パーマの街での冒険者登録
リーゼント王国、パーマ領のパーマの街。
この辺では王都に続く大きな街だ。街全体は大きな外壁で囲まれていて、外からの脅威の侵入を防いる。
この世界の街はだいたいこんな感じで外壁に囲まれている。村レベルになると木の柵だったり
する程度になるが、一応区画内は柵等で村とそれ以外みたいに分けられている。
パーマの街に入る前に検問のような物がある。今回、俺やエリア、アリシアさんは元奴隷だったため冒険者カード等の身分証明書を持っていない。地下街では冒険者カードを発行してもらっていたが、こっちの世界では通用しないそうだ。
もちろん、ミリアやミエスさんも持っていない。
リーザさんは地上世界の冒険者組合にも登録しているため、身分証明書として冒険者カードを持っているので、今回はそれを利用させて同行者として街に入れてもらう作戦だ。
「よし次の者!」
俺達の番がやってくる。リーザさんは慣れた感じで手続きを済ませていく
「リック、一応決まりで全員の犯罪歴を調査するから、鑑定機で調べてもらってくれ」
一応街に入る前に、犯罪歴等を調べられるようだ。
「名前リックか、犯罪歴なし・・よし」
「次!」
そんな感じエリア、アリシアさんが終わり、でミリアの番になる
「名前、ミリアか犯罪歴 なし・・よし」
「おい!大丈夫だったのか?多分昔、さんざん人は殺しているだろ?」
「ステータス書き換えじゃ、でもリック殿が思ってるほど妾はむやみに人を殺してはおらんぞ。自衛の為のみじゃ、遊びで殺すことはしとらん」
と言う事だ。
俺達と会った時は退屈だから遊んでやるとか言ってなかったか?
続けてミエスさん
「名前 ???? 犯罪歴????」
「あれ、鑑定機が故障したか?」
「おい、他の鑑定機もってこい!」
衛兵が他の鑑定機を持ってくるように指示をする。
「おい、女もう一度やってみろ」
ミエスさんはもう一度鑑定機に手をかざす
「困っているようじゃな」
「名前 ミエス 犯罪歴 なし」
「今度は正常だ、手間をかかせたな」
ミリアが魔法をかけたようだ。
「ミリア、ありがとう」
「リックがこまるじゃろ。こういうのは妾にまかせい」
ミエスさんはロボだから鑑定出来ないしね
こんな事をやっていると、衛兵の詰め所がざわついていた。
「この人数の盗賊を捕まえたのか!」
「リーザ殿だったな、よほどの高ランク冒険者とお見受けする」
今回の盗賊団に関わる事はリーザさん単体での仕事という事にしてもらった。
元々高ランクなので衛兵の人もあっさり信じた感じ。
「しかしこいつら良く寝てるな。たたき起こして連れて行くぞ!」
いや永遠に起きないんだけどね・・・
ミリアが少しだけ目が覚めるように魔力を送ると
「ギヤァァたっ助けてくれ!アンデットはもう嫌だ!」
「生きたまま虫に食われるなんて、頼むから助けてくれ」
「俺の指を千切って俺に食わせるのはやめてくれ・・」
「頼む!助けてくれ! うぉおぉぉおぉぉぉぉぉお」
「ぎやぁぁぁぁぁlっぁ」
こいつらどんな悪夢を見せられていたんだ?
