アリシアさん用の武器製作2
私アリシア・ラベールは少しというより結構悩んでいます。
今までは中近距離での戦闘やサポートが中心でした。ダンジョンや地下街ではそれが普通でしたので時々戦力不足な所もありましたが何とかなっていました。でも地上世界では射程が足りない事が多くなってきたのです。
エリアちゃん・マイちゃんの魔法攻撃は眼で見える範囲であれば発動可能。通常は遠方になると魔法精度や威力も落ちるのでそれほど使う機会も無いみたいですが、エリアちゃんに限っては魔素自体がフォローしてくれるというかなり変わった特性の魔法士です。
森の中では私が近中距離をマイちゃん、エリアちゃんが中遠距離担当という感じで攻撃をしていました。
でもこの前のワイバーン戦では全く何も出来なかったのです。
敵は上空500メートル以上。近づいて来ても300まで来なかったと思います。マイちゃんの魔法攻撃ではダメージが入らない。エリアちゃんの魔法でもターゲットが遠くて当たるか分からないという話でした。しかし魔法士のエリアちゃんは魔法壁が張れるのでリックさんと一緒に行ってしまったのです。
前々から思っていた地上世界での力不足もあり、なぜ私はこういう時にサポート出来ないなのか悩みました。
今の所の私の武器はこの銃しかありません
この銃の弾が、もっと遠くまで届けば良いのです。
この銃の弾を遠くまで飛ばす方法を考えました。単純に発射時の爆発力を強くする。
単純な方法でしたが、銃を作ってくれたブンタさんの話では使える魔素パウダー量には限界があり、反動が強く私では扱えないだろうとの話でしたが、わたしもレベルアップし、ステータス自体もかなり向上しています。そこで限界値まで魔素パウダーを増やしてみましたが良い結果は得られませんでした。
確かに遠くには飛んで行きますが、何処に飛んでいくのか分からない状態です。
近距離の大型魔獣に対しては有効な武器なのでしょうが、遠距離には構造上適していない武器なのです。
「姉ちゃん、良く来たな!」
現在ブンタさんの店を訪ねています。
「今日は定期メンテの日でも無いがどうした?壊したか?」
私は事のいきさつを説明しました。
「んー長距離か、実はなリックのヤツに前々から相談はされていたんだよな」
「えぇ!リックさんが!」
「姉ちゃんの成長具合とか銃の状態なんかをリックの視点で報告してくれていてな、こっちも銃のメンテをするときに色々役に立っていたんだぜ」
リックさんは私の事をちゃんと見ていてくれたという事なのです。普段リーザさんやエリアちゃんばかりと話をしていたりしていたので、私は遠くで支えるだけの存在なのかな?と思っていたのに・・・。
「地上遺跡街の奴らにも協力してもらって出来上がったのがこの銃だ」
銃そのものが長くなり美しい装飾がされ細身になっています。
「そして新しい弾がこれだ」
今までの物よりも2周りほど細い弾になっていますが長さが長いようです
「リックのヤツが言うにはライフルと言うらしい」
「そしてこのスコープという物を取り付ける、望遠の魔道具だぞ、ちょっと遠くを除いてみろ」
私はスコープ越しに遠くの塔を見てみます。
「横にあるゲージで拡大縮小、ピント合わせができる」
「はい、綺麗に大きく見えるようになりました」
「スコープの中心に印があるよな。あとゲージだ。これを目安にしてターゲットを狙うわけだ」
「射程はどの程度あるのでしょうか?」
「最大威力で計算上2000メートル以上は飛ぶはずだが俺が試し撃ちしたときは500メートル先の的に当てるのが限界だったけどな」
「500メートルでも凄いです!」
ブンタさんに付き添ってもらい、魔法演習場に来ています。新しいライフル銃の練習をするためです。
「弾は下のケースに5発装弾出来る。予備のケースを複数用意して弾切れの時はそのケースごと交換するんだ。
「はい、こんな感じですね」
私は事前に教えられていたので、横のボタンを押しながらケースを引き抜きます。空のケースを引き抜いたあとに、新たに弾を5発ケースにセットします。弾5発が入ったケースをライフル銃本体にセット、「カチッ」と言う音と共に弾倉ケースが銃に固定されました。
「OKだ、次に横のレバーを倒して前に1度移動し、手前に引いてくれ」
カシャンという音と共に弾がセットされる音がします。
「続けて2回同じ作業をすると薬莢が排出されるぞ。ケースを抜いて一度やってみてくれ」
手前にあったレバーを前に押し込むと今セットされていた弾が排出されました。
「まぁ弾抜きの仕方だな。銃の保管時は必ずこの作業はやれよ」
「次は、撃ち方だ」
いよいよ撃ち方です、前のショットガンとどうに違うのでしょうか?
