オルワールとの戦後処理
恐怖のミリア降臨です
オルワール兵隊の自爆という結末になった今回の戦争というより内戦?。
ミリアの防御魔法がなければ双方全滅と言った危ない結果になる所だった。
今回の戦争による街を守る会のメンバーは死者0
重症やけが人は多数出たようだけど、死者0というのは結果的には良かったと思われる。
シロスケやブラスケは破壊されて、かなりの数で犠牲になってしまったけどね。
対するオルワール兵隊は死者2000人以上、重傷者1000人以上という大損害となる。
死者のほとんどがメテオフォールの犠牲者なのを忘れないようにしたい。
遺跡街の方では残った捕虜の扱いをどうにするか検討中のようだった。
生存者、捕虜の内訳としては、傭兵が1000人程、村人兵が1500人、正規兵が500人
皮肉にも最初に捕虜として捕縛した犯罪者くずれ傭兵が比較的多く生き残る結果となっている。
犯罪者くずれ傭兵の一部はリック運送会社の幹部、通称処刑人君が人材確保の為、部下を連れて使えそうな人材をピックアップ中。
本来なら捕虜を保護?して、オルワール領の賠償金支払いが完了すれば返還される予定なのだが、交渉や支払いが難航するようならウチの会社で働かせる予定となっている。
村人たちも帰りたい人は返して、新たに移住したい人には残ってもらう方向で話を進めている。
遺跡街周辺もかなり破壊されてしまい、労働力のシロスケ達も倒されてしまっているので復興作業できるように村人たちにも仕事を用意する予定だ。
この辺はハイームさんや遺跡街組合の関係者が指揮を取って上手くやっている。
さて戦争の後始末の話になる
オルワール領都まで早馬でも5日程かかるので、結果を知らせてからオルワール領都から調停人だか使者が来るのに20日位かかると思っていた。
この辺はミエスさん達がリーセント国の法律に基づいて損害額を計算し、ごく一般的な数字を弾き出して捕虜の引き渡し等を含めた金額を内戦賠償金として書類作成している。
しかし1か月経っても返答も何も無かった。
ミリアの飛ばしたアンデットの鳥で情報収集を始めたが、オルワールに動きが無い事を知ると遺跡街の「街を守る会」のメンバー達は激怒する。
3000人の捕虜の世話と2000人の死者の埋葬処理等で相当な労力と金がかかっているし
オーガ軍にも後始末の多くを手伝って貰っていて、その辺の協力金等の支払もしなければならない。
戦争は金がかかると言うが、戦後処理も凄いお金がかかるのだ。
こんな状態でオルワールからの全くのノーアクション・返答無視。
ミエスさんの話だと過去に賠償金請求を無視して払わない事例も多々あると説明されると、「街を守る会」のメンバ達のイライラは頂点に達し、ゴタゴタしている中。
翌日ミリアが「ちょっと数日留守にするのじゃ」と言い残し遺跡街から消える
◆◆◆
オルワール邸にて
黒いローブを纏い仮面を付けた女がオルワール様に話があると屋敷に来ていた。
全身フルプレートの護衛が4人異様な雰囲気を漂わせている。
通常であれば門前払いな状況のはずなのだが、女は衛兵に連れられ屋敷の前にて執事が応対中であった。
女はオルワールへの手土産として美しく飾られた箱を執事に渡す。
オルワール様に渡す物なので執事長が一度中身を確認すると、その中には遺跡街に向かわせた指揮官の頭が黒焦げの状態で入っていた。
「中身を確認したか?なら入らせてもらうぞ」
一方的に執事の了解を聞く気もないような態度で屋敷の中に入り込もうとする女とフルプレートの護衛。
「お主、粗相をするでないぞ」
異様な雰囲気の正体は恐怖だったようだ。恐怖のあまり執事は失禁していたのだ。
執事もオルワールに仕える前はLV35の暗殺者として、引退後この世界に入って来た実力者。
それなりの修羅場も潜り抜けて来たつもりだ。
暗殺業を引退して長くはなるが、自分の恐怖が抑えられず、気が付かない間に失禁していたとは思わなかった。
執事は正面ドアを開け、仮面の女達を屋敷に入れる。
