夕食の時間
「さぁ今日はお祝いだ!みんな盛大に飲み食いしてくれ!」
卓上にはいつもは見られないご馳走が並ぶ。
獣人国地方のお祝い料理なのかな。
この辺は熱帯系の気候なので、カラフルな食材が多い。
俺の偏見かもしれないけど、赤とか黄色とか蛍光色とか・・すげぇカラフル。
元の世界にもあったけど、カラフルなのはピーマンとトマト位かな、キャベツで赤なのか紫があった程度の記憶。
キャノの時も思ったけど、これは食えるの?って野菜や果物が並ぶ。
オーガ国の時は肉だったけどこっちはカラフルな野菜や果物なので危険は無いだろう思う。
あの当時は人型魔物の肉なんか出て来ても抵抗あったからね。
こっちだと蛍光グリーンの葉っぱとか見ると毒物でも入っていそうな感じがして視覚から真っ先に否定する色になっている。
食卓に並んでいるのは青系の肉が多いので、多分鳥系の肉なのだろう。
南国風の串焼きにされ皿に盛り付けがされているし
ケトルさんがコンロで新しい肉をどんどん焼いている。
「りっくくーん、大丈夫かなぁ、お義母さん食べられない物は出さないわよぉ」
見た事の無い食えるのか良く解らない野菜や果物を見ていてドン引きしていた俺に、ポットさんが話しかけてくれた。
でも、お義母さんは止めてぇ・・ 周りはお母さんだと思っていると思うけど。
今日は俺の回復祝いと嫁取合戦の勝利のお祝いなので、俺の隣にはリーザさんとキャノが座っている。
いつも俺の隣はアリシアさんとエリアの席だけど、今日は仕方ないよねって感じで彼女達はリーザさん達の席と変わって座っている。
ごくごく普通の机とテーブルだけど席位置が変わるだけで何となく落ち着かない物なんだなと。
前回、ケトルさんに紹介して貰った酒、植物の果肉を発酵させてから蒸留して寝かせる酒らしいのだけど、多分テキーラに近いのだと思う。
俺自身テキーラをストレートで飲んだことが無いので味がわからないけど、翌々思い出すと、そんな製法の酒もあったかなと。
だから味とかは解らないよ!
今回は最初から割る前提でアリシアさんに炭酸水を生成して貰っている。
テキーラ風の酒に柑橘系の果物を絞り、炭酸水で割る。
これもハイボールなのかな?
酒の呼び名まではそんなに詳しくない。
お祝いの食事会だからと言って誰かが代表でスピーチとかする訳でもなく普通の夕食と同じような感じで雑談しつつ食事をしているだけかのだが、いつもは凄い速度で食っているリーザさんが今日はおしとやかだった。
串肉なんかワイルドにかじりついているイメージしかないのだが、今日はフォークとナイフを使って器用に食べている。
ある意味、こんなに上品な食べ方も出来たのかと俺は驚いているけど。
キャノはいつも通りな食べ方。
彼女はオーガ国のお姫様だからね。
食器等がそろっている時は自然ときれいな食べ方をしている。
野営なんかの時は違うが、その辺は臨機応変で使い分けている。
俺はテキーラみたいな酒に果実を絞って炭酸で割った果実サワーみたいなのを飲んでいるが、こっちの地方の料理は全体的に味付けが濃い。
気温が高めなので汗をかく量が多いから塩分補給の意味もあるのだろう。
この時代の科学的な根拠は無いのだろうけど、生活の知恵として塩気や味の濃い物が好まれる感じ。
結果的にサッパリとした爽快感のある酒が進むのだ。
食事の時間が進むにつれて酒の量もどんどん増えていく。
酒が増えてくると大体ウチのメンバーは席を離れ話したい人そばに行ってしまう
キャノが珍しくアリシアさんやエリアの方で話をしているようだ。
ミリアもポットさんに捕まっている。
何を話しているのか良く解らないけど、楽しそうだ。
ミリアとポットさんは何故か意気投合しているように見える。
ミリアの偽装を見破ったポットさん良く考えるとかなり凄い人
エリアもアリシアさんも正体は知っているけどミリアはミリアとしか見えないらしいので、偽装だと知っていてもそれさえも理解できないのだとか。
ポットさんってレベルいくつなんだろう・・
こんなことを考えていたら、隣のリーザさんに話しかけられる
「ねぇリック、ちょっといいかな?」
「どうしたのリーザさん」
「ん・・そのリーザさんってのはもうやめないか?」
「突然だと、少し恥ずかしいよ」
「じゃぁ今だけで良いから呼び方を変えて」
さっきから見ていたけど、かなりの酒の量を飲んでいたようにも見える。
リーザさんも少しだけ酔っているようだ。
ただいきなり、今まで「さん」付けをしていた関係で呼び捨てするのは結構恥ずかしい
漫画やアニメみたいに簡単に呼び捨て出来るほど俺のハートは強く無いのだ。
ただ、ずっと俺を見つめているリーザさんを見ていると、2人だけの時なら良いかなと覚悟を決める。
「改めて、どうしたのリーザ」
「今日はキャノみたいにしてみたけど、どうだった?」
「おしとやかなリーザさ、リーザも新鮮な感じで良かったよ」
「どっちが良いかな」
「俺はいつものリーザの方がリーザらしくて良いよ」
リーザはモジモジ動いている感じで、自分で聞いていて恥ずかしかったようだ。
「公式な場なんてほとんど無いと思うけど、公式な場ではおしとやかにしてくれると俺も助かるけどな」
「わかった、使い分けられるように頑張るよ」
「ありがとうリーザ」
「うん」
「あと、これやってみたいのだけど」
リーザは一口サイズの肉をフォークに刺して、俺の方に近づける。
「これ食べれば良いのかな?」
「うん」
まさかの「あーん」攻撃だけど、もう恥ずかしがるような状況じゃないよな。
俺はそのままパクリと食べてしまう
「リーザ、美味しいよありがとう」
「えへ、リックが食べてくれた!」
そのまま続けて3回程同じ事が繰り返され、リーザはとても嬉しそうに笑っている。
「ほぉ、ずいぶん仲良しじゃの」
「仲良しさーん はっけーん!」
さっきまで少し遠くで酒を飲んでいたミリアとポットさんに気付かれ、リーザさんは色々と、あれやこれや言われているようだ
「ミリアもポットさんも止めて下さいよ、リーザさんが真っ赤ですよ!」
「いじられているウチが花じゃよ」
「そーそーう、こういう時しかぁなーいのよぉ」
あんまりいじらないでくれ、俺の精神もすり減る。
こんな感じでノロケいじりのような物を散々され、楽しい時間が過ぎていく。
このまま終わるのかと思われたのだが・・実は続きがあったらしい?
このエピソードももうすぐ終わります。




