リックとアリシアの処刑
俺とアリシアさんはワイバーンに乗せられ、3日後プ・リンタの街を通過し知らない町に到着した。
闘技場っぽい場所に連れられてくる。裁判にしては賑やかで観客までいる状態だ。
観覧席にはビジェイ王子。神官服のような物を着た裁判官のような男が俺とアリシアさんの前に現れる。
「お前らの罪状はイオス王殺害の罪だ、お前たちの意義申立ては一切通らない」
ちょっと待て!なんで俺が王様を殺害した事になっているんだ!
ちなみに現在、俺とアリシアさんは腕を鎖で繋がれている状態だ。
「オーガ国は力を示す国だ。罪人にもチャンスはある二人で処刑人相手に戦って勝ってみろ」
こいつ本当に裁判官なのか?顔がにやけているぞ・・・
観覧席ではビジェイ王子がワイングラスのような物を持ってこちらを見ているようである。
「リックさん私なら大丈夫です。マッソドリンクで人が死ぬはずはありません、思う存分戦ってください」
アリシアさんはそう言ってくれるのだが、現在アリシアさんと俺は鎖で繋がれている。一人で戦う分には問題ないのだが、二人一緒だとアリシアさんをかなり危険な目に合わせてしまうかもしれない。
そんな事を考えている間に観客の歓声が一気に上昇する。正面の扉が開きもう、モロに処刑人という感じの男が表れる。筋骨隆々のオーガ族には良く居るタイプ。鉄仮面をかぶり、鉄の胸当てなどの装備に巨大な斧を持っている。
「すぐに殺されても面白くないだろう!、武器を渡せ!」
扉の奥から馬車が表れ、沢山の武器が積まれている。
ただ問題なのがオーガ族のマッチョサイズであり人間族の俺達では扱えるサイズが少ない事だ。
唯一人間族でも使えそうなショートソードを手に取る。戦わせる気があるのか知らないけど、刃はボロボロだ。
「アリシアさん安心して下さい、あなたの事は絶対に守ります」
「はい。信じています」
「では処刑始め!」
観客の声が一気に大きくなる
処刑人は手始めに武器の積まれていた荷馬車を破壊する。おそらくパフォーマンスの一環なのだろう。巨大な斧の暴力的な破壊力で荷馬車はバラバラに弾け飛んだ。
俺はアリシアさんを片腕で抱えるような感じの体制をとり、一度処刑人との距離を取る。
「ほぉ、あいつ女を抱えてあの速度で動けるのか」
完全に処刑モードに入っている処刑人はゆるキャラ化しており見た目全く怖くない状態に変化。
斧もスポンジみたいに感じる。
「アリシアさん大丈夫ですか?一気に動きましたが、体は大丈夫ですか?」
「はい、不思議と大丈夫です。リックさんにくっついているからでしょうか?」
そういえば、前のワイバーン戦の時のエリアも後々同様の事を言っていた気がする。
「リックさん鑑定の結果、あの処刑人はLV30です。気を付けて下さい」
「ありがとうアリシアさん」
処刑人が一気に距離を縮め、暴力的に斧が振り下ろされ、俺はそれをボロボロショートソードで受け止める。スポンジ程度にしか感じない斧だったが、一応ショートソードを使う。
バキーン!という金属音が闘技場に響き渡り、処刑人の斧が停止する。
俺は内心スポンジっぽい物からバキーンと音がする事に微妙な疑問を感じたが、その辺は無視する。
まさか受け止められると思わなかった処刑人は一瞬動揺する。
観覧席のビジェイも動揺している
「あの剣で受けるか、おい鑑定士あいつらのレベルを確認しろ」
ビジェイ専属の鑑定士がリック達を鑑定する
「処刑人はLV30 罪人男がLV3、女がLV25でございます」
「LV3だと!ありえないだろ、女に秘密があるのか?」
「魔法らしき物の起動は確認できません」
「ありえん」
処刑人は微動だにしない斧での攻撃を諦め、丸太のような足で蹴りを入れて来た
俺はアリシアさんに害がないように、その足を軽く蹴り返す。
「ぐぎゃぁああああああああ!」
