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異世界転移は意味不明 ~レベル社会で生活できるようにかんばります~  作者: els


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オルワール領へ出発

 パーマ街の奴隷組合から戻った俺は、デンジャーゾーンメンバーとこの件について相談する事にした。


「リック、難しい事は考えるなよ。仲間なんだから助け合いで何とかしようぜ!」

最初にそうに言ってくれたのはトニーだ。

この世界は奴隷公認の世界なので、あんまりゴタゴタになってしまうと、後々面倒な事になると思うので出来ればみんなを巻き込みたくないというのが本音である。


リーザさんも最後は力押しで何とかなると、結局この人は基本脳筋なのだ。

ミリアに至っては、ゴチャゴチャ言ったら領地ごと滅ぼせとか怖い事を言っているし

そんな感じで適当に話が纏まりクオルワール領へ出発する事になった。


 オルワール領までは馬車で移動して20日位が通常の日程である。途中に宿場町のような小さな村があるのでそれほど食料等を用意しなくても済む状態にはなっている。


長期の旅になる事をミエスさんに相談するとミエスさんが新型の荷馬車を用意してくれた。

貴族や商人向けにこの様な馬車があっても良いのではないかと試作した物で現代で言うとマイクロバスサイズの荷馬車。馬一頭でこんなの引けるのか?と思う位デカイ。

8人分の簡易ベット・トイレ・シャワールーム・炊事室まで完備されている大型のキャンピング荷台である。

まぁこのサイズの荷馬車でも空ならこの時代にも馬1頭でも引っ張っているのを見かけるので、そんなに珍しい物でもないかもしれないが、そういう馬車の場合は移動速度が非常に遅いので同じ物とは考えない方が良いかもしれない。大体の場合馬2頭や4頭で引っ張るみたいだけどね。


ミエスさんの解説によると

「御者席にはダミー人形を設置できるので24時間走れます」

と言いう事なので、人目に付く日中は通常の速度で運行し、人目に付かない深夜は爆走するプランで日程を大幅に短縮させる予定。


旅の途中、最初の数時間はみんな和気あいあいと会話も進んでいたが、車上で揺られる旅なので徐々に眠くなり眠気に負けて各自ベットに入ってしまう。リーザさんとトニーは心配になって時々運転席に移動して外の様子を確認していた。

運転席にダミー人形が座っているが、街からかなり離れた距離になった時点で見張り役として俺・トニー・リーザさんの交代で警戒に当たる事にしている。パーマ領内では遺跡街との本格的交流がスタートしているので街道沿いの治安は良好であったが、そこから外れると良好からやや悪いに変化する。


ミリアのフライちゃんが上空から偵察を行って異常があればすぐに戻って来る事になっている。

街道と言っても、きちんと整備された道ではないのでいくら高性能荷馬車でもそれほど速度は出せない。その傾向はオルワール領に入ると余計にひどくなる。


「リック、オルワール領に入ったら急に道が悪くなったな」


運転席に座っているトニーがそんな事を言って来たので、運転席に顔を出してみると道幅はあるが結構デコボコな道になっている。

「領主が街道整備に金を出していないのだろうな」

オルワール領はリーゼント国の中では最大の領地でありリーゼント国が出来る前はオルワール領と内戦のような事も何度も行われていたという事だ。結果としてリーゼント領が他の領地を纏めて国として成立、オルワール領もリーゼント国の一部になった訳だが、オルワール領から見ればリーゼントの方を格下と見ている傾向があり、建国以来から不仲な状態が続いているとか。


