お宅の娘さんをスパッゲティにさせてくださいーその2ー
2階に上がり、手前の部屋に入ると、そこには冨田莉夏がいた。
部屋の中には至るところに失禁した痕跡があり、尿臭が漂っていた。
冨田さんの言動はまるで2歳児のようだった。
会うや否や、距離を詰めてきて、
やたらと高いテンションで支離滅裂な言動をまくしたててきた。
ただその最中も、彼女の眼は虚ろで生気が無く、
まるで回路がショートしたアンドロイドが突っかかってきたようだった。
まぁただ……この様子ならまともに逃げ出すことはできないだろう。
スマホで流行りの女児向けの玩具を検索し、
彼女が使っている寝具をそのように再定義し作り変えた。
ちょっと待ってね。これ、あげるから。待ってる間は、いい子にしててね。
玩具を渡すと、彼女は無邪気な笑顔で、子音や母音が崩れている、
鳴き声のような言語で応答した。
冨田さんのお母さん。
そう声をかけたが、彼女は最早、こちらに一瞥すらしない。
莉夏さん、連れていきますね。
その拘束も、私がここからある程度離れたら解ける仕様になってますんで。
そう伝えて再び2階に上がろうとしたところ、
彼女が口を開いた。
あんたは……なんでこんなことをするの?
あの、さっきも説明しましたよね?
ちがう……なんであんたは……そこまで好き勝手できるのよってこと……
なんの権利があって、ウチの娘を……そんな風に……利用できるのよ……
別にそんなことを、そう言いかけると彼女は続けざまに喋り、遮った。
あんた……よっぽど悔しかったようね……あの学校での日々が……
そんな力があるのに……とてもちっぽけ……
プライドが傷つけられたのが……そんなに悔しかったの?
私は能力を行使し、彼女の片足のひざ下からを捩じ切った。
悲鳴を上げようにも喉を締め付けているので、
くぐもった声を発するしかできないようだった。
これが私の権利です。私が私たる由縁です。
この能力のおかげで、私は私の気まぐれで、あらゆることを実行できる立場にいます。
冨田さん。この件に限っては、たまたまあなたの娘さんだったというだけです。
私と莉夏さんとの間には、たしかに些末な因縁はありますけど、
それは別に、正直たいしたことじゃあないです。
だって私には、あなた達と違って、この能力、この権利がありますからね。
私の見た目がこんな感じだから実感湧かないでしょうけど、
今のあなたは、何かのきまぐれで生じた災害の被害にあった遺族が、
なんでウチの子がと、天に向かって居もしない神に哭いているのと同じです。
締め上げてる彼女の咽喉から、微かな笑いが漏れ出ていた。
そして、あろうことか侮蔑の視線を私に投げつけてきた。
どうしたの……急にそんな……饒舌になって……図星だった?
今度は彼女の鼻を捩じ切った。




