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異世界転移は意味不明 ~レベル社会で生活できるようにかんばります~  作者: els


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【前日談】アリシアがリックと出会うまで(後)

アリシアが拉致されてから数日が経過する。

ラベール家には衛兵からアリシアと思われる死体が引き渡されていた。

護衛達が襲われた先にあった廃村でラベール商会の馬車の残骸が見つかり、その中に惨殺された女性の死体が発見され死体を確認するが、その死体からアリシアの面影を確認する事は出来なかった。


しかし確認を行ったラベール本人はこの死体がアリシア本人では無い事に気が付く。


ここからラベール達によるアリシアの捜索が始まる。

本人が生きる希望を失っていなければ必ず再会できると。

 

◆◆◆

拉致からさらに日が進み、場所は変わりアリシアと代理人の男との生活が始まっていた。

アリシア本人はツーブロック家に送られるのかと思っていたが、代理人の住む家に監禁されている。


男は奇妙な書類を持って来てはアリシアに解読させている。

それは暗号のような言葉で書かれている文書であり、一般人が読むと別の意味に変換されるような書きまわしの書類なのである。


アリシアはその法則に即座に気が付き、暗号の解読を行っていたのである。


犯罪の手助けをしているような形になってしまうが、アリシアが生きていく方法は今の所これしかない。


この解読作業により、莫大とは言わずともそれなりの収入を得る事が出来た代理人の男はアリシアをカネのなる木だと思い丁重に扱っていた。


そして時間が過ぎていく


数か月にわたる監禁生活、不慣れな環境とアリシア自身が「悪いことに利用されている」と感じており、心のプレッシャーを増大させていた。


結果として徐々に衰弱していくのである。


この監禁生活が長くなると、アリシア自身はやせ細り、ついに病気にかかり倒れてしまった。


「この女で稼ぐのもそろそろ終わりだな。俺自身も暗号解読方法をだいぶ覚える事ができた」


今更ラベールの娘が死体として現れるのは非常にマズイ事であり、殺して死体を始末するにも手間がかかる。


代理人の男にも少しは情があったようで、殺すという選択は取れなかった。


「遠方の奴隷商にでも売ってしまうか、こんなババァではそう永くは無いだろう」


その後、最低級ポーションをアリシアに飲ませ、旅に耐えられるだけの体力を付けさせると、代理人の男はカーパッツ国の裏奴隷商にアリシアを出来るだけ遠方に運ぶように依頼した。


カーパッツ国内では死んでいる事になっているアリシアは、いくつかの奴隷商を経由し、遠方のオルワールの奴隷組合に引き取られる事になる。


オルワール奴隷組合は、身元確認をする前に元ラベール商会の娘というネームバリューでアリシアを買い取り、その後カーパッツ国のラベール商会に高値で買い取らせる計画だったが、本来、奴隷になるような人物ではない為、ここまでの経緯を販売前に確認を取るとリーゼントの伯爵家の息子が絡んでいるという情報を得る。


リーゼント伯爵家が絡んでいるとなると、表向きにするととばっちりを受ける可能性も出て来たのである。


「元ラベール商会の娘?どうみてもババァだぞ、しかも衰弱してガリガリじゃねぇかよ」

「まぁ昔は美人だったんだろうけどなぁ・・こんなのがツーブロック家の息子が欲しがっていたのか?」

「リーゼントの伯爵家だろ、あいつら田舎者だからな」

「ああ、でも下手に扱うと面倒な事になるな」

「リーゼントの野郎の事なんか関係ないが、今更このババアを送るにしても大損だな」


「一応領主様には報告して一般奴隷扱いにでもしておくか」

「そうだな」


こんな感じでオルワール奴隷組合でのアリシアの扱いが決まった。


オルワールの奴隷組合で若干の回復処置を取らされるものの”不美の呪い”により、頭は良いが年増で醜いという女というのは変わらず。

当初、一般奴隷枠として奴隷にされたアリシアだったが、価格と表に出せない裏事情から

買い手が全く付かなかった。


「こんな年増じゃいつ死んでもおかしくないからな、誰だよこんな値付けした奴は!」

「そりゃ、組合長でしょ、最初の予定だとカーパッツ国のラベール商会に売るつもりだったらしいんで」

「何だよそりゃ!」

「この奴隷小屋じゃ有名な話ですぜ」


肉体労働もできず、年増で醜く女としての価値もないアリシアは奴隷小屋の不良品となるのだが、そんな彼女も、最終処分奴隷として「おとり・餌役」の時がやってくる。


「よーし、ババア!お前とも今日でお別れだ!組合は大損したみたいだが、これからお前はあっちの「餌・おとり小屋」行きだぞ!」


この時点でアリシアの瞳には生気のような物は感じられなかった。いつか自分の家に戻る事が出来ると願いながら、奴隷としての日々を過ごしてきたのだが、その時ももうすぐ終わるのである。


アリシアは”餌・おとり専用奴隷小屋”へと移動となる。


彼女もここで死ぬのだろうと悟ったのだろう。ここから先男達の慰み者になろうとも、生きる為にはと思い、”不美の呪い”を解くのだが、美しかったころの面影は何もなかった。