処刑人の悲鳴が闘技場に響き渡り処刑人の足はありえない方向に向いている。
観覧席の方から回復魔法が飛んできたのだろうか?処刑人が光に包まれ、処刑人の足が元に戻る。
「アリシアさん次はもう少し早く動きますので、無理だったら教えてください。悲鳴でも良いです」
アリシアさんは頷いて了解する
回復魔法が飛んでくるとは反則な気もするが、長期戦になるとアリシアさんが心配になる。相手のやり方はわかったので処刑人を殺さない程度でダウンさせる方法を考える。
鉄仮面の下で表情はわからないが、汗だくの処刑人が再び巨大な斧で攻撃をしてきた。
俺はその斧が振り下ろされる数百倍の速度でボロボロのショートソードで切りつけた。
高速で振られたショートソードの速度エネルギーは凄まじい破壊力を生み出し、斧と当たった瞬間に斧がスッパリと切れてしまう。
処刑人の顔が真っ青にになったと思う。鉄仮面では確認できないので分からないけど。
処刑人は破壊された斧を投げ捨てると、アリシアさん目掛けて殴りかかる。明らかにターゲットが違う事はわかったが動きがスローすぎるので、殴りかかる拳を俺は平手で軽くたたき軌道をそらす。
ブチャ!という音とともに処刑人の拳が潰れる。
「ぐぎゃぁああああああああ!」
処刑人も仕事とは言え少し哀れに思えて来た。
再び回復魔法が飛んできそうになるが、アリシアさんが観覧席のあの男ですと教えてくれたので、荷馬車から散乱した武器の一つを取り、観覧席目掛けてぶん投げる
コントロールがそれほど良い訳ではないが、運よく観覧席の屋根にぶち当たり観覧席の屋根を破壊。
「がひぃぃ!!!!」
と魔法士?の悲鳴が聞こえ、回復魔法は飛んでこない
砕けた拳をかかえながら突進してくる処刑人の胸当ての上からパンチを入れると、拳の形に胸当てが変形。
「ぶぎゃぁぁぁっぁ!」
処刑人は悶絶して倒れてしまった。
闘技場は静まり返っている。観客たちは何が起こったのが理解できないようだ
「オーガ族の人!早く治療しないと、この人死にますよ!」
「リック!貴様、俺を殺そうとしたな!!!!!」
破壊された観覧席から第二王子のビジェイが怒りながら俺を見ていた
俺はどうすれば良いか分からなくなった。完全に言いがかりなのである。
「衛兵を出せ!犯罪者リックとその女を殺せ!!!」
アリシアさんが居る関係で全力では戦えない(と思う)
完全武装の衛兵が20人ほど闘技場の中に入って来た。
「犯罪者リックは、イオス王を殺害しその上第二王子である私まで殺そうとした!これは十分に死刑に値する、即刻処刑だ!」
静まり返っていた闘技場は一気にヒートアップする。
公開処刑は見世物と言われていた時代もあった。
「これは処刑である!リックとアリシアは一切の抵抗を禁止する!」
もう訳がわからない、最初から処刑じゃないの?、とにかく殺されなければならないようだが、アリシアさんは必ず守ると決めているので、オーガ国と全面戦争になっても俺はこの場から逃げる。
「アリシアさんさっきよりもハードになると思いますが、大丈夫でしょうか?」
「それが、不思議と何とも無いのです。大丈夫ですリックさんにお任せします」
敵意むき出しの衛兵が攻撃してくる。
毎度のようにゆるキャラ化しているし、武器もとても弱そうな外見に変化している。
最初の5人位はボロボロのショートソードで衛兵の武器を破壊したあとに脳天チョップを食らわす事で気絶させる事に成功。
アリシアさんは衛兵が死んでいない事を確認してくれた。
あっさり5人倒してしまったので、別の衛兵達も警戒を始める
その後、俺は一気に衛兵に向かって走り込み、衛兵が応戦する間もなく5人を無力化。
アリシアさんが言うには死んでは無いですが多分重症ですという事。
殺さないレベルでの手加減は難しい。