「夢の内容は秘密じゃ」
ミリアは微笑みながらそう答える。
ミリア怖ぇぇ
盗賊団は衛兵に引きずられていく。
「リーザ殿には後々褒賞が出るので3~4日後に再度、街の衛兵所まで来てもらいたい」
と言う事で何かくれるらしい。
俺達は無事に、街に入る事が出来たので、馬車を借りたお金として夫婦に少しながらの金銭を支払う。
「命を助けて頂いた上にお金まで頂けるとは」
「いや、盗賊団を運ぶのに使わせていただきましたし、積み荷もダメになってしまったとは言えあの場で廃棄する事になってしまったので、こちらとしては大変助かりました。」
アリシアさんやリーザさんが言うには盗賊の褒賞は大体決まっているらしいので、一応それに見合った馬車代を支払う事にした。あの夫婦もこれから馬を買ったり大変だろうし。そんな感じだ。
夫婦は深く頭を下げてお礼を言っていた。これから馬車用の馬を探すとかで、ここでお別れとなる。
また機会があったらよろしくね。
「パーマの街か大都市で良いのか?」
俺にはこの時代の街の大きさが良くわからないが、大通りには馬車があふれ、店先には多くの商品が置かれている。
丘の地形を利用して貴族の屋敷のような豪華な建物が並んでいる感じだ
街の中には大きな川も流れていて、貨物船のような大型の船も見られる。
「比較的山の方なのに栄えているんだな」
「丁度平地が続いている地形なので、他の町々からの街道の中心的位置に有あります。あの大河は、海まで続いているので、船を利用した物資の輸送も行われていて、物流の中心みたいな感じで人の出入りも多くて栄えている街なんですよ。」
アリシアさんは商人時代に何度も来ているそうだ。
川幅が広くて深いのはこの辺りまでで、内陸地まで大型船が来られるという事で街が出来たのが街の始まりっぽい。
「さて、身分証を作らないとだな」
「冒険者協会だね!」
このメンバーで行くと何か言われそうだな
とりあえず、移動中に盗賊に襲われ荷物を奪われ、途方に暮れている所をリーザさんに助けてもらった冒険者グループという設定にしておく。リーザさんが大量の品物を運んでいる途中に出会ったという筋書き。
「ミエス、お主どうするのじゃ?」
『えっと、何を?』
「お前抜けとるのぉ、冒険者登録時に鑑定するのじゃぞ、また無効では困るじゃろ」
『あっそうですね、ミリアさんにお任せしてもよいでしょうか』
「リック殿、どうする?こやつのレベル設定。妾の見立てではエルダーレイスを倒せるだけの実力があるようじゃが」
『あ、あれはナシです!お客様が危機の状態時のみの緊急措置なんです。通常は禁止事項になっている為、あのモードにはなれないです。あのあと管理サーバーに怒られましたし、骨格ボディもボロボロになってしまって修理するときに散々小言を言われたのですよ』
ミリアの見立てではLV45でも大丈夫という事だったが、今回はLV20位に偽装設定してもらう事にした。
案内を見ながら冒険者組合の場所を探す。街の中心部からは少し外れた所にあるっぽい。
この街の構造としては、中心部が更に壁に囲まれそこが貴族区域、貴族区域と隣接して商業区域、一般住民区域、工業地域と分かれている。冒険者組合自体は商業地域でもメインゲートよりに設置されている。多分冒険者の利便性を考えて街の出入口付近なのだろう。この辺に出ている露店は主に冒険者向けだと思われる。
先ほど買い食いした店の店主に場所を聞くと、まっすぐ歩いて行けばデカイ建物があるからすぐにわかるという事だ。
馬車で10分もしないうちに、大きな石造りの建物が見えて来た。さすが第二都市だけあって冒険者組合の規模も大きい。
ドアは解放されたままで、冒険者らしき人たちが出入りしているのが見える。
俺達一同は建物に入ると、組合ゾーンと酒場+宿屋のような施設が一緒になっているのが確認できた。リーザさんの話だと冒険者組合自体の構造はどこも似たような物らしい。
ここは特殊で宿屋が併設されていると言う事ぐらい。
リーザさんはそのまま受付に進み、事情を説明する。リーザさんの冒険者カードを見せると受付嬢も納得する。彼女はLV40のAランク冒険者だからだ。
このパーティの女性陣は美人揃いなので、さっきから他の冒険者の視線や言動が凄く気になる。
ミエスさんはビジネス系かわいい女性、ミリアは妖艶系の美女、エリアもアリシアさんも美少女、美女だし、リーザさんもそうなんだよなと。
そんな訳でどうしても注目を浴びる。
「よう!ネーちゃん達。俺達と一緒にパーティ組まないか?悪いようにしないぜ」
「そんな男捨てちまいな、俺の方がよっぽど良い思いさせてやるぞ!」
とかそんなのばかり。
俺は現代人でこの世界から見ればひょろっ子。あいつらは歴戦の冒険者でムキムキマッチョ。
色々言われる訳だ。
まぁそんな奴らを無視して進む。
ここからリーザさんは魔獣素材を売りに買取所の方へ行く
俺達は冒険者カードの再発行手続きを行うので、受付カウンターの方に進んだ。
「では冒険者カードを再発行しますので、鑑定機に手を乗せて下さい」
冒険者組合の担当の人が事務的に作業を行っていく。
まずはアリシアさんから
「名前 アリシア・ラベール LV22 職業 商人(鑑定士S)」
「あ、もしかしてラベール商会の方ですか?」
ここでもラベール商会は有名らしい。すでに取り潰しを受けているハズなのに、ここまで名前が知れていると違う意味でヤバイかもしれない。
「良く聞かれますね」
アリシアさん、うまくかわした?否定も肯定もしていない、どうに取るかは鑑定担当者次第だ。
次にエリア
「名前 エリア LV20 職業 魔法士」
「まだ成人前なのに努力されてますね、これから期待されますよ!」
なかなか好印象だ。
次にミリア
「名前 ミリア・ミラージュ LV25 職業 魔導士」
「凄い高レベルですね。その若さでLV25の魔導士とはさぞや、厳しい修行をされたのですね」
魔法士と魔導士って何か違うのか?
