光と闇の塔 その2
塔と言っても、ただの円筒形ではなく最下部はゴチャゴチャとしている感じの建造物だ。
俺は一目見て、この世界の建造物とは全く違う構造をしている事に気が付く。この世界の建造物は中世な感じで石やレンガのような物の作りが多く、木造なら丸太を気って作ったような物だったり、現代の中東辺りにある泥壁式のような物が主要な建造物だったりする。
今の住居も泥レンガ+泥壁のような住居だった。
しかしこの塔の場合はほとんどが現代で言うコンクリートのような素材と、一部が金属版で構成されていた。ここだけ未来的というか何なのだろうな?
金属板と言ってもかなり大きい物で、金属板の傍に別の種類の小さな金属板が埋め込まれている。
もう、何かの操作盤なんじゃないかと現代人の俺は思ってしまう。
「リーザさんあそこだけ金属板の種類がちがいますね」
「ああ、そうなんだけどな、過去に調査して何も変わった所は発見できなかったのだよ」
高レベル魔法士が魔素を流してみたり、いろいろな研究者があらゆる事を試してみたが無反応であり、取り外そうにも全く外れる気配も無かったらしい。これ以上追及すると破壊する事が前提になってしまう為諦めたのだとか。
透視魔法で見てみると、小さな金属板には複雑な模様が入っている事くらいしか確認できなかったので、何なのかさっぱりわかっていないという事だ。
そこでアリシアさんに商業鑑定してもらい状態を確認する事にしたが、ほとんどが不明という事しかわからなかった。若干ある種類の魔素を帯びている事が確認できた程度。本当に微量なので注意して調べないとわからないレベルだと言っていた。
続けて、エリアにそれと同様の魔素を集めて小さい金属板に流し込んでもらう事にする。同類の魔素ではどうなるのか?
その時変化が起こる。小さい金属板が一瞬だけ光ったのだ。
「ど、どうした!?」
リーザさんが驚いている。確かに何度も調査して無反応だった物が一瞬だけ光ったのだ。
しかし、一瞬光っただけで、それからあとは変化が無かった。
「リック!魔素が吸収されているのはわかるんだけど、何にも変化がないね!」
「うーん、そうみたいだな。ありがとうエリア」
小さい金属板が光った事で何かかが起きるのか期待してしまったが、それっきりだった。
おれは小さい金属板に手を押し付けながら
「何か変化があれば面白かったのになぁ」
と言った瞬間に
『人類の生存を確認しました』
「なっ!何かが喋っている!?」
リーザさんが驚いている。いや俺も驚いている。一体何が始まるんだ!?
『システム起動中です、システム破損率88%リカバリーシステムを起動します』
「は?人類って俺の事だよな、鑑定で種族【人類】だったし」
「リック!お前、なっ、何をやった!?」
「リック!何か動いているよ!」
さっぱりわからない。現代人の俺もわからない。こんなもの見たことも無い。理解できない物はわからない。これ当たり前だ。
「俺にもわからないんだけど」
『軌道エレベータにようこそ、現在破損率が高い為自動修復中です。詳しくはエレベータ管理室でご確認ください』
「リーザさん、これエレベータらしいですよ?」
「リック、エレベータって何なのだ」
「これの場合は地上まで運んでくれる部屋みたいな物?なんですかね」
俺にも本当にわからない。現代でもビルとか高層建築物にエレベータがあったけど、それと同じ事なのだろうか?
リーザさんは悩んでいたが、緊急性があると言う事で冒険者組合A級冒険者権限でこの辺りを閉鎖し、現在立ち入り禁止となっている。
2日が経過し、リーザさんと階層調査組合の偉い人とジェットが到着する
「初めまして、階層の管理や調査を行っているボンドだよろしく」
「よろしくお願いします」
「リック君だったか、君がプレートに触れたらこの塔が動き出したという報告を受けているが、これがなんなのかわかるのか?
「私も見てみないとわからないのですが、エレベータらしいです」
「案内してもらってもかまわないかね?」
現在リーザさんによって閉鎖されているため、俺自身もエレベータを確認する事はできていない。
「どうなるのかわかりませんが、案内できる範囲でなら」
「よろしく頼むぞ」
ボンドさんにリーザさんとジェットが同行し、デンジャーゾーンの計8人でエレベータの調査を始める事になった。
「なんかワクワクするね!リック」
エリアはいつも通り、トニーとマイは未知の物との遭遇で若干ビビっている感じ、アリシアさんは、やっぱり鑑定中か。この人もある意味特殊な人なんだなと。
俺が塔の金属プレートに手を当てると、大きな金属板が開きだす。
『サブゲートを開きます、ご注意ください』
サブゲートと言う事はメインもどこかにあるのだろうか?