道がデコボコなので当然の事に馬車の速度が落ちる。

馬車の速度が落ちると、やっぱり出てくる盗賊

真っ先にフライちゃんがミリアの元に戻って状況を説明


上空から盗賊っぽい人間が20人。馬に乗っているのが10人。装備は剣と弓。魔法使いは居ないと報告が入る。


「おおう!そこの馬車止まるのダ!」

装備を見る限り盗賊?とは思えないような装備の集団

アリシアさんが鑑定するとLV7~LV12程度、盗賊としてはレベルが低すぎる

フライちゃんの話だとそれしか居ないという事なので少し様子を見る事にした。

「食い物と荷物置いていけ!そうすりゃ命までは取らねぇダ!」

アリシアさんの話では今話している人がLV12詳しく鑑定すると「村人」だった。


「おっちゃんどうしたんだい?慣れない事をするものじゃないよ。俺達冒険者だと知って襲ったのかい?」


「へっ!そのヒョロヒョロのアンちゃんに言われたくねぇわ!」

毎回このパターン。久しぶりの野外パターンだ。

「悪い事はするものじゃねぇよ、大人しく帰った方が身のためだぞ」

とりあえず、職業欄が「村人」のままなのでまだ一線は超えてない(人殺しや盗みはしていない)と思われる。

馬車の中からリーザさんが表れると自体は急変する。LV41のリーザさんが放つ強者のオーラと言うのだろうか

「そっそんなのでビっビビると思ってるのかぁ」

明らかに動揺しているし、最初の勢いも消し飛んでいるように見える

「あんたら村人だろ?何か理由があるのなら、盗賊みたいな真似はやめな」

リーザさんが優しく村人に問いかける。馬車から出て来た時とは一転して優しい表情に変化している。


「とうちゃん止めようよ・・」

後ろの方で息子っぽい男性がおっちゃんに話しかける。

良く見ると、装備は数人が剣を持っていたが、残りは木の棒を銀色に塗った物だった。

「俺達じゃ、あの女戦士には絶対に勝てねぇ、村に出た魔獣に遭遇した時の何倍も死ぬかもしれないって感じを感じたダ」

 それからすぐに、盗賊団風村人の態度が一変し、謝って許してもらえるなら許して欲しいとお願いされる。


「良ければこんな事をした理由を話してくれれば少しは力になれるかもしれない」

俺はおっちゃんに問いかける。

「オルワール様もこんな辺境の地ではロクに領地管理もしてくれないンダ」

何となくLV12のおっちゃんが話し始めた。

おっちゃんの名前はニカドさん。この近辺の集落の代表の人。村未満の集落が沢山あるらしく、それらを纏めている人らしい。

この盗賊団もどきも、それぞれの集落から集められた人達のようだ。


ニカドさんが言うには数日前にオルワール領から道案内役の冒険者と騎士団一行が訪れ、集落の食料を根こそぎ持って行ってしまったらしい。

 数日で飢えて死ぬというレベルではないが、確実に収穫までは耐えられない状況となり、領都に食料を貸してほしいと相談に行ってはみたが、村ではない集落では全く相手にされず、担当の役人に


「奴隷になれば衣食住はある程度あるぞ」とまで言われたようだ。


「リック、この国は奴隷商売が活発な領地だからな、時々そういう集落狩りみたいなのが行われるのかもしれないぞ」

そんなことも有り、集落で盗賊団っぽい物を作って街道を移動する商人から少しだけ食料を奪ったりして何とかこの場を凌ごうと考えたらしい。

しかし、最初の1回目で俺達と遭遇。あえなく失敗。

「でも最初の1回目が俺達で良かったぞ、他の冒険者なら盗賊は皆殺しだからな」

「はい、とても悪いことをしたと思っているダ」

 反省もしている感じなので、とりあえず危険はなさそうと思い、ニカドさんに提案をする。

「ニカドさん、俺達はこれから領都に用事があるのですが、道案内をしてくれる人を探しています。それなりに給金も出しますのでお願いできますか?」

ニカドさんの表情は暗い。そりゃ一人だけ雇われても集落全体が潤う訳ではないので、飢える時期が若干ズレるだけかもしれない


俺はミリアと相談して遺跡街に移住出来ないか聞いてみた

「問題ないじゃろ。こいつらが良ければの話じゃが」

遺跡街は発展中だ。農民や木こりの仕事はいくらでもある。


「ニカドさん、集落全体ではどのくらいの人数が暮らしているのでしょうか?」

ニカドさんは何を聞いているのか?この人って表情になったが、俺が真剣に聞いている姿を見て、考えが変わった感じだ。

「集落全体で250人程くらしているダ」


「ニカドさん、提案なのですが。俺達はパーマ領の近くにある遺跡街が来ました。もしニカドさん達が良ければ集落全体で移住しませんか?現在復興景気で仕事も沢山ある所です」

