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偽勇者の俺が、うっかり魔王を倒してしまった件 ~ちがう!ちがう!本当は勇者じゃねぇんだ!!  作者: nayaminotake


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第2話 LEVEL2

「そ、村長…これは…」




朝方に北の魔の森に討伐に行くと言い(嘘だけど)雑貨屋からポーション数個と食料品を譲ってもらい村を出ようとした所で村長に呼び止められた




「はい、彼等はこの村で唯一魔物との戦闘経験のある若者です」




見るからに筋骨隆々の青年3人が目を輝かせながら村長の隣に立っていた




「本日から森の奥へと潜るとか…是非ともこの者たちを共に使い下さい」




「い、いや…ほら、魔の森は危険だし…」




ドン!




(ヒッ)




盛り上がった胸の筋肉を叩き、鼻息を荒く一人の青年が前に出て来た




「勇者アザル様のお邪魔は致しません!アザル様の討ち漏らした魔物が村の方へ逃げ出さないように、微力ながら我らがそれらを刈り取ってごらんにいれます!」




「あ、あぁ…うん、それは―――助かるね」




「「「お任せください!!」」」




期待に胸を躍らす若者を横目に、相変わらず俺へ疑惑の視線を向けてくる村長




(俺そういうの分かっちゃうのよね―――はぁ――)




おそらく、俺を信奉しているこの若者らに、俺の正体を見せつけ偽勇者だと証明しようって魂胆なんだろう




だが、断れるような話ではない……




「で、では行きますか」




「「「はい!お供いたします!」」」




俺は若者に声をかけ村の北に広がる魔の森へと向かった




(くそくそくそ!まずいまずいまずい…早くなんとかしなきゃ、もうすぐ森へ到着してしまう)




いっその事、ここでまくか?




そしてそのまま東の村へ向かうか?




いや、それが良い




それが最善




善は急げ!




俺は肩に担いだ荷物袋の紐を強く握ると、そのままコイツらまくため駆け出そうと足に力を込めた




―――が




アザル様、この荷物俺に持たせて下さい




肩から荷物の重さが消え、筋肉Aに取り上げられる




「あ、い、いや、それは俺の貴重な……」




「それならなおさら、我ら3人で全力でお守りします!」




ドン、ブルン




筋肉Bの胸筋が揺れる




「あ、あぁ宜しく頼むよ」




(だぁぁぁぁ、それには村でかき集めた金目の物が詰め込んであるんだ!くそくそ!)




そんな事をしてる間にも目の前に森の入り口が見えてきた




「アザル様いよいよですね!」




キラ――ン




筋肉Cが俺を憧れの眼差しで見つめてくる




「あ、あぁ皆も油断しないように……」




「「「はい!」」」




だめだ、金のことなど気にしてられない、命あっての人生だ……いや、金なら東の村でもう一度かき集めればいい…ここは連中を置いて逃げるべきだ




そうだ、それが良い




それが最善




善は急げ!




俺は、足に力を込め東に向かう街道へと踏み切ろうとした




―――が




「勇者様あぶない!!」




ドォォォン




「グホッ」




急に筋肉Bに突き飛ばされ、魔の森の中へ吹き飛んだ




「ウゴッ…オエェェ―――」




お腹付近を筋肉Bに思いっきりタックルされ、朝食べた絶品のオムライスを森の中の草むらの上に撒き散らす




森の入り口の方を見ると、筋肉3人はオークの群れと交戦していた




「いやぁぁぁぁぁぁ!!」




俺はオークの群れに見つからないように駆け出した……森の奥へ




―――どれ程、奥へもぐったのか…




すでにどっちが村の方角なのかわからない




「う、嘘だろ…これってもしかして―――」




遭難




「そうなんだ!遭難だ!!ダジャレ言ってる場合じゃないーーー!」




日の光があまり届かない薄暗い森の中で、くだらない事を叫ぶ




キェェェェェ




ウォォォォォン




俺には声だけで分かる…この魔物の咆哮…




ヤバイ奴だ




その時、目の前の大木がミシミシとなぎ倒され、黒い大きな影がノッソリと現れる




ギロッ




8つの黄色く光る眼




獅子と羊と鷲の頭…熊の身体、大蛇の尻尾




昔、子供の頃に孤児院の絵本で見た




キマイラ……




神話級魔獣…討伐ランクA




Sランク冒険者パーティーか、Aランク冒険者パーティー4部隊でようやく討伐依頼が受けれる程の強力な魔物




「アワアワアワ……」




股間が湿る…涙があふれる…




喰われる、終わった。




キェェェ!!




俺の姿を見つけたキマイラの鷲の頭が吠える




「いやぁぁぁぁぁぁぁ!」




逃げる、何処へ、何処でも良い、死にたくない




振り返る暇はない、足を前に手で枝をかき分ける




跳ねあがった枝で顔が切れる、でも関係ない




逃げる、逃げる…死ねない




!?




その瞬間、地面の感触か消えた




身体が落下する




落とし穴?




深い




どこか掴まれる所は?




無い、手がどこにも届かない




そうだ、剣




剣をどこかに突き立てれば




腰の剣を抜く、いや抜けない体制が悪い




無理やり抜く




やった抜けた




ドォン!




何かの上に落下した




「イデェェェェ!足がぁぁぁぁ!」




真っ暗な空間に落下したらしい、命は助かったが右足に激痛が走る、折れた?




いやこの痛さ、もしかして引きちぎれた!?




「あ、足、俺の足…よ、よかった足はある…イデェェ!」




千切れては無かったが、足は変な方向へ曲がり力をいれると激痛が走る




「け、剣…剣を杖にしたら立てる…」




しかし、剣は何かに突き刺さっている




柄に手を掛け、思いっきり体重をかける




ガクッと剣がさらに深く突き刺さると、足元から何かの液体が噴き出す




ゴアァァァ!




断末魔のような咆哮と共に床が激しく震えた




「うわぁぁぁぁ!」




床が横に倒れ俺は剣の柄を握ったまま宙吊りになった…足元は暗くてなにも見えない




グラッと剣の刺さった床が揺れゆっくりと下に落ちる




ボッボッボッボッ




床から抜けた剣を杖代わりに立ち上がり、周囲を見渡すと青白い炎が周囲の松明に灯っていく




そして俺の目の前には……




「ド、ドラゴン!?」

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