残り10人になった時点で、変化が起こる。今までゆるキャラ化していた衛兵がノーマル状態に戻っていたのだ。
戦意喪失状態
さすがに戦意喪失した衛兵に攻撃をする気にもならず、おれはビジェイの方を睨む。
「衛兵!何をやっている!さっさと殺さないか!」
俺は衛兵を見るが、動揺しているのででノーマル状態、抜刀はしている物の震えて動けないようだ。
すると、ビジェイが降りてくる
「この俺が自らお前を処刑してやる!!」
さすが戦闘民族?オーガ族、この辺はキャノと同じなんだなと
「リックさん気を付けて!彼はLV38です」
ショートソードで攻撃すると死んでしまうかもしれないし、さすがに王子殺しとなると色々問題が起こりそうなので、ここは穏便に解決したい。
キャノのときはビンタで動かなくなるまで叩いたが、今回もその作戦で行こうか
「お前ら、覚悟しろ。俺はLV38だ!楽に死ねると思うなよ!」
鑑定で知ってはいたが、自己申告してくれた。
「ハッ!どうやら恐怖で全く動けないようだな!」
確かキャノはLV40たったはず。この王子はキャノよりも確実に弱い事になるが、ビジェイ王子の登場で衛兵達に士気が戻る。さっきまでノーマル状態だった衛兵達も徐々にゆるキャラ化が始まっている。
「王子が出る程の相手もありません!、我らにお任せを!」
さっきまで戦意喪失状態だったと思えないが、この王子も王子だから人望があるとか信頼関係が構築されているのかとも思うので、ここで死人を出す訳には行かないと改めて思う。
「リックお前は処刑時抵抗禁止の命令を無視した。よって死刑だ!」
どっちみち死ぬじゃないか!、ある程度相手のルールに従って後々の正当性を示そうとしたが、もうし死ぬしかないコースなら無視する事にする。
俺はアリシアさんと繋がれている鎖をブッチ切る。アリシアさんの腰に手を回して抱え直す。
「アリシアさんもう少し我慢して下さいね」
真剣な表情でアリシアさんが同意する。
「鎖までブチ切るとはこの化け物が!」
衛兵達が一気に突進してくるがさっきとあまり変わらない。ゆるキャラ度はさらに強調されているので余計に弱そうに感じる。
そういえば今まで威圧のような事をしたこと無かった。怖い雰囲気と言うヤツだろうか?
試しにやってみたらどうなるだろうか?ここから逃げ切る自身があるので試しにやってみる
キリっとした表情で
「死にたい奴は前に出ろ」
言った瞬間に衛兵達のゆるキャラ化が一気にノーマル状態に。
「この役立たず共が!!!」
怒り狂ったビジェイ王子が抜刀して走りこんで来る。
ちなみに彼も今はぬいぐるみのようなゆるキャラ状態で認識されている
スローな動きで剣が振り下ろされてくるので、ボロボロの剣でビジェイ王子の剣の横をブッ叩く。
ビジェイ王子レベルが持っている剣では名刀なのだろうが、横方向からあり得ない力が加わる事で、ビジェイ王子の剣は真っ二つにへし折れてしまう。
「国宝級のオリハルコンソードがぁ!!!ショートソード如きの攻撃で折れる訳がない!!!」
国宝だったのか、キャノに悪い事をしたかもしれない・・としか思わない。
「貴様の異常な強さは何なのだ!その女に秘密があるのか!」
まあ確かにアリシアさんを守るのが優先事項だ、ビジェイ王子の言っている事は正しい。
「図星か!その女を先に殺してやる!!」
ビジェイ王子は腰元からナイフを取り出し、アリシアさん目掛けて投げつけるが、俺には超スロー再生のビデオのようにしか見えてない投げナイフ。
アリシアさんもぱっちりとした大きな瞳でナイフを見ているように見える。怖い思いをさせてはいけないと思い、叩き落とすとかはせずに、そのまま余裕を持って回避する。
ボロボロのショートソードをアリシアさんに持ってもらって、俺はビジェイ王子の顔面を平手で叩く。叩きぬくと首がもげるかもしれないので、その辺は加減する。