オルワール領の偉い人達から見れば、この集落の人達は見捨てられたも同然なので、こんな方法で救済しても良いと思って提案してみた。


「本当に移住して仕事もあるのか!」

盗賊団もどきの人達が騒ぎ出す

中には「そんなに上手い話はない」とか「騙されないとか」って言って人も居たが、盗賊になりかけて良くそんな事が言えるな・・とやんわりと言ってやったら黙ってしまった。

「集落の奴らとも相談したい、少し時間をもらえるか?」

そんなやりとりがあり、俺達はニカドさんの集落に移動する事になった。


集落に着くと、布製のテントのような物から藁屋根の縄文風の三角形の竪穴式住居のような物が立っている集落で、そんな感じの建物が7~8個ある。

ニカドさんの話だと、この集落で40人程が生活しているとの事だ。

荷馬車から野営セットを取り出し、食事の準備をしていると、集落の子供達が物珍しそうに集まり始めた。


狩に出ていたトニーとマイが森の中から獲物を引きずって帰って来る。

「あぁ、こんなのしか居なかったぞ」

トニーが引きずっているのはジャイアントフロッガー。見た通りデカイカエル。


「ジャイアントフロッガーを倒せるのか!」


集落の人達はジャイアントフロッガーを見ると驚愕していた。討伐LV15前後。熟練の冒険者であれば特に警戒すべき魔獣でもない。通常攻撃に加え飲み込むという攻撃が有るだけなので毒や特殊攻撃も無い標準的魔獣である。

近づかなければ攻撃もしてこないが、湿地などに潜って隠れている事があり、気づかないで近づくと飲み込まれて食われる事もある位の魔獣だ。

トニーの6倍位の大きさのジャイアントフロッガーを集落に持ち込むと村人たちから歓声が上がる。

ニカドさんが言うにはこのサイズのジャイアントフロッガーは見たことが無いらしい。

何年かに一回くらいの割合で家畜が犠牲になったりしているが、集落の人達では討伐する事も

出来ず、オルワール領の冒険者組合に相談しても、ニカドさん達のように移動して生活をしている集落レベルの人達は組会からも相手にされないと言う事で少し強い魔獣が表れるようになると拠点を移動して生活をしていたという。

しかし、ジャイアントフロッガーは水辺や沼地に生息している事があり、犠牲になる家畜も居て結構深刻な問題でもあった。

そのジャイアントフロッガーをトニーがあっさり仕留めて来てしまったので、集落内では騒ぎになっていた。


「トニーおにいちゃんすごい!」

「マイ姉ちゃんも強いの?」


トニーとマイは集落のなかでヒーローっぽい扱いになっている。

「ちょっと恥ずかしいな」

「まぁ村の人から見れば脅威の魔獣だからな」

そんなことを話しながらジャイアントフロッガーを裁いて行く。

「みなさんジャイアントフロッガーの肉を一緒に食べませんか」

集落の人達は「えっ?」という表情をしていた。

「俺達だけは食べきれる量ではないので、みなさんと親睦を深めたいので一緒にどうでしょうか」

集落で肉を食べる場合は集落で飼っているニワトリを食べたり、時々危険な狩を行う事もあるが、森の中で猪やウサギと言った比較的狩りやすい動物を食べる事くらい、魔獣相手では集落の人間では基本的に狩られる側になってしまい、魔獣はほとんど食べられないということ。森の中の生き物が自体がほとんど魔獣なので、森の奥には絶対に入らない事がこの辺に住んでいる人の常識なのだとか。


「俺達、魔獣の肉なんかほとんど食った事がない。時々森の外に出てくるウサギや猪が捕まえられれば食える程度なので肉を食えるのは非常にありがたい」


現代のテレビで見た秘境での生活みたいな番組だと、野生動物の捕まえるのは凄く難しくて、危険度が少なく手に入る小動物や芋虫・昆虫等が貴重なタンパク質だと紹介されていた事思い出す。