次にミエスさん
「名前 ミエス LV20 職業 調査士」
「調査士とは何でしょう、聞いたことのない職業ですね」
この辺は偽装なので何とでもなるけど、ミリアも適当に職業決めたのかな?
そして俺の番
「名前 リック LV3 職業 剣士」
「あーー事の元凶は貴方ですね。荷物を盗まれたのは貴方が原因でしょう。普通LV20クラスならそんなドジしませんし」
こいつ酷い言いようだな
「小娘!、リック殿の事を悪く言うと妾が許さんぞ!」
ミリアが少し怒ると鑑定担当は小さくなってしまった。
「兄貴ぃ、野郎の鑑定結果を盗み見して来ましたぜ!、野郎LV3だそうです」
「ザコだな!」
盗み見していたヤツも他に聞こえるように大声で言っていた。
「あいつLV3だってよ、あんな美女連れてるぜ、ありえねぇ」
「ぶちのめして奪うか、女だけ俺らの仲間にしようぜ!」
そして俺達に冒険者カードが発行される段階になる頃には、他の冒険者が俺から女性たちをどうに引き離して自分のパーティーに勧誘するかの話でもちきりになっていた。
「おう!あんちゃん。俺達はこの辺で有名なBランク冒険者だ。お前らを俺達のパーティに入れてやるぞ!」
「いえ結構です。俺達は、このメンバーでパーティ登録してあります」
「この俺様がパーティに入れてやると言ってるんだ、お前に拒否権はない」
このおっさん無茶苦茶言うな。
あんまりゴダゴタ言うので、ミリアが睡眠の魔法をかけたので、やんわりとその場を去る事ができたが、やっぱり何人か相手にして冒険者組合を出ようとしたときに
「おう!待ちな!」
2m以上ありそうな巨漢のマッチョが表れる。
「お姉さん方、そんなひ弱なヤツと一緒じゃ旅も心配だろう?、おれたちが一緒に行ってやるぜ」
「いや、私達はこのメンバーでパーティを組んでいるので、結構ですので。」
「野郎には聞いていない。お前俺に喋りかけて良いと思っているのか!」
「おお!ジコチューさんさすがです!」
ジコチューと呼ばれる野郎が、アリシアさんの腕を掴む
「やめていただけませんか?リックさんとパーティを組んでいますので。」
アリシアさんは凄く困っている。
「その野郎はリックって言うのか!、そんな弱そうなヤツより俺の方がよっぽど良いぜ!、いい思いもさせてやる」
「何するのよ!アリ姉嫌がってるでしょ!」
「強気のお嬢ちゃん、この方はジコチュウーさんと言って、この辺では有名なBランク冒険者様だぜ!」
「お嬢ちゃんも俺達の仲間になったほうが良いぜ!」
この世界の冒険者どもは何でこう、女、女!なんだ。
俺はジコチュー腕を掴んで振りほどこうとすると
「痛ぇな!、こりゃ重症だせ」
「ジコチュウーさん複雑骨折してるじゃないですか!」
お決まりのオーバーアクション炸裂。
次の瞬間俺は、ジコチュウーに蹴り飛ばされて冒険者組合の机やいすを2~3セット吹っ飛ばして、壁に激突して停止。
「リック!!」
エリアが叫ぶ。
冒険者組合の中は時が止まったかのように静かになってしまう。
「なぁ、あのリックなんて野郎は弱すぎるんだよ。軽く蹴っただけであのざまだぜ!」
「さすがジコチューさん!」
「リック!大丈夫!!?」
エリアが駆け寄って来てくれた。
「おいおい、ジコチュー共、厄介ごとは外でやってくれないか!」
「うるせーぞ!、俺を誰だと思っている、ジコチュー様だぞ!」
どうも冒険者同士でもあんまり関係は良くない感じに見える。なにか特殊なヤツなのだろうか?俺は蹴り飛ばされた先でそんな事を思っている
ミリアがなんかイライラ始めたようなので、俺は周りに危機が及ばないようにそろそろ対抗しようかと思う。俺はその場から何事も無かったかのように立ち上がる。
見ていた冒険者たちは「えっ?」という感じ。
「こちらが紳士的に対応しようと思っているのに、あなたは暴力で解決しようとするのですね」
「何!訳わからねぇ事言っているんだ!最初に暴力を振るったのはお前だろう!」
「そうだ!ジコチューさんの腕は複雑骨折だせ!」
ちなみに複雑骨折したという腕の方で、アリシアさんの腕を握ったままである。
さっきからそれを自由に動かしている。
