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汚穢  作者: ロベストラ
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中年の危機

で?私はその人と会ってどうすればいいんですか?

会って話をするだけでいい。


話をするだけでいい?

あぁそうだ。向こうはお前に興味があるそうだ。

興味があるからって理由で、私と話せるものなの?

……お前次第だろ、それは。

私は別にいいよ。ちょうど暇してたし、その人もおもしろそうだし。

気になるのは、そんな理由でわざわざウチの団体が動くのはなんでってこと。

金だっていっただろ?

そんなのキリがなくない?

私と直接会いたい人なんてたくさんいるだろうし、そういうのは断ってきたでしょ。

私はなにか別の理由があるんじゃないかと思ってるんだけど。


さぁな。俺は上からの指示に従ってるだけだ。

その上の人間が信者とか?

私がそう言うと、この大男は身をかがめ、耳元で囁いてきた。

そうだ……小暮社長だよ。最近、やっこさんの宗教に入れ込んでるって噂だ。


小暮聡……元官僚でこの団体がまだ小規模だったころにやってきた、

天下りによる典型的な雇われ社長だ。


あの冴えない人が?

あぁ。なんでもミドルエイジクライシスだとかいうのに悩まされていたらしい。

なにそれ?

中年の危機ってやつだ。中年になるとな、色々と考えることがあるんだよ。

もっと自分に合った生き方があったんじゃないかだとか、

今の俺は本当に満足してるのかだとかな。


小暮社長は官僚時代に仕事に打ち込みすぎたせいで、

パートナーや子供に愛想つかされて、家庭に居場所がないんだと。

よくそう愚痴ってたそうだ。

仕事が生きがいで、すべてだったって人間がよく陥りがちな悩みだよな。

加齢臭の凄まじい悩みですね。めまいがしてきましたよ。


でな、そういう人間が何を求めるかというと、新たな生きがいってやつだ。

それで、宗教に走ったと。

あぁ。そうだ。


……大丈夫なんですか。うちって。

最近は特に入れ込んでいるし、そのうち然るべき処分はくだされるだろうな。

だから、その処分がくだされるまでは、小暮社長に付き合ってやってくれないか。

社長のことはどうでもいいですけど、さっき言ったように、イロリって人には興味があるんで会いますよ。


そうか。理由はどうあれ助かるよ。

小暮社長はあんな感じだが、俺はお世話になったし、できることはしてやりたい。

これが小暮社長にとって最良な手向けになるように、力を貸してくれ。


そんな話を続けている内に、イロリが待つ部屋の前まで来ていた。









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