ビジェイ王子は叩かれた事で、縦回転で飛んでいく。すげぇ痛そうだ。
叩かれた顔面が手の形に真っ赤になっていた。
殺してないよな・・・
アリシアさんがまだ大丈夫なので気を付けて下さいと横で説明してくれる
起き上がった、ビジェイ王子の前歯は全部折れて無くなっているし、鼻は折れ曲がり、角も折れてしまっている。
「きふぃぃきふぃさまぁあああ!」
歯が無いのでまともに発生できていない。
そのまま腹に軽くパンチ。闘技場の地面を10回転ほど激しく転がっていくが、途中でさっきまで食べていたものを噴水のようにブチまけていた。
そのままばったり動かない。
「今度こそ殺してしまった?」
「かなりダメージを受けているようですがまだ生きています。ちから加減が上手ですね」
アリシアさんが居るとこんな時助かるよ。
その時ビジェイの体が光の膜に包まれ
装備者が危機的状況になると1度だけ復活出来る復活のリングとオーガ族特有スキル≪オーガブースト≫が発動する。
「キサマ・・良くヤッテクレタナ!タダデスムとオモウナヨ」
ビジェイの様子が明らかにおかしくなっている
「ビジェイ様の修羅モードだ!」
「滅多に見られる物じゃないぜ!」
衛兵達の様子が一気に変わる。
ビジェイの様子も呼吸の度に鼻や口から水蒸気のような物が出ているし、目も真っ赤になっているのでゆるキャラ化していても若干怖い状態に変化。
「リックさん!ビジェイのレベルが48になっています!!」
「人体兵器トマデ呼バレタ俺ノ本気モードダ、死体ナド残ルトオモウナヨ!」
さっきの3~4倍の速度で一気に距離を詰めるビジェイは拳を振り上げ俺に殴りかかって来たので、俺はそれを防御しようと手を振り上げると「ガシィ!」と音と共に俺の腕がビジェイに捕まる。
「捕マエタゾ」
俺は一度アリシアさんを放し、ビジェイの攻撃に備えようとするが、ビジェイのターゲットはアリシアさんだった!
「女!シネ!!」
アリシアさんに向かってビジェイが移動しビジェイの拳がアリシアさんに向かって放たれる!
「そうはさせるか!!!!」
俺はビジェイに捕まれている腕をもう一方の手で掴み、ビジェイをぶん投げる!
ビジェイは空中で1回転してそのまま着地すると、地面を蹴り上げアリシアさんに向かってロケットのように加速する。
俺もアリシアさんの方へ一気に走り込み、ビジェイを横から蹴り飛ばす事に成功
ビジェイは闘技場の壁に突っ込んで壁を破壊していたが、そのままムクっと起き上がる。
手加減して殺さないようにしていたが、今までの攻撃の強さでは全く効いてない感じだ!
「今ノ俺ニソンナ攻撃ハ効カン!」
闘技場の観衆がヒートアップして行く
ビジェイは散乱している大きな瓦礫を掴み俺達に投げつける!
アリシアさんを守るように俺はアリシアさんを抱え込み、その場から移動し回避。
「アリシアさんと離れると危ないし、一緒に居るの危ない」
「リックさんと一緒の方が安全です!一緒に戦いましょう!」
「リックさん!さっきの倍位の力でビジェイに攻撃しても大丈夫です!」
ジャンプして一気に距離を詰めるビジェイに対して、俺はアリシアさんを抱えてビジェイにダッシュする
アリシアさんが高速鑑定してビジェイの動きを先読み出来るようになった!
「リックさん、あの攻撃には力は入っていません!、反対側の腕に注意して!」
この間0.5秒位の会話だと思う、俺と密着している事で俺のブーストスキルがアリシアさんにも伝わっているのか、今の俺とアリシアさんは同じ時間を体感しているのだと思う。
ビジェイの動きが非常にスローに移動していく、ビジェイ目線の位置が微妙に変化しているが、俺達の動きには追従していない。
次の瞬間に俺の右ストレートパンチがビジェイの顎を捉える。
ブアッシャン!!!!
