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ミックスブラッドオンライン・リメイク  作者: 鳥井雫
始まりの森編

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安全地帯の闘い・リターン



 こちらの戦い方はある程度決まっている、つまりは自己強化を掛けて向こうの片割れを足止めする。それから片方ずつ潰していく、それが基本パターンだ。

 足止めはいつもは魔法を使っているが、今回はネムと『闇水』の海月モドキがいる。これを上手く使えれば、手強い着ぐるみ戦士とも互角に戦える筈。


 そして何より、今度はこちらにも秘密にしている奥の手があるからね。そんな訳で、今回の戦いには短槍をチョイスする流れに。

 普段は複数相手には両手棍を使用するけど、その奥の手が短槍の複合スキル技なのだ。つまりは、今回に限っては選択の余地も無い。


 寝起きモードで気(ダル)そうな小さな相棒達に、これから戦闘だぞと喝入れなどしつつ。ファーには前もって、最初の動きの細かな指示を伝えておく。

 ()にも(かく)にも、最初に自己強化の時間が欲しい。


 『手合せ:複数』のクエ依頼書には、熊の顔と犬の顔が印刷されていた。恐らくこの両者との対戦なのだろう、犬はともかく熊さんは力が強くて手強そうだ。

 前回の“豹マン”だったか、そいつは確か、魔法の類は一切使って来なかった。記憶の限りでは、あの竜宮城のマッチョ魚人と同じく、バリバリの肉体派だった筈。


 恐らくは、魔法耐性も低いから呪文は効果がありそうなのは有り難い。2対1だと、そうそう悠長に呪文を唱えている暇など貰えないけどね。

 ここは何とか小さな相棒に期待、どうにかしてタイマン勝負の形には持ち込みたい。そうすると組み合わせだけど、仔竜のネムに熊さんは少し辛いかな?


 ネムとファーのコンビに犬を足止めして貰って、俺が熊の相手をする感じが良いだろう。なるべく素早く倒したいが、短期決戦に持ち込めるかは怪しい所。

 うん、大まかな作戦はこんな所かな?


 そうと決まれば対戦の申し込みだ、クエ依頼書を近くにいた熊に差し出す。すると着ぐるみが器用にもニヒルな笑みを浮かべ、おもむろに立ち上がる素振り。

 それから相棒の犬の着ぐるみに近付くと、2匹で変にアクロバティックな「挑戦受けて立つぜ」的なポーズを披露してくれた。


 ……それに何か意味はあるのかな、いや多分無いのだろう。そして前回と一緒で、ぞろぞろと空き地に観戦の輪を作り始める他の着ぐるみたち。

 その中央には、腕組みをして不敵な面構えの2匹の着ぐるみズの姿が。まるで、どこかの悪役の兄弟レスラーみたいなアピール振りだな。


 これこれファーさん、挑発に乗って対抗するのはやめなさい。ネムまで鼻息荒くして、まぁ少々入れ込むくらいが丁度良いのかも知れないけど。

 とにかく依頼書は無事に受理された様子、これから対戦が始まるのは確定っぽい。俺達も輪の中に入って、距離を置いて相手と睨み合う。



 対戦開始の合図は、いつかの猫の着ぐるみが鳴らした太鼓だった。俺と相棒は素早く反応、まずは打ち合わせ通りに《ストーン(ウォール)》で土の障害物を作り出す。

 足止めにしてはかなり物足りないが、何故かこれは相手には無視出来ない特性を持っている。その隙に強化魔法を掛けていくつもり、もしくはこれを障害物にして逃げ回るとか。


 いやいや、逃げ回ってたら呪文は唱えられないんだけどね。お次は《硬化》の強化呪文だ……隣で息も荒く飛翔している仔竜とファーは、まだ動く素振りが無い。

 作戦では、相手が突っ込んで来たらブレスをお見舞いしてのタゲ取り後、宙に逃げる手筈なんだけど。ところが相手チームは、未だに動く気配がなかった。


 どうやら、こちらの強化を待っていてくれてるっぽいのが微妙に腹が立つ。余裕を見せてるのか、スタートの位置から全く動こうとしない。

 いいだろう、後で必ず吠え面かかせてやる!


 とか思いつつ、しっかりその間に《炎テンション》と《風属性付与》を掛けて行く。貰った時間は有効に、決して挑発には乗らず自分のペースでが信条である。

 戦闘開始の合図にと、ついでに《魔女の略奪》を熊に飛ばしてみたが、これは敢え無くレジストされた。それを挑発と受け取ったのか、ゆるりとまずは熊の着ぐるみが動き出す。


 その手には、大振りの錆びた両手棍がしっかりと握られていた。それに関しては、バッチリこちらの目論見(もくろみ)通りで内心ニンマリである。

 前回の観察と傾向を生かして、安全地帯に放置しておく装備品を少し(いじ)ってみたのだ。その結果、熊さんは両手棍で、犬に限っては短槍と手甲のセットである。


 テンション上がるね、討伐報酬が今から楽しみで仕方が無い。奴らのドロップ品だが、両手棍かせめて手甲の上物が欲しいんだけどな。

 何はともあれ、動き出した熊と犬の着ぐるみの頭の(かぶ)り物が、派手な音と共に真っ二つに割れるのも前回と一緒。それに追従して、2匹の持つ錆びた武器が光を放って新品に変わって行った。


