ドラゴン討伐戦
ドラゴン出没地はは王都からワイバーンで飛んで5日ほど移動した場所で、俺達が到着すると既にオーガ軍の精鋭や冒険者達がにらみ合っている状態になっていた。
ドラゴン討伐隊の指揮官がイオスさんに挨拶に来る。
「イオス様、現在こう着状態が続いていますが、ドラゴンの他にワイバーンも発生している為、こちら側の戦力不足でこのような状態がしばらく続いています」
どうもワイバーンが邪魔をしていてドラゴンにまで攻撃が回らず、ドラゴンやワイバーンは空からの攻撃を悠々と行い、まるで遊んでいるかのような状態。
ドラゴン本体は高高度で戦況を楽しんでいるかのように空を飛んでいる状態で、ワイバーンがそれらを取り囲むように中高度でオーガ軍のワイバーン隊と戦闘を繰り返している。
「リック、我らオーガ軍は事前の打ち合わせ通りに動くが、お前達は本当にあの案で良いのだな?」
「はい、大丈夫です」
俺達は元々戦力外だと思われているので、今の状態を乱さないような感じで参戦するという、感じで少し前線とは離れた場所からはぐれているワイバーンを狩り少しずつ数を減らす作戦だ。
「じゃ!みんな!作戦通り行くぞ!」
「「「「おお!!!!」」」」
ミリアがドラゴンの方をずっと見ているのが気にはなったが討伐行動に移るとする。
ここの来るまでにイオスさんから地形情報等は教えてもらっていたので、大体の場所の検討を付けてアリシアさん中心の遠距離組と俺達前線組で分かれて行動を開始する。
◆アリシアチーム
「この辺が良いですね」
アリシアたちは最前線から1キロ程離れた高台に狙撃ポイントを決めた。
ミリアが偽装魔法と魔法壁を展開し防御を固め、マイがワイバーン等の敵の監視を行い位置情報をアリシアに的確に伝えてる予定だ。
「LV25前後のワイバーンが30匹ほど居ますね」
「アリシア、こっちも望遠鏡で30と確認したぞ」
「妾も魔法偽装が完了したぞ、ワイバーンごときなら気が付かれんじゃろうが、ドラゴン相手ではバレるかもしれん、その時は心配するな妾が何とかする」
ミリアは光学系迷彩と魔素探知不可の空間を展開。
知能が高い種族には見破られる事があるが、外から全く見えなくなる魔法だ。
「あの奥で飛んでいるのがドラゴンか・・大きいな」
ドラゴンは自分から攻撃に参加しているのではなく、遠方からは遊んでいるように見える
「殺さずに遊んでいるのか?」
スコープ越しにはオーガ軍の重症の兵士や傷つき飛べないワイバーンが地面に横たわっているのが見える
ずっとドラゴンの方を見ていたミリアが呟く
「ん?あれはやはり純粋なドラゴンではないぞ」
「一体何なのですか?」
「妾はルードドラゴンと呼んでいるが厄介・・というより何故あんな物がここに・・・、純粋なドラゴンより弱く、知能も低いのじゃが気性が荒い。今は平常のようじゃが、怒るほど攻撃力が上がり、自我を失うと己の力もコントロールできなくなる欠陥種じゃ」
アリシアは即座にルードドラゴンに対して鑑定を行うと
ルードドラゴン LV50 の結果が出る。
「ミリアさん、わかりました、気を付けます」
「アリシア、リック達から合図が来たぞ」
光の反射でリック達が配置についた合図を確認すると、既にリック達に気が付いたワイバーン30体が方向を変えてリック達の方に向かっていた。
「リック達に所に向かっているワイバーンが見えるか?、最初のターゲットだ」
「ターゲット確認」
今回は試作の徹甲弾という種類の弾頭を付けた弾丸を使用する。弾頭先端に高硬度の金属が埋め込んであり、破壊よりも貫通性を重視した弾頭に、さらに以前リックが扉で空を飛んだ時に使用した魔素硬化剤を塗布した特別製である。
マイがワイバーンの位置情報を元に最適な攻撃順序を予測していく。
それをアリシアに狙撃対象としてターゲティングさせると、アリシアのタイミングで狙撃が開始される。
アリシアが「パン!」と心の中で呟きライフル本体に魔力を流すと、弾丸が発射されると