「基本的にはショットガンと同じだ。ちがうのは弾の特性だ。ショットガンは散弾だったがライフルは基本1発だ。この銃は貫通力は強いが、爆発に関しては前のショットガンの方が優秀だから使い分けになるから気をつけろ」
「100メートル先300メートル先500メートル先にそれぞれ標的を用意してある。スコープの中心に来るように標的が来るようにしろ」
私は拡大率とピントを合わせて標的が中心になるように銃の位置を合わせます。
「撃つときは呼吸を止めて自分のタイミングで撃って見ろ」
ショットガンを撃つ時のように体がブレないように立ち、ストックを肩にしっかり当てて
銃を固定するように構え、そして発射
パァン!と高い音が響き弾が発射されます。
「ほぉう!姉ちゃん最初の100メートルから当てたぜ!」
ブンタさんは望遠鏡を覗きながらそんなことを言っていました。
ショットガンで遠距離攻撃をやろうと一生懸命練習していたので、スコープのある100は余裕で当てられます。
そんな感じで300メートルも無事に当てられました。
そして、この演習場で最長距離の500メートルに挑戦します
「さすがに1発じゃ無理だろう、練習だぜ」
同じように標的をスコープの中心に移動させようとしますが、呼吸一つでブレてしまい中々上手く行きません。
でもリックさんが色々やってくれていた事を思うと私もそれに答えなくてはならないと思うのです。全神経を集中し、周りの音が聞こえなくなる位まで気持ちを集中させます。
パァン!という発射音
「うぉ!すげぇ!また当てたぞ。俺なんか数十発撃ってやっと端に当たったんだけどな」
スコープで覗くと標的の真ん中に黒い点が一つ増えていました。
500メートルターゲットで沢山練習射撃を行いましたが、命中率は6割程度そんなには上手く行かない物です。
「これなら問題ないだろう」
ブンタさんからなぜかOKが出ました。
「姉ちゃん、ちょっと着いてこい」
ブンタさんと一緒に演習場の塔に上ります。
「こんな事もあるかと思って、この塔から1500メートル先の森の中に標的を仕込んである。ほら、こっちの方向だ。あの2本の大きな木の間に的があるだろう?」
スコープ越しに見ると、確かに的のような物がセットされています。
「500メートルでも7割程度しか当たらなかったのに1500メートルは無理だと思います。」
「姉ちゃん、立った状態で撃っていたよな。まぁ通常はそうなんだが、このライフルの先端の棒が2本あるだろう?それを起こして立ててみろ」
ブンタさんに言われた通りに銃口付近に棒が2本付いているので、それを起こすと銃の先端に足が付いたような状態になりました
「本来の使い方は地べたにうつ伏せになって、その足で銃を固定して、体を動かさないように体全体で銃を構える物なんだ」
私は地面にうつ伏せ状態になり、ブンタさんに言われた通りにライフル銃を構えます。
体が地面に固定されほとんど動かない、呼吸と発射のタイミングだけ気をつければ上手く行きそうです。
「とても初めてとは思えねぇな・・・最初からこんなに綺麗に構える事ができる物なのか?」
「俺は望遠鏡で見ているから姉ちゃんのタイミングで撃ってみてくれ」
的までの距離が1500メートル、ちょっとした呼吸のタイミング。風の流れで弾道が大きく変わります。
「初撃行きます」
パアンという発射音
「惜しい!東へ流れたな、的3個分位だ、隣の枝に当たったから分ったけどな」
流れた分の修正を入れて改めて発射
「命中だ。すげぇぞ、姉ちゃんすげぇぞ」
鑑定スキルで温度、湿度、風速、風向が鑑定できるので、スコープ越しに見える的とそれに関連する周辺情報が頭の中に流れてきます。それらの情報を元に発射のタイミングを調整してみたら、上手く行ったみたいです。
そのあと射撃練習を行いましたが、途中でブンタさんからストップがかかります
「姉ちゃん、こういう物はあんまり続けて練習しても効果が上がる物でもないぞ、集中力がつ続かなくなると意味もない。時々練習に来るんだな」
「そうですね、意外と疲れますね」
「ブンタさん居る?」
「?!」
聞きなれた声が聞こえます。
「おう、リックか良くここがわかったな!」
「店番の人に聞いたらここだってって話だったから、すぐに分かったよ」
「アリシアさん、新しい銃の具合はどうですか?」
「はい凄く良いと思います」
「姉ちゃん初めてと思えないほど上手に使いこなせているぜ!」
リックさんとブンタさんは技術的なお話?を始めたようです
「あれ?アリシアさん?」
「姉ちゃん寝たみたいだな、さすがに初めての狙撃で集中しすぎたのかもな」
「じゃあ俺が連れて帰りますので」
「リック、姉ちゃんに手出すなよ!」
「ガチでそんな事はしないですよ。大事な仲間です」
「おう、そうか」
リックはライフル銃は後で取りに来る事をブンタさんに伝えアリシアを背負う
軌道エレベータに着いた頃にアリシアが目を覚ます
「あっリックさん」
「アリシアさん目が覚めましたね」
「リックさんがここまで運んでくれたのですか・・?この歳でずっと背負われているのは恥ずかしいのですが」
「気にしないで下さい。軌道エレベータに乗る時は降ろしますよ」
「重くないですか?」
「羽のように軽いですよ、というのは冗談ですが、大丈夫ですよ」
さっき大丈夫と言った手前おろせなくなったけど、アリシアさん背負っているといろんな人に見られるんだよな
「アリシアさん到着しましたよ」
「はい・・すみませんでした」
「?」
「もうちょっとこのままが良かったかなと」
「えっ?何か言いましたか?」
「なんでもないです」
あまりリックさんに背負われる事も無いので少し恥ずかしかったような、うれしかったような。
そんな時間も終わってしまいました。軌道エレベータの座席に座り、自宅に帰ります。
途中から寝たフリをしていたのは秘密です




