試合のあとで
嫁取合戦は勝敗の判定がされぬまま中断された。
最後まで立ち上がって居たのはタイガーマジック組所属の人間族リックのみ
エレファントマジック会の選手が重症の為、治癒系魔法士達が駆け込んで治療処置が行われるている。
もちろんリックの元にも獣人の治癒魔法士が数名来るのだが
「ああ、この人間はもうダメだ」
「この状態で良く生きているが、治療するだけ無駄だ」
「そうだな」
上から覗き込んで見ているだけで、特に何もしようとしない。
「愚か者!!そこをどけ!」
ミリアは恐ろしい形相で治癒魔法士を睨みつけリックの元に駆けつける
「いくら睨まれても無駄な事だ」
治癒魔法士達は特に興味も無さそうにリック達を見ていた
「ミリアさん!リックさんが全くマッソドリンクを吸収してくれないの!!」
アリシアはマッソドリングをリックに振りかけていたが、全く魔素成分が吸収されない
「この状態ではダメじゃ」
ミリアは少し考え、ある方法を思い付く
「アリシア・エリアよ、妾の魔力ではリックが拒否反応を起こすかもしれぬのじゃ、妾がお主たちの魔力をリックに流し込むから、協力してくれ」
「「わかりました!」」
ミリアは両手に何かの魔法を発動させ、リックの体に両手を突っ込む。
「ひぇ!この女何をしたんだ!」
様子を見ていた獣人治癒士はその恐ろしい光景に驚く
「アリシア、エリア、妾の体を経由して魔力を流せ!」
「はい!」
「思ったより酷いの・・でもこれで死なぬとはさすがリックじゃ、今もとに戻してやるのじゃ!」
・・・
・・
・
確か、試合は終了したのを確認したよな・・そこから記憶が曖昧だ。
泣いているリーザさんだ。
頭に”けもの耳”が生えていてかわいいなぁとか思っていた。
周りの声が聞こえないな・・俺さっきまで戦っていたよね
アリシアさんがマッソドリンクを使ってくれているのかな
エリアの姿というかこれ、見え方が変だと思ったら魔素イメージか・・
ミリア・・?だよな・・何やってるの?
俺は自分の目で見えてないんだ・・・
周囲は心地よい匂いがしていて、なんか幸せ気分。
凄く疲れたから、このまま寝てようかな。
・・・
・・
・
なんかすげぇ寝ちゃった気分だ。
だってすげぇ心地よい匂いに囲まれているし、布団?の寝心地も最高!左右のクッション??もベストポジション、しかもマシュマロのような柔らかさで俺の体を適切にホールドしてくれているんだのも。
こんなクッション有ったか疑問を感じたけど、気持ち良いからイイや!!
そりゃ寝るよね!
休みの日の朝に、よーく眠れて気持ちよく寝ていた感じで1日寝ちゃったよって感じ。
そんなので良ーく寝て目覚めると
「うぉ!!!」
俺の悲鳴。
左右には、ほとんど裸のような薄着姿のリーザさんとキャノが絡みつくように寝ていた。
俺は真ん中でほとんど裸みたいな状態。
二人共俺よりも身長が高いから俺が彼女達に包まれているような感じだけどね。
リーザさんは獣人化から元に戻ってないようで、けもの耳と尻尾がそのままの姿になっていて、凄く可愛らしい感じに変わっていた。
「リックの目が覚めましたわ!」
「リック・・おはよう」
二人が俺を優しく声をかけてくれる。
「なんで二人もそんな薄着なの?」
「母さんとミリアが、こうでもしないとリックが帰って来ないよって言うからな」
「ポット師匠の話だとリックの体内魔素がメチャクチャになっていたらしいですわ」
「あの時一緒に戦っていた二人の魔素の方がパターン的に良いと母さんが言うから、体を密着させて魔力を流しなさいって」
俺が目覚めた事で二人共冷静に戻ったのか、高鳴る心臓の音や体温が上昇している事がわかる。
別に特別なスキルを使わなくても、密着していれば普通にわかるレベルだ。
「そんな薄着である必要があるの?」
「師匠は本当は何もない方が良いと言っていたですわ」
二人共真っ赤になっているが、彼女達は一安心という感じにも見える。
「寝てた時の俺は大丈夫だった?」
「とても寝心地が良さそうだったぞ、いつ目を覚ますのか気になったぞ」
「何度も顔を私達の胸に埋めていたりもしたし、本当に寝ているのか心配になりましたわ」
「お互い見ていてドキドキしちゃったぞ」
「そうですわね、フフッ・・」
心地よいクッションでした。
凄い良い匂いもしていたし。
「ありがとう二人共、本当に助かったよ」
「いいえ、助けられたのは私達ですわ」
「リックが居なければ、あの3人には勝てなかっただろうな」
そうだ、試合結果はどうなったんだ!?
