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藤原兼雅(その1)
また、右大将に、藤原兼雅という人がいらっしゃいます。
(あら、俊蔭の娘から聞いた人ね。)
この方は、上品で美しい人として世に知られていらっしゃいますが、たいそうな色好みとしても知られ、広い屋敷に、たくさんの御殿を建て、家柄の良い姫君たちを住ませていらっしゃるということです。そして、まだ満足せず、わたくしも妻にしたいと思っていらっしゃるようです。
(このあと、俊蔭の娘に満足して、こちらの屋敷は放っておかれるのを、わたくしは知っていますが。)
父正頼様とは、親しい方なのですが、親には言わないで、わたくしに恋心を伝えようとお思いになり、つてを探されたところ、同母兄の三郎、中将の祐澄様が、正頼様の役所の中将でいらっしゃることに思い至られました。そして、兄君と親しく話などなさり、お屋敷に連れておいでになって、管弦の遊びなどをされたときに、
「あなたにお話ししたいことがあるのですが、ちょっといいにくいことなのです。」とおっしゃったそうです。兄君は、
「おかしなことをおっしゃいますね。疎遠な人になら遠慮されるでしょうが、わたしに遠慮されるとは。」と答えられたそうです。