呪いを解きで若返る事は出来たが、美しいシルバーの髪は黒茶色に・・泥と汚れにまみれ、体は泥埃がこびり付いたかのように茶色に変色しているようにも見える。


野生動物が泥沼にハマったあとに土埃を体に纏ったかのような状態なのである。


骨と皮だけの体、生きているのが不思議なような状態で、呪いの解除で若くなっているはずだったが、その状態からはでは若さを感じる事は出来なかった。


”餌・おとり奴隷専用小屋”で出される残飯のような食事、人間ではなく道具として扱われた毎日、彼女は生きる希望もなく、当然同室の男達からも見向きもされず、餌役になる日を待っていた。


おとり奴隷専用小屋の中は無法地帯であり、複数の男達がアリシアの目の前で別の女を強姦している昼夜関係無しに1日中強姦される女達、お互い死を待つだけなので、合意の元かもしれないが・・・死を待つだけの場所は、人間の最後の欲望を満たして行く。もう常識やモラルは存在しない場所であった。


それらの行為を目の前で目撃しているので彼女自身もその日が来るのかと思っていたが、その日が来る事は無かった。


アリシアが奴隷小屋の隅で檻の外を眺めていると、新しい奴隷の中に変わった青年を見つける。


そうリックである。


最初のダンジョン探索、レッドゾーンとの行動でリック本人がありえない成果を上げた為、その時一緒にいたアリシア・エリアをリックの褒美として押し付けられる形となり、3人の餌奴隷生活が始まった。


リックはアリシアやエリアの事をとても大切に扱った。

彼自身に仲間が一人も居なかった事。

おそらく奴隷になりたてで、即座に最下層奴隷にされた事情も把握していなかったのだろう。


「えっと、アリシアとエリアで良いのかな?ここに来て初めての仲間みたいな物だからよろしくな」


当時リック本人は名乗っていない。

リック本人に話を聞くと奴隷になって間もないのだと言っていた。


アリシアはリック自身がこの世界の人間とは違う雰囲気を感じていた。

村人でもなければ農民・町人でもない。

身なりは綺麗であり、喋り方は変わっていたが彼の内面から嘘は感じず、本当にアリシア達の事を仲間として認識しているようだった。


彼の”ここに来ての初めての仲間”という所も気になる所でもあった。


奴隷になれば普通は奴隷小屋で良し悪し関係なしに、ある程度の仲間のような者が出来上がる。

ただ、彼の話を聞くといきなり犯罪奴隷としてここに連れて来られて、そのままこの小屋に来たという信じられないような経緯でここに来ていたのである。


アリシアは彼の話し方や能力が気になり、彼に付いて行けば少しは長生きが出来るのでは無いか?と考えるようになった。


そして彼の常識外れの行動が段々とアリシアやエリアに対しても認識されるようになってくる


その一例としてリック本人は食事に一切手を付けず、アリシアとエリアに分け与えている。

疑問に思ったアリシアはリックに食べなくても大丈夫なのか尋ねた事があるが、彼は平気だと答えるのみだった。


彼の表情を見る限り嘘を着いている感じも無ければ、空腹のような感じも見られない。


残飯のような食事でもアリシアやエリアから見れば生きる為には必要な食事なのである。


アリシア自身も何度も生きる気力もなく死を覚悟していたので、彼も同じ気持ちなのかと考えると食べないという選択肢あるのかもしれない。


ただ、彼と何度と一緒に餌役として出動すると、全く食べていない訳では無かった、彼は冒険者達と森に出ると食べられそうな木の実や果実を取って来る。普通の冒険者達が届かないような高さの場所の食べ物を取って来るので、冒険者達からも重宝されていた。彼は奴隷小屋で出された食事は一切手を付けなかったが、外では普通に食事を取っていた。


何度となく餌・おとり奴隷としてこの3人はダンジョンに入る事になるのだが、ほかのおとり奴隷は帰って来なくとも、この3人は必ず帰ってくるようになる


この小屋に送られると、短い者ではその日のうちに、長くても10日は生きられない。

大体はダンジョンの中で魔物の餌か殺されてしまう。


アリシアの目の前で強姦されていた女の何人かは、看守の目に止まり”餌・おとり奴隷小屋”から出ているがその後どうなったかアリシアが知る事はできない。


このように例外的に外に出される事もあるようなのだ。


アリシア本人も”不美の呪い”を解いてしまっているので、リックと出会わなければ、外に出て行った女と同じ運命をたどっていたかもしれない。


リック・アリシア・エリアの3人は驚異的な日数を小屋の中で過ごす事となる

これはリック本人の脅威的な身体能力が原因である。

リック本人の驚異的な身体能力は周りの冒険者からは理解できなかった為、表向きには一緒に同行した冒険者の活躍となっているのでリック本人の価値は全く変わっていない。


この3人は短期間で何度となく死線を潜り抜ける事となり、彼女達はリックに対して絶大なる信頼を寄せる事となった。


リック本人は この世界に来て人間らしい人と出会えた事で生きる目的を得た

アリシア達は、同じ奴隷なのに奴隷として見ず人間として接してくれるリックに信頼を寄せる


こうして3人の関係が始まる。



次の投稿から本編を再開します。


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