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柴犬パンの熱帯生活  作者: 外村パン
3/11

熱帯のアリンコ

私は毎日、お散歩に行く。運動不足のお母さんのために。

ついでに用を足すけど、あくまで、目的はお母さんを歩かせるため。

この日も、朝から外に出た。まだ八時だというのに、この暑さ。ひなたに出ると、日光に焼けたレンガやコンクリートの道の暑さが、私の肉球にこたえるのだ。アスファルトなんて、もってのほか。やけどするよ。

だからお母さんは私を草むらに連れて行く。芝が刈ってあって、程よくやわらかい土の上。

草が茂っていてもだめ。虫がいっぱいいて、サンダル履きのお母さんの足にも、毛で覆われた私の体にも、ブーンて寄ってきていろいろ悪さされちゃうから。

とにかく、芝生の上を歩いて、いいおトイレを探していた矢先、そいつらは現れたんだ。

チク!カミ!チク!

「いて!」

お母さんが思わず声を上げる。どうしたの、お母さん?振り向いて顔を上げた私の足にも、チク!

「キャン!」

私も思わず声を上げた。前足に何かが噛みついたんだ。その直後、後ろ足にもチク!また前足にチク!

何?何?何が起こっている?なめなきゃ、この痛いところ。

私はおすわりして、お尻を地面につけた。

「キャン!キャン!」

そしたら私のお尻に何かが、いや一匹じゃないよ、二匹、三匹、それ以上のたくさんの何かが噛みついたんだ。柴犬のお尻って、ほら、尻尾がくるんと反り上がっているでしょ?無防備なの、私のお尻。うんちする時にはめちゃ便利なんだけど、とにかく無防備なんだ。

「キャン!」

私のベロと前足で掻いただけじゃ、間に合わないよ。非常事態!何かが私に襲いかかっているんだよ、助けて!おかあさーん!

でも見れば、お母さんも必死だった。

「いて!痛い!ヤダ、こわいよー!」

お母さんのむき出しの足には無数の茶色いアリンコが群がっていた。お母さんは必死で手で振り落としている。そしたらその振り下ろした手を、アリンコがまた噛むんだ。

どうやら私たちはアリンコの行列の中に足を踏み入れてしまったみたい。熱帯のアリンコはやたら攻撃的、特に今日出会っちゃった奴らは、最悪に喧嘩っ早い。お母さんは私を抱いて、コンクリートの上に逃げた。そしてはたく、はたく。

「パタパタ」「キャン!」「パタパタ」「いてて」

お母さんの体から全てのアリンコがいなくなった。「シュー、シュー」お母さんは滝のような汗をかいてる。そしてお母さんは私を再び抱き上げると、部屋まで猛ダッシュ。

バスルームに飛び込んだ。お風呂にぬるま湯をためると、私をボチャーンっとお風呂に投げた。そしてシャワーをジャー!

お母さん、私先週、シャワー浴びたばかりなんですけど…。嫌だったけど、いい子で頑張ったんですよ、それなのに、またですか?

でも、チクチクはいつの間にかなくなった。私の周りには水に浮かんだ茶色いアリンコが、一、二、三、…全部で十匹、プカプカしている。シャワーのおかげで、毛の中から流れ出てきたんだ。毛の間に入っちゃうと、なかなかアリンコも見つからないんだね。

それにしても怖かった。あんな凶暴なアリンコに遭遇することってあるんだね。お母さんのお風呂場までのダッシュも見事だったよ。やればできるんだね。

お母さん、これからはサンダルやめて、靴履いてお散歩行こうね。

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