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【完結】ゴブめし!~ゴブリン料理の隠し味は異世界転生者~  作者: コル
第13章 コヨミの試練

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102/122

第102話

「ふぃ~……おいしかった~」


 ミュラが満足そうに自分のお腹をさすった。

 メインがまだなのに満足してもらっては困るんだがな……。

 しかも、次からはミュラの仕事もあるからちゃんとしてくれよ。


 俺たちは食べた食器を洗い、再び厨房の前に立った。


「サラダ 作る」


 俺はそう言いつつ、鍋を台の上に置いた。

 すると、ミュラが首を傾げた。


「サラダなのに、にるの?」


「サラダ じゃなく、使う物 だな」


 まず、牛乳1lを鍋に入れる。

 鍋を火にかけて、沸騰させない程度に火加減をして温める。

 温まったら、火からおろして、酢を大さじ3入れる。

 そして、ゆっくりとかき回していけば……。


「……うわ! なんか固まってきたっス」


 よし、うまく分裂してくれたな。


「固形物は カード……チーズ もと。液体 ホエイ だ」


「え? これがチーズになるっスか? へぇ~……」


 分裂したら、布の上に流し込んで濾す。

 布を絞って、出来る限り水分をカードから取り出す。

 使うのはもちろん、固形物のカードの方だ。


 ホエイも栄養があるから利用したいが、今回の料理には加えにくい。

 肉に付け込んで柔らかくすることもできるが、それだと1日漬け込みになってしまって予定が狂ってしまう。

 後でハチミツを入れて飲んでしまうか。


 鍋を洗ってから水を入れ、かまどの上においてお湯にする。

 その間にカードを器に入れて、ある程度ひとまとめにしておく。

 ひとまとめに出来たら、かまどから鍋を下ろして、お湯の中にカードをドボン。

 後はヘラを使ってお湯の中でカードを練っていく。


「くっ……この……ヘラだとこねるのが難しいっス……これ、手だと駄目っスか?」


「駄目 じゃない、けど 熱い……」


「いいっスか、なら簡単っス」


 コヨミは躊躇せずにお湯の中に手を入れて、カードを練り始めた。

 すげぇ……鼻歌交じりで全然熱く感じていないよ、この人。


 餅のように綺麗にまとまれば、モッツァレラチーズの完成だ。

 この世界の牛乳は、加工や超高温殺菌せず直接牛から絞った乳を売っている。

 そのおかげで、作りやすいのがありがたい。


 トマトを5mmほどの厚さにスライスする。

 モッツァレラチーズも同じように切る。

 切ったトマトとモッツァレラを交互に皿に並べていって、オリーブオイルを回しかける。

 そして塩、粗挽きこしょうを全体に振りかければ……。


「完成 だ」


「……完成って……え? これだけっスか? というか、これがサラダ?」


 まぁそう言いたくなるのもわかる。

 だが、これもれっきとしたサラダなんだよな。


「そう 完成 だし、サラダ だ。次 作る」


「ええ……わ、分かったっス……」


 コヨミは少し眉をひそめつつも、包丁を持った。


 使うのはサーモンの切り身と玉ねぎを半分。

 サーモンは薄いそぎ切りにして、玉ねぎは薄切りにする。

 器にオリーブオイル大さじ1.5、レモン汁小さじ1、塩ひとつまみ、粗挽きこしょうを少々入れて混ぜる。

 混ざったら、そこに玉ねぎを入れて絡める。

 サーモンを皿に重ならないように広げ、その上に玉ねぎを全部乗せ、残った液も回しかければサーモンと玉ねぎのカルパッチョの完成だ。


「これで 完成」


「……え? ええっ!? これだけっスか!?」


「そう だ……さて、ミュラ」


 俺はミュラの声を掛けながら、頭に手を置いた。


「ん? なに?」


「出番 だ。協力 して ほしい」


「でばん……きょうりょく……うん! ミュラ、がんばる!」


 ミュラは両手を握りしめ、目をキラキラさせながら鼻息を荒くニカリと笑った。

 ミュラがいるからこそ、ソルベとアイスが作りやすくなる。



 まずはソルベから。

 鍋に水200mlと砂糖50gを入れて火にかける。

