近くの街に行く(パーマの街編)
遺跡開拓の一環ですが話を分けました。
この世界は何故か通貨が統一されている。
地上との付き合いがほとんど無い地下街も同じ通貨が流通しているのだ。
現在は地下街からの投資などによる資金で経済が回っているような状態なので、そろそろ地上の街とも交流を始めたいと思っている。
遺跡街の街づくりもだいぶ落ち着いてきたし、防衛関係はアンデット軍団が待機しているため、軍隊でも来ない限り何とかなりそうである。
地下街行のエレベータの存在がバレるとダンジョンとの関係もあるので面倒な事になりそうなので、この辺はしばらく秘密にしておく事が決定されている。
遺跡街から近くの街道まではかつて道があった為、その辺を整備しなおす。現在マッチョ達が作業中だったりする。
「ハイームさん順調ですか?」
生体ボディが装着され、すっかりマッチョホリウッド俳優風に変わったハイームさん。間違えてシュワンちゃんと呼んだ事もあるマッチョなヤローになっていた。
「リック様、この時代風に道を整備して、ほぼ開通ですかね。ミリア様からゲートをつけてくれと言われているのでその辺の工事中です。」
「あいつ、そんなこと言ってたのか」
「まぁ無人ゲートですが、我々の時代のテクノロジーを投入していますので、不審者感知みたいな事をして警備部門がすぐに動けるようにする程度の物ですが」
「いろいろ、よろしくお願いしますね」
マンダムさんにお願いして、これから行く町で売れそうな物を用意してもらう。
魔物・魔獣の素材だったり、鉱物だったり。一応冒険者が売りに来たという事でそれっぽい物を用意してもらう感じ。
商品自体が地下街産なので当然売るとマズイ物も出てくると思うのでその辺の調査を兼ねた市場調査的な意味もある。
ミエスさんには馬車?を用意してもらう。
地下街には魔獣系の馬しか居ないし、ミリアが召喚するのはアンデット系の馬しか居ない。
ミリアに普通の馬は召喚できないの?と聞いてみたら
「むりじゃ」って事だった
そんなわけでミエスさんに生体ボディ付きのサイボーグ馬を作ってもらう事になった。
「リック様っ!輸送用ユニットとして馬ロボが完成しました」
見た目、完全な馬。馬車本体は・・一応木製っぽい
「これは木材のフェイク素材なのでかなり高性能です。幌自体も特殊繊維ですので、この時代の標準的な武器では破壊する事は無理だと思うので、防御の方も万全だと思います。」
「あと馬の方はサイボーグなので命令すれば勝手に行動できます、馬の操作は簡単だと思いますよ」
馬の操作や馬車の運転なんかやった事はないので、大助かりだ。
今回はトニーとマイが遺跡街のドワーフ区画の整備等があるという事で同行しない。
代わりにミリアとミエスさんが同行する。ミリアは久しぶりに人間の街を見たいと言う事で付いてくる。ミエスさんは広報活動と情報収集が目的のようだ。
一番近いパーマの街まで歩いて7~8日ほど普通の馬車だと3日ほどかかる距離で、山道が100キロ程あり、平地が150キロ位ある
実際は数時間位で行けるのだが、通常の街道で他の人に見られると怪しまれるので、その辺は通常速度に落とさなければならないという配慮?でゆっくり行く事になった。
「ではマンダムさん行ってきます」
「おう、たのんだぞ」
一応、臨時町長のマンダムさんが見送りに来てくれたので、挨拶して出発。
遺跡街のメインゲートをくぐり、いよいよ地上世界との初交流へ出発だ!
