん気が早過ぎませんかね? 第一、討伐対象をドロップ品扱いするのも失礼な話ではある。


 しかしまぁ、冒険者が命を懸けて強敵に挑むのはそういった旨みがあっての話だからねぇ。だから相棒の物欲センサーを、悪くは言えないってのも道理ではある。

 むしろ、(たくま)しく生きて行く上での必然だとも思う。そんな訳で、ようやくハイパー化が止まった王様と改めて対峙する俺。


 こちらの場所取りはバッチリ、倒木の上からダイブ気味の《落とし突き》をまずはお見舞い。度胸一発の大技だが、綺麗に決まってまずは先制打。

 しかし、お返しの大剣の振り回しは物凄くダイナミック。当たると洒落(しゃれ)にならないダメージを喰らうんだろうな、凄いパワーなのは間違いない。


 さっき(うかが)っていた限りでは、魔法も使うっぽいのでコイツは油断ならない。改めて対峙した、もはや孤立奮闘となった王様ゴブだけど。

 煌びやかな装備とは裏腹に、使って来るスキルは汚い手段ばかりで嫌になる。例えば光魔法の目潰しとか、大剣でのスタン技とか足払いとか。


 このコンボを喰らってしまい、いきなりHP半減となってしまった。大慌ての相棒陣営、ネムが宙から割って入って、ファーがポーション瓶を用意してくれる。

 まだまだ2日目の3人体制だけど、コンビプレイはこなれて来た感がある。一騎となってしまった向こうには悪いが、ここは仲間の気遣いに乗っかる事に。


 さて今度はこっちの反撃だ、まずは闇魔法で気を散らしておこうか。お気に入りの《(ダーク)タッチ》は、効果は相変わらず上々で嬉しい限り。

 それに加えて、初使用の《(ダーク)ジャッジ》は驚きの有効性を示してくれた。格上なので効き辛いと思っていたが、これも属性効果だろうか。


 何故か知らないけど、見当違いの方向へと攻撃を始める王様ゴブ。何だか(きこり)チックだけど、笑ってこの好機をフイになどしたくは無い。

 そんな訳で、貯まったSPで怒涛(どとう)の攻撃を仕掛ける事に。


 相棒のネムもえげつない、敵が反撃しないとなると顔面狙いとか嬉々として実行してる。やんちゃ者なのは間違い無いが、パワーも(あなど)れないと来ている。

 仔竜の潜在ステータスのお陰で、ダメージもそこそこに与えてくれている。ファーの面倒見の良さで、ネムは変な仔に育たないと信じたいよね。


 何と言うかゲーム内で早々に従者を得るってのは、結構なステータスらしい。これは琴音や誠也のベテラン勢に聞いたので、まず間違いは無さそう。

 確かに便利な子達だが、何より可愛いってのが一番良いよね。



 とにかく《四段突き》からの《白垂飛泉槍》で、敵のHPは一気に減って行った。更に体勢を崩した相手へと、容赦のない相棒込みの畳み掛け。

 向こうも無理な体勢から、剣を振るったり頭突きを繰り出したり悪足掻(わるあが)きが酷い。残りHPはあと3割ほどだが、さすがレア種である。


 負ける事などちっとも考えていない、王様根性とでも言おうか。そしてその後の一押しで、王様ゴブの肌が赤茶色に変化を果たした。

 どうやら2度目のハイパー化らしく、こうなるともう手が付けられない。馬鹿でかい大剣を、まるで包丁の様に軽々と振り回すのは止めて欲しい。


 危うく撃墜されそうになったネムを、何とか倒木の奥へと下げて俺はそれに対処する。そのまま(おとり)役に、こっちで王様の気を惹いてやっての追い駆けっこ。

 削れた木の破片が飛び散る中、倒木の中を命懸けの鬼ごっこは続く。身軽な装備で良かった、何とか追撃を振り切りつつ倒木に潜り込んだり飛び越えたり。


 相手が倒木につっかえたら、すかさず《バグ(ボール)》を撃ち込んでの嫌がらせを敢行。そして気が付いたら、相手はようやくスタミナ切れを起こしていた。

 いや、こっちのスタミナもかなり危ないけどね? この後の予定が詰まっているので、ここは呑気にランチ時間など取ってはいられない。


 その後の予定の為にも、邪魔なお客にはそろそろ退場を願おうか。完全にバテて動きが鈍った王様ゴブに向け、再び登った倒木から飛び降り様の《落とし突き》!

 それがほぼ止めになった模様、厄介な団体様はこれで全て退場の流れに。




 やれやれ、時間が無い時の団体様のレア種ほど性質が悪いモノは無いな。その分ドロップは良かったけど、お蔭で完全に巨大キメラを見失ってしまった。

 今では地を揺るがす振動も、木々の倒れる音も聞こえて来ない。相当離されてしまった様子、少なくとも時間にしたら5~10分以上の距離かなぁ。


 とは言え、こちらも戦闘後で休息は必要である。手短に回復と、それからスタミナ補充を行なったら、すぐに奴を追い掛けないと。

 ちなみに、ゴブ王から貰えたスキルPは4Pと割と大量だった。ゴブリンキングは、どうやら強者の部類に入っていたらしい。


 とは言え、部下の人数を考慮に入れたら少しだけ物足りない気もする。その分、部下のドロップにも見慣れないアイテムが混じっていた。

 例えば『戦士の紋章』とか『魔術師の証』『騎乗者の鞭』とか、良く分からない初見のモノばかり。革製の鞍とかも混じってて、どう使って良いモノやら。


 まさかネムが一気に成長する訳でも無し、ちょっと憧れはあるけどね? ファーの騎乗姿は微笑ましいが、それに取って代わろうとか大人げない事は考えてはいない。

 部下ゴブのドロップで目ぼしいのは、後は魔石(小)×2個くらいだろうか。


 肝心の王様ゴブのドロップは、豪奢(ごうしゃ)な王冠や金のインゴットなど換金性の高いモノが多い。他には定番の光の水晶玉×6とか、魔石(中)とか光の術書とか。

 武器では『マンスラッシャー』と言う名前の大剣が、防具では『鈍重の鎧』と言うのがドロップ。大剣は対人に効果プラスとか、その名の通りの性能。


 ちょっと怖い付加性能だが、ダメージそのものは高くて実用性は高そう。防具の方は、見た目は豪華で防御力も高いが、名前の通りかなり重そうだ。

 2つとも使う予定はまるっきり無いから、売りリストの筆頭になってしまうかな。あと特筆すべき報酬は『従者の呼び鈴』と言う召喚用アイテム位のモノ。


 これは何を呼び出すか不明だが、従者持ちだった王様らしいドロップ品かも。ちなみに王冠は、目敏(めざと)くこれを発見したファーに強請(ねだ)られて献上済み。

 そのファーは、今はネムと一緒に果物と水飴でスタミナ回復中。


 そんなドロップ品を全て確定して、鞄の整理とこちらもスタミナ回復兼休憩を少々。今回の戦闘の経験値で、またもレベルが上がりそうなのは置いといて。

 巨大キメラの動向に、気が急いて仕方が無い……あの化け物を野に放った責任の一端は、俺に無いとも言えないのが辛い所である。

 召喚元のアイテム、妖魔に提供しちゃったしなぁ……。





 ――アレがヤンチャをする前に、何とか回収したいけど無理かなぁ!?








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