「んぁ!俺様が複雑骨折と言えば、複雑骨折なんだよ!」
「さすがジコチューさん!神官にもなれますね!」
こういうやつはどうすれば良いのか困るな。
あんまり暴力沙汰は嫌なのだが、この前の盗賊団鎮圧の時の知識で、この世界の人はなかなか死なない事を学習した。リーザさんなんか一部の盗賊の腕を切り落としたりしていたが、ショック死とかしなかったし、俺も盗賊ボスの内臓をメチャクチャにしたと思ったけど、普通に生きている。現代人なら内臓破裂で即死だろう。
「あの、これ以上面倒になると怒りますが、良いですか?」
俺はジコチューに最終警告として問いかける
「おめーみたいなヒョロこいヤツが何言ってるんだ!めんどくせぇな!」
「おお!ジコチューさんついにやりますか!!」
本当に、俺も面倒
「お姉ちゃん方、ちょっと待ってな。今このひょろっこいヤツをブチのめしてくるからよ!」
ジコチューの丸太のような腕からパンチが放たれる。暴力の塊のようなパンチだ。
周りの冒険者はこの瞬間俺が死んだと思ったに違いないが、俺から見るととてもスローで、威力の全然なさそう。イメージ的には風で飛んでくるタンポポの種みたいなふわふわスローな感じでしかない。
俺は避ける必要もないと思い、手の平で受ける。さすがに顔にパンチ貰うのも嫌なので。
ガコーン!
と冒険者組合の室内に大きな音が響いた
微動だにしない俺。
「うぎゃぁぁぁぁっぁぁ」
大木をも砕くジコチューのパンチだが、そのパンチは金属の塊でも殴ったかのように急停止。
ジコチューの拳が一部砕けてしまったのだ
「てってめ!何をしやがった!」
実際問題、何もしていない。ジコチューが勝手に殴って自滅しただけだ。
「まっ魔法だな!お前!冒険者組合での魔法の使用は禁止されているんだぞ!タダで済むと思うなよ!」
「ジコチューさんお父様に報告ですぜ!」
そのまま砕けた拳を抱えながら、ジコチューとその仲間は走って逃げて行ってしまった。
「よう兄ちゃん、面倒なヤツに目を付けられたな。あいつら俺らも気に入らないんだが、中々手が出せないんだよ」
冒険者組合員も出てきて
「事の始終は見させて貰いました。組合に設置されている魔法検知器には反応が無かったので、魔法の使用はされていないので、こちらとしてフォローさせて頂きますが、ジコチューたちは面倒な人なんですよ」
どうも、ジコチュー達はこの近辺の貴族のボンボンらしく。遊びで冒険者をやっているそうだ。金で装備をそろえ、金で今のランクも買ったとか。好き勝手にやりたい放題やっているので、冒険者からはどこかで死んで欲しいと思われているのだが、面倒な事に専門の護衛が付いているので、それも無いという事。
「大丈夫です。そのうちブッ飛ばしますから」
「あんちゃんなら出来そうだな!」
「期待しているぜ!」
そんな訳で、冒険者組合の人と一部冒険者達と上手に打ち解ける事ができたのであった。
さて、場所は変わりリーザさんが買取所に持ち込んで査定中
ほとんどはありきたりの無い素材ばかりではあるが
時々Aランクモンスターの素材なども混ぜ合わせてある。いちおう地下街には沢山ある物だが単独で大量に持ち込むと疑われそうなので、その辺はリーザさんのレベル並みの常識の範囲内のでの物ばかりである。マンダムさんに商品を選別して貰ってはいたが、一応大丈夫な感じ。
遺跡街との交流もスタートさせたいので、入手場所は遺跡にダンジョンがあったという事にしている。
通常ダンジョンは発見されると、その土地を収める領主に権利が発生するのだが、古代遺跡に関しては放棄された土地扱いになっていた為、誰も治めていない事になっている。
そのような土地の場合は王都管轄になるのだが、ミリアが事実上支配していたので、ダンジョンのように利権のある物が発見されたとなると王都も黙っていないと思われる。
そこらへんはミリアが何とかしてくれるだろう・・きっと。
新たなるダンジョンの発見で冒険者組合は現在大騒ぎになっていた。
一応ハイームさんに頼んで、軌道エレベータを使わずに第1層に潜れるような通路を作成してもらっているけどね。