「ワイバーン頭部命中落下、次左下」
突然何かに頭を貫かれたワイバーンは力なく落下していく。ワイバーン達から見ても何が起こっているのが気が付いていない状態だ。
「パン!」
「ワイバーン頭部命中落下、次上方向」
マイが適切なターゲットの位置を次々と指示するのでアリシアは射撃のみに集中できる。
「パン!」
「ワイバーン胴体に命中、右方向そのまま」
「パン!」
「同ワイバーン頭部命中落下、次右上方向」
「パン!」
「ワイバーン頭部命中、弾倉交換」
「アリシア、新しい弾倉だ。良い調子だ!ワイバーン4体の落下を確認、弾倉セット急げ」
異常に気が付くワイバーン達であるが、こちらの位置を把握する事が出来ないで混乱している。
消音効果のある魔法をミリアが展開しているのでこちらからの攻撃音はほとんど無い。
アリシアの狙撃によりワイバーンの高度が下がり始めると、リックチームの攻撃が始まった。
「エリアの魔法攻撃じゃ、ファイヤアローの広域魔法か、やるのぉ。さすがに致命傷は無理のようじゃが・・・あやつら何をやっとるのじゃ」
「リックがリーザとトニーを投げておるぞ」
「エリアの攻撃で高度を下げさせて、トニーとリーザがジャンプしたり本人達を投げたりして距離を詰めて止めをさしているようじゃ」
「アリシア、つづけるよ」
マイから次のターゲット指定が入り狙撃を再開する。
◆リックチーム
アリシアさんの遠距離狙撃で、10体、俺達の攻撃で15体のワイバーンを倒す事に成功する。
デンジャーゾーンメンバーはレベルが上がった為、個々の攻撃力の低いワイバーンでは俺達にダメージを与える事は出来ないし当たらない。
遠距離からのファイアーボールによる攻撃がワイバーンの攻撃パータンだが、高度を上げるとアリシアさんが狙撃するので警戒して高度を落としている状態だ。
「ワイバーンまで届かねぇ時はリックに投げて貰えば大丈夫だな!」
「最初は怖いかしれないが、案外大丈夫だろ?」
身体の能力の高いトニーとリーザさんは、俺に投げられても空中で姿勢制御してバランスを取り、的確にワイバーン達に攻撃していく。
残り5体のワイバーンはチリジリになり逃げていく。
「ここからが本番だ来るぞ」
『ワイバーン如きは使えんな、こっちの奴等の方が面白そうだ』
さっきまで高高度を飛行していたドラゴンが一気に降下し俺達の方に来ていたのだ
ドラゴンが喋った?
「心配するなあいつらは普通に話すぞ」
「ドラゴンよ!なぜ暴れているんだ!」
『人間如き玩具如きが私の言葉がわかるのか!おもしろいぞ!』
ドラゴンは息を吸い込む
「リック!ブレスが来るぞ、エリア頼む!」
「防御の魔素さん!お願い!防御壁魔法展開!」
それと同時にドラゴンの方で ――グァキーン!!―― と金属と石が激しくぶつかるような音が響く。
アリシアさんの狙撃攻撃だ!
エリアが魔法壁の展開を行っている間にアリシアさんの狙撃による攻撃が命中する事でドラゴンブレスの方向がズレる。ズレたドラゴンブレスが命中した森は森が一瞬にして灰になってしまうほどの強力なブレスだった!
「リック、さすがにあれはマズイぞ、強力すぎる」
リーザさんとトニーが一気に警戒態勢を最上位まで変更する。目の前で起きた事実があまりにも想像以上の物だったからだ!
続いてエリアがウォーターアローの魔法を発射。
火系の攻撃に対しては水系で対応するのが一般的なのでエリアはその法則に従うが
『そんな攻撃が効く訳ないだろう!』
堅い鱗で防御されているドラゴンの体には全く傷が付かない
再び ――グァキーン!―― と大きな音と共にドラゴンの頭が揺れる。
アリシアさんの狙撃である。
『さっきからうるさいぞ!』
ドラゴンが俺達を攻撃をしようとすると、その度に何処からわからない遠距離攻撃で攻撃の方向を無理やり変えられる事にイラつくドラゴンだったが、ついにアリシアさん達の居る方向にファイアボールなのか、口から光線のようなブレス攻撃をするドラゴン!