「失礼・・・代わりの者に屋敷を案内させます」
「うむ、ご苦労じゃの」
執事はメイド長を呼び女と護衛を応接室に案内させる。
「執事長様、仮面の女性からの伝言でで、土産の件で早急に話がしたい、待たせるなとの事でです」
しばらくすると、案内が終わったメイド長は震える声で執事に伝えてきた。
執事はズボンを着替え、早々にオルワール様の書斎に移動しドアをノックし、入室の許可を得る。
「なんだ?顔色が悪いようだがどうした?」
「実は、遺跡街の指揮を取らせた指揮官の首を持参した者が来ています」
オルワールは一瞬だけ眉が動くような感じをしたが、平然としていた。
「そんな者の相手は私が出るまでも無いだろう。お前が相手をして適当に帰らせろ」
オルワールは敗北の知らせを聞いた時も同じような感じであった。
5000人の兵が1日で敗北等と言う情報自体がデラタメや誰かの情報操作だと思っているからだ。
戦況報告が毎日来たとしても早馬で5日かかる。
実際、戦況報告の連絡は来ず、突然、終戦後の賠償金請求等交渉に関する書簡が届いたのである。
自軍が敗北するとは思っていないオルワールはそれを無視。
当然、早馬と飛ばし戦況確認を行うべきだったのだが、それさえも行わず今に至る訳だ。
突然、書斎のドアをガンガンと叩く音がする。
「誰だ!騒がしい!!」
「オルワール様!オルワール様!!」
ドア越しに声にならない声で叫ぶ女の声が聞こえる
ドアを開けると、死んだように真っ青になった顔のメイド長、スカートがぐっしょりと濡れているのが確認できる。
「お客様が呼んでおられます!。私はもう耐えられません!。お暇を頂戴します!!」
メイド長は執事とオルワールの了解を待つ事無く、自分の排尿でぐっしょりと濡れたスカート姿のまま、廊下を走り屋敷から逃げるように飛び出して行く。
それに続くように、使用人達がハチの巣から出る蜂のように屋敷の外に次々と逃げ出して行くのが窓越しから見えた。
「一体何が起きているのだ!!!」
コンコンとドアがノックされ、主人の許可を得ずに勝手にドアが開く。
「まったく汚い屋敷じゃ、そこらじゅう汚物だらけじゃの」
「貴様!何者だ!」
「そこの執事に聞いておらんのか?」
オルワールの話を無視するかのように勝手にソファに座る仮面の女。
「お前なんぞ知らんわ!」
「ここの屋敷の主人は客人に茶も出さんのかの?」
執事がピクっと動くが、それ以上動けない。
金縛りに有ったかのような感覚で足に力が入らない。
立っているだけで精一杯な状態だ。
「まぁ良いわ、お主がオルワールか?」
「・・・・」
オルワールは沈黙している。
「答えよ、お主がオルワールだな?」
「なんだ!この無礼な者は!ここから生きて帰れると思うな!」
オルワールは非常ベルのスイッチを押すと魔法効果の警報が鳴り響く。
オルワールだけが緊急事態の時に使用する物だ。
当然、執事が真っ先に駆けつけるのだが、執事は一歩も動く事が出来ない。
次に近衛騎士隊が駆けつける。
「どうなさいましたか!オルワール様!」
近衛騎士隊はオルワール領最強の騎士隊である。
隊員はLV30以上、騎士団長はLV40というリーゼント国の中でも数少ない最強クラスの騎士である。
騎士団長もこの部屋に来るまでの惨事を目撃しているので、ここの様子がおかしい事はすぐに理解できた。
「隊長!この無礼者の首を即跳ねよ!」
ソファーに座っている仮面の女の姿を見て騎士団長は様子を見ている。
異様な雰囲気が部屋の中を埋め尽くす。
「妾は、お主の名前を聞いておるのじゃ、早々に答えんか」
やはり、仮面の女は近衛騎士団が来ても何事も無かったかのようにソファーに座ったままであり、護衛の4人も全く動かない。
「団長!この女達はヤっヤバイです」
この場から退避する事を提案する隊員も居れば、恐怖で混乱しだす隊員も現れ始める。
時間にして数分・・混乱した隊員の一人が突然仮面の女に切りかかるのだが
・・ゴトッ・・