 砂糖の溶け残りがないように混ぜ、溶け切ったら火から外す。


「ミュラ 液 冷やす」


「うん!」


 差し出した鍋に向かって、ミュラが両手をかざした。

 すると液体がドンドンと冷えていく。


「……うん、この くらい でいい」


 冷えたら液体にレモン汁大さじ2、塩ひとつまみ加えて混ぜる。

 混ぜたら底が深めの皿に液体を流し込む。


「ミュラ、完全 凍結 しないで 半凍結 して ほしい」


「え? う、うんっ! やってみる……むむむ……」


 ミュラが両手を皿にかざすと、液体がみるみる凍っていく。


「…………ストップ! ストップ!」


 危ない危ない、これ以上すると完全に凍ってしまうぞ。

 半凍結になったらフォークで液体に空気を含ませるようにして崩していく。

 崩したら、もう一度全体を軽く凍らせれば完成だ。


「これで よし。ミュラ、食べて みる」


 俺はスプーンでソルベをすくい、ミュラの口元へと持って行った。


「いいの!? あ~むっ……ん~! あまずっぱくでおいひぃ~!」


 ミュラが満足しているから、ソルベはいい感じのようだな。

 よし、続いてアイスだ。


 鍋に牛乳200ml、生クリーム100ml。

 そして、バニラの匂いがする葉っぱを2枚入れて沸騰させないように温める。

 その間に器に砂糖50g、卵黄を2個入れて混ぜる。

 そこに温めた牛乳を卵が固まらない様に、少しずつ器に加えながら混ぜていく。

 混ぜきったら、液体を鍋に戻して弱火でとろみがつくまで加熱する。

 とろみがついたら火から外す。


「ミュラ、もう一度 頼む」


「うん!」


 ミュラは差し出した鍋に向かって両手をかざした。

 ソルベ同様に液体がドンドンと冷えていく。

 けど、ソルベとは違い、こっちはこのままヘラで混ぜて全体を冷やし固めていく。

 固まって形を整えればバニラアイスの完成だ。


「全部……完成 だ!」



 俺はずっと煮込んでいた牛肉の鍋を手にした。

 さぁ、メインを食べるとするか。


 牛肉をトングで取り出し、皿へと乗せていく。


『んんー……いい匂いがするぜ……』


 煮込み汁を牛肉にかけると、よりいい匂いが食堂に広がった。


「うわ~……においだけで、おなかがすいていくよ~ジュルリ……」


 さっきお腹をさすっていたくせに、現金な奴だな。


 牛肉をのせた皿と、カルパッチョとトマトとモッツァレラチーズのサラダを席へと持っていき、俺たちは椅子に座った。


「さあ……食べ よう」


「まってました~!」


 俺の言葉に、ミュラがすぐさまフォークを手に取り牛肉に刺した。


「あ~んっ! もぐもぐ……ん~~~っ! やわらかくて! おいひいよおお!」


 ミュラは頬を押さえて体をクネクネと動かした。


「ウチはこれが気になってたっスよ」


 コヨミがモッツァレラチーズをフォークで刺し、口に入れた。

 そして、少し咀嚼したのち首を捻った。


「……あれ? これ、味がほとんどしないっスよ?」


 ああ、ド定番の疑問だな。


「トマト 一緒に 食べる」


「トマトと?」


 コヨミはトマトとモッツァレラチーズを一緒に刺し、口へと運ぶ。

 そして目を見開いた。


「……えっ!? さっきと全然ちがうっス! おいしいっスよ、これ!」


 そういうと、すぐさまもう一口持って行った。

 よしよし、どっちも完璧のようだ。


『俺は……カルパッチョだな』


 この世界に来てから、生サーモンを全然食べていなかったからな。

 久々の生サーモンを堪能させてもらおう。


 俺はサーモンで玉ねぎを巻き、口へと運んだ。


『モグモグ……んんっ! これこれ!』


 サーモンの脂に、さっぱりとした玉ねぎの味と食感、レモンの酸っぱさが味を引き立てる。

 シンプルだけど、だからこその旨味があるのがカルパッチョだよな。


「……うん……これなら……きっと……」


 コヨミがテーブル全体を見渡してから小さく頷いた。


「……明日……おばあちゃんと話をするっス。そして……絶対に、このフルコースを食べてもらうっスよ!」

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