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ミックスブラッドオンライン・リメイク  作者: 鳥井雫
始まりの森編

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8属性魔法のコンプには夢がある



 合成過程を考えあぐねていたら、ネムがこちらの食べかけのお握りに目を付けた。そして甘えるように、フンフンと鼻を鳴らしている。

 食べ足りないみたい、意外と仔竜って食いしん坊だな。肉も好きなのだろうか、とっておきの肉串も取り出して与えると物凄い食べっぷり。


 俺はさっき買った水晶玉を並べて、ついでにネムの成長方針をファーと一緒に考える。やはり敏捷寄りにすべきかな、だとすると風系を多めに与える事になる。

 幸い風の水晶玉は、買ったのを含めてまだ結構鞄に入っている。土と炎も体力と筋力に直結するから、多めに与えてあげたいな。


 後はHP……は、確か光属性を与えるんだったかな、よく覚えてないや。俺が悩んでいたら、ファーが作業場に出した水晶玉を、拾い集めてネムに与え始めた。

 嬉しそうにそれを丸呑みする仔竜は、やっぱり食いしん坊属性が高めっぽい。ただし全部はあげないみたいで、ファーの鞄にも幾つか入って行く。


 それは全然構わない、ってかこのネムの問題はママに丸投げでいいや。そしてようやく食欲を満たして、微睡(まどろ)み始めたネムであった。

 こっちは今から合成で(うるさ)くするが、その辺は勘弁して貰いたい。まずは木切れを、魔石合成で同じ大きさに加工してみるかな?


 例えるなら鱗のような感じ、それを車輪の前面に貼り付けて行ってみよう。合間に板金を釘打ちすれば、強度も増すだろうし良い感じに仕上がる筈。

 見栄えはやや悪くなるかな、その辺は仕方が無いか。



 苦心しながら10分以上、なかなかの大作が出来あがった。ついでにステ欄を確認すると、水と氷スキルが念願通りに1Pずつ上昇している!

 木工スキルも地味に上がったし、目論見(もくろみ)は大方成功だな……その辺は、本当に嬉しい限り。そしてあとちょっとで、複合技が覚えられる手前まで来ている。


 何しろ手元に、貰ったばかりの武器指南書が2枚もあるのだ。後は水スキルに1P振れば……とか考えてたら、その思考を読み取ったかのように、作業を眺めていた相棒が反応した。

 ファーが鞄から取り出したのは、何と水の術書だった。それをあげるねの仕草は嬉しいが、一体いつの間にへそくりを貯め込んでたのっ!?


 本当にどこで貰って来たのだろうか、平和的な遣り取りなら俺も一向に構わないのだが。ひょっとして、乙姫とのキャットファイトで分盗り……。

 いやいや、怖い想像はやめよう……多分、優しい精霊からの贈り物だったのだろう。(クジラ)モドキとか老亀仙とか、多分そうだきっと。


 不自然に引き()らない様に表情を作って、ファーにお礼を述べて早速術書を使用する。ファーは満足そうに、仔竜の元に飛んで行って(くつろ)ぎ始めた。

 これで自前のポイントを消費せず、水魔法スキルが大台の20に到達した。そして得た魔法だが、《ヒール》と言う初級の回復魔法だった。


 使い勝手が良さそうだから、実は前から欲しかった魔法だったんだよね。だって《(パワー)ヒール》は、詠唱が長くて使い心地が今ひとつなのだ。

 これは割と、大きな進歩だと自分的にはそう思う次第。相棒のネムも回復出来るし、魔法戦士っポイ立ち回りがどんどん可能になって来る訳だ。


 戦闘中の回復魔法なんて、ジリ貧だと思わなくもないけど。足止め魔法と(から)めれば、状況の立て直しに大いに役立つに違いない。

 しかしまさか、水魔法をこんなに伸ばすとは思わなかったなぁ。



 とにかくこれで水魔法スキル20はクリアした、次は短槍スキル20である。これはさっき貰った武器指南書×2枚が、盛大に役立ってくれた。

 そしてめでたく、新たな短槍のスキル技を無事ゲットの運びに。しかも初の複合技、威力はこの身をもって知っていると言うね!


 その名も《白垂飛泉槍(はくすいひせんそう)》と言う、水系の大技である。これは戦いで切り札的な存在になる筈、早く使用感を確かめてみたいなぁ。

 しかし、短槍ばかりがどんどん強烈になって行く気がするなぁ。


 両手棍も頑張って強化して行かないと、武器を使い分けている意味が無くなってしまう。今の所は、スキル技の並びも武器の強さも短槍に完敗している。

 しかしここに至って、武器を2つも3つも使い分けている弊害が発生した。何と武器スロットが、スキル技の多さに追い付かなくなってしまったのだ。


 つまりは、(あふ)れたスキルがたくさん出てしまうと言う残念な結果に。う~ん、こればかりはゲームの仕様なので仕方が無いかなぁ。

 スロットの組み替えは、当然ながらホイホイと簡単に出来る訳ではない。反映にある程度の時間が掛かるし、一度外したスキル技の再セットにも時間が必要となる。


 だからある程度慎重に、セットは考える必要があるんだけど。今の所は短槍スキルが2つ、両手棍スキルが3つ、それから弓矢スキルが1つの割合となっている。

 こう考えたら、両手棍の勝っている点が1個見付かったかな?