とパンチの音とは思えない音が闘技場に響き渡り、ビジェイは空中に舞う
地面に落下し5回ほどバウンドして停止。
「リックさん大丈夫です!まだ生きています!」
ビジェイの顎は見るも無残な形に変形し、顔面血まみれの状態で全く動かなくなった。
そして修羅モードとやらも終わり、普通のビジェイに戻る
しかし、今日はマッソドリンクも何も無いからこのまま放置も不味そうにも思える。
「観覧席の神官だか魔法士に回復させましょう」
そう言えば回復魔法の使えるやつが居たんだったな。
「おい!そこにいる神官だか魔法士!、早く回復魔法を使わないとビジェイ王子が死ぬぞ!」
「ひぇええ」と言いながら神官が走って来る。
再び暴れられても面倒なので、ぶっ倒れている衛兵の装備から拘束具を取り出し、ビジェイ王子にそれを使って拘束状態にする。
神官が上級回復魔法を使うと、砕けた顎、折れた歯や角等がみるみるウチに再生していった。
そして気が付くビジェイ王子だが
「貴様!俺にこんな事をしてタダで済むと思うなよ!、必ず殺してやる!!俺が王になったらお前の街も滅ぼす!!いや!人間族皆殺しだ!!!」
面倒な事になった、キャノに真相を確認してもらわないと、このままではオーガ国との全面戦争になりかねない状況になっているようだ。
「ん・・困ったなぁ」
「静まれ、静まれ、静まれぇい!!」
聞き覚えのある声が聞こえる。マイクも無いのに凄い大音量。某水戸の隠居のかよ。
「キャノさんですね」
声の主を知っているのか観客席が一斉に静まり返る
「ビジェイ!!!!」
後からの声には聞き覚えが無い。キャノの声よりもさらにデカイ声が響き渡る。
復活したビジェイの様子が一気におかしくなる。挙動不審というヤツだ。
キャノと筋骨隆々の兵器のようなオッサンが闘技場内に入って来た。
「父上!、死んだのでは無かったのか!?」
のしのしと言う動きで歩いていると思ったオッサンだが、一気に距離を詰めてビジェイを一発殴り飛ばす。さっき回復魔法をかけてもらったばかりのビジェイは胃液をまき散らしながら地面を転がり回る。あれ以上吐く物無いだろうに・・超痛そうだ。
「父上・・・ご無事でなにより・・・私は父上を暗殺しようとした、この男と女を処刑しようと思っていた所です」
今度は罪状が王様暗殺しようとした・・未遂になっている。コロコロと都合の良い。
しかし、父上と言う事はあの人がキャノのお父さんという事なのだろう、と言う事は王様?
アリシアさんは膝を付き、頭を下げていたので、俺も同じようにする。この世界で初めて会う王様だから、作法なんて物は全くわからない。ちなみにキャノとの関係は勝負で一度勝っている為、非公式の場では俺の方が上らしい。
「こちらがリック殿とその仲間のアリシア様です」
「君がリック君か!とりあえず頭を上げてくれ!、私がキャノーラの父のイオスだ」
「この度は死にかけたが、お主から貰ったマッソWゴールドドリンクで見事に復活したぞ!!」
自分で王とは名乗らなかったけど、キャノのお父さんである事は間違いないようだ。
「父上!騙されてはなりませぬ!この男と女は父上を殺そうとしたのですぞ!」
何時までバカを言っていると言う感じでイオス王がビジェイを平手で叩いて黙らせる
「戦いに負けてなおもそんなことを言っているのか!この恥知らずが!、そもそもワシは死んでおらんぞ!」
イオス王?は「ニカっ」とした表情を俺達に向けて、手を差し出してくる
俺はどうすれば良いか戸惑う、アメリカで言う握手なのか?そんな文化があるのか?
