新装備を取りに行こう
リーザさんの里帰りに合わせ、事前打ち合わせによるとガーディア国ダンジョンに発生するモンスターはオーガ国並みと説明された。
出発前に装備を強化した方が良いと結論が出たので、俺達は遺跡街から軌道エレベーターを使用して地下街に移動し、ブンタさん所に一度寄って以前頼んでおいた武器を引き取ってからガーディア国に向かう事になった。
早朝ではあるがブンタの店は冒険者も利用する為、結構早朝から営業している。
「ブンタさんおはようございます!」
「おーリックか凄く早いな!こっちは朝飯中だ!、まぁこっちに来い!一緒に飯食うか?」
店の奥からブンタさんデカイ声が聞こえる
ちょっと早すぎたようだ。
「いや大丈夫ですので、こっちで待たせてもらいますよ」
「悪りぃな!ちょっと待っててくれ」
早く来た俺達の方が悪いのに、飯食っていけなんて、なんか昭和な感じの人だなと。
10分程するとブンタさんが現れる
「昨日トニーに連絡頼んだばかりだからな、まさか朝に来ると思わなかったぜ」
リーザさんと獣人国に向かうと話すとブンタさんは早朝に来た理由を大体理解してくれたようである。
「そうかリーザの国に行くのか。それなら装備を新しくした方が良いな」
店の奥の工房のような場所に案内されると、ブンタさんは引出しから小瓶を取り出す。
「今回新開発したのはこれだ!」
瓶の中に透明な液体が入っていた。
「これはアリシアと開発した魔素硬化剤だ。アリシアはリックが空を飛んだ時に、これの大元になった魔素液を作っていたはずだ」
多分ワイバーン戦の時に扉に塗った強化剤の事だと思う。その後アリシアさんは強化剤の成分を調整して改良していた事を時々俺に話をしていてくれた。
「ブンタさんと混合する素材調合割合を色々研究して実用に耐える仕様の物が完成しました」
「ミスリルゴーレム魔核が手に入ったのがポイントだったな!」
ブンタさんとアリシアさんが凄く仲良く話している。この二人は武器や装備品の事で普段から相談等意見交換を行っている。
「ええ、魔力伝達率が凄く上昇しました」
その後、ブンタさんとアリシアさんが難しい話を始めたが、エリアとリーザさんが「飽きたよ」って感じになって来たので、結局それが何なのか教えて貰うことにする。
「まぁ塗るとあらゆる物を強化できる液体だな!」
「名前とか無いの?」
「リックさん何か良い名前有りませんか?」
毎回俺なのか・・・名づけって難しくないか?
強化・・ストロングとか?防御ならプロテクトとか?魔素ストロングじゃなぁ・・・
それにストロングとか付けると、それこそ滋養強壮剤みたいになるし
うーん
魔素とプロテクトをくっつけてマソテクトかな・・マッソテクト、硬化って言っていたから、硬化マッソテクト。なんか言いにくいから硬化魔素テクトで良いか!
「硬化魔素テクト で良いかな」
「おお、なんか頑丈そうな薬剤の名前っぽくていいな!」
「リックさん、私もその名前で良いと思います」
あっさりとブンタさんとアリシアさんの同意が取れた事で「硬化魔素テクト」という新しい強化剤がこの場で誕生した。
「ところでこれはどんな感じに使うのですか?」
ブンタさんは机から10cm位のガラス板を取り出してガラス板片側に硬化マソテクトを塗布して行く
乾燥までしばらく待つ。
「リック、まぁ見てろ」
乾燥を確認したブンタさんが、ハンマーでガラス板を叩くと
―― キーン! ――
と言う硬質な音が響き渡る。
「見て見ろ凄い堅さだろ?続けて見てろ」
ガラス板を裏返して、ブンタさんはガラス板をコツンと叩くと
――パリン――
と簡単に割れてしまったのだ。
「どうだ面白い特性だろ?塗った面は高い強度が保たれるようになるが、塗らない部分の強度は変わらないんだ、この特性から本来硬質でなない物にまで塗布が可能になった」
「そうですね具体的には布のような物でも大丈夫です。塗布面は強度がアップして、反対側は柔らかな素材のままを維持てきます」
なんだかわからないが凄い液体が完成したようだ
「現在、確認している範囲では5倍程度の強度アップ、魔力を流すと10倍位強化できます。塗布元の母材にも影響されますが、あらゆる物に対して強度アップが見込めます」
ミスリルが入っている事で魔力に影響されるようだが、魔力持ちで無い俺でも5倍とは凄いな。
続けて以前に頼んでおいた武器類の話に切り替わり、ブンタさんは奥の棚から武器を運んでくる。
「今回の武器がこれだ」
俺はミスリルショートソード
アリシアさんもナイフ装備が加わる
エリアはミスリル製の指揮棒みたいな物とナイフ
リーザさんには予備武器としてミスリルソードが手渡される。
「100%ミスリルで作るとダメなんだな。希少素材だから100%で試作してみたが、鉄武器よりも強度が落ちた」
どうやら魔力伝達に優れた素材であり、100%ミスリルではダメだったらしい。
魔法士のエリア向けには、そっちの方が良いと言う事でミスリル製魔法棒?が渡される。
「ナイフとショートソードはミスリル合金だ。素材種類や混合比は秘密だが、従来の鉄武器に比べて2倍ほど強化され粘りもあるからよほどの事が無い限り折れる事は無いぞ!」
「さらに硬化魔素テクトを塗布してありますので、リーザさんなら魔力を武器に流せば、さらに5~10倍ほど強化できると思います」
硬化魔素テクトだけで用が足りそうな感じになっているけど良いんか?