 両手棍には範囲技があるし、上下段のコンボ攻撃も存在するのだ。範囲技は外せないし、《撃ち上げ花火》と《Pハンマー》のコンボ技もスロットからは外したくない。

 これがなかなか強力なのだ、だからこれからも両手棍スキルは伸ばしていくつもり。もちろん弓矢スキルも今後増やしたいし、スロット問題は今後も付き(まと)って来る筈。


 おやっ、他にも楯スキルや投擲スキルにもポイント割り振っていたな。これはさすがに、琴音に叱られるレベルではなかろうか?

 ちょっと俺もビックリした、知らない間にこんな事になっていたなんて。知らないって罪だな、ちょっと今後の成長はもう少し考えてからにしよう。



 そんな事を言っているにも関わらず、とうとう氷スキルも取得してしまった()りない性格の俺である。これで全魔法制覇だ、8種類の魔法を取ってどうするんだろうね?

 もちろん全部均等に成長させる自信など、俺には全く無いのは確か。ただこれには理由があって、竜宮城で入手した水と氷の香木が原因である。


 これでスキルP+1、そして鞄の中に氷の術書と《魔女の略奪》と言う氷魔法の書が。これはついでに取得するしかないなと、俺の中の合理的な人格が(ささや)いて来て。

 後たった2Pの支払いで、使い勝手の良さそうな弱体魔法が入手出来るのだ。ちなみに俺の魔法の中に、弱体魔法は1個も入っていない。


 初取得な訳だが、実はこの魔法は“略奪”の名に違わない高性能な呪文らしい。つまり、敵の弱体と己の強化を同時に行う合理性があると、説明文に書かれてあった。

 文字通りのステータス略奪呪文である、なかなか極悪な呪文で使い勝手も良さそう。ただし琴音の話では、弱体魔法は常にレジストの危険性が付き(まと)うらしい。


 大抵の弱体呪文は、敵にレジストされると効果半減か最悪は効果無しとなってしまうっぽい。そうなるとMPコストと呪文詠唱時間が無駄になり、ソロ対戦ではかなりの痛手を喰らう破目になる。

 パーティ戦では、役割が決まっているのでそれ程では無いそうなのだが。なるほどね、何より人数と役割分担は力には違いないよね。


 とにかく新たな氷魔法の《魔女の略奪》だけど、使い方次第で戦いを有利に進めていけると思う。氷魔法には、こんな厭らしい呪文や強力な攻撃魔法が多いそうな。

 うん、次は初級でいいから攻撃系の魔法が欲しいかな。


 俺のアバターの手持ち魔法で、純粋な攻撃系の呪文と言えば《バグ(ボール)》と《キャノン(ボール)》しか無い。ただし炎魔法の《キャノンB》は、詠唱が長過ぎて使い辛い。

 戦闘中に手軽に使える攻撃魔法が、もう少し欲しいってのが本音ではある。氷系の呪文は、単純に野生動物系のモンスターに効果が高いとベテラン勢からも聞いている。

 そんな訳で、ちょっと伸ばしてもいいかなと思っている次第。





 そんな感じでの、安全地帯での休憩時間はようやく終わりを迎えた。もっとも、本当に(くつろ)いでいたのは小さな相棒コンビだけだった。

 俺は合成にステ(いじ)りにと、色々と忙しく働いていたんだけどね。時の狭間の香木のお蔭で、イベント時間は浪費せずに合成依頼を達成してしまった。


 いや、その報告がまだだったかな……耐久度も防御力も、なかなかの大楯が出来上がってしまった。

 これの評価と報酬は、さて如何程(いかほど)のモノだろうか。


 ――車輪の大楯 耐久12、防+15、移動速度-50%


 ……うん、変なマイナス効果が付いてるけど、この重さなら仕方が無いだろう。形状はほぼ丸いんだけど、一部が欠けたピザみたいな形になっている。

 元が壊れた車輪だったから、その辺は勘弁して欲しい。むしろ、視界確保やそこから攻撃出来るとか、その形状をプラスに受け取って欲しい。


 長槍をセットするとかしたら、チャージに便利だし格好良いかも? まぁ、俺は絶対に使わないけどね……だって重過ぎるし、転がして動かすとか恥ずかし過ぎる。

 クエの依頼主の着ぐるみは、この大作を何とか受け取ってくれた。それから色んな角度から検証して、ようやく合格のサインを頂けてまずは一安心。


 ホッとしたのが正直なところ、これを突き返されていたらかなりショックを受けていただろう。金銭的な面ではなく、割と時間を掛けて丁寧に作ったからね。

 正面から見たら、木片の鱗の形状は割と芸術的なのだ。


 そしてご褒美の報酬だけど、目論見通りの『木工ギルドの推薦状』を貰えて思わずガッツポーズ。他にも木工素材がてんこ盛り、硬木素材から魔竹素材、石化木材に香木素材まで色々。

 これは合成スキル上達に弾みが付くな、高価素材だったら気楽には使えないけど。それはそれで、使えるようになるまで頑張るネタにはなる筈。


 取り敢えずは、当面は矢束の製作に精を出すとして。地道に合成スキルをあげて行くのが、恐らく唯一の上達の近道なのだろう。

 そして次なるクエ依頼は、今日受け取ったばかりの『手合せ:複数』である。これを消費してのバトルは、正直前回の倍は大変だとは思う。


 ただし、こちらも事前の自己パワーアップは伊達では無い! とは言え、単数でも着ぐるみNPCの戦闘能力はかなり高かったからなぁ。

 今回はこちらも、ネムと言う相棒がいるのは吉報ではある。とは言え単純パワーのぶつかり合いでは分が悪い、何か一案(ひね)らなくちゃね。

 事前に策を練り上げて、そしてこちらのペースに持ち込む。





 ――それはいつもの戦い方に他ならず、そこに勝機を見出すのみ。








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