戸惑っているとアリシアさんが先に手を差し出すと、イオスさん?は握手して挨拶している。
「リックさん、この場の最初の挨拶として握手で大丈夫ですよ」
俺は照れつつ、手を差し出し握手をすると、イオスさん?王?が力強く握手をしてきた。
チョット痛いなぁ・・と思う程度だったので、俺も握り返す。力強い握手ほど信頼の証とか、昔TV番組で見た気がしたからだ。
ギュッと握り返すと
「OK!OK!リック君、さすがキャノーラが認めた男だ!、その力だけで君の強さも十分に伝わって来た」
イオス王?さん?はフウーという表情で手を放す。
「初めまして、えっとイオス王、私がリックです」
「おっと忘れていたな、ワシの事はイオスでかまわんぞ、気楽にそう呼んでくれ」
さすがにイオスと呼び捨てする事は俺的に出来ないでの、イオスさんと呼ばせてもらう事にする。
「話は戻るが、君の話はキャノーラから良く聞いている。それに君には息子が迷惑をかけたようで私からも謝罪する」
「父上!そんな下賤な者の話など聞いてはなりませぬ!」
「ビジェイ!おぬしは勝手にワシが死んだ事にしたそうだな!この町に入ってきたら国民や衛兵達がワシを見て驚いていたぞ!勝手に殺すのではないわ!」
ビジェイ王子はイオス王の葬儀が行われる前に国王が死んだ事を国民達に話ていたようだ。
「ビジェイお前の事を後々決める!しばらく謹慎しておれ!」
「父上!、騙されてはなりませぬ!、私は父上の事を思って!!!」
イオスさんの連れて来た騎士団に引きずられていくビジェイ王子、そのまま彼は退場した。
「すまんなリック君、話が折れてしまったが、今回の件で改めて礼と謝罪がしたいと思っている。何か欲しい物があれば何でも言ってくれ。出来る限りの事はしたいと思っているぞ」
特に急に何が欲しいとかは思い付かないので、要らないから早く自分の家に帰りたいと思ったが、アリシアさんに後々面倒な事になるので何かしら貰っておいた方が良いと言う事教えてもらった
しかし何が良いのか全く思い付かないし、金額的にもどの程度の物が良いのかもさっぱりわからない。
「アリシアさん、オーガ国王都に拠点があれば便利だと思いませんか?価値的にはわからないのですが」
アリシアさんも今回の功績や謝罪的な物を鑑定計算して大体の価値を換算。パーティメンバーが入れるサイズの拠点であれば良いのなのではないかと答えてくれた。鑑定計算の元はプ・リンタの街での鑑定結果が元になっているらしいので、だいたい大まかな金額が出た感じ。
「イオスさん、我々は冒険者なのでもし可能であれば王都への自由な出入りと、そこを主に活動できる拠点が欲しいと思っているのですが、可能でしょうか?」
「そんなもので良いのか!、すぐに用意させるぞ、建物の規模等のはこちらに任せてくれ」
「パーティメンバーは6人ですが、10人位まで増える事もあるのでその辺の規模で用意していただけると助かります」
「うむ、わかった」
最初何が起こったのかと思ったが、イオスさんの無事を確認できて、ビジェイ王子の勝手な思い込みが招いた今回の騒動は無事に終息した。
イオス国王とも知り合いになれたので今後もオーガ国とは良い関係が築けそうだ。
突然遺跡街から離れたのでパーティメンバーが心配しているかもしれないと相談すると、キャノがワイバーン便を手配。
キャノは散々謝ってくれた。オーガ国内のゴタゴタに巻き込んでしまった事や今回の勘違いの件を特に念入りにと。
帰り道はキャノ本人と護衛が同行してくれる事になり来るときとは違い、快適な空の旅?で帰還する事が出来る。
帰って来るとエリアが泣きながら走って来た。
「リック!無事だったんだね!!」
ごめんな心配かけて、と声をかけながらエリアを抱きしめ頭を撫でてやる。
デンジャーゾーンのメンバーが出迎えてくれた。さすがに突然拉致されたような形になったので、当初はメンバー間も混乱していたらしい。
デンジャーゾーンのメンバーで追いかけて俺達を救出する案もあったそうなのだが、リックが居れば大丈夫なのではないか?キャノの事を信用して少し様子を見た方が良いではないかと、リーザさんとトニーが提案しエリアを説得したらしいようだ。
さすがに一か月以上音信不通だったら殴りこむという結論に達していたようなので、ミリアが殺る気満々で待機中だったという事を聞かされた時は肝が冷えた。
元々この土地に1000年以上君臨していたエルダーリッチ何をやるか本当にわからない。
「彼女ならアンデ・・・じゃなくて召喚獣軍団を召喚して本当にやりそうですから・・」
とアリシアさんがコメントしている。隣で聞いていたキャノは真っ青になっていた。
その後キャノとその護衛がパーティメンバーや街の人々に謝罪。
今回の件は一応これで落着となる。
ちょっと間違うと大事になっていたかもしれないので、ミリアにも良く説明しておく事にした。
オーガ国編を一旦終わりにして、次回から違うお話に変わります。
ビジェイを強く書こうとして途中追加執筆したので、少しだけ長い話になりました。




