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6.竜炎 / 相反

本日2回目の更新です。

「さて、もうそろそろ街だけど……」


 ジスランさんはどこにいるかな? 勇者一行に出くわさないよう注意しつつ、辺りの様子を確認する。ジスランさんも勇者一行もそれらしき人影は無し。探していると、不意にシャトルピジョンが翼を広げた。


「……付いてこいって?」


 肯定するかのように一鳴きし、ある方向を目指して飛んでいく。その後を辿っていった先には、ジスランさんとソフィさんが待っていた。


「あっ、シュウさん。良かった。無事でしたか」


「こっちはなんとか。手紙に書いた勇者一行って戻ってきていたりしますか?」


「いえ、それらしき人物は見掛けていませんね。ただ、あれから少なくない時間も経っているので、私達の知らない間に……ということは考えられます」


 それもそうか。考え出したらキリがないけど、変装とかした方が良いかな。……いらないか。一応フードで簡単に顔を隠すくらいのことはしてから宿に向かった。


◇◇◇


「――――というわけです」


 フレイのこと、勇者一行のこと、そして本来の目的だったドラゴンのこと等、丘陵地であったことを報告した。


「一般的な話として、幻獣に対するスタンスってどういうものが多いんですか?」


「そうですね……。“幻”と冠するだけあって、そもそも目撃されること自体が少ないんです。人里に危害を与えてくることもまず無いですし、互いに不干渉……といったところでしょうか。ああ、過去の記録では街1つが壊滅させられたというものはありますが。先に手を出したのはその街の方らしいですけどね」


 名前負けしないだけの強さはあるってわけね。それを3人で仕留めた“勇者”もまたしかり……か。


「しかしそうすると、勇者達には対応とか必要なんでしょうか? 積極的に幻獣を狙っているとかなら対処しないといけないんですけど……」


 ジスランさんの話を聞いていると、勇者一行への対応の仕方が難しそうに思えてくる。幻獣への攻撃が禁止されているわけでもなく、言動は気に食わないけども『オリジン至上主義』とやらはグレイスも知っているぐらいの主張らしいし。


「シュウさんの話を聞く限り、コンタクトを取る意味もなさそうですしね。現段階では放置するしかないかもしれません」


 ジスランさんはそこで言葉を切り、フレイに軽く視線を向けた。


「……納得は出来ない、という感じですね」


 彼女は口を開かない。俯きながら、その感情を堪えるように唇を噛み締めている。


「幻獣とのハーフとは初めて聞きましたが、それが事実なら、勇者達は親のかたきというわけですか……」


 ジスランさんが話している間も、フレイの拳は震えていた。


「……人間のルールなんて関係ない。私一人でも……!」


「却下」


 彼女の気持ちは分かるけど、行かせるわけにはいかない。


「なんで!? シュウに止める権利なんてない!」


「そりゃそうだけどな。……どう考えても返り討ちにしかならないだろ。あいつらが手加減するわけないし、ハイいってらっしゃい、なんて言えるとでも思うか?」


 今度はフレイも黙り込んだ。思うところはあるだろうけど、こちらも譲る気はない。


「……今日はもう止めておきましょうか。予定も押されることになるので、数日の内にはここをたなければいけません。そこも考慮して今後の予定を決めましょう」


「そうですね。……フレイ」


「……ごめん、しばらく放っておいて」


 そう言って、フレイは部屋から出ていった。その背中に、何か声を掛けたかったが、俺の口からは一つも言葉が出て来なかった。


◇◇◇


「どうするのが良いんだろうなぁ……」


「……難しいな。魔物の相手ならただ倒せばいいだけだが、こんな状況は私も経験がないし……」


 グレイスにも分かんないか。って当たり前だよな……。


「アテナならこんな時、どうしたらいいと思う?」


 ダメ元で聞いてみる。


「申し訳ありません。該当する事例は私の持つ状態には存在していないようです」


 返ってきたのはそんな予想通りの反応。だけど、続けられた言葉は中々のところを突いていた。


「ですが、彼女が何か行動を起こすのであれば、手伝ってしまえば宜しいかと思います」


「え? そういう感じ?」


「はい。仮に勇者がドラゴン――――引いてはフレイ様を攻撃するとして、それが罪とならないのであれば、その逆も咎められないのではないでしょうか」


 思わずグレイスと目を合わせた。


「それで、良い……のかな?」


「……どうだろうな?」


 釈然としない気もするけれど、なんかもう、それでいいかなって感じにもなってきた。覚悟を決める……というか、開き直ってやった感じか。

 そしてその夜、決めた方針は早速活かされることとなるのだった。

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