大魔法メテオフォール
俺達は敵陣の真っただ中で敵魔法士の無効化を行っていたのだが、魔法壁が何重にも張られ苦戦を強いられている所だ。
デンジャーゾーン仲間達に可能な限り敵兵の不殺をお願いした事が、足枷になってしまい色々とマイナスに働いてしまっている状態だ。
「リックなら魔法壁を破れるかもしれないが、俺達では時間がかかりすぎる!」
トニーもマイも魔法壁を破壊する事は可能であるが、時間がかかる。
それが何重にも張り巡らされ、魔法壁が破壊されると新たな魔法壁が展開される。これの繰り返しが行われている。
リーザさんやキャノもオルワール領軍の正規兵の相手をしている。
LV25位の正規兵達だが、レベルが低くても統制が取れている為、集団+統制の力で全体の対応レベルが底上げされている。
「クソ!統制の取れた兵士は、面倒だ!」
「最初の犯罪者崩れとは全然違うぞ!!!」
不殺となると対応の仕方が全く変わってしまい、リーザさんキャノの二人でも手間取っている様子が見られる。
◆◆◆
本陣攻略が進まない、時間だけが過ぎていく中で突然、俺の危険信号が頭に響く。
俺は一回り周囲を確認したが、危険そうな物は見当たらない、しかし危険信号は止まらない。
ふと上空を見上げると、それはそこにあったのだ。
空を見上げると大きな塊が浮いているように見える。
あれか!あれの事なのか?
「みんな!上を見ろ!何かあるぞ!」
トニーが空を見上げるが何も見えないと答えるのだが
「なに?あの塊は?」
マイが即座に反応する。
ほぼ同時にリーザさんも気が付いたようだ。
「リック!あれから絶対にヤバイ雰囲気を感じる」
トニーとキャノには認識できない何かが上空にあるという、これは、とてもヤバイ感じがする物。
何だか解らないけど、ここから逃げないとヤバイぞこりゃ!
「リーザ!キャノ!、トニー!マイ!俺の所に来い!!!」
「ここから全力で退避するぞ!!!」
敵陣真っただ中であるが仲間達にあの塊から逃げないと危険な事を告げ、全員全力でヤバイ雰囲気が無くなるで街道を走り抜ける事を伝える。
遺跡街方面はオルワール領軍が占拠している為、上手く退避できると思えない
俺の脳内危険信号が消えるまで遺跡街から離れるしかないのか!
アリシアさんやエリアの事も心配だけど、戦時前にミエスさんが
「防衛面は軌道エレベータテクノロジーを信用して下さい」
と言っていたので、信じて任せるしかない。
オルワール兵の陣地を無視し仲間の事を最優先に考えとにかくここから逃げなければならないのだ!
◆◆◆
「司令!大魔法術式70%完了、実行可能です!」
少々時間が掛かったようだが、これで生意気な遺跡の奴達も、あの遺跡と一緒に最後を迎える。
少し遺跡も惜しい気もするが、要はダンジョンのある場所が手に入ればオルワールの利益にもなる。
街等は後からどうにでも作る事も出来る。
これだけの大魔法を行使できると知ったパーマやリーゼントの奴らも今後オルワールに簡単には手も出せないだろう。
良い宣伝だ。
そして司令は最終攻撃許可を出す
「よし、メテオフォールをやれ!」
外に居る魔法士達にメテオフォール実行の合図を出すと、上級魔法士達は最終項目を詠唱始め魔法が実行される。
上空2万メートル以上の高さに集められた岩石が巨大な塊となり落下を始める。
本来緻密な計算と莫大な魔力が必要なメテオフォールだが、敗北を焦った司令官が魔法実行を急がせた為、命中率が著しく低下したメテオフォールが放たれる事になる。
◆◆◆
ミリアが高速で大気を切り裂き飛行を続け、落下予定ポイント上空に停止すると魔法を展開を開始する。
フライは広報連絡役となり、遺跡街の住人や遺跡街の為に戦っている人々の為に警報と注意喚起中だ。
ミリア本人は上空数千メートルまで上昇しているため、既に一般の住人や冒険者達にはその姿を肉眼で捉える事は出来ない。
魔法特性がある者のみが、違う魔素反応程度で捉える事が出来るレベルである。