このままの状態で、あの後の事を聞く事にした。
リーザさんとキャノに挟まれて、こんな状態だけど結果を教えてもらう事にする。
結果で言うとエレファントマジック会側の反則負け
熊族のボトルが対人戦使用禁止の魔法を使用、俺はこの魔法の直撃を受けてしまう。
通常なら直撃、即死レベルの魔法だが、俺は直撃してもあのとき生きていたらしく、審判の反応もイマイチになってしまう。
使用した時点で反則負けなのだが、俺が死んでいないのでその場では反則を取らなかったらしい。
死ななければ良い訳では無いと思うのだが・・
その後、いち早く気が付いたミリアが激怒。
会場に負のオーラをまき散らす。
最初は静かな空間が広がったらしいのだが、徐々に会場全体に失神者や恐怖で混乱する人が大発生。
失禁者等も現れ多数の人が会場から消えたらしい。
俺が死んでいたらどうなっていたのだろう・・
試合が続行されるも、その後のシャア・ボトルに最初の動きの切れは無くなっていたのだとか。
しかし途中でリーザさんも力尽きて、シャア側の勝利かと思われたけど、最後の最後で俺が動き出してシャアに一撃を加えて試合終了。
その場に俺は倒れて3日間程眠っていた。
試合のルールで、俺の元にシャアが嫁に来る話になったらしいのだが、エレファントマジック会とタイガーマジック組が難色を示して、シャア本人はタイガーマジック組の別の獣人の所に嫁ぐ方向で話が調整されている。
俺は良く覚えていないが、最後にシャアは自害しそうになったのだが、俺が自害を止めたと、リーザさんから説明された。
「さてみんなが心配していると思うから、そろそろ起きようか!おなかも空いたしね!」
「えーもうちょっとこのままでいますわ」
「私も・・もう少しこのままでいたいぞ」
少し迷ったけど、今日はこのままでいようかなと、再びベットに潜り込む俺。
リーザさんとキャノが俺の両腕に自分達の腕を絡ませ、胸元に俺の腕が挟み込まれている
両足も彼女達の太ももが絡みつくように俺の自由を奪っているのだ
彼女達の顔の距離が異常に近く呼吸音も息も俺に届いている
正常に戻ると、緊張しちゃっ眠れないよ。
美少女二人にガッチリ絡まれ身動きが取れないけど
どうするのよ、このナイスボディ
ウルトラダイナマイトボディとスーパーダイナマイトボディに挟ままれている状態なんだよ
ある意味生殺しだよ!。
と思っていたが、まだ本調子ではなかったらしく、気が付くと眠ってしまったようだ。
翌日目が覚めると二人は既に起きていて、ベットには居なかった。
俺は服を着て外に出ると、みんながおはようの挨拶をしてくれる。
アリシアさんとエリアが泣きながら俺に抱き着いてきた
マッソドリンクでも回復しない俺が心配で仕方なかったらしい。
とっても悪い事をしたなと俺自身も反省。
ミリアは傍まで来ると、ちょっとだけ俺を見回して
「問題なさそうじゃ」と一言だけ。
リーザさんの獣人化は元に戻るのか聞いてみたら、時間が経てば元に戻るし、今度は普通に入れ替えが出来るようになるのだとか。
久しぶりなのか、初めてだかは知らないけど、そういう物らしい。
詳しいことはわからん。
「りっくくーん、目がさめたのねぇ」
「ぱぱ!りっくくんが起きたよぉ」
昨日まで治療回復の為とは言えリーザさんと寝ていた都合上、ちょっと会うのに抵抗があるリーザさんの両親。
ケトルさんから話出してくれた。
「無事に目覚めてくれたようで安心した。そして嫁取合戦の勝利おめでとう。俺達も助かった」