――― バァァーーーーーーーーン!! ―――
と言う大きな爆音と共に響き渡る衝撃
「アリシアさん!大丈夫か!!!」
『フン、この攻撃を防ぐ魔法使いが居るのか?』
空中で消し飛んだドラゴンブレス。しかし、アリシアさん達が居ると思われる周辺の森は炭化してしまい、彼女たちの位置が完全にわかる状態になってしまった。
ドラゴンの注意がアリシアさん達の方向に向いているので、リーザさんがドラゴンに向かって投げてくれと要求。
「トニー!エリアを頼むぞ!」
「エリアと下方向は俺にまかせろ」
俺はリーザさんを抱えてドラゴンに向かってジャンプ。ドラゴンは丁度背中を向けている為、ドラゴンの背中に容易に飛び乗る事に成功した。
鱗と聞いていたから魚や蛇のような物を想像していたが、日本特撮映画の「ゴヂラン」のようにゴツゴツとした岩のような鱗であり、足場もしっかりしているので比較的取りつくのも簡単だ。
ドラゴンは背中にに張り付いた俺達を尻尾で叩き落とそうと凄い速度で尻尾を振るって来る。
俺はドラゴンから落ちないように足を砂場に埋め込むような感じで思い切りドラゴンの鱗を踏み込むと
―ズボッ!―
という音と共に俺の足がドラゴンの鱗を貫通し、体を固定出来た
「リーザさん!俺の胴体につかまって下さい!」
既にドラゴンとは敵対中なので、ドラゴンの尻尾はぬいぐるみの筒のような状態になっているが、大きさが半端では無く大きいのでその状態でも十分に恐怖を感じられる。
尻尾がバシーンッという音を俺に接触するが、その尻尾を受け止めそのまま尻尾を両腕で挟み込む。大きさが全く違うので抱えこめず、挟んでいるような状態になってしまっているのだ。
ドラム缶よりも太い筒を抱えているような状態を想像してほしい。
そのままだと滑るので指を立てて尻尾の中に腕をめり込ませる。俺の感覚では柔らかクッションみたいな状態なのだが、抱え潰される事により尻尾が激しく変形すると
『グギャァァア!!』
ドラゴンの悲鳴だ。その状態から更に力がはいり、めり込んでいた足周辺の肉を引きちぎり空中に投げ飛ばされてしまう。
「リーザ!大丈夫か!ちゃんとしがみつけ!」
「わかった!」
空中回転している状態で俺は空間を蹴り上げる。
大気が壁となり姿勢が安定、空中歩行ジャンプも過去のワイバーン戦以降練習していたので今では空中を駆け上がったする事も出来るようになったのだ!
「リック!空を歩けるのか!」
「リーザさん、集中しないと落ちるので後で話します!」
歩けると言っても、初心者がスケート場で歩くような感じで、少し間違えると空中で滑って転ぶのだ。リーザさんをおんぶしているような状態なので余計にバランスが悪い。
『やってくれたな!下等生物が!』
ドラゴンを見ると背中の鱗と皮が剥がれて肉が見えている状態だ
◆アリシアチーム(アリシア視点)
「アリシア!チャンスだ。リックがルードドラゴンの鱗と皮を剥がしたからそこが狙えるぞ!」
ブンタさん特製の徹甲弾+魔素硬化剤でも貫通出来なかったルードドラゴンの鱗。
着弾時の衝撃でブレスの方向を変えるような事しかできませんでした。
「エリア、次の攻撃が来たら少しマズイかもしれぬ。さっきは直撃でなったが、今度は確実に来るぞ」
先ほどのファイアボール攻撃で爆散した炎が私達の居る周辺の森を全て灰にしてしまいました。
ミリアさんが今回使っている防御壁魔法の外は火の海でも私達周辺のみ普通の温度が保たれていたので助かったのですが、今では私達周辺にのみ森が残っている状態になってしまいました。
「アリシア!、リック達が奴の気を引いて、こっちに背中を向けたぞ!」
リックさんが剥がした鱗に照準を合わせます。
「パン!」
ライフルから発射された弾丸は背中の傷口に命中し内臓を破壊した後に腹を貫通
「命中だ、腹に穴が開いたぞ!」
『グハァァ!』
腹に穴が開いた事で血を吹くルードドラゴン
『ハイヒール!』
瞬時にルードドラゴンの傷が回復していきます
『そっちか!死ね!クソ虫が!』
再び光線のようなファイアブレスが私達を襲うのです
◆リックチーム
ドラゴンはファイアブレスを再び放つかのように腹や首元が輝きはじめる。
外から見る限りでもさっきの物よりも極力な物を放つようだ!
「やらせるか!!!」
リーザさんをドラゴンの上空に投げ、リーザさんはドラゴンの頭上目賭けて落下、俺はドラゴンの顎下に向かって空中を蹴り上げ加速する
ドラゴンブレス放出でドラゴンの開いている口を下から顎を殴るように口を強制的に閉じさせる俺。俺のアッパーパンチのような状態になり、ドラゴンは少し混乱する。
リーザさんは予定外の衝撃で混乱しているドラゴンの首付近に魔剣を突き立てそのまま皮を貫通し若干ながら首付近を切り裂く事に成功する。
彼女はこれ以上剣が入らない事を確認すると、そのまま素早い動きで剣を引き抜き、ドラゴンの頭部に駆け上がり、一番柔らかそうな眼球目掛けて魔剣を突き立てる!