「つなぎ目も何も無かったのに、金属板が上下2方向に分かれたぞ!」
照明が点灯し幅5m位高さ3m位の廊下が続いている。身長が3m位あるジェットには少し狭そうだが、我慢してもらおう。
途中色々な部屋があり、ガラス窓がある場所もあった為、中を確認する事も出来たが特に変わった物は見られなかった。後々調査すれば新しい発見があるかもしれない。
300mほど進んで行くと多分塔の中心部分近くなのだと思う、大きなシャッター式の扉と人間サイズのドアのような物が並んでいる。
何か所か扉を開けると、明らかにシステム管理室のような場所を発見する。
『現在軌道エレベータシステムは無人モードで運用されています』
とメッセージが聞こえる。ディスプレイ?には光と闇の塔の映像が表示されている感じ。
操作盤のような所に金属板があるので、俺は手を触れる。
『未登録者です。操作権限がありません。メッセージがあります再生しますか?』
「はい」
『無事に生き残り、ここに到着した人類に伝える。先の災害により我々はこの地を放棄した。ここへたどりついた者が生き残れるように軌道エレベーターを無人モードで起動させておく。我々は宇宙で待つ。無事の帰還を期待する』
『未登録者です。操作権限を登録しますか?』
何だか宇宙とか出て来た、なんなんだこの施設は!
「リック!登録しちゃおうよ!便利そうだよ!」
俺はエリアに言われるがままに、登録設定を行う。まぁ地表に出られるのは便利かもしれない。
「私も登録できるのかな!」
エリアはいつも天真爛漫だな。
エリアも同様に登録する事が出来た。
そんなわけで、とりあえずここにいるる全てのメンバーの登録が完了した。
『管理者として認証しました。音声によるシステム操作が有効となります。不明な点もお問い合わせください』
「おー、なんか凄いぞリック!」
リーザさんは大はしゃぎ。意外だな。こんなキャラだったか?ボンドさんは難しい顔をしている。
まあ地表の何処に出るのか不明だし、こんなものが公になるといろいろとマズイのかもしれない。
「システム、ここはどの辺だ?」
『現在地下30キロの地点です』
すごく深い。さすが異世界。
「ここはそんなに深い場所だったのですね」
アリシアさんが久しぶりに喋る。まぁ通常は考えられない深さの所に普通に暮らしていた訳だから、驚きもするだろう。
「システム!宇宙に人がいるのか?」
『上空4万キロの位置に存在する居住用コロニーです。現在は通信が途絶えている為状態は不明です』
「システム!コロニーに行く事は可能なのか?」
『軌道エレベータケーブルの断線により現状では航行不能です。リカバリーシステムが起動中。破損率が高すぎる為、修復予定期間は未定』
「システム!地上に出る事は可能なのか?」
『搬送機16号~32号と貨物運搬機6号~12号現在運航可能です』
「システム!地上のどのあたりに出るのか?」
『前方のパネルをご覧ください』
世界地図のような物が表示され、一部が点滅している。
俺にはそこが何処なのかさっぱりわからない。
アリシアさんは知っているようだ
「リーゼント王国の山の中ですね、古代遺跡があった場所みたいですが、お金になりそうなものが無くて、完全に放棄されている場所です」
アリシアさんの説明で一番近くの街まで馬等で4~5日位の距離と言う事がわかった。
クソ領主の管理する地域まではそこからさらに15日ほどかかる感じ。
そう考えると、このダンジョンは恐ろしく大きい事になる。異世界恐ろししい。
でも、クズ領主のダンジョンから2日位で地下街まで来た記憶があるけど、どうやって来たのかまでは考えない事にする。多分秘密な部分があるのだろう。
地上に出られるらしいが、どうするのかパーティメンバーに相談してみる事にした。
自由に行き来できる状態であれば地上に出てみたいと言っていたのは、トニーとマイだ。彼はは元々ダンジョン生まれなので地上を知らないので興味はあるらしい。
ジェットはNG。まぁ種族的に完全に魔物なので。
リーザさんは一緒に来ると言っている。
エリアとアリシアさんは元奴隷だったからどうなのかな?と思ったが、あの頃とはもう違うので関係ないとの事。
エレベータ管理は階層調査組合の方で検討しするという事なので俺達は特に気にしなくて良いようだ。
2日後、とりあえず地上の調査という事で地上調査用の装備に変更し出発する事となった。
リック達を地上でも活動可能な状態にする為の地下街編の終盤です
転移魔法等を使わずに短時間で長距離移動させる方法が考え出せなかったので超古代文明を使う事にしました。