「しかし、これが妾が住んでいた遺跡街なのか?別物じゃの」
外から見ると城塞都市化が進んでいる。都市と言うほど人口は居ないけどハイームさん達が気合を入れて修復中だ。
「道も凄く平らですね」
アリシアさんが驚いている。彼女は商人だったので各方面に出かけている事もあり、いろいろな道を知っているが、ここまで平でスムーズな道は無いらしい。
古代科学テクノロジーなのか?現代人の俺が見てもビックリな石道だ。
現在、御者台にはリーザさんが座って、馬車を操作中。
「この馬従順だな、全然癖がないぞ!、すごい操作しやすいぞ」
リーザさんは普通の馬の操作の仕方で馬車を運転しているが、ロボ馬とは一言も言っていない。
ロボ馬は普通の馬と同じ扱いもできるようになってるようだ。
場合によっては、そっちの方が都合が良いかもしれない。
山を縫うように作られた道は、やがて街道へと続く。サブゲートを抜ければそこからは、完全なるリーゼント王国領となる。
ミリアの話によると、遺跡街もリーゼント王国領なのだが、ミリアが事実上支配していた為、数百年前から不可侵と言う暗黙の了解があったようだ。(実際はもっと昔から支配している)
遺跡街への道はまだ、幻影魔法で迷彩処理されている。迷い込む人が居ないようにするための配慮らしいが、一部冒険者等は既に侵入してきているとの事。
ただ、ミリアの下部が警戒しているため、遺跡街までは来られていないが遺跡街から魔獣狩り等を行っている冒険者とかち合う事もあるらしく、そのうち存在はバレるだろうとの事。
どのみち開放されると思うが、時期は見極めたいというのが地下街の人達との話し合いの結果だ。
リーゼント側に入ると時々商人と思われる馬車とすれ違ったり、冒険者等も見られるようになった。いわゆる街道って感じになってきた。
ちなみに御者席にリーザさんと俺が座っているのでリーザさんは上機嫌だ。
ところが上機嫌だった、リーザさんが急に不機嫌になる。
「?どうしましたリーザさん」
「リック、まだ距離があるが、血の匂いがする」
「アリシア、エリア少しだけ警戒しておけ」
丘を越えると、馬車が止まっていた。
「よーしお前ら止まれぇ!」
20人位の盗賊団のようだ。
「リックどうするか?」
「あっちの馬車も気になるな、このメンバーなら大丈夫だろう。一度様子を見る」
「ウヒョー!あの女スゲーいい女だぜ!」
御者席のリーザさんをみて盗賊の一人が下劣な笑みを浮かべる。
「ミリアは手を出さないでくれ。あいつらに即死されても困る」
「面倒じゃな。リックがそう言うなら様子をみようかの」
「ミエスさんは待機でお願いします」
『わかりました。これがこの時代の犯罪者なんですね』
少しだけ怖そうだ。ロボだけど一応そういう感情表現が出来るようだ。
「よーし馬車から全員降りろ!」
ミエスさんを除く全員が馬車から降りる
「ウヒョ!!!お頭!スゲー美人ぞろいですわ!」
「うぇっへっへへ、こりゃ、たまんねーぜ」
「俺はあの白髪の女がいいぜ」
「あの女戦士風なのは俺が頂くぜ!」
「ローブの女もミステリアスでたまんねぇな。俺の物だ!」
「子供も混ざってるのか?、最初は俺様からだ!かまわねぇな!」
ゲスな連中だ、もう頭の中であれこれ変な事を想像しているのだろう、俺はとても気分が悪い。
今すぐブチのめしたい気分だが、もう少し相手の出方を待つ
やがで奥の方からこの盗賊団のボスが表れる。
筋肉隆々のファイタータイプで今風に言えばヘビー級ボクサーのような筋肉の塊である。
腰には暴力的な鉈のような鋼材を叩いて伸ばしたかのような武器を装備している。
「ほおっ、なかなかの美人ぞろいじゃねぇか。運がいいな兄ちゃん。その女と馬車置いて行けばお前は逃がしてやるぞ。女の心配はするな、おれらがちゃんと面倒見てやるからよ」
すげぇ上玉ぞろいだぜ、最初に俺が全員頂いてから、奴隷として売ればこりゃ高値で売れるな。
ヒョロッこい野郎なんぞ、適当にぶち殺せばそれで良い。
希望は持たせてやらねぇとな
リーザが剣を構える。
「おおう、ねーちゃん強気だね。弱っちそうな兄ちゃんの護衛かい?運が悪かったねぇ。いや良かったのか!(笑)俺ちゃん達が可愛がってやるぜ」
俺はリーザさんに一つの提案をする
「リーザさん、俺は対人戦をやった事がありません。こんな時で申し訳ないのですが、俺はできるだけ人を殺さずに無効化する戦い方を知りたいのです」
「リック、相手は盗賊だぞ、生死構わず、相手は討伐対象の魔獣やモンスターと同じ扱いだ」
「しかし、時には無効化させる必要もあると思います!」
「わかったリック。お前が本気を出すと目の前の盗賊など、ただの肉塊になってしまうだろうから、私が対人戦のやり方を教えよう」
「お願いします。」
リーザさんはなぜか少しだけ嬉しそうな顔をした。
「なーに、最後のお別れの相談か。泣けるねぇ」
「大丈夫だ、ねーちゃんたち、これからは俺たちが可愛がってやるぜ(笑笑)」
「リックさん、鑑定が出来ました」
アリシアさんが鑑定してくれた。
LV12から25位の下っ端と、ボスがLV30位とい言う事で、やっぱり冒険者ドロップアウト団体だったようだ。と言うよりも、ここのボスすごく強くないか?