ブレス放出が止められず口を強制的に閉じられたドラゴンは、目・鼻・耳・閉まった口からゲロのようにドラゴンブレスが噴き出す。
リーザさんの剣が突き刺さった眼球はドラゴンン自身のブレスの衝撃に耐えられず眼球が飛び出し、首の切れ込みから光線のようなブレスが噴き出る。
ブッツバーーーン
という何とも鈍い音と共に高出力に耐えられなくなったドラゴンの頭が吹飛んでしまったのだが、首を振り回している首無しドラゴンからドラゴンブレスの光線が放たれたままアリシアさん達を襲う事になる!
リーザさんはドラゴンの背中にしがみついている状態なので、俺は空中移動でリーザさんを回収。
◆アリシアチーム
首の無いドラゴンから放たれた光線が私達を襲います
「直撃来るぞ!最大防御!」
マイさんが私の前で盾を構え、魔法壁を展開
光線となったドラゴンブレスはミリアさんの魔法壁でガードされましたが、真っ白の光と高熱で魔法壁内の温度が一気に上昇
「盾が結構熱い!、アシリアは絶対にそこを動くなよ!」
マイさんの盾が変形を始めています。
「リックの家から持ってきた服のおかげなのか?体は何ともないが、盾がマズイ」
私は後ろからマイさんにマッソWドリンクDXを振りかけます。
「助かる!服を着ている所は大丈夫なのだが、肌が露出している部分が火傷だらけだ!」
「すまぬ!空間冷却が間にあわんかった!」
外では岩が溶け蒸発するような温度なのです。ここで生きている事自体が奇跡です。
やがて光が弱くなって行きます
「リック達がやったようじゃ」
「マイ、アリシア無事か?」
「私は大丈夫ですが、マイさんが」
「盾が溶けちゃったけど、マッソWドリンクDXのおかげで大丈夫だよ」
「まだ魔法壁の外は灼熱地獄じゃ、冷えるまで待て」
◆リックチーム
頭が吹飛んだドラゴンだったが地面に落下後、まだ動いている
「こいつまだ動くのか!」
リーザさんの魔剣は爆発と共にドラゴンの頭部に刺さったままだ。
「リーザさん!俺の武器です!」
俺はオーガ国から借りた武器をリーザさんに投げ渡す。
ブレスの攻撃が無くなったが、狂暴な尻尾での攻撃を本能的にやっているようだ
「リック!あいつは気配のする方向を攻撃しているだけだ」
リーザさんは首の無いドラゴンと戦闘中だ。
『ヨクモ、ヤッテ、クレタナ、クソムシ、ドモ』
ブッ飛んで転がっている頭が喋っている
「リーザ!ドラゴンの頭にお前の剣が刺さっているから借りるぞ!」
トニーがドラゴンの頭に走り込み刺さっている剣を更に押し込む。
『グガァアアア』
脳まで到達したリーザさんの魔剣はドラゴンの脳を破壊する。
『ハイ、ヒ・・・』
「やらせねぇ!!!」
トニーの鋼鉄製の剣が反対側の眼球を貫通しドラゴンの脳を再び破壊する
ドラゴンには役に立たないと言わる鉄製の武器でも眼球直撃であれば貫通可能だ!
ドラゴンの脳はここで停止する
「まだドラゴンの胴体が暴れているからやるね!」
エリアが超高濃度に圧縮したファイアボールを放つ
「火の魔素さん!あのドラゴンの首から中に入って焼き尽くして!」
『おうよ!まかせな!大目に魔力使うぜ!』
エリアの手から放たれた真っ白な球が、高速でドラゴンの弾け飛んだ首の食道辺りから体内に侵入する。
意思を持つかのような火の球・・・誘導弾のような動きである
首長のドラゴンは回避行動を取る事もできずエリアの真っ白な球が切断された首から侵入し、食道を通過していくと内部から血肉が沸騰を始め肉の焼ける臭いと血の沸騰する臭いをまき散らし腹の辺りで爆発する。
水蒸気爆発状態だ
トニーが頭部にトドメを、エリアが胴体部にトドメ刺す形で対ドラゴン戦が終了する
リーザさんがドラゴンが完全に死んだ事を確認し、俺達は周囲に脅威が無い事を再確認。
しばらくするとアリシアさん達が合流する。彼女達の無事を確認すると俺はホッとした。
ミリアがドラゴンの残骸を見て難しい顔をしていたがこの際なんでも良い。
終わった・・疲れた。
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