「アリシア、もしかしたら私の魔剣よりも強度が上がっているのではないか?」
「基本攻撃力はブンタさんのミスリルソードの方が上ですが、魔力を流さない状態での対アンデット戦では普通の剣と同じ扱いなのでその辺だけ注意してください」
通常ではアンデットやゴーストに対しては効果が無いと言われて少しがっかりするリーザさんだったが、攻撃力が著しく上がったミスリルソードを手に入れると上機嫌に戻る。その後リーザさんは自分の魔剣に硬化魔素テクトを塗り始めるのであった。
「私には何もないのですか?」
あとから合流したキャノだったので今回はキャノの分の武器は無いと告げるとガッカリした表情に変わる。
「お前の剣にも硬化魔素テクトを塗ってやるよ」
リーザさんとキャノが一緒に硬化魔素テクトを塗り始めていた。
「さて今回のサブ武器だ」
ブンタさんは奥の部屋から箱を持って来て、俺達の前で箱を開ける。
アリシアさんはもう知ってますよ!って感じの表情だったので、中身は多分あれだろうなとは思ったけど、再現率の高さで違う意味で驚いた。
「試作の2丁だ」
見た目はグロック17の小型版グロック19って言うのかな?銃に関しては詳しくないので割愛
もう一つはガバメント型?M1911とかって昔の映画で良く使われていた物だと思う。
このモデルになっているのは、以前俺の自宅からエアガンが使えないか持ってきた物をブンタさんに預けた経緯がある。
「二つとも内部構造は同じだ。デザインで好みがわかれると思って2種類作った」
「リックに借りたサンプルで試作してみたが、威力と命中率が良く無くてな、弾倉の構造を設計しなおしたぞ」
「リックさんの案も良かったのですが、弾丸のサイズに制限が出たのでその辺を変更しました」
目の前で手慣れた手つきで試作品を分解して行くアリシアさん
「ライフルやショットガンと同じ構造にすると薬莢の処理が大変なのでその辺は、リックさんの案を採用しています」
銃本体に魔素カートリッジを入れて、その力で弾を発射する機構はエアガンのガスと同じ。
弾を補給する弾倉が弾頭と同じサイズになりスリムになり小型化されていた。
本物の銃弾なんか見た事が無いけど、多分それに似ているんだろうなってサイズに変更されている。
「ミエスん所で部品の加工を依頼したら武器はダメだとゴネやがってな!説得して心臓部以外はミエスん所で心臓部は俺のフルカスタマイズだ」
軌道エレベーターテクノロジーの投入である。ミエスさんも嫌だっただろうな・・おそらくモメていると思うよ
俺はガバメントモデルの方を手に取って見ると案外重量がある事に気が付く
「リックさんお気づきですか?重量は計算して重くしてあります」
何でかな?持ち歩くなら軽い方が良いと思うけど
「リックの奴は気が付いてないな。説明してやるよ。軽いと出力が上げられないんだ。撃った時の反動が強くなって命中率が低下する。軽量モデルも試作したが、有効射程距離が20m位が限界だったな。」
「私がテストしてますので、他の方だともっと下がる結果だと思い、ブンタさんと相談して重量を決定しました」
「これはリックでも撃てるようにしてある。試してみるか?」
魔素カートリッジと弾倉が用意される
「魔素カートリッジはグリップの後ろ側にセットし、弾倉は手前側にセットしろ」
大体、使い方は解る。この辺はエアガンとそのままな感じだ。
パワーソースの交換やマガジン交換も電動ハンドガンと類似している感じ
「リック、手慣れているな」
「まぁね」
周囲を見回して危険が無い事を確認しハンドガンを両手で握る。
照準を合わせて発砲
――ドン!――
言う音と共に弾が発射され20m位先の的に命中する
ドンだったか俺の予想だとパンとかって音かと思って驚いた。
ブンタさんが驚いた表情でこっちを見ていた
「まさか一発目で当てるとはな、前に使った事があるのか?」
「いやまぁ・・玩具ですけどね」
「物騒な玩具があるんだな」
違うよ本当に玩具だよ
今回はガバメントモデルを俺が装備し、グロックモデルはアリシアさんが装備。デンジャーゾーンの標準装備の一つにするため、ブンタさんに追加発注を行う。今後はアリシアさんがメンバーに扱い方をレクチャーする予定だ。
こんな感じで武器の受け取りを完了すると、俺達はリーザさんの国を目指して再び移動を開始する。
エアガン等もネット上に資料があるので助かります