「エリアとアリシアさんは手を出さないで下さい。今回、俺の対人戦訓練をしたいと思います。」
「わかりました。でも危ない時はサポートしますので」
「ありがとう」
俺は盗賊団に向かって戦闘態勢に移る
「気の強そうなネーちゃん、この人数相手に何考えてるんだ?(笑笑笑)」
「護衛なんかやめて、俺達といい事しようぜ」
盗賊団は完全にナメ切っている状態だ。
そのうち痺れを切らした盗賊団の一人が、俺に殴りかかってきた。
「野郎はとっとと消えな!」
リーザさんがガードに入る。まぁ無効化の方法を教えてもらうので状況を良く見る事にする。
彼女は剣で切るのではなく、叩くような動作。引くと切れてしまうのでワザと切れないように叩き下ろすように剣を使っている。多少は切れるが致命傷までは行かない。
急所を狙わず、負傷しても死なない部位を狙う感じだ。
「このアマ!痛ぇじゃねぇか!」
そのあとリーザさんは動きの遅くなった盗賊に後頭部チョップ。
あっさりと突っ込んで来た盗賊は気絶する。
「まぁこんな感じだ。致命傷になってもアリシアがいるから大丈夫だろう?間違って首を飛ばしたりするなよ」
「りよ、了解しました。リーザさん」
「おおう!ふざけるなよ!くそアマが!」
さっきの一人が簡単に無効化されたので、盗賊団の連中も少し本気になったようだ。
「そこの兄ちゃんがお前の雇い主だろ?、今からブチ殺してやるぜ!」
盗賊の奴らが俺に襲い掛かってきた!
盗賊の速度なんか止まっているようにしか感じられない。それらを俺はゆっくりかわし、まず奴らの武器を全部取り上げ投げ捨てる。
何が起きたのか良く理解してない、盗賊団の下っ端連中。おれはそいつ等の顔をビンタする。
盗賊団の顔がありえない方向でねじ曲がり、顔が半回転する。
ありえない角度で首?顔がねじ曲がったので俺は一瞬「殺してしまったか?」と思ったが、そのあと体ごと回転して地面に転がり動かなくなる。
アリシアさんから「大丈夫!」のアイコンタクト。
「てってめー!そんなヒョロッこい体で何やってんだ!!」
盗賊団はお怒りだ
「ぶち殺す!」「死ね!」「八つ裂きだ!」
物騒な言葉が連発している。
まとめてかかって来たが、リーザさんと俺で無効化していく。俺が殴った方は生きているか心配になるが、リーザさんの方は確実に無効化している。時々盗賊の腕が切り飛んでいたりするのは気のせいだ。
「まてい!」
ボスの一言が響く。下っ端どもの手が止まる。
「そこの女、なかなかやるな!、今のうちに俺の女になれ。そうすればそこの男は助けてやるぞ」
この状況下でもまだ、俺達を倒すつもりでいる脳みそお花畑のボス
「断る」
リーザさん一刀両断。
「お前ら俺の事を知らんのか?なら、その男をブチ殺してから良く教えてやろう」
「私のリックはお前ら等にやられはしないぞ」
「ほう!お前リックと言うのか、まぁこれから死ぬんだから関係ないがな!、殺してお前の顔に小便でもしてやるぜ」
盗賊団ボスは明らかに笑っていた
リーザさん、名前だしはやめて!後々恨まれたら怖いよ!