 この集落事態も同じような状態なのかもしれない。

集落の人達は、本当に肉が食えるのか?という期待の表情だ。

「みなさん遠慮せずにどんどん食べて下さい」

「トニーさんありがとう!皆の衆今夜は肉だ!有難く頂こう!」


「「「おおおおお!!!」」」」


解体されたジャイアントフロッガーに集落の人達が押し寄せて来た。

俺達は比較的食べやすい部分を食べていたが、集落の人達は肉の活用方法を知っているので内臓なんかも綺麗に処理して食べられる状態にして、いわゆるホルモンかな。部位にによっては

干し肉に加工したりして、出来るだけ長い間肉が食べられるようにするそうだ。

俺は加工方法に興味があったので「へぇ」って感じで集落の人達か加工している様子を眺めながらニカドさん達と軽い夕食をしている。


 子供達はうまそうにジャイアントフロッガーが食っているが大人達はそうも行かず、ジャイアントフロッガーの加工に大忙し。

しばらくすると他の集落からも応援が来て大加工大会となっている。

俺は宴会でもするのかと思っていたけど、残念ながら食料を奪われてしまっているので、それどころでは無いという事だった。


まぁそうだよね、だから盗賊団になって俺達を襲った訳だし。


「とりあえず一晩だけの予定だったけど、明日も狩に出て少し食料事情を安定させようか?」

メンバー全員の同意を得て、俺達は翌日からこの周辺の魔獣を狩る事にする。

集落の周辺ではLV15未満の魔獣しか出てこないようなので、比較的食べやすい種類の魔獣を中心に狩る事にした。昨日のジャイアントフロッガーもそうだが、ビックピックという大型豚の魔獣も居た。豚なのに牛サイズ。体重700キロ前後。十分な肉の量だ。

熊系の魔獣なんかは森のかなり奥まで行かないと出てこないが、それでもLV15前後。

こちらから攻撃をしたりしなければまず襲ってこない魔獣なので、比較的平和な場所だと思った。

遺跡街周辺やオーガ領に出てくる魔獣が異常に強かったのと、あっちの魔獣は平気で襲って来るのでその辺の違いがハッキリしている。

それからも色々と魔獣を狩ったは良いが、さすがに量が多すぎるので、ミリアにスケルトンを召喚してもらって、集落の人達に見えない範囲まで魔獣を運ばせる事にして、途中からはトニーとマイが運ぶ。リーザさんや俺も運んでいるけど、トニーとマイの人気は凄い。

「意外と持ちにくいから重いんだよな」

とトニーがボヤいているが、集落に入るとヒーロの帰還で大騒ぎ。トニーさま、マイさま!と

魔獣を持ち込む度に歓声が上がっていた。

全ての集落から人々が集まり、一種の肉加工祭り状態だ。


翌日には各集落の代表が集まり、俺達にお礼を言うと共に、遺跡街への移住を希望するという返答を得た。

「トニーさん、俺達は貴方たちの遺跡街に興味がるので是非移住させて頂きたい」

トニーがリーダーでは無いのだが、この場はトニーに任せた方が話が簡単に進むだろうという判断で、トニーとマイにほとんどの話を任せる事にした。

「リック、全集落移住という事で決まったぞ。ただ移動準備期間が欲しいって話だ」

俺達が領都から帰る時に立ち寄るのでその時に一緒に帰りましょうと提案すると、戻る前にフライちゃんを送るので、それで最終的な準備をしてほしいと話をした。

 空飛ぶ人形に恐る恐る近づくニカドさん達だったが、危害が無い事を確認するとそれからは普通に対応できるようになった。

 それ以前から子供達とフライちゃんは遊んでいたのである程度大人達にも免疫のような物があったのかもしれないけど。

そのあとフライちゃんを高速で遺跡街まで飛ばし、ミエスさん達に連絡を付ける。

約250人の移住希望者が居る事を伝えると「準備しておきます」の返答。あとでミエスさん達にもお礼を言わないとならないな。


翌日にはニカドさんの道案内で領都へ出発する事になる。



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