と音と共に部屋の調度品が崩れ落ち、全員が一瞬そちらに気を取られた。
「そこの兵士、それ以上動かん方が良いぞ」
「何を言ってやがる、ここでその首飛ばしてやる!」
次の瞬間には混乱した隊員の首から一気に血が噴き出し、ボトッと音と共に首が落ちる。
そして、斬られた兵士の、後方の兵士が何も言わずに崩れていく。
「まったく、斬られた事もわからんとは、低脳な奴等じゃの」
ここにいる全員が全く何も見えなかった。
何が起きたのかさっぱりわからない状態だ。
首の無い兵士はそのままフルプレートの護衛により簡単に、片腕一本で投げ捨てられる。
「ヒッ!?」
「お主の名前を聞いておるのじゃ。人違いでは困るじゃろ」
テーブルに転がる頭、まったく微動だにしない仮面の女。
仮面越しから見える眼球からは、まるで汚いゴミを見るような感じでこちら見ている。
死に対する興味が全く無いかのようにも見えた。
騎士の首が飛んだ事により、オルワールの状況も変わる。
「私がオルワールだ」
「この部屋は臭くてたまらんの。そこの執事。窓を開けてくれぬかの」
オルワールが名乗っているが、仮面の女はまるで興味が無いかのように会話がかみ合わない。
執事は書斎の窓を開けるために移動する。
金縛りのような物は不思議と解けているようだ。
執事が窓を開けると糞尿と血生臭い部屋の空気が入れ替わって行くのがわかる。
ここが地獄であれば外は天国なのかもしれない。
オルワールは沈黙しているが、仮面の女が話し出す。
「お主、妾の街に喧嘩を売ったよな、その件で今日はわざわざ来ておる」
オルワールは沈黙している
「面倒じゃの・・・黙っとらんで、何か言わぬか」
LV30の騎士の首を一瞬にして斬り落とし、我が領最高峰の団長が一歩も動けない状態を作り出しているこの仮面の女は何なのだ?
力による交渉は不可能な状態だ、目の前に座っているのは女の形をした化け物だと思った方が良い。
「何か要求があるのか?」
オルワールが重く口を開く。
「書簡が届いているであろう、あとこれが追加分じゃ」
オルワールはほとんど書簡の内容を確認していない。
執事は目を通しているが、一般常識範囲内の内容だった事を覚えている。
おそらく戦争経験の無い者が書類を作成したのだと思われるような内容だった。
追加分とされる書類に目を通しているオルワールの手が震えているのが見える。
仮面の女はオルワールが追加分の書類を読み終わるのを確認すると、席を立ち
「ではよろしく頼むぞ」
と一言だけ言うと部屋が出て行ってしまう。
こちらに拒否権が無いように、完全に一方的に話が進み終わったのである。
「はっはぁ・・・あの仮面の女は何なのです!この私が何もできませんでした」
女の気配が屋敷から消えると騎士団長が話出す。
「私にもわからん!なんなのだあの女は!いや化け物か?」
「オルワール様、書類の内容についてはどういたしましょう」
「検討すら許されない内容だ・・・要求を受け入れるしかあるまい」
オルワールはあっさりと要求を受ける事を決めてしまうのだが、先ほどの仮面の女の格付けが決まったのだろう。
あれほどの恐怖をまき散らす女、そして領主貴族を何とも思わない態度、そしてこの場ではどうにもならない絶対強者。
おそらくオルワール自身が自分の事を格下と認めてしまったのだろう。
執事はオルワールから追加分の書類を見せられるが、そこには途方もない額の賠償金額が記入されている。
もしや、あれは、あれが、伝説のエルダーリッチなのか?と想像するのだが
この場に居る誰も、その事には触れない。
恐怖をまき散らす存在がここに居た事実は残っている。
オルワールと執事、そして数人の近衛達の悪夢の日が終わる。
彼らはただ広い屋敷の中で呆然とするだけだった。
これでミリアのお話が終了です
私の作品のスタイルとして、後始末的な話が入りますのでオルワール編、もう少しお付き合い下さい。
オルワール編が終了と共に、本編執筆の為しばらく投稿できません。
よろしくお願いいたします。




