第10話 LEVEL10
―――疲れた
マジで…
なんなん、あの聖女
ヤバすぎだろ
聖魔法もヤバすぎ…
聖魔法とは文字通り、聖なる力を具現化した魔法で主に回復系に特化した効果を持つものが多い
治癒魔法、解除系魔法、蘇生魔法、結界系魔法
本来、攻撃系の魔法ではない聖魔法だが、最高ランクまで極めた者には次なるステージとして「活性化魔法」と呼ばれる魔法が存在する
活性化とはその言葉の通り、治癒魔法の発展形なのだが―――
生物は上限以上に活性化を続けると、構成する細胞や組織が崩壊していくと言われている
つまり、死を与える魔法と化すのだ
そして、この大陸で唯一その活性化魔法が使える人物こそ、聖教国ニシャルの聖女セラスだ
先程も廊下で、活性化魔法を発動寸前までマジでおっぱじめる始末…
俺の絶叫に集まった高位神官数十名によって、魔法を抑え込まれ何とか納まったが、下手をしたらこの大聖堂のみならず、聖都ニシャルは地獄と化していたかもしれない
(ある意味、魔王より人類の敵じゃね?)
まぁ聖女様の暴走にビビった侍女ら含め、セラスの目を盗んでまで俺に接触しようとする連中が居なくなったので人の目を気にする必要な無くなったわけだが
―――それなのに…
部屋のドアの前にはイカツイ男の衛兵が3人も詰めており、部屋の窓の下には…
「はぁ―――マジか―――」
大聖堂の中庭にはランタンを持つ警備の騎士団の連中が何十人も巡回している
『そんなに逃げ出したいなら、そこいらの連中を斬り殺して出て行けばよかろう?』
「はぁ――?馬鹿かこの駄剣が、そんな事したら偽勇者どころかお尋ね者になってまうわ!」
馬鹿な駄剣の寝言に思わずツッコミを入れてしまった。
「俺は何かと理由をつけて格好良く出て行きたいんだ、例えばどこかの村で俺に助けを求めてるとか…近所の野良猫が喧嘩してて夜寝れないとか…」
『はぁ…』
駄剣の野郎は呆れたように溜息をつく、まぁ剣なんで何処が口とか分からんが
「だが、これじゃ逃げ出せねぇな…仕方ねぇ―――あの作戦でいくか」
『ほう…まぁ精々がんばれ儂はもう寝る』
「ちっ…剣のくせして寝るなよボケが」
と、まぁ暴言を吐く俺だがベッドに入った途端爆睡してしまった…
―――翌日
「起きて下さい…ロキ様」
「うぅ――ん、宿屋の看板娘ちゃん…もう少し寝かせてよ」
「あ”ぁ?宿屋の看板娘ぇ―――?」
「!?」
命の危機を感じ、慌ててベッドから飛び起きる
「あ、あぁ…セラスお早う」
「お早うございます、で…宿屋ってどこの宿屋ですか?その宿屋は悪魔に呪われてる可能性がありますので教えていただけますか?」
「えっ?い、いやぁ――看板看板…宿屋の看板て読むのムズくねぇ――ってねアハハハハ(←かなり苦しい)」
「――――……まぁ、よほど変わった字体の看板だったんですねぇ――フフフ、いろんな場所を旅して来たロキ様らしいです♡」
「アハハハ…そ、そうだねぇ―――」
何とかセラスに上手い(?)言い訳をかまし、再び俺は聖都の市民を救う事が出来た
(つか、昨日から2回も大勢の命を救うって、これってもうマジ勇者じゃない?)
『―――やはりただのアホか…』
駄剣が何やら失礼な事を言いやがったが、今はセラスがいるので紳士的に振舞い駄剣には軽く蹴りを入れるだけで済ませてやった。
「あっ、それよりも本日は勇者様と一緒に第六魔王ロクテンを討伐する為に、大勢の候補者がこの聖都に集まってますよ!」
「へ、へぇ―――(汗)」
「朝食が終わりましたら早速、開催会場へ向かいましょう!」
「あ、う、うん…」
―――朝食の味など全くしなかった…まさに死刑執行前の食事ってこんな感じなのかもしれない
そして俺がセラスに連れて来られたのは、大聖堂の前に一夜にして作られた武舞台
「「「「おぉぉぉ!!!」」」」
「ヒッ!?」
俺とセラスが会場に到着すると、集まった猛者たちが地響きのような歓声を上げる
「さぁロキ様、皆に挨拶を」
セラスが期待を込めた目で見つめて来る
「あ、あぁ…」
俺が軽く皆に手を上げ微笑むと
「「「「勇者様ぁぁぁ万歳ぃぃぃ!」」」」
うーん、この瞬間は若干気持ちいいかもしれない…
「皆ぁぁぁ!俺と一緒に魔王討伐に行きたいかぁぁぁぁ!」
「「「「おぉぉぉぉぉ!!」」」」
なんか、何処かを横断するクイズ番組みたいなノリでテンションを上げてしまった…
「さぁ、エキシビジョンでロキ様の実力を皆に見せてあげてください!」
セラスの合図に合わせ、数人の騎士達がが武舞台に巨大な金属の塊を持ち込んだ
「え?……セラスさん?それは聞いてませんよ?」




