第8話 LEVEL8
豪華絢爛、酒池肉林、美女金髪
(あぁ無限に四文字熟語が沸いて来る―――)
パタパタ
特別暑い訳ではないけど、やたら面積の小さな服を着た綺麗なお姉さんが、ピンク色のいい香りのする煙を焚いて俺の方へとその煙をウチワで扇いで送って来る
「よきかな、よきかな」
場所を騎士隊の詰め所から、聖教国の大聖堂へと移し、大きな食堂で見たことも食べたこともない料理と、やたらとアルコール度数の高そうな酒を煽る
「さぁロキ様、こちらの魚料理も召し上がって下さい」
「あぁ、ありがとうセ”レ”ス」
カシャ―ン
隣で俺に料理を運んできた聖女セ”レ”スが上に乗った料理ごと床に落とし皿が砕けた
「あ”ぁ?今なんて仰りました――?」
「え”っ!?」
セ”レ”スのピンク色の瞳が狂気の輝きを放ち、食堂に飾られた美しい花々が一瞬で萎れ枯れてしまう
「セ、セラス様!聖女様!どうか、どうか!」
お付きの神官らしき人達が、聖女の足元で頭を床に擦りつけ必死に懇願していた
「???」
どういう意味か分からない俺は、付け合わせのポテトフライを摘まんで口に運ぶ
ガシッ!!
「アガッ!!」
さっきまでホクホクだったポテトが、石のように固くなり俺の大事な前歯が少し欠けてしまった
「神官たち…この国のセレスとかいう女を見つけ出し、すぐに磔の刑に処すのです…勇者ロキ様を誑かした魔王の手先で間違いありません」
「はっ!」「御意!」「早速!」
神官たちは、すぐに自分達の部下にセレスと言う名の女性を見つけ出し、聖都へとひっ捕らえて来るようにと命令した
―――セレス、セレス……セラス?セレス?―――
「!?あ、あぁ―――ごめんごめん、俺ってばセラスの事を思わずセレスって呼んでしまったみたいだわ――メンゴ、テヘ♪」
俺に対する神官らの視線が痛い……
「……それでは、ロキ様はセレスなる女には全く覚えが無い―――と?」
聖女の圧が強い……いや、むしろ怖い
(なにこれ…なんか人生最大の選択が迫られてる?)
(いやダメだ!嘘はダメだ!)→とか言ってるコイツは偽勇者です
「いや、天地神明に誓って俺はセレスという名の女性に覚えはない」→偽勇者が語ってます。
―――ゴクリ
「まぁ♡ロキ様ったら、本当にお茶目なんですね、ウフフフ」
良かったぁ―――セラスの瞳に光が戻ったぁ――
俺と同じ気持ちを共有しているのか、食堂に集まった聖教国の重鎮や高位神官らもいちように胸を撫でおろしていた。
食堂で枯れていた花瓶の花や草木が再び生命を得たように活き活きと花を咲かせる
「あぁ――ロキ様、なんとも凛々しい…」
この聖教国ニシャルの象徴たる、聖女セラス…女神イシスの化身とも言われるこの国の聖女は、聖魔法の使い手…それも大陸で最強クラスだ
聖女となる者は、聖教国ニシャルに生まれし女子…それも聖魔法の適正を持つ者から選ばれる
選ばれるのは魔法適性が判明する、10歳から20歳までの独身女性、しかも処女に限る…
それは、純潔なる乙女である必要が有るからなのだが…
――その理由は、勇者の妻となるため
10年間で集まった女性の数は毎回約20万人から30万人…その中でも聖魔法の適正を持つ者は約2%ほど
その約5000人の女性は、聖教国ニシャル各都市に存在する教会学園にて聖魔法の修練と、神官となるべく教義、そして勇者の妻としての教育を受ける事になる
そして、その5000人の中から、聖魔法力、教義に対する敬意、教団を導く為のカリスマ性、そして勇者の妻としての気品、美貌を兼ね備える者が聖教国ニシャルの至宝と言われる女神イシスの宝珠によって選ばれるのだ
そして、今世の聖女が今おれの腕に抱ききついている聖女セラス…と、言う訳だ
「遠見の術…だっけ?セラスが見たっていう第一魔王フォルトス?だっけ?どんな奴だった?」
「?何故、討伐されたご本人のロキ様がその様なことを?」
「あっい、いや、そ、そのなにぶん夢中で…どんな姿をしていたとか覚えて無くて…」
我ながらスラスラと口から言葉が出て来る
「まぁ!そういう事でしたか!かの初代アベルも3代アドルも成しえなかった第一魔王討伐という偉業を成しえた勇者ロキ様といえど、流石に始原の魔王と呼ばれるフォルトスとの闘いは壮絶だったという事ですね!」
パンパン
セラスは軽く両手を叩く
すると神官の一人が一枚のスケッチを手に俺の前に現れた
「こちらが、歴史書に記載する予定の第一魔王の姿に御座います」
「ふむ…どれどれ?」
渡された羊皮紙の絵を開き中を確認する
「!?こ、これは!」