ケトルさんもどことなくぎこちない感じで話をしている。
まぁ治療とは言え・・もういいか。
「今日はいい天気だな」
「そうですね。朝から快調ですよ」
「まぁ、もう12時だけどな」
「えぇ、そんなに寝てましたか!」
「ああ、良く寝ていたな」
「時間わからないですからね」
「まぁ個人宅に時計なんて物は無いから、街の金の音で判断する位だからな」
「ハハハハハ、そうですよね」
「ハハハハ」
「パパぁ、なにをぐちぐち話をしているのぉ!」
「奥さん怒ってるみたいですけど・・・僕に何か話でも」
「僕なんて改まってどうしたんだいリック君」
「師匠と普通の会話をするのも珍しいかなと思いまして」
「ハハハハ」
「パパ!」
ケトルさんがポットさんを気にしながら改まって話しだす
「リック君、嫁取合戦の勝利おめでとう」
「ありがとうございます」
「実はその事なんだが」
「ええ、相手のシャアさんが僕の所に嫁いでくるのを拒否して自殺しかけたと」
「ああ、そういう事だったよな」
「まさか自害するほ嫌われるとは思いませんでしたよ」
「まぁ獣人相手だからな」
「獣人達は人間嫌いなんですね」
「私はポットの事を愛しているけどな」
「お幸せですね」
「ハハハハ」
「パパッ!」
ポットさんの様子が険しい。
改まってケトルさんが真面目な表情で話し出した。
「勝利したからと言うと陳腐に聞こえてしまいそうなのだが、リーザをな・・・」
ケトル師匠は何か吹っ切れたらしく、ぎこちなく話は続く
「リーザも良い歳だ・・いや回りくどい事は言わない。リーザを貰ってくれないか?」
何となく予想はついていたけど、本当にダイレクトだった。
「リーザ師匠にはお世話になっていますが、貰うという話になると本人の意思も重要かと思います。ケトル師匠だけで決めてしまってはリーザ師匠も困るかと思います」
「リックくーん、師匠ってのはもうやめましょうよぉ」
「それに、りっくくんもリーザちゃんの気持ち、わ・か・る・で・しょ!」
「リーザ師匠・・さんからも好意的に思われているのは解りますが、ご両親の決めてしまう事に僕は抵抗がありまして」
「ではリーザが良ければリック君も良いという事で良いのかな?」
「仮にリーザさんが良くとも僕も両親に紹介しなければなりません。即答は出来ませんが」
スゲー嫌な言い方だな。俺の両親には多分会えないよ・・俺も残念だけど
「リーザ!ちょっとこっちに来い!」
ケトルさんが大声で叫ぶと、稽古中のリーザさんがやって来る。
「何?父さん、あ、母さんも一緒なの?」
「実はリックくんにお前の事をお願いしたいと頼んだ」
「お願いって?」
「リーザはリック君と一緒に行くつもりはあるか?」
ケトルさん、それってスゲェ誤解を招く言い方じゃないか!
「大丈夫だよ。リックとはいつも一緒に旅に行くよ」
リーザさんは普段の旅と同じレベルで考えているぞ!
リーザさんは「何言っているの父さん」って感じの表情だ
「あのねぇ、りーざちゃん。パパはへんな言い方してるからぁ、ママが補足するねぇ」
リーザさんは「?」マークみたい。
「パパはぁ、リックくんとぉリーザちゃんが一緒になってくれるか、リーザちゃんに聞いてるのよねぇ」
これを聞いた瞬間にリーザさんが固着する。
「ママ・・母さん。。リックは何と?」
混乱気味のリーザさん。
「一緒になってくれるらしいよぉ」
ちょい待った!即座のオッケー出したわけじゃないぞ!ママさん!