次の瞬間、長さ120センチ程度の鉈のような凶器が振り下ろされた。
俺は、それを避ける。
「なかなかの逃げ足だな、ヒョロッこいのは逃げ足が速いのか(笑)」
俺は逃げ続け、木の陰に隠れる。
「逃げたって無駄だせ!」
ボスから振り下ろされる凶器は、大木を簡単に切り裂いた。
「逃げても無駄だ」
おお、凄い。こんな大木をなた一本で稲を刈るように切り裂いてしまったのだ。
「リック!大丈夫か?助太刀するか?」
リーザさんが余裕そうに声をかけてくれる。時々エリアやアリシアさんを襲って来る盗賊たちを、リーザさんがブチのめしている所だ。
「お前らは一体なんなんだ!」
ボスが状況をようやく把握する。自分の盗賊団よりも何倍も強い冒険者に遭遇している事を。
「しょうがねぇ、おれも本気を出すか!」
ボスの体だから大量の汗が出て、それが煙上になり空気温度が一気に上がったような感覚を感じる
「リック!そいつはブースト持ちだ!」
「ほぉ知っているヤツがいるとはな!まぁお前も、そこのネーちゃんもここで終わりだ。」
「遊びの時間は終わりってやつだ」
奴の凶器が再び振り下ろされる。
近くの岩を切り裂き、ヤツはドヤ顔だ。
「おれの鉈の切れ味は抜群だ。どうだビビったか!」
しかし、ミリア戦を経験している俺からすると、ヤツの攻撃は遅すぎるなのである。
「おらぁ!死にな!」
奴の攻撃が再び俺にめがけて振り下ろされる。
しかし、おれはヤツの鉈を親指と人差し指で摘まむ。
ガクン!と切れない何かにぶち当たったように、鉈は急停止。
盗賊ボスの手に衝撃が走る。
「なっなにぃ!!!!!」
何かに溶接されたかのように全く動かない鉈。
動かない原因は鉈をつまんでいる俺。
「うっ動かねぇ!!!」
「かっ頭!!!!助太刀しますぜ!ウゲッ・・」
下っ端はリーザさんに殴られて気絶。
「こいつがどんな握力してるのか知らねぇが、このヒョロッこい体の体重なんぞたかが知れてるぞ、それなのに全然動かねぇ!」
俺はそのままつまんでいる指に力を入れると、指が鉈にめり込む感じがして、そのまま鉈にヒビが入り鉈はガラスようのように砕け散った。
「なっなにぃ!!!」
本日2回目の驚きありがとうございます
そのまま俺はボスの腹にパンチを入れる。
俺の拳の形がボスの背中に浮き上がる位のパンチ。
ボスは胃液をぶちまけ地面に転がり悶絶する。
「リック、そのやりかたでもOKだ。手加減して殴れば大丈夫そうだな」
「てめぇ!ちくしょ!!!!」
喋る元気があるならもう一発殴っとけとリーザさんが言う。
俺は軽く?ビンタをすると、顔がありえない方向にねじ曲がり頭を中心にして体が回転するという、現代人なら首の骨が複雑骨折で即死だろうな動きで回転。
ボスは全く動かなくなった。
盗賊団鎮圧完了。
俺達が盗賊団ボスと戦闘中にエリアとアリシアさんが、襲われていた馬車の様子を見に行っていた。馬車の外に夫婦と思われる男女が血だらけで倒れていたが幸い生きていたので、アリシアさん特性の魔素水を振りかけると復活した。
死にかけでも復活するアリシアさんの魔素水は上級ポーションに匹敵するらしい事を、ミリアが教えてれる。
積み荷は盗賊たちに荒らされてしまい、商品と呼べるような状態ではなくなっていたが、生きていただけもよかった。
さて、この盗賊団はどうしようか?全員拘束するほどの縄等無いしなぁ。
「妾が、睡眠の魔法でもかけておこうかの?」
「睡眠で起きないのか?」
「起きる訳なかろう。術士レベルが高いほど、目覚める事はなくなるのじゃ」
拘束できないので、ミリアに睡眠魔法を盗賊団にかけてもらう。
《永死の悪夢》
なんか凄く怖い術名だけど、いやこれ死んでないか?
「大丈夫じゃ、妾が解除すれば目覚めるぞ。その間悪夢を見続けるのじゃ」
やっぱり結構怖い魔法なんだな。
さてこいつらを放置しても問題なので、街の衛兵に引き渡すか・・・どうに運ぼうか。
さっきの夫婦の馬車が目に止まる。
「えっとすいません、この馬車借りられませんかね?」
「ええ、積み荷もダメになってしまったので、かまいませんが、肝心の馬を殺されてしまったので、動かす事が出来ませんが」
夫婦の馬は盗賊団に殺されてしまったようだ。
ミエスさんにこの馬で馬車2台引けるのか確認を取ってみると
『大丈夫ですよ』
という事だった。
というよりも、ウチの馬車にはなぜか連結フックまで装備されていたので、おそらく他の荷台を引っ張れる仕様だったのかもしれない。
『ツールボックスの中に連結用のケーブルがありますのでそれでつないでください』
馬車下にはツールボックスが装備されていて、その中に色々な道具と一緒に連結ケーブルが入っていた。俺は、連結ケーブルでうちの荷馬車と夫婦の荷馬車をつなぐ。
「あの・・馬1頭ではこの規模の馬車は引けないと思うのですか・・大丈夫ですか?」
夫婦は心配している。
そのあとに、盗賊団の連中を荷馬車に詰め込む。多少重ねっていても、寝ているので大丈夫だ。
改めて見ると野郎同士が重なっていてスゲー汚らしい。
そして再び街道を移動始めるのであった。