 そして現れたのは、なかなか強そうなリアル獣顔の熊さんと犬君だった。その名も“熊マン”と“犬男”って、ネームセンスを(はなは)だしく疑うレベル。

 まぁ実力はあるんだろうな、動き出しの筋肉の躍動が並みじゃない。



 俺の弱体魔法は失敗だったけど、ネムのブレスは効果はあった様子。それ程削れなかったのは、恐らく相手のHPがレア種並みに多いせいだろう。

 ってか、前回と同じくこいつ等ユニーク種だったりする。今は宙に浮き上がる仔竜を、揃ってタゲって伸び上っていて、ちょっと間抜けな姿を(さら)している。


 隙だらけの正中線に、ここぞとばかりに必殺技……はSP不足でまだ無理。代わりに地味に竜宮の短槍で突き掛かって、作戦通りに熊マンのタゲ取りは成功した。

 そしてネムが自由に動き回れるよう、フィールドの端っこに誘導してやる。ちなみにこの簡易フィールド、透明なバリアで(おお)われていてエリア外には逃亡不可。


 戦うには充分広いけど、何となく閉塞(へいそく)感も感じてしまう。ちなみに群衆の着ぐるみNPC達は、等間隔を保って呑気に観戦中。

 こちらのちまちました攻撃に対し、熊マンは豪快な重い一撃を返して来る。当たったらエライ事になるのは目に見えていて、俺は必死にそれを(かわ)して行く。


 とにかく間合いを取りながら、SPが貯まるのをひたすら待ちつつの戦闘である。いまいち集中仕切れないのは、ネムとファーのコンビも気に掛かるせい。

 そのせいか、前もって用意していた海月モドキも土壁の上から不動のまま。


 それでも一方的に攻撃は当てている、全然削れてはいないけどね。SP貯めにはそれで充分だし、こちらのHPは安全圏のまま全く減っていない。

 ただし、一発でも喰らえば完全に流れは向こうが支配するだろう。熊の持つ両手棍は、先端に色々と工夫がされていて、あれで殴られるととっても痛そう。


 何と言うか、硬い鎧を着てても簡単に(えぐ)られそうな凶悪な形状は怖い。ちょっと欲しいと思ったけど、自分の身体で威力を知るのは真っ平御免である。

 ひたすら移動しながらの攻防戦、称号の『蝶舞』が良い感じに効いている。その視界の隅に、不意に別のターゲットが映り込んだのは、こちら有利のそんな攻防戦の際中だった。


 こちらも有利な上空をキープしているネムと、何とかそれを撃墜しようと目論んでいる犬男の構図。その犬男、相棒の熊マンを台座替わりに空中に飛び上がろうとしてる!

 それはさせたら不味いと、咄嗟(とっさ)に貯まってたSPで《四段突き》での撃ち落としを敢行。しまったな、2匹とも自分がタゲを持ってしまった。


 完ぺき作戦通りとはいかない、イレギュラーは常に存在するモノだ。空中のファーは、「あれっ、散歩途中の犬がはぐれた」みたいな表情。

 その結果、2匹揃っての攻勢に向こう側も活気付いた雰囲気を(ただよ)わせている。それに乗じて、いつか見た《野生ラッシュ》での猛攻が始まってしまった。



 何とか手甲でガードするも、その猛攻はとてもそん片手で(しの)げるレベルでは無い。特に熊の両手棍は予想通りの凶悪さ、とうとう身を以て味わう破目に(おちい)った。

 こちらのHPは瞬く間に半減、溜まらず用意していた土壁の後ろへと避難する。


 そして用意してあった、ポーション瓶を手に取って一気飲み。(そな)えあれば憂いなしである、更に今まで出番の無かった海月(クラゲ)モドキを前進させてやる。

 この生物モドキ、実は戦闘中に動かすのにコツが必要なのだ。ってか、単純に戦闘中は集中するのが大変ってだけなんだけど。


 ながら操縦が上手に出来ないのは、当然なので仕方が無い事ではある。ただしそれが出来ないと、兵力の増加に結び付かないと言うジレンマが。

 今は幸い、操縦に集中出来ているのでケダモノ2匹の興味を海月モドキに()けている。ある意味無敵の生物モドキ、そいつがタゲを取っている間に再び《魔女の略奪》を詠唱。


 今度はすんなりと掛かった、熊マンのステ減少と同時にこちらのステがアップしたとの通知が。どうやらさっきのレジストは、戦闘前扱いとかだったのかも。

 着ぐるみマスクが割れる前だったしね、これで戦いの目処(めど)が立ちそう。


 相手が魔法に弱いとの前提が、立証されたのが割と大きい。片割れの犬男にも《(ターク)タッチ》を喰らわせ、魔法の効果に明らかに(ひる)んでいるケダモノ連合軍に思わずニヤリ。

 それを勝機と見たのか、背後から突っ込んでいく相棒コンビ。ファーは水晶玉での範囲攻撃を仕掛けているし、ネムは犬男の首筋に噛み付いて離れない。

 割とやりたい放題だ、それじゃこちらもそれに乗じようじゃないか。





 ――ここから反撃だ、作戦とは違って来るが最後に笑えばそれでいい。








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