一緒になると言うワードでリーザさんが一気に沸騰する。
リーザさんの耳から尻尾までが一気にピンと伸びて、しかも真っ赤に変色。
「リックが大丈夫なら、私も付いて行くよ」
「りっくくん!決まりだよぉ!、逃げたらお義母さん殺すよぉ」
「ポットさん物騒な事を言わないで下さい!、まだ僕の両親への確認が済んでないです!」
こんな感じでリーザさんの両親からリーザさんの事をお願いされ、リーザさんもそれに同意した事により仮婚約状態が成立する。
まぁ実際は俺の両親に紹介するなんて卑怯な事を言ってしまったけどね
転移者の俺は多分両親に会う事は出来ないと思う。
リーザさんもケトルさん・ポットさんもこの辺の認識は無いと思うから騙している感じがするけど、この辺は俺の置かれている状況が落ち着いてきたら、きちんと迎える決心を付けている。
その時が来たら改めてプロポーズする
「リックくんリーザの事をよろしく頼む」
「今夜はぁ、お祝いしなくちゃねぇ」
こんな感じで、俺の人生設計も動き始めたのである。
その日の夕暮れ
俺は数日ぶりに水辺に自作した風呂に入っている。
毎度の事ながらミリアも一緒だ。
彼女は時々狙って入って来るか、俺の入浴時間を見計らって既に入浴中だったりするパターンで、もう何度もやられているので慣れっこだ。
「リーザとの婚約おめでとうか?、一応伝えておこうかの」
「なぜ知っている?!」
「秘密じゃ」
ミリアはどうやってあの会話を知ったのだ!?
「妾も求婚は有効なのかのぉ」
「ミリアは死んでるだろ。どうすんだよ。見た目は綺麗だけど」
「死んどるか・・別に愛に、生死は無かろう」
「さすがにアンデット・・死んでいると、俺も引くぞ」
「妾の事が嫌いなのか?」
「嫌いってわけじゃないけどさぁ、彼女というよりも良い友達みたいな感じだろ。人生相談的な」
「妾はリックが良ければ何処までも付いてくぞ」
「ん、じゃよろしく頼むわ」
「末永くよろしく頼むぞ」
「婚約とかじゃないよな?」
「お主のご両親に紹介してもらわんとな。方法を考えるかの」
「ちょっと待った!、俺の両親に会えるのか!」
「別に不可能ではないぞ。ちと難しいかもしれんが、簡単かもしれん」
「どっちなんだよ」
「可能性の問題じゃ、もう少し旅を続ける必要もあるしの」
「よし、俺の両親に会えたら考える!」
「その言葉、忘れるでないぞ」
「あ!ミリアがまたリックと風呂に入ってますわ!」
「キャノも気軽に入って来るな!」
「だって私は婚約状態ですもの!ミリアばっかりずるいですわ!」
「リック!もうすぐご飯だよ!」
エリアが夕飯だと伝えてくれたので、風呂場のキャノも落ち着きを取り戻す。
「妾は先に出るでの、二人で楽しんでおれ」
ミリアは俺の方を見ながら少し笑っていたように見えたが、すぐに水場から出て行ってしまった。
「キャノ・・、体位洗おうか?」
「だっ大丈夫ですわ!りっりっく、自分で洗うからお先に、ど、どうぞ」
こういうキャノも可愛い。
ミリアほど人生経験?が無いから勢いで来た物のやっぱり恥ずかしいのだろう。
頭をポンポンと撫でてやると顔を真っ赤にして動かなくなってしまっていた。
「じゃぁ先に出るから、早く出てくるんだよ」
「わっ、わかりましたわ!」
その後、キャノは小さな声でつぶやいていたけど、今日はこの辺にしておく。