そして住人達でも確認が出来るのは太陽のような物が2個あると言う事。
片方が雲や大気をかき分け、光の尾を引きながら落下しているという事実。
落下を確認する司令達は勝利を確信する。
今までに体験した事の無い巨大な光の球と、遠方からでもハッキリと確認できる光の尾である。
そのころ上空のミリアは最大防御魔法を展開へと詠唱を移行。
魔法詠唱と共に光に包まれ真っ白になっていくミリア本人。
個人では考えられないような魔力の放出を始め、何重もの魔法陣が空中に展開されていく
熱対策・防音対策・衝撃波対策・高温対策・閃光対策・重力対策等あらゆる防御魔法を展開し最後に
「パーフェクトシールド」と呟く。
ミリアは本来無詠唱で魔法を行使できるのだが、今回は空中に魔法陣まで展開し時間をかけ強力な魔法壁を展開。
とても人間がマネできるようなサイズでは無い魔法壁が展開されていく。
薄金色の傘のような光の膜のドームがメテオフォール落下予定ポイント上空に展開される。
「あれは神なのか?」
勝利を確信していたオルワールの兵士が上空に光り輝きながら展開されるベールを見て、そうつぶやく
◆◆◆
真っ白な光の球となった岩石はアリシアが推測した落下ポイントを外れる物の推測落下ポイント内を落下。
次の瞬間に落下してきた塊がミリアの展開したパーフェクトシールドに接触する。
ズチューゥウウウウン!!!!!グゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
高質量の接触エネルギーは轟音と高熱・光に変換され大きな塊から小さな塊へと砕け散乱が始まる。
さらに小さくなった物体は高速・高温で衝突し続け、真っ白な光を放ち爆散する!
ミリア本人を守っていた各種防御魔法が岩石の落下により徐々に解除されていく。
ミリアはパーフェクトシールドを維持したまま自分への防御魔法を繰り返し展開を続けている
この場で最も過酷な環境に居るのはミリア本人だからだ。
パーフェクトシールドにより爆散した火の塊が遺跡街や森、オルワール兵隊に降り注ぐ!。
「ウギャァ!!!!!何だ!何が起きた!!」
爆散したメテオフォールの残骸がオルワール兵隊の本陣を容赦なく襲う。
最初に爆音と共に衝撃波が押し寄せる。
何が起こっているのか理解できないオルワール兵士達は次々に枯れ葉が簡単にコナゴナになるように、衝撃波で破壊され行く。
次に高熱爆風による散乱。パーフェクトシールド外の森の木々は衝撃波でコナゴナになった後に高熱爆風により一気に発火が始まった。
炎上する森の木々と爆散した真っ白な火の玉に襲われるオルワール兵達。
火山の噴火が玩具に見えるような地獄絵図がそこには広がっていた。
真っ白に焼ける岩はそれだけで人間族では考えられないような高熱を放ち、付近を通過しただけで兵士達を蒸発させるだけの熱量があり、あらゆる物を焼き尽くす。
真っ白に焼けた岩石は落下と共に地上を真っ赤に溶かし尽くす。
まるで水面に落ちた岩が水しぶきを上げるかのように真っ赤に溶けた土や石をまき散らす。
そんな光景がパーフェクトシールドの外では広がっていたのだ。
ここではもう生きて居る者は居ないだろう
◆◆◆
上空でミリアはメテオフォールの残骸を見ている。
直撃を避けたとしても細かく爆散溶解した残骸がパーフェクトシールドを伝って流れ落ちている途中であるので、まだ魔法を解除する事ができなかった。
ミリアは遠視の魔法で周囲の状況確認を始める。
「リック達は・・・大丈夫なようじゃな、さすがリックじゃ」
「遺跡街も大丈夫なようじゃの、えねるぎーしーるどとやらも頑丈でよかった」
「まったく何千年ぶりかの・・この姿も・・・」
そしてこの戦いは終了する。
オルワール領軍が自ら放ったメテオフォールにより、オルワール領軍全体の60%を失う結果となる。
皮肉にも生き残ったのは捕虜として保護されていた野盗・盗賊の傭兵部隊と投降した村人兵、そしてパーフェクトシールド内に居た兵達であった。




