エリアの卒業
学校の指導員視点です
半年位あっと言う間だね!アリ姉の鑑定スキルのおかげで、魔素収集・変換の技術がすごく上達したよ。先生もビックリだってそんな訳で卒業だよ。
私の名前はソニア、魔法訓練の指導員をおこなっている。
エリアの担当指導員になったのは半年前の事。冒険者組合の方から「魔法士」の素質があるのでは?という事でここに来た少女だった。
Lv7で元奴隷との事。もともとこの町に来る人間種は元奴隷がほとんどな為、気にならなかったし、LV7も仕方ないだろう。最初の授業で彼女に魔素の知識は無かったと記憶している。
しかし、彼女は魔素を既に形で捉える事が出来ていた事に私は驚いた。
魔素の知識なしに魔素が見えていたとい事。彼女はお化けのような物と認識していたので、私が正しい知識を教えると、今まで魔素を見る事に否定的だった彼女は積極的に見るように努力したようだ。
普通・魔法だと魔素の集まりに対して自分の魔力を放出し魔法詠唱でそれに適した魔素が収集される。魔力放出が多ければ強力になり、魔法詠唱で魔素が効率的に集まればより強い魔法として実行される。
同じ魔法でも術者のレベルで威力が違うのはこの為だ。
エリアは違う「よろしく!火の魔素さん!」みたいに擬人化しているし詠唱もしていない。彼女が言うには火を使いたければ火の元となっている魔素にお願いしていると言う。
その時に自分の魔力を少しだけあげている(与える)という話だ。
本人が言うには無言でも大丈夫だが「かっこ悪い」という事で口に出して話しているのだとか。
どのように見えているのかも聞いてみたが、いろいろな種類の魔素がバラバラに浮かんでいたり、かたまっているのがわかるそうだ。私にはなんとなく違うな程度にしかわからない。
魔素の事がわかれば「お友達みたいにいろいろ見えるよ!」だそうだ。
「エリアさん実技試験です。20m先の的に向かって何か魔法を使ってください」
「はーい」
彼女は第2層攻撃魔法ファイヤーボールを放つそうだ。彼女のレベルと魔力量ならば拳大位の大きさの炎の塊が飛んでいく程度だろう。
彼女に素質はあるかもしれないが、LVの低さと魔力量の無さで、威力は無いだろうが卒業後に期待と言った所だ。
「火の魔素さん、これくらいで、こんな感じ。魔力はこれで足りる?お願い出来るかな?」
『こんなにいらねーよ。OKだ!』
「じゃ!行くよ!!」
エリアは両手を広げ、的に向かいファイアボールを放つ。
拳大位の光の玉が出現する。高速で飛ぶ訳でもなく標準的なファイヤーボールよりもゆっくりな位の速度で飛んでいく。
そのまま的に命中。
私は最初に何が起こったのか理解できなかった。的が消えた?
当たった瞬間に的が蒸発したのだ。その証拠に的を支えていた砂山がガラス化している。
派手な爆音もなければ恐ろしい高熱を発した訳ではない。見た目の派手さは全く無かったが恐ろしく協力なファイアボールを放ったという事だ。
「エリアさん?あなたさっき誰と話をしていたの?」
「えっ?喋ってましたか?」
「そのように聞こえました」
エリアはちょっと考えるフリをして
「独り言ですよ。先生にも前に話したでしょ!」
「それにしても凄いファイアボールですね」
「魔力いっぱい使って合格できるようにがんばったよ!」
この子絶対にウソだ。私の魔力量感知だと彼女の魔力はほとんど減っていない。私も講師をしている関係で生徒たちの魔力量はかなり正確に調べる事が出来ている。まだレベルも低い彼等はステータス偽装する事も出来ないので、割と簡単に知ることが出来ていた。
彼女の場合LV7で魔力量20位、ファイアボールは初心者レベルだと7~10程度魔力消費するし、私の友人の熟練魔法士でも初心者級のファイアボールを放つと魔力3~4は消費している。
しかし彼女の魔力量は魔法放出時に一時的に減り、しかももう回復して20に戻って居るのだ。魔力消費量が少ないと魔力回復も早い。運動した後に軽い運動なら息切れが早く治まるような感じと同じだ。
彼女はほとんど自分の魔力を使わずにあのファイアボールを放った事になる。
「先生どうですか?」
「・・・・・・ありえないのですが」
エリアは先生の反応を見て驚いている。威力が弱かったのか?逆にやりすぎてしまったのか?
先生は的のあった地点に歩いていき、ガラス化した砂を拾って
「もう熱くない」とか言っていた。
どうやら現実逃避しているように見える。
「せんせーーー!」
「・・・・ハッ!!!こッ、この威力なら問題ないでしょう。合格です」
こうしてエリアの魔法訓練学校の卒業が決まったのだ。




